フォーラム

アフリカ協会主催 

アフリカ協会・日仏会館共催シンポジウム 議事録
5回アフリカ開発会議は何を残したか?アフリカの挑戦と日本の挑戦

  • ■日 時:平成25年10月18日(金)16:00~18:00
  • ■場 所:日仏会館ホール(1F)  渋谷区恵比寿3-9-25
  • ■パネリスト:ジェローム クロー ウエア、駐日コートジボワール大使閣下、
    ジャン-クリストフ ベリアール、フランス外務省アフリカ・インド洋局長 、
    岡村善文   、外務省アフリカ部長 、石井淳子、 JETRO途上国貿易開発部長、
    関山護、経済同友会TICADV PT委員長(丸紅副会長)、横井靖彦、豊田通商副社長
  • ■モデレータ:片岡貞治    早稲田大学国際学術院教授
    ■参加者:仏語圏在京大使館、外務省、経産省、公的機関、民間企業、研究者など
         128名
  • 開会の挨拶 : 松浦晃一郎 アフリカ協会会長、日仏会館理事長
  • アフリカ協会の会長と、ここの日仏会館の理事長という2つの資格で一言ご挨拶を申し上げます。2年前、この場所で、アフリカ協会と日仏会館の共催でアフリカ関係のシンポジウムを開きました。その時は服部禮次郎会長がご健在で、まずは服部禮次郎会長にご挨拶戴いて、それから私がご挨拶致しました。ご承知の通り残念ながら今年の1月にお亡くなりになられ、私が会長を引き継ぎ、新しい体制に移行しつつあります。ぜひ引き続き皆様のご協力を戴きたいと存じます。
    今日は、フランスのマセ大使においで戴き、加えて大勢の東京駐在アフリカ大使にもおいで戴き大変嬉しく思います。考えてみますと、6月前半に重要な行事が2つありました。1つはTICAD Vで、20年前、外務審議官をしており、第1回TICADの事務局長を務めました。当時の細川総理にお仕えして第1回を企画し、かつ事務局のトップを務めたのでTICADのプロセスは個人的にも非常に懐かしく、非常に重要なプロセスです。回を重ねる度に多くのアフリカの首脳においで戴いて、非常に盛会になってきて嬉しく思っております。重要なことは、日本とアフリカ諸国が協力してTICADの結論をしっかり実施していく事だと思います。
    もう1つ重要なのは、フランスのオランド大統領の国賓としての訪問で、これはミッテラン大統領、シラク大統領に続く、3番目のフランスの現職の大統領の訪日です。私はいずれも関係し、特に2回目は駐仏大使の時で、シラク大統領のお供をしてずっとご一緒したこともあり、今回もオランド大統領に何度かお目にかかれて非常に嬉しく思いました。
    そして、重要な共同声明が発表され、2国間の協力を進めるだけではなくグローバルな観点から、日仏関係の新しい展開を強調したものであります。そのグローバルな協力をする時には、公的部門、政府同士の協力だけではなく、民間部門の協力も非常に重要になります。
    今回は、フランスのベリアール局長にもわざわざおいで戴き、日本側も外務省の岡村アフリカ部長にもおいで戴いておりますが、同時に日本側の民間の関係者として丸紅、豊田通商にもおいで戴いて私は非常に嬉しく思っています。やはり民間の協力がこれから益々重要になりますので、そういう事も今日はしっかりと議論が行われれば嬉しいと思います。

  • ご挨拶: クリスチャン・マセ駐日フランス特命全権大使
  •  松浦さんと共に、今日のシンポジウムが開ける事をとても嬉しく思います。TICADはとても重要な機会であり、私たちの開発担当大臣パスカル・カンファン氏も参加致しました。
    TICADが重要な機会であったと言うのは、多くの方々が参加し、とても質の高いもので、ここにいらっしゃるアフリカ各国の大使の方々にもお礼を申し上げます。又、ベリアール氏にお礼を申し上げたいと思います。ベリアール氏はパリから来て下さいましたが、アフリカ・インド洋局長で、フランスのアフリカ政策に対する、重要な役割を演じているアクターと言っていいでしょう。同時に、ビジョンを持ってアフリカ協会と協力をされている日仏会館に対して称賛の念をささげたいと思います。「アフリカ開発会議は何を残したのか?」というテーマを選んでくださいました。このテーマはとても重要だと思います。なぜならこのテーマはアフリカにとって重要であり、21世紀の重要なテーマだと言えると思います。
