フォーラム

アフリカ協会主催 第1回フォーラム
「TICAD Vと民間連携」議事録

  • ■日 時:2012 年11月28日(水)15 時より16時半
  • ■場 所:国際文化会館 別館2階講堂
  • ■ゲスト:外務省 TICAD V 担当大使 伊藤 誠 氏、アフリカ部長 岡村善文 氏
  • ■参加者:公的機関、民間企業、NGO、研究者など48 名
当協会の服部 次郎会長による開会の挨拶の後、ゲストの外務省岡村善文アフリカ部長より、11月15 〜17日にブルキナファソで開催された高級実務者会合の概略について伺い、続いて外務省伊藤誠TICAD V担当大使よりTICAD Vのお話をいただいたあと、当協会の堀内理事がモデレーターとなりTICAD Vと民間連携のテーマで討議を行った。
  • 開会の挨拶(要約)/服部会長
  •  近年はアフリカに対する関心が深まってきており、アフリカ協会としてもお役に立ちたいと考えている。日本にとってアフリカはアジアと違い距離的に遠く、明治以来文化の交流や人的な交流も少なく、馴染みの薄い大陸であったが、近年漸く世界の中におけるアフリカの位置付けが認識されてきた。又、最近の米国の政策や中国のアフリカへの働きかけなどもその要因となっている。そんな中で、アフリカに対する知識を持つこと、歴史を知ること、交流に努めることが必要になってきており、アフリカ協会も少しでもお役に立ちたいと思い、この様なフォーラムを企画した。今日は、各方面の方々から、活発なご意見やお話を伺い、理解を深めれば幸いである。
  • 1. 岡村アフリカ部長のお話(要約)
  •  来年6月のTICAD Vは、日本とアフリカの協力を進めて行く上で、跳躍台となるようにしたいと考えており、今次フォーラムを通じて、民間企業の方から忌憚の無いご意見を賜り、アフリカへのアプローチに反映させていきたい。TICADは、1993年に第1回目が開催され、TICADVは5回目、20周年となる。前回2008年は51カ国、41名の国家元首・首脳級が集まった。日本は「アフリカ向けODAの倍増」と「アフリカ向け民間直接投資の倍増支援」を決め、これがほぼ達成されつつある。日本はTICADを重ねながら約束した事を実現してきており、アフリカ諸国に高く評価されている。第4回から毎年閣僚クラスを集めフォローアップ会合を行い、約束したことが実現しているかを確認してきた。
     今は来年6月に向けての準備を始めたところで、アフリカの人たちから何をしてほしいのかを聞くことから始め、先々週にブルキナファソで高級実務者会合を開催した。我々の基本コンセプトは質の高い成長を目指すということだ。アフリカはこの10年高い成長率を続けており、これを継続できれば20〜30年前のアジアで経験した様にアフリカも希望の大陸となる。ただ、離陸する為には、質の高い成長を持続させなければアフリカを強くすることにはならず、「強固で持続可能な経済」と、あまねく社会の人々が富を分け合える「包括的で強靭な社会」を実現する必要がある。TICADではパートナーシップとオーナーシップという言い方をしており、アフリカ自身が自分のことをやるオーナーシップが大切で、これに我々が協力していく。
    基本コンセプトに関し何が重要かアフリカ側に聞くと、誰もが口にすることは、政府の援助も大切だが民間に頑張ってほしい、貿易や直接投資で入ってきてほしい、特に日本企業に来てほしい。日本が投資すれば地元が潤い・地元が育つと言っており、日本の良さが分かってきているようだ。インフラも大切で道路・電気・水をしっかり支援しないと、経済が回り出しても工場を作ることができない。農業では、「食べるための農業」から「稼ぐための農業」へと発想が変わってきており、豊かになるための農業が求められているということを強く感じた。高等教育の重要度も高く、高い教育を受けた人たちがアフリカに残ってしっかりやっていくための教育や、女性・若者のエンパワーも大切である。これに付け加えて「ともかく民間に来てほしい」、「日本に来てほしい、来てくれればアフリカの開発に繋がる」という強いメッセージを高級実務者会合を通じて得ている。是非、日本企業には、アフリカへのビジネス進出を積極的に検討していただきたい。
  • 2. 伊藤TICAD V担当大使のお話(要約)
