フォーラム

第4回大使を囲む懇談会開催

  • 大森ボツワナ共和国大使を囲む懇談会
  • 2024年度第4回大森ボツワナ共和国大使を囲む懇談会

    7月5日、国際文化会館会議室において、大森摂生駐ボツワナ共和国大使をお招きして同国の最近の状況について伺う懇談会を開催しました(会場参加者13名、オンライン参加者
    13名)。

    大森大使より、同国について以下の説明を行いました。

    ボツワナは面積約56.7万平方キロ(日本の約1.5倍)、人口はほぼ263万人、1人あたりのGNIは約7,350米ドル(2022年世銀)で、これはアフリカでは高いほうの高中所得国である。旧宗主国は英国であるが、同国は植民地ではなく、英国の保護領であった。1966年の独立後、クーデター等は起こっておらず、政情は一貫して安定している。2018年マシシ現大統領が副大統領から昇格の形で就任し、2019年の総選挙で再任。次回選挙は今年10月の予定(国会議員選挙であり、議員が大統領を選出する方式)。

    外政面では、南部アフリカの経済的統合を目指すSADCの事務局を首都ハボローネに設置し、SADCのモザンビーク・ミッション(SAMIM)にも要員を派遣するなど、地域の平和と安全に貢献している。一時冷え込んだ時もあった中国とも現大統領は一定の関係を保ちつつ、国連等の多国間外交を重視し、かつ欧米諸国とも良好な関係を維持しようとしている。ロシアとは、ダイヤモンドの大産出国という共通点を有する。国連の場でのウクライナ情勢関連決議については、22年3月の「侵略非難」決議は共同提案国、22年10月の「領土一体性」決議及び2023年2月の「平和」決議には賛成、それ以外の3決議(22年3月「ウクライナ人道決議」、4月「人権理資格停止決議」、11月の「救済と賠償の推進決議」)は棄権した。

    同国の経済は、1967年にダイヤモンド鉱脈が発見された後、世界の主要なダイヤモンド産出国の一つ(ロシアに次ぐ世界第2位の量)となっており、デビアス社との協力により継続的に産出しているが、同時に、ダイヤモンド依存型経済からの脱却、すなわち産業の多角化による貧困撲滅が今後の課題。ダイヤモンド以外の主要輸出品目は銅、塩・ソーダ灰、生体牛他となっているが、世界有数の自然公園を有し、観光分野も今後発展が期待される、重要な産業の一つである。

    対日関係は安定的かつ良好に推移しており、同国はアフリカ初の地上デジタル放送日本方式を採用している。日本は同国に対しこれまで青年海外協力隊の派遣の他、経済協力を行ってきており(有償219.81億円、無償54.06億円、技術協力97.96億円(2021年度までの累計)、その他同国では日本車(中古)の輸入も多い。日本はザンビア国境の川の「カズングラ橋建設計画」への円借款供与も行った。なお在留邦人数は50名内外で推移している。

    その後参加者より、「今年のエルニーニョによる干ばつなどにより、牧畜業にダメージがあるのではないか?」、「中国人が5千人程度在留しているそうだが、鉱山労働者が多いのか?」、「中国による同国の鉄道分野への協力計画はあるのか?」、「ダイヤモンドの生産国である点で同国はロシアと共通点があるが、ロシアとの2国関係はどのようなものか?」、「SADCの今後の動向をどう見るか?」、「ボツワナの援助国はときどき同国で調整などの会合を開いているのか?」、「牛は生体輸出が主であると伺ったが、同国内での牛の皮革の利用はあまり発達していないのか?」、「カズングラ橋の運営管理はどのようになっているのか?」、「同国の一般の人びとの日本への理解や期待はどのようなものか?」、「同国にセンターを有する日本のJOGMEC(金属鉱物資源機構)のリモートセンシングセンターは、(ダイヤモンドも鉱物資源の一つであることから)デビアス社との協力関係を有しているのか?」などの質問が出されました。

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