フォーラム

第3回大使を囲む懇談会開催

  • 原ジプチ大使を囲む懇談会
  • 2024年度第3回原ジプチ大使を囲む懇談会

    6月14日、原駐ジブチ大使との懇談会が国際文化会館において開催されました。原大使による講演の要点は次のとおりです(会場参加17名、オンライン参加11名)。

    1. ジブチは、①紅海とアデン湾の間の「チョークポイント」を形成する、地政学的に重要な位置にあり、②周辺に政情不安の国が多い中、際立って安定している。対岸のイエメンとの距離は30km未満だが、最近のホーシー派による攻撃で、この海域は危険に晒されている。欧州と日本を結ぶ航路も、今やこの海域を避け、喜望峰沖を迂回している。
    2. ジブチは人口100万人の小国ではあるが、その港はアフリカ大陸の巨大マーケットへの玄関口である。気候は厳しいが、政情は安定、治安も良い。ジブチ・フランは米ドルと固定相場なので、ビジネス展開上の為替リスクも低い。国内で特に投資需要の高い分野は、インフラ(港湾、鉄道、道路など)やエネルギーが挙げられる。
    3. ゲレ大統領(ソマリ族)は、1999年以来大統領職にあり、次の選挙は2026年の予定。現行憲法上、立候補には75歳の年齢制限があり、現在77歳のゲレ氏は立候補できない。しかし現時点で有力な対抗馬も見当たらず、憲法を改正してゲレ大統領が立候補する可能性も含め今後の政局は不透明である。
    4. 現在国会議長を務めるディレイタ氏(アファール族)は、2011年に自衛隊がジブチに拠点を設けた際に首相を務めていた。ゲレ大統領と同様、非常に親日的である。
    5. 主要民族のソマリ族(ソマリア系)とアファール族(エチオピア系)は、かつて民族対立から紛争に至ったこともあるが、現在は主要ポストを両民族で分け合うことで政権は安定している。国会議員の構成も適切なバランスが保たれている。
    6. ジブチはAUだけでなくアラブ連盟の加盟国である。アラブへの帰属意識が強く、経済面、宗教面で湾岸諸国との繋がりが強い。またパレスチナとの連帯意識が強く、最近のイスラエルによるガザ攻撃については憤りを隠していない。なお、IGAD本部はジブチに所在し、現在ジブチが議長国を務めている。
    7. ジブチには、仏、米、伊、中の4ヵ国が基地を構えている。我が国も海賊対処行動の任務遂行のため、2011年に空港に隣接する自衛隊拠点を整備した。中国だけは、他国とは異なり、海に面した場所に軍事基地を有し、自らの埠頭を建設している。
    8. 経済については、主たる歳入源が港湾、フリーゾーン、各国基地の賃借料等であり、ひとり当たりGDPは3,000ドルを越える。しかし対外債務はGDP比65%(うち54%が対中債務)である。政府要人は「債務の罠」の問題を理解してはいるが、必要な事業に対し中国以外は資金を提供してくれないからだ、と主張している。若者(15-24歳)の失業率が76.9%と非常に高いことも大きな問題である。
    9. 政府の開発計画(Vision 2035)によれば、今後もコンテナ港パーフォーマンス指標でサブサハラ第1位を維持、海底ケーブルを8本から13本に増設、再生可能エネルギー100%達成、観光業・漁業促進などが目標とされている。

    講演を受けて質疑応答が行われ、①ひとり当たり3,000ドルの歳入は国民に還元されているのか、②エチオピア・ジブチ関係の今後の見通し、③アフリカの角情勢をフォローする際に注目すべき第3国はどこか、などの質問が寄せられ、原大使からは、ひとつひとつに丁寧な回答がありました。

    尚、今後原ジブチ大使とのコンタクトをご希望の方は、下記をご利用願います。
    大使公式FaceBook:ambjapondjibouti
    大使公式X:@amb_japon_dj

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