フォーラム

第11回大使を囲む懇談会開催

  • 松永駐ナイジェリア大使を囲む懇談会
  • 2022年度第11回・松永駐ナイジェリア連邦共和国大使を囲む懇談会

    9月13日午後、国際文化会館会議室において松永一義・駐ナイジェリア連邦共和国大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者21名、オンラインによる出席者25名)。

    (今回は出席予定者から、事前に同国に関する質問を提出していただき、それへの回答を兼ねる形で話を進めていただきました。)
    松永大使より、「来年2月末の大統領選挙の見通し、政権交代の可能性はあるか」という質問を紹介しつつ、現政権は治安対策、汚職対策、経済発展の3本柱を推進してきたが、最近の世論調査では、PDP及びADPの候補の一騎打ちとなることが予想される。政策だけでなく候補者の地域、部族、宗教などを踏まえた南北均等のローテーションの原則の観点も重要。また、若者に人気のLPがどの程度支持を得るのかも注目。
    治安面では、「アフリカで南アに次ぐ軍事力を有すると言われる同国でありながら、類似の生徒等多数の誘拐事件が頻発するのに対し、政府は治安対策にどのような努力を行っているのか?ボコハラムやISWAPの投降で勢力は衰えているのか?」という質問を紹介しつつ、政府は治安関係予算の増額など努力をしてはいるが、治安要員が不足していること、一方でイスラム過激派組織の生粋のテロリストの投降は10%程度に過ぎないこと、これに加え、今後大統領選挙もあり政治・経済面での不確実性が高まることから、当面治安情勢については予断を許さない状況。「危険レベルを見直すことができれば、援助の拡大も見込めるのではないか」という質問を紹介し、危険レベルの見直しには、州単位でなく細かな地域単位での危険レベルの見直しについて考慮の余地はあるとしつつ、危険レベルの如何を問わず、ナイジェリアにおける活動を拡大するにはリスク回避志向の日本人一般のリスクに対する意識改革が必要。欧米政府や国際機関はレベル4地域でも、リスクを分析し、必要な安全対策を講じた上で組織幹部の訪問を実現している。一方で日本政府は北東部に10年以上に渡り数十億円規模の支援を行っているが、ここ数年は大使自身の訪問が実現できず日本のプレゼンスの低下を実感している。治安以外にも汚職、為替問題など様々なリスクが存在するナイジェリアでリスクを避けていては政府、企業の双方共に効果的な活動は出来ない。今後、日本のグローバル化が求められている中で、日本政府、企業のリスクへの向き合い方が問われている。
    ロシアのウクライナ侵略とナイジェリアの立場については、ナイジェリアはロシアの軍事侵攻を非難しつつも、あくまで中立的な立場を維持している。また国際油価の上昇は、石油製品輸入国である同国にも悪影響を及ぼしている。新型コロナ感染症の蔓延状況については、マラリアと比較し新型コロナに対する国民の危機意識が低く、検査実施率も低い。そのため今までに5回の流行があったが累積陽性患者数は26万人と低く、ワクチン接種率も30%に満たない。
    経済・社会面ではナイジェリアはGDP(4,323億米ドル)、人口(2.17億人)ともアフリカ最大であり(2020年)、市場の潜在力は高い。「産業多角化のためにいかなる事業がなされているか」との質問に対しては、政府・ドナー国・国際機関等が産業多角化に向けた長期開発計画を策定し実施中であるが、実現に向けて種々の社会課題を解決する必要があり、そこにビジネスチャンスがある。「ガソリン補助金撤廃の見通し」に関する質問に対しては、来年の完成が予定されている石油精製施設が稼働しない限り困難。ナイジェリア政府及び日本企業と大使館が貿易障壁の解決に向けて協議する「日本・ナイジェリアビジネス促進協議会」を8月に開催し今後取り組むべき課題と解決方針を合意した旨説明。最後に8月にチュニスで開かれたTICAD8の主要点についても述べました。

    (今回は会合に先立って、同国に関する質問を提出していただき、それへの回答を含む形で大使が説明されましたが、時間的な制約もあり、お話のあとの質問を受け付けることはできませんでした。出席者から前もって出された質問で、説明する時間が無かったもののうち、主なものは、以下のとおりです。)

    「ナイジェリアはモロッコとの間(オフショア)及びアルジェリアとの間(サハラ砂漠縦断)でそれぞれガスパイプライン建設に関する協定を更新したという報道があるが、今後順調に進む可能性があるのか?」
    「eNairaの開始から約1年経過したが、都市部以外の利用者は増加しているのでしょうか?」
    「同国は現在深刻な外貨不足に陥っており、同国中央銀行は外国航空会社が本国に送金するのを阻止するなどの対策に出ており、外国航空会社が同国への運航を中止するなどの対策も発表されていますが、今後の経済の見通しをお聞かせください。」
    「現地製造業が原材料輸入に関する外貨へのアクセスに苦慮しているとの報道がありますが、現地の日系企業などの対応はいかがでしょうか?」
    「Lekki港湾開発計画に、中国とシンガポールが資本を投入して45年間の自由貿易特区を含む開発と管理運営権を得ているそうですが、ナイジェリア政府のオーナーシップ確保はどのようになるのでしょうか?」などでした。

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