フォーラム

第8回大使を囲む懇談会開催

  • 堤駐南スーダン大使を囲む懇談会
  • 2022年度第8回・堤駐南スーダン大使を囲む懇談会

    7月26日午後、国際文化会館会議室において堤尚広・駐南スーダン大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者7名、オンラインによる出席者7名)。

    先ず堤大使より、南スーダンの歴史、政治情勢、経済情勢、日本の対南スーダン外交について、説明があった。
    1.2011年7月スーダンから南部が独立して南スーダン共和国が成立。北部スーダンが
    イスラム教、アラビア語であるのに対し、南部はキリスト教または土着宗教、英語と
    いった形で大きく異なっていた。
    1956年にスーダンとして南北を含む形で英国から独立する以前から、南部が自立を求める動きあり。第一次スーダン内戦(1955年〜1972年)の結果、南スーダンに一部自治が与えられた。第二次スーダン内戦(1983年〜2005年)を経て、2011年南スーダンが独立。
    面積は約64万平方キロ(日本の約1.7倍)。
    主要産業は原油(輸出の9割以上)、林業、農業、畜産業。
    2.独立後の歩みは困難の連続。2013年と2016年に「キール大統領派の軍事勢力」と
    「最大反政府派のマーシャル派の軍事勢力」が衝突し、2018年に「衝突解決合意」
    (R‐ARCSS)に双方が署名し、2020年2月、ようやく国家統一暫定政府が設立。
    マシャ―ル氏が第一副大統領に就任。その後、中央・地方政府は成立し、国民議会も
    再編され、憲法制定過程も活動を開始。2023年2月の暫定期間終了後に選挙を実施するべく、現在ロードマップを作成中。
    残された課題は膨大。統一軍の創設、憲法策定、「和解と癒し」等。特に統一軍の創設(警察を含む)は他の事項完了の大前提。
    治安情勢は悪い。軍閥間の停戦合意は概ね守られているが、地方では共同体間の襲撃があり、犯罪取り締まりの国家の警察が未整備である状況。
    3.経済面では、ポテンシャルはあるがそれを発現するインフラが未整備。石油の他、農水産業も潜在力大、鉱物資源も豊富。経済活動の大前提は、治安改善。石油収入の透明性の向上、インフラの整備、公共サービスの実施なども大きな課題。
    4.日本の南スーダン支援の基本方針は①積極的平和主義の実践、②人間の安全保障の実現、③東アフリカ地域の安定化、④国際社会における協力・支持確保及び⑤二国間関係の強化の5本柱に基き、南スーダンの和平プロセスと国造りを支援する、というもの。
    2011年の同国独立以来、日本は7億ドル以上の資金を投入し、4千人以上の日本人の参加あり。
    和平プロセス支援として、UNMISS(国連PKO)への自衛隊・施設部隊の派遣、司令部要員の派遣、統一軍編成支援、井戸採掘。
    国造りの支援としては、JICA、国際機関、NGO等を通じた支援。インフラ建設の例として、フリーダム・ブリッジの建設、ジュバ市内給水計画。
    国際機関を通じた協力として、地雷・不発弾除去、職業訓練等。この結果、「日本は真の友」という評価が確立し、南スーダンは国際選挙等日本の立場をいつも支持している。2018年以降は南スーダンは東アフリカの安定要因となっている。
    人間の安全保障の実現、二国間交流の面では、成果を得ておらず今後の課題。
    積極的平和主義の実践については、それらの総体として評価されることとなる。

    次いで出席者から、外交面において、隣接する国々との関係は良好なのか?政府の各部局はきちんと動いているのか?電力の開発・整備状況はどのようになっているのか、首都でも日常的に停電はあるのか?首都及び地方での実際の治安状況はどのようになっているのか?空路でのジュバ空港への乗り入れを行っているのは、どの空港からの路線か?同国が産出する原油の輸出ルートは、ケニア経由か?中国はどの程度同国で開発協力を実施し、また民間レベルでも中国人が同国で活動しているのか?日本の会社が南スーダンから蜂蜜を買い付けて、ビジネスを行っていると伺ったが、品質の高い製品を日本で販売しているのか?長い間スーダンの一部となっていた南部が独立したわけだが、生活が苦しい面もある現在、やはり独立はしてよかった、と感じる国民が多いのか?(スーダン西部の)かつて不安定であったダルフール地方は今安定しているのか?首都ジュバでは生活に必要な物資がほぼ自由に入手可能でスーパーなども多くあるのか?また日常の買い物などの際の支払いは内貨で可能か?大使館員は自由に地方を訪問したり視察したりすることが可能か?などの質問が出されました。

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