フォーラム

第6回大使を囲む懇談会開催

  • 新井前駐セネガル大使を囲む懇談会
  • 第6回・新井前駐セネガル大使を囲む懇談会

    7月8日午後、国際文化会館会議室において新井辰夫・前駐セネガル大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者10名、オンラインによる出席者18名)。

    先ず新井大使より、セネガルに3年半大使として勤務した経験から、アフリカの西の玄関口と言える同国は、独立以来一度のクーデタも無く、抜群の政治的安定を見せているが、その主な理由は、国民性が穏やかであリ、ホスピタリティに富むこと、国内の民族間に抗争が無く、対立が少ないことなどがあげられよう。
    宗教はイスラムが主であり、4つの教団が存在するが、何れも穏健であり、社会の安定に寄与している。旧宗主国フランスも、旧仏領西アフリカの中心的存在のセネガルの不安定化を阻止するための努力を行って来た。コロナ禍で経済成長率は落ちたが、政府はパスツール研究所を活用しながら多くの対策を迅速に実施し、さらなる感染拡大は阻止しているが、これには、近隣諸国のエボラ熱流行時の対策などの経験も資する点があったとみられる。
    経済面では、オフショアの石油とガスを開発中であり、コロナ禍で経済成長率が減じたが、その後経済の回復に努めている。周辺には政治的に不安定な国もあるが、ECOWASを通じる協力などにより、同国は地域の安定化に努力して来た。
    外交面では同国は現在AU 議長国であり、ウクライナ危機に際して、アフリカ代表としてプーチン大統領に面会し、意見を述べるなどの活動も行ってきた。
    文化面では、芸術作品のギャラリーが多く、また料理も定評がある。
    日本との関係では、要人往来がこれまで数多くなされ、良好な関係を保ってきた。2020年には両国の外交関係60周年を迎え、コロナ禍により多くの文化事業は中止となったが両国の関係強化の機運を盛り上げた。
    日本より同国への開発協力としては、インフラ、医療、教育を含め多岐にわたり種々の協力を行ってきたが、特色は人材育成と技術移転に重きを置くことであり、特に職業訓練センターは、これまで同国の産業人材を数多く育成してきている。また単に同国への支援のみならず、日本セネガルが連携して近隣国を支援するなどの三角協力が行われてきた。
    民間では、現在同国に展開している日本の企業は約25社であり、「日本・セネガル合同委員会」が立ち上がり投資と経済関係の促進を図っている、等について説明がありました。

    また、セネガル赴任の前に駐ジブチ大使を勤めた経験から、ジブチについて、アフリカの東の玄関口であり、また地政学上の重要地点に位置するため、軍事基地を置く国が多く、また同国の港はエチオピアの海への出入口として重要な機能を果たしており、地域のハブを目指していること、気候は気温が高く暑い土漠であり、農業開発には制約があること、などについて説明がありました。

    次いで出席者から、ガーナではグーグル、ツイッターなどの国際的大企業が店を出し、またスタートアップも盛んにおこなわれていると聞くが、セネガルではどうか?ECOWAS内の諸国間での輸出には、相互に関税はかけないなどの取組みが本当に行われているのか?アフリカでは一般に、時間がきちんと守られないことがある場合が多いが、セネガルはどうか?日本の援助による職訓センターが十分機能しているという話があったが、それは自分も外務省時代関係した案件であり、同センターが現在セネガル社会に役立っていると聞き、嬉しい。立ち上げ時は、教える立場のセネガル人をまず日本に招き、技術の他、日本語も十分教育した。セネガル人は世界に進出して小売り業などで頑張っているケースがあるが、セネガルにおいて、商業面での中国人の進出状況はどのようなものか?コロナ禍の下で石油・ガス開発の継続を行いつつ、国の開発を進めるのは資金調達面で不安があると思われるが、どのような策を用いて開発を進めているのか?今後の議会選挙への展望、などの質問が出されました。

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