フォーラム

第11回大使を囲む懇談会開催

  • 大矢マラウイ大使を囲む懇談会
  •  2023年度第11回大矢マラウイ大使を囲む懇談会

    3月26日、一時帰国中の大矢洋一駐マラウイ大使を国際文化会館にお迎えし、標記懇談会が開催されたところ、概要次のとおり。(会場参加16名、オンライン登録16名)

    冒頭、大矢大使より要旨次のとおり発言があった。
    1. 日本とマラウイは、本年外交関係樹立60周年を迎え、様々な記念行事を計画している。マラウイは、サブサハラの国の中では政情も安定しており治安もよい。そのため海外協力隊も安心して派遣できるので、これまでの派遣実績は世界第1位である。
    2. 他方で、国家開発の観点からは課題山積である。特に累積債務の問題が重くのしかかっている。今や対外債務の対GDP比は84.8%に達している。国家予算もその多くが債務返済に充てられており、これが経済発展の足枷となっている。国の目指す方向性は明確であり、それは「援助と投資の増加」。そのためにバランスのとれた外交を展開している。中国の一帯一路にも参加する一方でイスラエルとは良好な関係を維持している。
    3. 政治については、1993年の複数政党制移行後も安定していることに加えて、注目すべきことは2019年の大統領選挙の結果が憲法裁判所の判決で無効となり、再選挙の結果、2020年に現チャクウェラ大統領が選出されたことである。大統領選挙の結果について司法判断が受け入れられたということ自体アフリカでは異例のことであるが、法の支配が機能しているということの証左でもある。但し、国内のあらゆる分野で汚職が蔓延しており、選挙となると必ず多額の現金が動く。中立・公平であるべき公務員も「心付け」で動くので、行政能力の低下も著しい。
    4. 経済については、「マラウイ2063」という開発目標に沿って、2063年にひとり当たり約GDP4,000米ドルの高中所得国になることを目指して、A(農業)T(観光)M(鉱業)に重点をおいた政策を展開している。世界銀行も「経済政策の方向性は正しい」と評価しているが、成果は上がっていない。農業は伝統的にタバコが中心であるが、消費量が低迷していることに加え不作の影響もあり、輸出が伸びず外貨収入も低迷している。観光業については、コロナ前はGDPの7%を占めていたが今も回復していない。観光地への道路状況も悪く、アクセス、サービスとも課題が多い。鉱業も、一時期希望が持たれたウランは採掘も止まっており、金の採掘もうまくいかず、今はルチルが注目されているものの前進が見られていない。
    5. 2023年11月、IMFは1億7,400万米ドルの拡大信用ファシリテイ(ECF)による支援を承認したが、その直前に為替レートの大幅切り下げが行われた(マラウイ・クワチャの対米ドルレートが一気に44%下落)。この影響もあり国内物価が更に上昇し、2023年のインフレ率は34.5%に跳ね上がった。外貨不足により燃料の供給も途絶えることがあり、燃料不足、食糧の安定確保が引き続き現下の問題となっている。
    6. 気候変動の影響も深刻である。雨期に十分な雨が降らないので農業に影響が出ている。かつてはサイクロンがマラウイを襲うことはなかったが、昨年のサイクロンでは死者
    1,000人、家を失った人が100万人に上った。日本政府も緊急支援を実施した。また貧困層による森林での違法伐採が後を絶たず、森林面積が急激に減少している。これに対して政府は植林による対策を進めている。
    7. 現在実施中の日本政府による対マラウイ支援は、(1)幹線道路M1上の橋梁建設、(2)変電所の改修を挙げたい。変電所は本年5月に完工予定である。また、これまでに日本が実施した支援の中で大きなものには、水力発電所の改修、教員養成大学の整備、空港ターミナルの建設などがある。

    これを受けて質疑応答が行われたが、主なやりとり次のとおり。
    ①マラウイが稲作振興共同体(CARD)フェーズ2の対象国となったことへの受け止め(一定の意義がある旨回答)、②物価急騰により治安情勢に影響はないのか(デモが多少活発化するような変化はあるが、マラウイ人は苦しくとも耐えている、むしろ諦めているようなところがあり、表立って不満を表明することが少ない、よって治安情勢に今のところ大きな影響は見られない旨回答)、③外貨不足の中、人々はどのように外貨を入手しているのか(いわゆる闇経済の世界では外貨は潤沢にある旨回答)、④新車・中古車とも輸入台数が激減しているようだが、公共交通機関の維持に影響はないのか(中古車については輸入を制限するようにIMFの指導が入っている、最近は軽自動車が増えている旨回答)、⑤どのような国の企業が投資しているのか(インド系、中国系が多い旨回答)、⑥経済政策の要である観光、鉱業で日本が出来る協力は何か(観光では人材育成とインフラ整備、鉱業ではリモートセンシングの技術協力などがよいと思う旨回答)、⑦多くのマラウイ人がイスラエルに労働力として渡っているようだが、実態如何(マラウイへの外貨送金を目的に出稼ぎ労働者がイスラエルに送られている、ひとり1,500ドル送金する前提で100万人単位で送ることが計画されている、既に5,000人ほどが出稼ぎに出ている旨回答)⑧タバコの輸出が困難であれば転作は行わないのか(タバコが主要輸出品目との原則は変えずに、大豆など豆類への転作は行われている旨回答)。

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