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  • 2025年版アフリカの洞察報告:市民の参画と力‐アフリカの人々は民主主義の将来性を主張する
      • 【月刊アフリカニュースNo.155掲載】

    アフロバロメーターはガーナに本部を置く非営利団体で、アフリカの約40か国でのインタビューを通じ、人々の意識調査と分析を行っている。本報告書は年2回発行される報告書の一つで、39か国で行われた第9次調査(2021年~2023年)に基づいている。主な論点は以下のとおり。
     市民の政治参加に関し、四つのカテゴリーに分類される10の指標についての39か国の平均は以下のとおり。

     全体の傾向では、ほぼ全員が何らかの政治活動に参加しており、10項目のいずれも不参加だったのは6%に過ぎない。市民参加が最も活発なのはガンビア、レソト、リベリア、マラウイ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、ジンバブエ。最も不活発なのはチュニジア。
     投票の自由、集会の自由、言論の自由、自由で公正な選挙があるとの感じ方は10年前よりも減少しているが、それでも69%が投票の自由があり、79%が集会の自由があると感じている。
     一方、政党への帰属意識は10年前よりも14%減少した。与党への不満とそれを代替できない野党への失望、野党候補者の排除、政党そのものの解散などがその理由だ。
     西側では教育を受け、経済状況が良い者が政治参加する傾向があるが、アフリカでは教育レベルが低く、貧困な市民ほど政治に参加している。男女比では女性の、年齢層では若者の、居住地域では都市の市民の政治参加率が低い。ただし若者は抗議行動には参加する。
     結論は、1)生活やインフラへのニーズが政治参加を促進する、2)地方議員の対応の良さが接触を促進する、3)民主化が進み、選挙への信頼性が増せば投票率は向上する。 

  • 2025年版人間開発報告:選択の問題‐AI時代における人間と可能性
      • 【月刊アフリカニュースNo.155掲載】

     UNDPが毎年発表している報告の2025年版。今年は人工知能(AI)をテーマにしている。主な論点は以下のとおり。
     AIは前例のない強力な技術で、その未来像はユートピアともディストピアともされている。しかし重要なのは、AIが何をもたらすかではなく、AIが人間のために機能するにはどういう選択があるか、だ。
     全世界的な調査によれば、人間開発指標(HDI)の高低にかかわらずAIは既に相当程度利用されており、人々は人間開発にとって重要な保健、教育、労働の三分野でのAIの有効活用に期待している。
     数年前までは、2030年までには高いレベルのHDIが達成されると想定されていたが、COVID19及びその後の回復の遅れで、達成は10年遅れる見込みだ。またHDIに関する国の間の格差も広まりつつある。これまでは製造業の拡大と国際市場への輸出による雇用創出や貧困削減という発展の道筋があった。しかし外部からの不十分な資金、自動化などによる製造業拡大機会の減、貿易摩擦による輸出の減により、その道は閉ざされつつある。そのような時に、AIが人間を疎外するものであってはならない。
     AIが人間のために機能するためには、第一に人間とAIが競争するのではなく協力する、相互補完的な経済が必要だ。AIは人間を完全に代替することはできない。AIを生産性向上のために活用しつつ、デジタルデバイドを防ぐ施策が必要だ。
     第二に、AIによる革新を、社会的に望ましく、また利益も生む方向に意図的にデザインする必要がある。第三に、人々が自身の生活改善にAIを活用できるような能力開発が必要だ。
     技術の発達が人間をより健全で豊かで知識豊富にしたのは、技術そのものに内在する力ではなく人々の積極的な選択の結果だ。AIがニッチから様々な面で人々の生活の中心になるに中、AIが人間開発にもたらす機会をつかむべきだ。低いHDIの国を含め、AIの可能性は大きい。

     同報告書に付随する人間開発指標(HDI)でのアフリカは、非常に高いHDI国に、昨年のセーシェル(今年は54位)に加え、モーリシャス(73位)が加わった。また高いHDI国にはアルジェリア(96位)、エジプト(100位)、チュニジア(105位)、南アフリカ(106位)、ボツワナ(111位)、リビア(115位)、モロッコ(120位)が分類されている。一方、低いHDI国(168位~193位)の26か国中、23か国がサブサハラ・アフリカである状況はこれまでと変わらない。尚、日本は23位。