    フランスにはジャン・ミッシェル・セベリーノというアフリカの専門家がおり、世銀の副総裁でした。「アフリカの時間」という本で、アフリカはどのように進んでいくのか、そして私たちはどういう状況にあるのかを問い掛けています。日仏両国共こうしたアフリカ振興の重要性に対し同じ考えを持っています。同じ価値を持ち、パートナーシップに対するセンスも同じで、同じような取り組みを行っています。同時に、よりグローバルなアプローチ、グローバルなビジョンを作ろうと思っています。そこでは、開発と経済だけではなく政治、治安の問題も組み合わせた形でのビジョンを持ってアフリカに取り組もうとしています。こうして、日本とフランスはとても相互補完的な関係を持つ自然なパートナーと言っていいでしょう。すなわちアフリカと共に仕事をする際、日本とフランスはパートナーとなる事ができると思うのです。
    フランス大統領フランソワ・オランド氏が、日本を公式訪問した際にアフリカの事について多く話し合いました。丁度TICADの後にこの訪問が行われた事もあり、フランス、日本、アフリカは本当に素晴らしいポテンシャル中にあると思うのです。勿論、その関係は他の国にも開かれており、何ができるかを検討すべきでしょう。今日のシンポジウムの議論によって、幾つかのアイディアや道筋が切り開かれるのではないかと思います。

  • シンポジウム

  • モデレーター・片岡貞治
           早稲田大学国際学術院教授・国際研究所長、アフリカ協会理事
  •  アフリカ協会の理事で、早稲田大学で「African Politics」を教えている片岡貞治です。フランスとも長い付き合いでして、フランスとアフリカ、フランス語圏アフリカ諸国、フランスのアフリカ政策、このフランスあるいはFrancophone Africa、日本のアフリカ政策、TICADVを結び付けながら、今回の議論を展開して行きたいと思います。

     今回のテーマは「TICADVは何を残したか?」ですが、そのTICADVキパーソンであり、陣頭指揮を執った外務省アフリカ部長の岡村善文様に、簡単にTICADVの総括をして戴きたいと思います。

  • 岡村 善文
    外務省・アフリカ部長
  •  今回のTICADの主役はやはりアフリカの皆様でした。6月1-3日、横浜のパシフィコ横浜で開催し、元首クラスの方々が果たして何人来てくれるかと心配したのですが、結果は51カ国から首脳の方々は39名で、あの小さなエリアにそれだけの数の大統領、首相といった方々が来られました。国際機関からも潘基文国連事務総長、キム世銀総裁、ドラミニ・ズマAU委員長、そうした方々のみならず開発に関係する国際機関、NGOの方々が非常に大挙して参加されました。
     もっとすごかったのは、会議の隣で行ったサイドイベントといわれるものです。NGOの方々、アフリカに関係する方々、ビジネスの方々がシンポジウムあるいは展示会を開いたということです。そうした展示を3日間にわたり行い、参加者が6万人、アフリカをめぐって大変な熱意がTICADの場で実現しました。裏で準備をしてきた人間として、最も嬉しく思ったものです。
     TICADというのはアフリカと日本との間で、アフリカの開発について議論していこうという会議です。先ほど松浦大使が一番最初のオーガナイザーだというご紹介があり、感慨深いものがあります。20年に亘って松浦大使から始められたTICADを、私が今、20年後にこうしてまた開くことができたという事で、非常に誇りに思っております。
    去年から出来るだけアフリカの方々に、このTICADでは何をしたらよいかを聞くようにしました。そうすると、答えはどの国に聞いても「もう援助の時代ではない、ビジネスだ、すなわち投資と貿易だ」という事でした。その結果「投資と貿易」という問題に焦点が当たったということです。「横浜宣言」「横浜行動計画」という2つの文書を採択致しましたが、これは今後5年間、日本がアフリカに対して、アフリカもアフリカ自身の中で日本に対して何をやっていくかという事を、きちっと明かにしたものです。