  •  10月にTICADV 担当大使を拝命して2カ月弱であるが、アフリカの人たちと話しているとTICADVに大きな期待をしている。日本としてこの期待に応えていきたいし、アフリカ側にも頑張ってもらいたい。アフリカ側の期待の背景にあるものは、日本のやり方・日本らしさに対する強い期待であり、日本は評価されている。今まで政府も民間も、約束を守る、やれない事は約束しない、約束したらきちんとやるということをやってきた。当たり前のことだが、約束してもやらない国も多々あって困ることが多い中で、日本はきちんとやってくれて品質も高い、日本の支援は安心していられると評価されている。また、日本の経済協力にしても、民間のビジネスでもそうだが、技術とかノウハウをアフリカに移転して役に立っている。こういうやり方が評価され、これが期待に結びついている。
     先ほど説明のあった大枠のコンセプトを具体的に詰めて発表できるように、これから6か月かけて積み上げていく。アフリカ連合委員会(AUC)が今回から共催となり、アフリカ諸国も今後5 年間の自分たちのやるべき事を行動計画に取り込む姿勢であり、より良いものにしていくように準備していきたい。特にアフリカは民間の役割に期待しているので、NGO や学生も含むすべての階層の方々との連携を深めて用意していきたいし、パートナーシップ事業などを通じアフリカに対する関心を高めていくことで、TICADVの成功に繋げたい。

  • 3. フォーラムの討議
  • モデレーター・堀内理事
  •  今ご両氏より官の期待、アフリカの期待のイメージをいただいたので、これを基に本音ベースの話をしていきたい。これはQ&Aセッションではないので活発な発言をいただきたいが、議論の拡散を防ぐために、先ず、どの分野、どの地域、どの時期になど選択と集中について議論し、次に官と民の協力の形、お互いに期待する所などに入っていきたい。
  • 岡村 善文
    外務省・アフリカ部長
  •  今の問題意識に加えてお願いしたいことは、アフリカ協会に日本とアフリカの間のパイプ役として新しい役割を担ってほしい。すなわち、アフリカからは日本とのビジネスを通じた交流を期待されており、日本からの技術移転や仕事のやり方などを導入していきたいとの希望がある。日本企業がアフリカに出て行くための手伝いをしてほしい。現在のアフリカ協会の定款の中でも情報の提供などを通じて出来るものがあるはずであり、協会を通じて何が出来るかを議論してほしい。
  • モデレーター
  •  協会は力不足の面があるが、会員やこれから会員になっていただける方のご協力を得てやっていきたい。又、現在、協会はボランティアベースでやっているので、皆様のお時間を割いていただき、お手伝いをいただければ有り難い。
  • 玉川 雅之
    アフリカ開発銀行アジア代表事務所長
  •  アフリカが日本に大きく期待している事の一つとして、アフリカの民間セクターの発展、拡大を日本にも手伝ってほしいということがある。直接投資の拡大、とくに日本企業が工場を作ってくれるようなことはとくにシンボリックであるが、それだけでなく、日本人・日本企業のアフリカとの間での経済活動が拡充することを通じて、アフリカとの相関関係が深まっていくことが重要だし、まさにアフリカからも期待されていることではないか。
     先日、ブルキナファソのホテルでは、パナソニックのエアコンが静かに廻っており、どんな流通ルートか判らないが、日本人がいなくてもアフリカ側にパートナーがいて、日本の良いものが届く事はそれだけでもアフリカの民間セクター拡充や雇用創出、生活の質の向上への貢献になっている。実際にも多くの日本人、日本企業が様々な分野でアフリカと関わる経済活動を行っており、今後この相関関係はより深まっていくのではないか。さらに、アフリカにおいて、民間セクター主導の質の高い成長が実現し、持続してためには、経済活動のための環境整備や人材育成など、日本が官民でどのようなことができるか議論し、この面での支援を拡充することはできないか。
  • モデレーター
  •  たしかにアフリカとの協力は政府ベースや直接投資でなくても役に立てることはあり、今、アフリカ企業が伸びている中で、何をしたらこれを伸ばしていくことができるのか議論してほしい。
  • 勝俣 誠
    明治学院大学・国際学研究科教授
  •  アフリカのビジネスについて、今まで悪い話ばかり聞いてきたが、結果として少しずつ良くなってきている。国民・市民は無知でなく少しずつだが確実に学んできており、我々は早く成果を求め過ぎたのかもしれないし、外部主導の構造調整で経済発展よりも相手国を如何に締めあげるかに異常な執念を燃やして、その結果失ったものの方が多かった。タンザニアの中でも民営化しないで頑張って成果を上げている国営企業もあり、それなりの技術移転を彼らでやっており、国を通さずに民間部門でということを強調しすぎたかもしれない。アフリカが少しずつ良くなってという実感は私も持っている。