  • 2025年版世界投資報告‐デジタル経済への国際投資
      • 【月刊アフリカニュースNo.154掲載】

    国連貿易開発会議(UNCTAD)が毎年発表している報告書の2025年版。世界経済が債務、低成長、地政学的緊張、貿易や投資の流れの構造的変化などに直面する中での、投資の現状を分析するとともに、デジタル経済の可能性と課題について論じている。主な点は以下のとおり。
     2024年の国際投資は前年比11%減で、2年連続の減少となった。不確実性が増す中、2025年の見通しも明るくない。欧州への投資が減り、北米向けが増えた。発展途上国の中では、アフリカと東南アジアへの投資が増加した。インフラへの投資は減少したが、デジタル経済への投資は倍増した。SDGs関連では、保健分野以外は減少した。2021年から2024年の間に国際プロジェクト金融は40%減少し、特に後発開発途上国に影響を与えた。
     政策面では、地政学的緊張と産業政策により、投資誘致の政策が記録的に多くなった。優遇措置としては、金融インセンティブなどの投資インセンティブや、自由化などによる投資促進策がとられた。先進国では、ハイテクや重要資源などでのスクリーニングが強化された。
     サステナブル金融では、サステナブル債券の発行高が記録的に伸びたのに対し、サステナブル資金流入は減速した。炭素市場は拡大したが、価格設定の不均衡や標準化が課題だ。サステナブル金融を拡大するためのメカニズムの必要性については国際的総意が得られた。
     2022年から2024年に、発展途上国はデジタル経済への5,300億ドル以上の新規投資を獲得したが、その80%は10か国に集中した。最大の投資家は多国籍企業で、米国が主だが、南南投資も進んでいる。データセンターとフィンテックが主要な投資先だが、ディジタルインフラへの投資は不足しており、サブサハラ・アフリカは必要な投資の5%しか得ていない。
     海外直接投資はデジタル・デバイドの解消に貢献するが、その便益は自動的には生まれない。ほとんどの開発途上国が国家デジタル戦略を有しているが、投資、産業、環境政策との整合性に欠ける。データガバナンス、知的所有権、競争枠組を強化し、海外直接投資を呼び込む必要がある。海外直接投資は、取引(transactional)であると同時に、変革(tansformational)をもたらすべきだ。

  • 2025年版アフリカ国別政策・制度評価‐より良いサービス提供のための政策
      • 【月刊アフリカニュースNo.154掲載】

    世界銀行アフリカ地域チーフエコノミスト室が作成した報告書。全世界の国別政策・制度評価(CPIA)に基づき、サブサハラ・アフリカ地域40か国についてまとめたもの。国際開発協会(IDA)融資対象国(低所得国及び低位中所得国)について、政府の公共サービス提供能力や有効性について五つのクラスターに分けて評価している。尚、対象はサブサハラ・アフリカで、北アフリカの5か国は対象ではないが、5か国は元々IDA融資対象国ではない。一方ジブチはIDA融資対象国だが世銀では北アフリカに分類されている。2025年版報告書は総論及び国別のデータからなり、主な論点は以下のとおり。
     2024年は若者の抗議活動に象徴された年で、政府の公共サービス提供への信頼性向上の必要性が示された。また市民の不満は、17か国で行われた選挙のうち、与党の勝利が7件にとどまったことでも示されている。アフリカが他の地域に比べ特に遅れているのはインフラ整備。
     クラスターA(経済マネジメント)では、公共支出管理や債務の再編において、多くの国で改善が見られた。26か国で債務の対GDP比が2022年を下回った。
     クラスターB(構造政策)では、貿易促進及びビジネス環境の改善において、大きな進歩があった。一方、金融セクターの狭小さにより、資金へのアクセスは依然として制限されている。
     クラスターC(社会的包摂と平等のための政策)では、女子児童・生徒の退学率の高さや、教育全般の質や平等性の確保が依然として課題だ。しかし社会的保護のシステムや環境ガバナンスにおいては改善が見られた。
     クラスターD(公共セクター管理と制度)では、司法の独立と専門性の確保で進展があった。しかし予算配分や支出に関する透明性やアカウンタビリティの欠如、歳入確保能力の低さなどの問題が残る。特に、行政において、一貫性のある資金計画に基づき政策を施行するための能力の欠如が課題だ。その中で、市民社会が公共サービスを監視するうえで重要な役割を果たしている。
     40か国のCPIAスコアの平均は3.1で、2023年とほぼ変化がなかった。パフォーマンスの良い上位5か国は、ルワンダ(4.2)、ベナン(3.9)、コートジボワール(3.9)、カーボベルデ(3.9)、ケニア(3.9)。
    (注:本報告書はIDA融資対象国に限定して作成されているため、国際復興開発銀行(IBRD)融資対象国(高位中所得国)に関する分析はない。しかし所得レベルとCPIA
    のスコアには必ずしも相関関係はない。)