     その中で、アフリカの諸問題を全てカバーする様にはしましたが、一番の焦点はビジネスを深めて行くという事です。我々はそれを「質の高い成長」と名付けました。過去10年間においてサブサハラ・アフリカで6%近い成長を遂げていますが、アフリカ自身の繁栄に繋がる成長にして行かねばいけないという事です。その為に、数字だけでは満足できない種々の問題があり、例えば、ビジネスをやる場合のインフラ、雇用の面で言うと労働者の水準、あるいは社会問題、村々に行けば貧困の問題もあります。この様な点を、しっかりと助けて行く事によって、アフリカ全体10億の人口がビジネスにとって良い市場になります。そして日本のビジネスが、アフリカにどんどん入って行ける様にする為に何をしたら良いかという事を議論し、決めた訳です。
     それと同時に、我々は平和と安全の問題にも力を入れて議論を致しました。アフリカの中では、未だ不安定な要素があり、TICADを開く前に起こったイナメナスのテロの襲撃など、繰り返されない様にして行かなければいけません。アフリカの平和と安定の問題は、日本にとっても決して遠くの世界の話ではないという事を、強く認識したわけです。そうした観点から、TICADは非常に大きな成果を生んだと思います。
     農業の問題も我々は取り上げました。農業は、これまで食糧の観点から議論され、お腹を膨らませる為の、少なくとも飢えを防ぐ為の協力でした。農民の人たちにもっとより良い農業の技術を学んでもらい、土地を耕し、たくさん農産品を生産できるようにする努力してきました。日本はコメの増産計画を、5年前のTICADで打ち出して、10年間かけて生産量を倍増する計画は着々と進んでいます。 ただ、今回はたくさん作るだけではなく、農民を成長の原動力にして行くという考え方を打ち出した訳です。ただ単に食べるための農業ではなく、稼ぐための農業にします。そうしたダイナミックな考え方を打ち出した裏にあるのは、アフリカの成長を支えるという所にあります。
     TICADがどうしてこれだけアフリカの方々に受け入れられ、そして発展してきたのでしょうか。20年に亘って5年ごとに、次もやろう、もう1回やろう、もう1回やろうと言って続けてきた訳です。そして、こうしたものに成長してきた裏には、やはりTICADが持っていた基本的なものの考え方が、アフリカの人たちにはとても大事な事だったと思います。
    幾つかの基本コンセプトがありますが、1つはオーナーシップです。オーナーシップとは、何かをやるのに相手に「助けてください」と言うのではなく、自分で自分を助けようとする、それを手伝ってもらおうという事です。日本はアフリカの人たちに「我々はただ単に援助をする国、そしてあなた方は被援助国では決してありません。アフリカがアフリカ自身でなんとかしようとするのに対して我々は手助けをするのですよ」と言ったのです。これは松浦大使が始められた最初の時から、それがしっかりした考え方としてあった訳です。アフリカの人たちは「自分のことは自分でやりなさい」と言われたのを、突き放した考え方だとは決して思わなかったのです。何故かというと、アフリカの人たちは基本的にこれまで何と言われていたかというと「あなた方が自分で考えたことはあまり立派なことではありません。教えてあげるから、教えられた通りやりなさい」と言われてきました。ところが日本のアプローチは違いました。「自分で考えなさい」と、これは非常にアフリカを信頼した考え方だと評価されたと私は信じております。
     2番目は、貧困の問題です。アジアだって同じように貧困の問題を抱えていましが、アジアは、今20年・30年たって克服しています。国内の経済を成長させて、繁栄を築くことによって貧困の問題というのを克服してきました。この視点はTICADの一番最初からありました。TICADの基になった考え方というのは「アジアの経験をアフリカに」という事であり、今もアフリカの人たちはアジアに目を向けています。