     農村から都市に人が吐き出されるが、都市に出ても産業が無く雇用が無い。雇用を作るには教育や人の訓練が必要で、農業の近代化でも高等教育が必要であり、人材が決定的に欠けている。これを補ってきたのが日本・欧米・中国の援助だった。岡村部長にお伺いしたいが、ブルキナファソの会合では、雇用に対してアフリカ側から自分達の経済発展のために、日本に対してどの様な要望があったのか教えてほしい。
  • 岡村 善文
    外務省・アフリカ部長
  •  今の指摘はとても興味深いポイントで、雇用が進まないのは人材になっていないからだ。これを埋めるのが日本の技術協力で、スキルが無いと雇っても使えない。日本では一から訓練をして工員として育てるが、アフリカでこれをやったら育った時点で他企業に行ってしまい育てただけ損をしてしまう。人材に対する投資は民間セクターの論理ではできない。従って、アフリカでは職業訓練は政府がやることと決まっている。
     今回、プライオリティとして挙げられた中に職業訓練の要請があった。政府や地方の行政機関が行う職業訓練により一人一人がいろいろな技術を持つ人材として育って、それで初めて雇用の次元になるということで、職業訓練の協力要請は非常に強い要望として出てきている。
  • モデレーター
  •  アフリカで長くやっている企業は、訓練をどのようにやっているのか、又、どのようにやれば効率的かなどを伺いたい。
  • 野口 勝
    国際開発アソシエイツ・国際協力専門家
  •  自分が駐在していた時期(1992〜96年)のケニアでは、GDP のうち民間取引が占める割合は17%であり、この17% 全てがインド系の企業によるものであった。そんな中で自分も2007年から始まったJICAの貿易研修に参加して判ったことは、経済が伸びる中でインド系企業も以前のようにインド人仲間だけでは手が足りなくなり、ケニア人を採用して教育を行い、ケニア人は背中を見ながら企業内教育・OJT で育ってきていることだった。又、そこで育った人が、スピンアウトして起業家として何人か集まって、物を輸入し加工して販売するようにもなってきている。
     アジアでの成功経験があるのだから、官との連携で民間が出ていくこと、特に中小企業は素晴らしい技術を持った所も多く、出ていきたいのだが、遠いし金や知識や情報が無い、どのようにして入っていくか官のサポートがほしい。例えば、現在のJICAの技術協力のように、3 年で終わったのでは折角やったものが後に繋がらず現地に根付かない。技術協力の場合サステナビリティを持って持続して行うようにやっていくべきで、日本の援助を中途半端で終わらせないようにすべきである。アフリカは日本の技術を羨望しており、具体的に組み立てていくのがTICADだと思うので、関係諸機関や民間がコラボして、サポートしていくシステムの態勢づくりをやってほしい。又、その検証のプログラムも必要で、3 年で終わるのではなく成果として定着できるようにしてほしい。
  • モデレーター
  •  官と民の中でJICAを含めて協力をどのようにするかは、セカンドパートでやりたいと思いますので、官の中で訓練とかの経験のある方に、どのようにすれば効果的かなどご意見をいただきたい。
  • 山田 尚史
    日本貿易振興機構・途上国貿易開発部主幹
  •  JETROでは今年、東京、大阪、名古屋の3都市でアフリカビジネスセミナーを開催したが、東京では400名の登録があった。大阪では製薬や化学品メーカーなど、名古屋でも地元企業の関連会社から多くの参加があった。タイやミャンマーが対象の場合でも200名程度なので、非常に反応があったといえる。これは如何に情報に飢えているかを示しており、特に東京本部で商社を含めて大手企業でもいかに情報が無いかの現れである。これはサブサハラ情報がメディアに出ないことに関係しているかもしれないが、企業がどう動けば良いのかの情報が不足しており、オールジャパンで情報を伝える必要があることが分かった。

     JETROとして、開発企画実証事業を実施してきており、企業から提案してもらって、その中で事業提案がODAにふさわしいか、日本のニーズに合っているか、現地に被益するかをヒアリングして審査している。シエラレオネやルワンダで実際に成果が上がりつつあるが、例えばビジネス意識とか市場メカニズムを取り入れて、結果に繋がるようにしないと相手(現地企業)も真剣に臨もうとしないことが多い。実際に現地でビジネス展開を試みようとしている企業にJETRO が側面支援することで現地企業、現地社会に貢献できることが多い。JETROから一般的かつ普遍的な指導をしてもらう専門家を送れば良いというものでなく、ビジネスが目前にある民間企業との連携が重要となってきているように思う。
