フォーラム

JICA安井民間連携事業部長との懇談会

 

  • JICA安井民間連携事業部長との懇談会
  • 2月7日午後、国際文化会館において安井毅裕・JICA民間連携事業部部長囲む懇談会を開催しました。(会場参加者:27名)

    1.JICAの民間連携事業
    開発途上国に流入する資金を見ると、民間資金がODAをはるかに上回っており、開発とビジネスとの連携が益々重要になってきている。例えば、SDGs達成に必要な資金は3.9兆米ドルとされているが、世界全体のODA資金は年間1900億米ドルに過ぎず、この巨大な資金ギャップを埋めるには民間資金の活用が鍵となっている。他方、民間企業の側においても、開発についての考え方がCSRからビジネスに転換してきており、JICAと民間企業の目指す方向性は一致してきている。こうした中、JICAとしても「民間連携事業」に力を入れるようになった。本日は「海外投融資」と「中小企業SDGsビジネス支援事業」を中心に紹介する。

    2.海外投融資
    (1)日本政府が開発分野における「官民連携」を主唱し始めたのは2010年前後であったが、JICAが海外投融資を立ち上げたのが2011年である。円借款が政府間援助であるのに対して、海外投融資は政府以外の民間企業等を対象にしており、これが大きな違いである。2015年以降承諾額は毎年1000~1500億円のレンジで増加傾向にあり、累計では1兆円を越えた。日本のODA予算が削減され続けている中で、海外投融資の主たる原資は市場での債券発行により調達されており増額できている。
    (2)対象地域として、東南アジア地域のボリュームが大きいが、ラ米とアフリカ(マグレブを含む)に注目している。その手法としては、IFC、ADB、DFC(米国国際金融開発公社)などと連携して協調融資案件を発掘・組成している。信用力の高い銀行や企業を通ずることにより、円借款が供与できない財政状況の途上国に対しても融資や投資が可能となる。アフリカ地域における具体的案件として、①現地企業支援案件(南部アフリカ農業案件、ナイジェリア気候変動対策案件)、②地域金融機関融資案件(アフリカ輸出入銀行向け、東部南部アフリカ貿易開発銀行向け)、③スタートアップ支援案件(LEDランタン案件、ケニア廃棄物バイオリサイクル事業、アフリカ新興企業イノベーション支援事業)について紹介があった。

    3.海外投融資・協力準備調査
    これは民間企業からの提案に基づき、海外投融資を活用したプロジェクトの事業計画策定にJICAが協力するスキームである。協力準備調査では予備調査と本格調査の2段階に分けて実施する。具体的案件として、ガーナでの道路PPP案件などについて紹介があった。案件採択のためにはJICAとの緊密な意思疎通が重要なので、早めの事前相談をお勧めする。

    4.中小企業SDGsビジネス支援事業(通称JICA・Biz)
    海外投融資事業が主として大企業向けのスキームであるのに対して、JICABizは中小企業向けが多く、これまでに採択された案件の88.5%が中小企業によるものであった。  対象地域もアフリカが全体の15.1%を占めている。この支援事業はJICAコンサルタントが「伴走しつつ支援する」のがポイントである。ビジネスモデルの検証を目的とする「ニーズ確認調査」と、事業計画の策定を目的とする「ビジネス化実証事業」の2種類のメニューから成り、各企業による対象国ビジネス環境の確認状況やビジネス準備段階に応じて、選択が可能である。具体的案件として、①南アにおける鉄道脱線防止技術案件、②マダガスカルにおけるカカオ・バリューチェーン構築案件、③ケニアにおける道路維持管理案件、④南アのタクシードライバー向けファイナンス案件などが紹介された。このスキームにおいても、案件採択にはJICAとの緊密な意思疎通が重要なので、JICAとの早めの事前相談をお勧めする。

    5.「企業共創促進」 Private Sector Engagement(PSE)
    これまで説明した民間連携スキームに留まらず、JICAのあらゆるスキーム・活動において企業との共創を促進する取組(PSE)を推進中。基本的には受発注以外の関係で、相互にメリットを認識しながらパートナーとして連携していく。JICAとしては支援対象プロジェクトが終了後も企業の活動に引き継がれ持続性を実現していく、企業のノウハウや情報により効果を高めるというメリットがある。企業にとっては、JICAのプロジェクトの成果をビジネスに活用するなどのメリットがあると思う。なお、」ステークホールダ~同士での情報交換や交流のために「企業共創プラットフォーム」が作られているので是非活用してほしい。具体的案件として、①セイコーエプソン社、②楽天グループ、③UCC上島珈琲(エチオピア)、④豊田通商(アンゴラ)との事業につき紹介があった。JICA内でタスクフォースを立ち上げて、全部署的に推進しており、ぜひ、日頃お付き合いのある各部署や民連部にアプローチ頂きたい。

    (質疑応答)
    講演を受けて質疑応答が行われ、参加者から様々な質問が出されましたが、安井部長からは、ひとつひとつに丁寧な回答がありました。

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