フォーラム

第7回大使を囲む懇談会開催

  • 駐エチオピア柴田大使を囲む懇談会
  • 8月6日、国際文化会館において、柴田裕憲 駐エチオピア大使を囲む懇談会が開催されました。概要は次の通りです(会場 20名、オンライン14名参加)。
    【講演要旨】
    1.概観:エチオピアは、サブサハラ第2位の人口大国である。国連やAUなどのPKO活動にも積極的に参画している他、120万人の難民を受け入れているなど、アフリカ大陸北東部地域における「安定の要」としての役割を果たしている。1900年頃から独立国を維持しているため、国際連盟、国際連合の原加盟国であり、1958年、国連はアディスアベバに拠点のひとつ(国連アフリカ経済委員会(UNECA))を置いた。また、1963年、OAU(現AU)の本部所在地にも選ばれた。
    2.歴史:19世紀後半以来、サブサハラで唯一独立を維持した国である。国民はそのことに強い自負があり、誇り高き人々である。植民地支配を受けたことがなく、1896年、侵攻してきたイタリア軍をアドワの戦いで撃退したことについて、日本が日露戦争でロシアに勝利したことと対比して言及されることも多い。現地では、日本との共有点について頻繁に言及され、日本に対する尊敬の念も感じられる。
    3.内政:2026年6月の総選挙で、与党(繁栄党)が約9割の議席を獲得した(正式には本年10月から5年間)。2020年、政府とティグライ人民解放戦線(TPLF)との間で軍事衝突が発生。各国大使館が一時退避するまでの事態となったが、2022年11月、和平合意が結ばれた。2024年から世銀・IMFのプログラムも入り、経済的に上昇トレンドにある。今回の選挙で、数年前に比し、連邦政府が反政府側より圧倒的に強くなっていることが確認され、今後国が一層安定化して行くことが期待される。国内は安定化に向けて動き出した。4.気候変動問題:気候変動問題について首相の関心も高く、内燃機関車の輸入は既に禁止され、EVシフトを強力に推進中。COP32(2027年11月)はエチオピアがホストする予定。植林活動も国内で強力に推進されている。
    5.経済:2020年頃から外貨不足や高インフレ(3年連続30%)に苦しんでいたが、2024年7月にIMF(4年間で34億米ドル)・世銀(4年で37億ドル)の支援プログラムが開始。為替制度の市場化や歳入強化策など、国民の痛みを伴う改革も含まれているが、経済は全体として上向き傾向。エチオピア航空(国有企業)はアフリカ最大の航空会社となり、エチオピア最大の優良国有企業。次は中東の航空会社と競争することを考えている。目下「新空港建設」は政権の最重要課題の一つであり、先般参入企業のショートリストが公開された。中国側も非中国側も、コンソーシアムが結成されている。現状、中国企業がメイン・コントラクター候補の半分を占めているが、日本企業のサブコントラクターとしての参入に対する期待も引き続き大きい。現空港は、年間利用者数2000万人であるが、これを6000万人まで増やし、ドバイ、ドーハ、イスタンブールのようなハブ空港になることを目指している。
    6.二国間関係:帝政時代(1974年まで)は、日本の皇室との間で緊密な交流があった。1956年、ハイレ・セラシエ皇帝陛下が戦後の国賓第1号として訪日され、1960年には現上皇・上皇后両陛下が、皇太子・同妃両殿下時代に同国をご訪問になった。その後2000年頃から、同国はアフリカで最大の日本の援助対象国のひとつとなった。
    現在、同国の最大関心事は、日本からの投資拡大である。総じて、国全体は安定化に向けて大きく変革を続けている。債務問題についても、これ以上の借り入れは行わないとしているので、累積債務を巡る状況も今後改善が期待される。日本企業の方々には、これまで投資セミナー等において、エチオピアの状況は手放しで投資環境が整っているとは言えないが、大きく変化しており、その変化やビジネスチャンスを見逃さないよう前向きに注意して見て頂きたいと言ってきている。
    【質疑応答】
    講演を受けて質疑応答が行われました。参加者からは、例えば、①周辺国との関係に関するものから、②ルネサンスダムの水力発電で得られる余剰電力の具体的活用方法やダム建設資金の出資元、③日本からの投資が期待されている具体的分野は何か、④外貨持ち出し規制が緩和されたようだが現状如何、⑤為替自由化の影響などの現場でのビジネス上の問題まで、多岐に亘る質問が途切れることなく続きました。柴田大使からは、追加参考情報も交えながら、ひとつひとつに丁寧な回答がありました。

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