  • 2025年版グローバル平和指標
      • 【月刊アフリカニュースNo.153掲載】

    シドニーに本拠を置く経済・平和研究所が2008年から発表している指標。163の国と地域、世界人口の99.7%をカバーしている。平和の傾向、その経済への影響、平和的な社会構築を分析することを目的とし、23の指標を用いて1)社会の安全とセキュリティ、2)進行中の国内外の紛争、3)軍事化、の程度を図っている。2025年版の主な論点は以下のとおり。
    ⚫世界の平和度は下がり続けており、大規模戦争の前触れとなる要素が第二次世界大戦後最大に高まった。また、より多くの国が軍事化を進めている。現在進行中の国家レベルの紛争が54あり、17か国で死者が千名を超えた。一方で紛争解決の成功率は過去50年間で最も下がった。紛争の国際化が進み、78か国が近隣国との紛争を抱えている。
    ⚫2025年の指標では、ロシアが初めて最も平和でない国となった。次はウクライナ、スーダン、コンゴ(民)、イエメン。地域的には中東・北アフリカが最も平和度が低い。
    ⚫2008年以降、進行中の紛争指標が17.5%、社会の安全とセキュリティ指標が2.5%低下した。軍事化は一貫して改善していたが、過去4年間で反転した。
    ⚫2025年の構造的要因としては、地政学的な分裂の進行、経済・貿易の統合や外交・軍事協力の減少、新興国による影響力の拡大、貿易抑制策の増加、全ての核保有国による軍備の強化とAIやドローンなどの技術戦争の増大、外国籍の軍が他国で戦う紛争の国際化の進行、などがある。
    ⚫米中の影響力は既に最大限に達し、力の中心は新興の中進国に移るという、グローバルな力の分裂が進行している。
    ⚫現在進行中で、大きく拡大する可能性がある紛争は南スーダン、エチオピア・エリトリア、コンゴ(民)及びシリア。
    ⚫国際秩序は転換点に達している。紛争と不確実性の中で必要なのは、「前向きな(ポジティブ)な平和」であり、それは経済成長、低金利、社会の福利、ショックへの強靭性と密接に関連している。
    ⚫サブサハラ・アフリカでは、半数の国の平和度が上がり、残り半分が下がった。全体として0.17%下降した。安全上の最大の危機はサヘル地域の政情不安とテロ。最も平和なのは、過去6年間内外の紛争を経験していないモーリシャス。最も平和度が低いのはコンゴ(民)。最も指標が改善したのはウガンダ。
    ⚫日本の平和度は、アジア地域ではニュージーランド、シンガポールに次いで3位。世界では12位。

    • “Global Peace Index 2025”
      Institute for Economics and Peace、 2025年6月

      Global Peace Index

  • 「2025年版グローバルジェンダーギャップ報告書」
      • 【月刊アフリカニュースNo.153掲載】

    世界経済フォーラムが2006年から発表している報告で、1)経済参加と機会、2)教育の達成、3)健康と生存、4)政治的エンパワーメントの四つの側面、及びその総合値での各国内の男女の格差を示す。2006年から継続的にデータを収集している国は100か国で、現在は148か国をカバーしている。2024年版報告書の主な論点は以下のとおり。
    ⚫2024年には、男女格差が埋まるスピードがパンデミック以前に戻った。2025年の世界全体の格差は68.8%(100%が完全な平等)で、2024年から0.3%改善された。このスピードだと世界が完全な男女平等(パリティ)を達成するには、あと123年を要する。
    ⚫四つの指標のうち、格差が大きいのは経済参加と機会、及び政治的エンパワーメントだが、この二つは、2006年以来最も格差が解消された指標でもある。経済参加は55.1%(2006年)から60.7%(2025年)に、政治的エンパワーメントは14.3%(2006年)から23.4%(2025年)に改善された。しかし、完全な平等にはそれぞれ135年、162年かかる。
    ⚫2024年の世界の労働市場への女性の参加は41.2%で、伝統的に男性の仕事とされてきたインフラ分野でも8.9%の増加が見られた。一方でジェンダーに基づく分業や、女性の低賃金問題が残っている。高等教育(大学)への女性の就学率は男性を上回っているが、その成果は労働市場で発揮されていない。また子育てによりキャリアが中断する可能性は、男性よりも55.2%高い。
    ⚫女性の政治参加促進に関する法整備は多くの国で行われている。しかしその執行率は低い。
    ⚫中・低所得国の女性は輸出促進によりフォーマル経済に移行し、収入も増加した。今後の貿易の縮小が、COVID19と同じように、女性により大きな打撃を与えることが懸念される。貿易政策立案時には、女性の就業や給与へのインパクトが考慮される必要がある。
    ⚫アフリカの上位3か国はナミビア(8位)、カーボベルデ(30位)、南アフリカ(33位)。下位3カ国はスーダン(147位)、チャド(146位)、ギニア(144位)。
    ⚫日本は昨年と同じ118位。

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