フォーラム

第6回大使を囲む懇談会開催

  • 田中駐ジンバブエ共和国大使を囲む懇談会
  •  2023年度第6回・田中駐ジンバブエ共和国大使を囲む懇談会

    7月20日午後、田中聡志・駐ジンバブエ共和国大使をお迎えして、同国の近況について伺う会をオンライン形式で開催しました(会員企業等からの出席者22名)。なおこの懇談会は当初対面及びオンラインの形式で開催する予定でしたが、都合により当日、オンラインのみによる形式に変更して開催されました。

    田中大使より以下の説明を行いました。

    2018年の国政選挙で選出されたムナンカグワ大統領は、ビジネスに開かれたジンバブエ、国民に開かれた政権、政治改革、法の支配、人権の尊重などを掲げてその後一定の成果を収めたが、同選挙の結果に異議を唱えた対立候補のチャミサMDC同盟党首はその後CCC党首として一部の支持を得ており、来月の国政選挙もムナンカグワ対チャミサの対立の構図となろう。この間、2020年には、農地を収用された白人農家への補償案が決定したが、資金難から実際の補償は進んでいないと見られる。
    現政権は、外交の基本方針として「Engagement and Reengagement」を掲げているが、これは、グローバル・サウスの一員として従来の友好国(中国、ロシア)との関係を維持しつつ、欧米諸国との関係も改善し、さらにインドやUAEなどの新たなフロンティアとの友好的な関係を築いていこうとするものであり、さらに英連邦への復帰も希望している。欧米諸国は、2000年頃からの同国の政治的暴力、人権状況の悪化、白人農家の土地収用などから、経済制裁を課しており、同国の状況の一部には改善がみられるものの、経済制裁は引き続き行っているが、他方一部の分野への投資や貿易関係の強化も行っている。同国のAU、SADC との関係は良好であり、また中国は豊富な鉱物資源を有する同国への積極的な外交と支援を展開している。
    経済面では、同国のビジネス環境は世界で140位とする分析もある(2020年、世銀)。農業近年干ばつに見舞われたこともあったが、その後回復している。金融・通貨面での政策が混迷しているため、数年前のハイパーインフレはその後一旦終息したが、米ドルと現地通貨の双方が流通し、現地通貨の価値は下落している。しかし同国は豊富な鉱物資源に恵まれ、新たな投資を行う外国もある。エネルギー開発面では問題もあり、現在首都ハラレでもしばしば短時間の停電がある状態。
    日本の同国への経済協力は、現在有償資金協力は実施していないが、道路改修工事、灌漑設備建設等の無償資金協力案件の他、協力隊員の派遣などの技術協力を実施している。

    次いで法人会員など参加者より、「ジンバブエは世界でも有数のリチウム埋蔵国であるが、リチウムに関する政策とカーボン・クレジット政策が発表されたところ、その運用がよく見えないところがあるが、どう見るか?」、「中国の対アフリカ投資が全般的に減っているという見方があるが、中国から同国への投資は、どのような概況か?」、「一時同国には白人が8万人程度居住して農業他のビジネスを行っていると言われたが、農地収用後の現在はどうか?」、「次期選挙1ヵ月後に迫る中、昨今の与党と野党の勢力に大きな変化は見られるか?」などの質問が出されました。

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