     TICAD VでもTICAD Ⅳの横浜行動計画のようなものを作成されるのか、どんな手順でやられるのか伺いたい。JETRO の場合、貿易・投資拡大だが、JETROのできること・できないこと、JICAのできること・できないこと、それぞれの機関の役割があり、関係機関と連絡を取りながらすり合わせをしていくことが必要だと思うので宜しくお願いしたい。

  • モデレーター
  •  TICAD V行動計画について質問がありましたが、これは後でお答えいただくことにして、企業の方から企業内訓練とか人材とか情報についてご意見いただけますか。
  • 羽田 裕
    豊田通商・渉外広報部渉外グループリーダー
  •  当社はアフリカ8カ国で100%出資の会社が8社あり、従業員は2,000名以上になる。この従業員の訓練は100%自前でやっており、人材教育には工数・コストをかなりかけている。アフリカでは雇用後の従業員教育は、数字に表れない大きなコストとなっている。
     ここに官の力を、という論点は非常に有難いが、上手く導入するには官と民の区分けが必要と考える。官が基本的な部分を担い、その後を民がカスタマイズしていくなどの分担がよいのではないか。只、官が前段階をやるとしても、業種によって求められるものが違うので、かなり各論に入った対応が必要。その一方で、国毎に見れば直近で育てたい産業が販売業なのか製造業なのかでも違う。採用する企業からすれば訓練の前段階のレベルがどこまで担保されているかという問題があり、訓練される側もその後にどんな職場があるのか出口が見えないと一生懸命になれない。この辺りは具体的に国や分野を絞って現在事業を実施している企業へのヒアリングを重ねるなど、かなり丁寧にやっていかないとこの議論は煮詰まらないのではないか。
  • モデレーター
  •  企業内訓練でやっている豊田通商さんの話を伺ったが、他の企業の経験とか、これから進出を考えている企業でヒントを得たいと思っている方のご発言をいただきたい。
  • 武藤 一郎
    アフリカ協会機関誌編集委員
  •  今までの日本企業進出のやり方を見ていると、日本の銀行が一緒に出て製造業をバックアップするとか、ODAのインフラと連携してやるなど、日本だけで完結する形でやってきた。この官民連携は悪いことではないが、経済・社会インフラの整っていないアフリカで、日本だけで完結するという手法は上手くいかないのではないか。近年の地下資源開発の例でいえば、開発権の入札には地域開発・社会インフラ・地元への投資まで求められており、現地との連携が必要になってきている。更に、その企業には利益を地元に再投資して地元企業を育て、公共サービスを改善することが、結局はその企業の安定した活動に結び付いていくのではないか。
     また、先に言及のあったトルカナ(ケニアの油田)の例でいえばインド洋まで油を運ぶには、インフラなどを考えれば日本だけではできず、EUやラム港への回廊計画を進める南スーダンやケニアなどの受益者を巻き込んだ連携が重要になってくる。こうした政府主導の計画は企業ベースでは実現が難しく、TICAD の機会を通じて官民連携と絡めて話を進めていくことがあってしかるべきと考える。
  • モデレーター
  •  次に民間連携に入りますが、官と民とアフリカがどの様にしたらウィン・ウインの関係を築けるかについて、ご意見をいただきたい。
  • 築地 正登
    スチールプランテック・海外戦略室
  •  選択と集中の議論に関係するが、最近アフリカでは天然ガス・オイルの発見が相次いでおり、選択して何かをアシストする意味からエネルギー関係のプロジェクトはアップストリームからダウンストリームまでシリーズで出てくるので、資源をそのまま輸出するのではなくて、国内で使う前提でどのようなプロジェクトができるのかを検討することが必要。それをどのように日本の投資・投資金融・保険などに結びつけるのかが一つの可能性だと思う。
     マレーシアの場合、トレンガヌの天然ガスが切っ掛けになって見違えるように国が伸びたし、インドネシアの場合も経済のバックボーンはオイルとガスであり、アフリカもこれが起爆剤になりえるチャンスを秘めている。
  • モデレーター
  •  基本的には資源を地産地消で考えて進出すべきとのご意見です。
