フォーラム

第2回大使を囲む懇談会開催

  • 野口ガボン大使を囲む懇談会
  •  2024年度第2回野口ガボン大使を囲む懇談会

    5月14日、国際文化会館にて野口駐ガボン大使との懇談会が開催されました。野口大使による講演要旨は次のとおりです(会場参加22名、オンライン参加20名)。
    1. 昨年8月30日のガボンにおける政変はアフリカの歴史に残る出来事だった。大統領選挙(8月26日)の結果の公式発表が30日未明に行われた直後、軍・治安部隊の一部が国営放送を占拠し、「選挙は不正」であったとして大統領選挙の無効と国家機能の停止を発表したことによるもの。直ちに国家機関移行再建委員会(CTRI)が発足し、大統領親衛隊長のオリギ・ンゲマ氏がCTRI議長に任命された。9月4日にはオリギ・ンゲマ暫定大統領が就任、CTRIは各界との対話を積極的に進め、9日には暫定政府が発足。市中は一貫して平穏を維持し、全土で平時の社会生活が再開している。オマール、アリと父子約60年に続いたボンゴ家支配が終焉したが、前政権時との行政経済の一貫性は保たれている。
    2. 今回の政変では、一つの暴力行為も流血沙汰もなく、アリ・ボンゴ(前大統領)を追放した軍・治安部隊の行動については大多数の国民が支持している。近年ガボンでは、石油価格の下落もあり国民の不満も高まっており、腐敗の酷い7名のアリ・ボンゴ側近が逮捕されたことは多くの国民に歓迎された。なお、今回の政変は、近年サヘル地域で相次いだ「クーデター」とは性格が全く異なる。ワグネルや反仏の要素はない。60年に及ぶボンゴ支配からの「解放のための蜂起」であったと言ってよい。
    3. 政変の直後は、多くの国から軍事的政権奪取を非難する声明が発出されたが、時間の経過とともに変化が生じている。日本政府は、今回の政変について「政府承認の問題は生じない」との結論を得ており、自分(野口大使)もこの方針に基づき、暫定政権の大統領や閣僚との公式な接触を行って経済協力継続の方針を説明し、ガボン官民から大きな評価を得た。欧米諸国も、日本を後追いするように暫定政権との接触を開始している。ガボンの属する中部アフリカ諸国経済共同体も「資格停止」処分を解除した。
    4. 暫定政権は既に民政移管に向けてのロードマップを公表しており、2025年8月までの2年間で、新憲法の制定と再選挙を実施し民政移管を完了するとしている。更にCTRIの推進している各種政策は、民主主義や言論・表現の自由など欧米的な価値観に基づくもので、勇気づけられるものである。新生ガボンは日本のアフリカ外交にとり、大きなチャンスとなろう。

    講演を受けて質疑応答が行われ、①ガボンでは貧富の差が大きく貧困層の不満が今後暴動に繋がる可能性はないのか、②2年間で本当に民政移管が完了するのか、③今回の政変が国内経済活動、貿易や外国からの投資に与える影響如何、④2025年8月の大統領選挙での有力候補は誰か、⑤赤道ギニア情勢の今後の見通し、などについて質問があり、野口大使からはひとつひとつ丁寧に回答がありました。

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