フォーラム

第10回大使を囲む懇談会を開催しました。

  • 長島駐ブルキナファソ大使を囲む懇談会を開催しました。
  • 12月17日、国際文化会館において長島駐ブルキナファソ大使を囲む懇談会が開催されました。懇談会の概要は次のとおりです(会場参加15名、オンライン参加12名登録)。
    (講演要旨)
    1. 内政
    ブルキナファソでは、2022年に2回クーデターが発生し、同年10月にトラオレ暫定大統領が就任したものの、その後もテロが頻発している。2024年版グローバルテロリズムインデックスによれば、テロの影響を最も深刻に受けているのはブルキナファソとされ、当国は世界第1位にあげられている。テロに加えて気候変動の影響などもあり、国内避難民数は2023年3月時点で200万人を超えた。当国は、ECOWASとは本年7月までの民政移管を約束していたが、1月にはECOWASからの一方的な脱退を宣言し、5月には民政移行期間の5年延長と、トラオレ暫定大統領の呼称を大統領とすることが決定した。

    2. 外交
    トラオレ政権は反仏、親露色を強めた。この背景には、反仏、親露を煽るフェイクニュースがSNSで国民の間に拡散していたこともある。当国は、マリ、ニジェールとともに「サヘル諸国同盟(AES)」を結成した。その目的は地域の発展と安全を促進することであり、サヘル3か国(サヘル三兄弟)の「自主」、「自律」を確立することである。旧宗主国である仏の影響力が低下する中、今や露や中国だけでなく、トルコ、アルジェリア、モロッコ、ブラジル、ベネズエラなどが積極的に当地域への関与を強めようとしている。

    3. 経済
    政治面では反仏の姿勢を強めており、経済面でも独自路線に進もうとの声はあるが、実際に仏系企業の排除や独自通貨の発行に至るといった具体的なステップは取られていない。特に通貨CFAフランは、ユーロとの交換レートが一定なため、当国にとっての経済的メリットが大きい。主要産業は農業であるが、金も採掘している。農産物のうち、胡麻、綿花、マンゴーは良質であり輸出もされているが、そもそも経済基盤が脆弱で、水資源も乏しいことから製造業が根付くのは相当難しいと思われる。港のない内陸国というハンディはあるが、アフリカ内陸国間の物流の拠点として成長する可能性はあると考えている。

    4. その他特記事項
    国内避難民の現状や課題を正確に把握するため、日本政府はUNHCRと共同で、生体認証データを活用した国内避難民登録及びデータの認証を実施する基盤を支援するプロジェクトが進行中である。今後、正確なデータに基づく人道支援が実施されることが期待される。

    5. 安全保障の観点から留意すべき点
    (1) 今後中東の混乱が激化し、ISやアルカイダ系の国際テロ組織が勢力を強める可能性がある。サヘル地域が国際テロの巣窟にならないようすべし。
    (2) ロシア、中国といった権威主義的な国の動きを注視すべし。ウクライナ戦線に北朝朝鮮兵士が送り込まれているように、ロシアのアフリカ部隊に北朝鮮などの外国人兵士が送り込まれ、サヘルでの活動に加わってもおかしくはない。
    (3) 気候変動により、水や食糧を求めて人々が移動する蓋然性が高まる中、国内避難民が難民として国境を越え、欧州などを目指す動きが更に活発化する可能性がある。
    (4) こうした問題は、日本から遠く離れた地域の問題で日本とは無縁、と捉えるべきでない。直接的でないにせよ、グローバルな課題として日本の安全にも影響する可能性を忘れてはならない。

    (質疑応答)
    講演を受けて質疑応答が行われました。内政の見通し、露のサヘルでの動き、ECOWAS・AES関係、金の生産見通し、現地住民の生活実態(なぜ高価なバイクが買えるのか?)、海外安全情報見直しの可能性、ワガドゥグ映画祭など、多岐に亘る質問がなされました(合計12問)。これに対して長島大使よりは、ひとつひとつ丁寧に回答があり、会場では非常に盛り上がった質疑応答が行われました。

                       

主催イベント

  • 講演会イベント
  • 各国・地域情報バナー
  • 検索バナー
  • 外務省人事バナー
  • 在外公館一覧バナー