  • 乾 英二
    国際協力機構・アフリカ部長
  •  JICAとしても同意見であり、従来型の職訓の他に農業を中心としたバリューチェーンの形成とか資源を中心にした産業クラスターの構造を作るとか、産業全体を支援しながらそこで生まれる雇用や人材など必要なところを援助してきている。
    民間との連携の中で、JICA 或いは政府として環境投資整備をするところを、技術移転または、インフラ、物、仕組み作り、人材育成などいろんな協力の手法でやってきている。人材育成で言えば、職訓でいきなり人が育つ訳ではなく、基礎となる理数科をマスターしないと上にいかないので、教育の質の問題として基礎力を付ける教育もやっている。
     職業訓練は1970 〜80 年代からやってきており、成功しているセネガルの例では、産業界のニーズを聞きながらやることで、ニーズに合致した人材を作るというのがポイントであった。従来の免状を取る為の訓練では、現場に出ても応用が利かず発展性がないという問題があった。現地に出ていく企業のニーズを把握して、合致するような教育をしていくことが重要だ。
    また、JICAの方でも、BOP、PPP、中小企業育成など最初の段階で、JETROとも協力して、どんな形で仕事が出来るか調査を始めており、20社近くの企業から関心を示してもらっている。
     アフリカには23カ国に事務所があり、毎年1万人以上の研修員が日本に来ていて、その内の5〜6割がアフリカからである。この人たちは帰ってから、それぞれの国で省庁や企業のそれなりのポジションにいるので、この人たちを進出したい企業に紹介したり産業の情報を取ったりすることができるので、これからは活用していきたい。一般的な情報だけではなく、スペシッフィックな情報を提供することも重要だと思っている。
  • モデレーター
  •  時間が少なくなりましたが、皆さんご意見をどうぞ。
  • 谷本 正文
    住友商事・地域統括部部長代理
  •  JICAのPPP 調査でモザンビークをやらせてもらっており、事業をやる入口としては非常に良い制度だと思っている。しかしアフリカの場合、アジアと違って厳しい状況の下でやるので、審査にあたってはハードルを下げることを考えてほしい。或いは、投資でなくても関連の事業に被益するプラントに繋がる調査にまで広げてもらうことでも良いのではないか。
    今後、技術協力の中で、民間の事業に繋がるような専門家派遣に注力してもらうと有難い。資源関係・オイル&ガス・水・電力とかで、国の政策に近づける所に日本の専門家がいればやり易い。今までも考えていただいていると思うが、その様な形の技術協力も考えてほしい。
     投資協定は非常に大切で、アフリカでまだ結んだところが無いと認識している。これをどんどん推進していただくようにお願いしたい。
  • モデレーター
  •  発言しにくいかもしれないが、ODAで民間が汗をかいても他に取られてしまうケースもあると聞いている。民間の方から官の方への注文があれば出してほしいし、官の方からも意見があれば出してほしい。
  • 青野 千代子
    ラフィキ・ワ・アフリカ理事長
  •  NGOとしてウガンダで未亡人270人、孤児100人を抱えて職業訓練の支援をしている。今年から自立援助の一環としてキノコの栽培を始めているが、その訓練の中で驚いたことがある。ウガンダには日本車をはじめ日本製品が至るところにあふれているが、研修を受けた77人の未亡人で日本がどこにあるかを知っている人は一人もいなかった。また、日本の援助でオーエンダムが作られ電力が発電されているが、ウガンダ政府はケニア・タンザニアに売電しており、地場には供給されていない。JICAの方が努力されてもウガンダの一般大衆には届いておらず、このような現実をもう少し知ってほしい。
  • モデレーター
  •  外務省国際協力局の方にお願いします。
  • 貴島 善子
    外務省・国際協力局国別開発協力第三課長
  •  現在、外務省・財務省・経済産業省・JICAで相談をしながら、TICADで「より一層の官民連携」、「アフリカにはより一層の人材を」、「ウィン・ウィンでお互いに豊かになる」というパッケージを作っているところで、企業からも意見聴取するために駆け回っている。NGOとの連携も大切で、NPO自身の力も付けていただかなければいけないので、NPO 向けの予算の使い方もより使いやすいようにしたいと考えている。
