フォーラム

第3回大使を囲む懇談会開催

  • 松浦駐ケニア大使を囲む懇談会
  • 6月13日、国際文化会館において松浦博司駐ケニア大使を囲む懇談会が行われました。概要は次の通りです(会場参加26名、オンライン参加17名)。

    【講演要旨】
    1.ケニアはアフリカの「希望の星」であり、日本の企業、政府、学界のいずれにとっても、希望が叶う場所である。そのように言えるのは、独立(1963年)に際して外国人の財産権を保障したこともあって、外国人・外国企業に対する「寛容さ」を備えており、またサブサハラにおける安定的な民主主義国家となっているからである。独立以来クーデターが起こったことはない。但し、ケニアで希望を叶えるためには、戦略と忍耐が必要である。

    2.2024年6月、増税を巡り暴動が発生したが、ルト大統領とオディンガ元首相(最大野党党首)は協力して連立政権を発足させ、この危機を克服した。大統領の任期は憲法上「5年2期まで」なので、現在1期目のルト大統領の場合は、2027年の選挙で再選されれば、その任期は2032年までとなる。

    3.2024年5月にルト大統領が国賓として訪米した際、米国(バイデン政権)から、ケニアはサブサハラで唯一「非NATO主要同盟国」に指定された。基本的に西側寄りの外交を展開しており、アフリカの平和と安定のためのPKOにも積極的に参加。露のウクライナ侵攻には明確に反対し、国連の対露非難決議案には基本的に賛成。なお、いわゆる「トランプ関税」について、対ケニアの税率は 世界一律の10%のみである。

    4.中国は大型インフラ事業(標準軌鉄道、高速道路など)を受注しているが、その財源は借款であり、ケニアにとり対中債務は最大の問題となっている。ルト大統領は、2024年9月(FOCAC)、25年4月(国賓)に、それぞれ訪中したが、債務減免が最重要テーマであったと見られる。

    5.日本との関係では、岸田総理は2023年5月にケニアで、24年2月に日本で、ルト大統領との首脳会談を行った。ルト大統領は、特に訪日の成果に満足の意を示した。今後も重要な同志国として関係を強化していく。 

    6.モンバサ港開発は、インド洋と太平洋の連結性を強化し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」推進に資する案件として、日本政府は、港を経済特区とともに「面として」支援。モンバサ港はEAC周辺3億人市場への玄関口でもあり、進出日本企業数も一貫して増加(現在124社)。JICAも長年様々な協力を実施している。モンバサ港以外にも、オルカリア地熱発電、ムエア灌漑のような大規模案件、更に高等教育機関(JKUAT等)、医学研究所(KEMRI等)、森林研究所(KEFRI)の設立・人材育成などの協力を実施。

    7.ケニアは、総発電量の90%が再エネ由来(地熱が45%)であり、自国を「再エネ大国」として打ち出している。特筆すべきは、オルカリア地熱発電所案件で、資金・技術面に日本が全面的に関与しており、オルカリアの電力をベースにしたグリーン産業の可能性も豊か。

    【質疑応答】
    講演を受けて質疑応答が行われました。ケニアに対する参加者の関心は極めて高く、現地でビジネスを展開している企業を含め、多くの参加者から多岐にわたる質問が寄せられました。これに対し松浦大使からは、ひとつひとつに丁寧な回答がありました。
                                                         
                                                              

                       

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