     TICADというのは日本とアフリカの関係ですが、実はアフリカの人たちは日本を通じてアジアの発展のやり方を、是非アフリカにも同じようにもたらそうと考えておられると聞いています。こうしたTICADの一貫した考え方はきちっと伝統的に受け継いできましたし、将に今回のTICADVはアフリカの方々の方から「ビジネスだ、成長だ」という事を強く訴えて、日本はそれに応じた支援の計画をこれから立てて行こうという事で進んでいる訳です。
  • モデレーター・片岡教授
  • TICADVは日本のアフリカ外交の大きな転換点でした。それは、「援助だけではなく貿易、投資も重要である」という非常に力強いメッセージが発せられた事でした。
    さて、ここでTICADVの主役であるアフリカ側の声をまず伺いたいと思います。駐日コートジボワールのウェア大使よりアフリカ側から見たTICADというものを、是非ご披露戴ければと思います。
  • ジェローム クロー ウエア
    駐日コートジボワール大使閣下
  •  今日のシンポジウムはTICADVの結果についてお話をし、それを通じて日本とアフリカとの交流について考える訳です。その中で、私は日本とコートジボワールの関係を強調してお話したいと思います。アフリカの国々はさまざまな類似点を持っており、コートジボワールを通じて、アフリカの他の国のビジョンも見て戴きたいと思います。
     先ほど岡村大使がお話の中で平和と安全についてお話を下さいました。我が国は、将に安全を必要としている国でした。今その安全は確立されつつあるところです。平和と安全についてお話をし、日本の方々に安心して戴きたいと思います。今日ではコートジボワールは安全な国となりました。それは国際社会の援助のおかげでもあります。そしてマリでも安全の問題がありますが徐々に安定化の道に向かっています。
     20年前にTICADが開始された時に、アフリカの未来を信じるような国や国際機関はほとんどありませんでした。フランスの場合はフランス・アフリカ首脳会談がありましたが、そのようなアフリカとの首脳会議を考えるような国は存在していなかったのです。アフリカの首脳たちは日本の取ったこのイニシアチブを本当に理解し、受け入れました。そうした為に、今回のTICADVにも多数の首脳が参加し、現在ではアフリカ連合委員会も共催者となっています。
     私たちの国がTICADに対して多大な関心を持っている事は、今回ワタラ大統領本人が民間経済人を含む大代表団を率いて参加をした事でもお判り戴けるでしょう。そして活発に会議やイベントに参加し、特にJICA主催のハイレベルパネルやJETROによって開催された見本市に参加致しました。
    10年間の危機を抜け出したコートジボワールの社会経済の状況に触れます。横浜行動計画の枠組みの中で、わが政府は3つの行動計画を作り実施しています。第1の軸が「平和と安全」。第2の軸が「国民和解と社会の団結」、第3の軸が「経済的な復興と飛躍」です。
     第1の「平和と安全」に関してですが、安全レベルは平常なものになりました。国連の危険指標は2011年には3.8であったものが、2013年5月で1.6になりました。 政府は幾つかの措置を取り、まず大統領の下に国内外の治安問題の調整を図る国家安全評議会CNSを設置しました。危機が去った後、武装解除の問題が起きました。武装解除・除隊・社会復帰局ADDRを設けました。又、悪質犯やテロ対策の為の機関として機動作戦調整センターCCDOが作られました。
     第2の「国民和解と社会の団結」は重要です。危機は去りましたが、10年間続きましたので、国民は分裂しています。国民の和解を図り団結をして前進を図らなければいけません。その為に具体的な行動が幾つか取られ、司法当局は選挙後の混乱で投獄されていた元大統領に近い人々を釈放しました。又、常設政治対話懇談会CPDが作られました。その中で、11の政党を、旧与党中心にまとめ、野党の懸念を話し合います。これらはコナン・バニー首相が率いる対話・真実・和解 委員会を補完するものです。
     第3の「経済復興と飛躍」は経済活動の再活性化ですが、予想よりも早く進んでいます。危機が終わった2011年度の成長率は-4.7%でしたが2012年には9.8%となりました。2013年には若干下がるものの、2014年には10%達成が予想されています。