     アフリカ協会にお願いしたいことがある。ODA予算は増えておらず、TICADが始まった時から一時少し上がったが、その後は半額位になっている。人材育成や、円借・無償を作っていくのにはマスタープラン作りから専門家も入れて官民で作っていくのがよいのだが、理解が得られず、そのマスタープラン作りをするJICAの予算が減っているのが現状。ODAは役に立つということ、アフリカもこれから伸びるということ、官民連携でアフリカ向けのODA が必要なこと、それが将来の国益に繋がりアフリカも成長するということを、出来るだけ広く一般にも政界にもプレスにも伝わるようにアフリカ協会からも声を上げていただきたい。
  • モデレーター
  •  我々は機関誌『アフリカ』を季刊で出しており、国際協力局からODAに関する情報提供や、記事の提供があれば掲載できる。ご提案の趣旨には心から賛成するので、我々を使っていただければ有り難い。
     貿易協定の話や、横浜行動計画のフォローアップの質問がありました。外務省よりご回答をお願いします。
  • 岡村 善文
    外務省・アフリカ部長
  •  投資協定は非常に大事と思っている。民間が投資を決断して現地に出てくる時に、そのリスクを政府が引き取るという心構えとして、そしてシンボリックでかつ実質的な傘として投資協定は大事なので頑張ろうと思っている。アンゴラとはやや行き詰まっているが、モザンビークは近々に次の交渉団が来て、最終の詰めを行うなど進んでおり、一つでも良い例を作りたいと思っている。モザンビーク大使の話では、最近米国と投資協定を締結したが、その途端に投資がドッと来るようになったそうで、リスクの引受けをある程度保証すれば来てくれるのだということを理解している。
     横浜行動計画と横浜宣言の2 本立てになったのはTICAD Ⅳからで、TICAD Vで踏襲するかどうかはまだ決まったわけではない。行動計画は、どの機関がどのような事をやるかを一覧表にしてあり、具体的な形で見てもらおうという趣旨で作ったもので、評判が良いので今回も実現したいと思っている。見た人に分かりやすいようにセクターごとに目標をはっきり決めて、それに応じたプロジェクトはどのようなものがあるのかを分類することを考えている。各企業、各機関、NGOも含めてこの行動計画に載せたいプロジェクトがあれば、全体の中の一つのプロジェクトとして扱うので外務省の方に申し出て登録してほしい。
     情報がなかなか無いのでサポートしてほしいとの話があった。外務省にはアフリカに32 の在外公館があり、皆様に伝えられるものを持っており、これを何とか活用する方法を考えたい。例えば外務省の持っているネットワークの中でいろいろな情報がある。アフリカ協会を通じて皆様の目に触れることができれば、役に立つこともあるのではないかと思うので、追って堀内理事と考えてみたいと思う。
     万事多難な日本外交の中でTICADだけは、この話をすると皆さん目を輝かせて聞いてくれるアイテムであり、嬉しいことである。アフリカの方も前向きな材料が多く、先ほど言った通りの成長率であり、庶民の生活も良くなってきており、おまけに石油が出た、ガスが出たという景気の良い話も続いている。このTICADを契機に、アフリカにはどれだけ夢があるかを日本の人たちに知ってほしい。そのアフリカに対して日本がどんな外交をしてきて、どれだけ評価されているか、日本人は素晴らしいとアフリカ人たちは皆言うが、日本人はそれを知らない。アフリカを通して日本人が日本人自身の良さを知ることができると思う。これをTICADを通してやっていきたいと思うし、これを広報する団体としてアフリカ協会の責任・役割があると思っている。外務省とか官とか民を越えて、オールジャパンとしてアフリカを広く知らせて日本国民が勇気づけられるものを一緒に作っていきたい。
  • モデレーター
  •  アフリカ協会としていろいろサジェッションをいただきましたが、官の方から発出されるインフォメーションを出すことは今まで足りなかったと思う。また、同時にこれからは民の方の情報や意見を発表する場としても使ってほしいと思っている。アフリカ協会には個別の業界情報などはあまり寄せられないが、大きな枠でアフリカの政治・経済・社会などの知識や情報や人脈などは持っているので活用いただきたい。
     今回は第1回としてTICAD V 関連のテーマを取り上げたが、これからも年に数回のペースで続けていきたいと考えている。今後ともアフリカ協会をサポートしていただければ有り難い。
    記録者( 一社)アフリカ協会 淺野 昌宏

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