フォーラム

第5回大使を囲む懇談会開催

  • 丸橋次郎駐アンゴラ大使を囲む懇談会
  • 6月2日午後国際文化会館において、丸橋次郎駐アンゴラ大使に同国の最近の事情を伺う会を開催しました(対面出席の他、オンライン参加も含める形で開催しました。参加者は、会員の法人企業等からの出席者17名、オンラインによる参加者16名)。

    先ず丸橋大使より、同国の最近の状況について、以下のような説明がありました。
    国民和解・国家再建が着実に進展し、平和が定着した。2017年に総選挙が公正に実施され、38年間同国を率いたドス・サントス前大統領に代わってロウレンソ大統領が選出された。与党は引き続きMPLAである。経済ポテンシャルは高く、石油(アフリカ第2の産油国)の他、ダイヤモンドをはじめとする鉱物・金属資源も豊富な資源国であるが、経済面では石油に依存する状況が続いており、経済の多角化・安定化が課題である。また人口の3-4割が25歳以下の同国では、人的資源の育成が急務。石油価格下落の影響で経済情勢が悪化し、最近5年間はマイナス成長であり、債務が増大している。中国への債務は不透明な部分もあるが、元本のみ据え置いている状況。若者に仕事が無いことから、失業率は全体で約20%に上るが、若年層に限れば50%に達するとみられる。政府は国際的な信頼の回復(汚職・腐敗の追放、投資環境・ガバナンスの改善、財政規律強化、金融システムの健全化、経済の多角化など)を目指している。IMFはこれらの取り組みを支援すべく、2018年に37億ドル(2020年に45億ドルに増額)の拡大信用供与措置(EFF)を決定した。汚職撲滅への取り組みで注目されるのは、前大統領の長女が公金横領の疑いで訴追されていることである。
    中国との関係では、輸出・輸入とも中国が第一の相手国(輸入についてはポルトガルと拮抗)である。また同国には現在約4万人の中国人が居住、同国内の中国企業は約200社に上るとみられ、その分野はインフラ建設(道路、鉄道)を中心に多岐に及んでいる。またファーウェイの技術センター建設も進んでいる。他方、現政権としては、中国への依存度を減らすべく多角的な経済外交を目指している。
    対日関係では、ロウレンソ大統領は就任演説で日本との関係強化に言及しており、日本との戦略的パートナーシップ強化を重視している。また2019年河野外務大臣がアンゴラを訪問した他、一昨年のTICAD7にはロウレンソ大統領および閣僚10名が参加した。日本は2015年に電力セクターの改革を支援するため、初の円借款(234.6億円)を同国に供与した他、JBICの融資を得て、繊維工場再建案件(丸紅)、南大西洋横断光海底ケーブル敷設プロジェクト(NEC)が実施され、ナミベ港包括開発プロジェクト(豊田通商)も近く開始される。日本のODA案件としては、今後産業多角化への支援(インフラ整備)、人材育成、人間の安全保障(地雷除去)などの分野が中心となろう。政治面では、来年(2022年)、国会選挙(事実上の大統領選挙)が実施される予定である。現在の経済困難を前にMPLAの苦戦は予想されるものの、MPLAが引き続き第一党となる可能性が大と見られる。
    同国は南部アフリカ開発共同体(SADC)や中部アフリカ諸国経済共同体のメンバー国である他、現在、大湖地域国際会議の議長国として、中央アフリカ紛争等の解決に向けて地域的なリーダーシップを発揮している。コロナ禍の状況については、先月末の時点での累積感染者数が約3万5000名、死亡者が約760名であるが、南アフリカ等、他のアフリカ諸国に比べると比較的上手くコントロールしてきたといえる。但し、ワクチン接種も今年3月から始まっているが、重症患者に対応可能な医療資源は極めて不十分である。

    次いで法人企業等より、石油に依存する経済構造からの脱却を達成し、安定的な経済を目指すために、具体的に進めていることがあるのか、同国のAUにおける立場(指導力、発言力を有するかなど)を知りたい、コンゴ(民)、コンゴ(共)などを含めた、周辺国との関係は現在どうなっているのか、ベンゲラ鉄道は今動いているのか、日本から、アンゴラの電力開発に関するマスタープラン作成をはじめ、各種のプロジェクトへの有償資金協力がかなりなされてきたが、既にディスバースは終わったのか、その結果はどのようなものか?再生可能エネルギーの開発を視野に入れた協力もなされているのか?コロナ禍において、同国への入国制限はあるのか、また日本への渡航はどのようになっているのか、来年はTICAD8の年であるが、チュニジアで予定通り開催されるのか?汚職撲滅の動きの中で、前大統領の長女が汚職の疑いで訴追されていると聞くが、前政権から現在の政権への転換はスムースに行われたと考えてよいのか、などの質問が出されました。

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