     この様な展望がありますが、経済成長だけでは駄目で、そこからくる利益を雇用、特に若者の雇用に繋げなければなりません。この為政府は2012-2015年の3ヶ年計画を作りました。この国家計画の資金調達の為にパリで12月に援助協議会合CGが開かれました。会合で期待していた額の2倍の資金を確保出来ました。8億6,400万円に相当する43.19億フランCFAの資金です。
    しっかりした経済成長のお陰で、たくさんの経済視察団が来る様になりました。日本との関係では、危機の間、閉められていたJICAオフィスが2011年11月に再開されました。JETROオフィスも2010年12月に再開されました。そして味の素グループの工場が、今年の5月にできました。危機の間、チュニスに移っていたアフリカ開発銀行の本部は2014年第1四半期の間にアビジャンに戻る予定です。
     この様な経済成長を強化する為、政府は努力を続けておりますが、農業、水産品の加工を優先しています。まず、カカオは2012年130万トンで世界一の生産国で、カシューナッツは世界第2位、コーヒーはアフリカで第3位です。水産業ではマグロ船のアフリカ第1寄港を誇っています。もちろん構造改革を進めています。エネルギー・鉱業も有望です。新たな沖合油田や金鉱が発見されています。日本のパートナーの方たちからの協力を歓迎したいという事です。
     最後に申し上げたいのは、コートジボワールと日本との関係です。53年前から外交関係を結んでおり、このように危機という難しい時期に日本はいつも私たちに付き添って下さいました。コートジボワール国民から日本政府、日本国民の方々に対して感謝を申し上げたいと思います。残念ながら、貿易面は両国の潜在力ほど多くはありません。是非、活発にしたい処です。日本の実業家の方たちに申し上げたいと思います。コートジボワールは安全な国となりました。そして政府は今外国からの投資を歓迎し、ビジネス環境をよくするための努力を行っています。新たな投資法を制定し、商業裁判所が作られました。かつては紛争があったとしても商業裁判所がないために裁判をすることができませんでしたが、今はそれを補うことになりました。さらに、企業設立コストの削減-手続きの簡素化、日数の短縮-、貿易窓口の一本化、官民連携促進PPPの法的枠組の設定、特定産業-電力、鉱業、石油-の規制見直しなど進めました。結果として、世銀の評価は、12年には3.1/6と前年の2.9から改善しました。もちろん民間部門からの支援がなければ、公的な枠組みの中では本当にビジネスを発展させることができません。投資法ではさまざまの優遇措置を企業に対して設けております。さまざまな規則もそこに定められている訳ですが、法的なかたちで開発のためのパートナーに対して優遇措置を取ることになっております。
    これは、将にTICADで決められたことの実行の一つです。アフリカは日本に多くのものを期待しています。また、日本に対する期待をしている為にTICADで定められた考え方、即ちビジネスの関係強化をするという事を我々は実行しております。
  • モデレーター・片岡教授
  •  ウェア大使からのメッセージは、最近のコートジボワール情勢・平和や安全保障・国民和解、それから経済指標が非常によくなり、TICADVを通じてアフリカも、コートジボワールも日本に期待しているという事です。又、ここにいらっしゃる日本のビジネスマンに、是非コートジボワールのみならずアフリカに来て欲しいという強いメッセージも放たれました。
    次の方はフランス外務省のアフリカ・インド洋局長で、かつてはマダガスカル、エチオピアで大使として勤務されておりました ジャン クリストフ ベリアールさんです。
  • ジャン-クリストフ ベリアール
    フランス外務省アフリカ・インド洋局長
  • 最初に、日本がアフリカでされている仕事について称賛を捧げたいと思います。又、日本とフランスのアフリカに対する見方が一致している事を強調したいと思います。私たちは全てにおいて意見の一致を見ています。日本とフランスはアフリカにおいて同じような価値観を共有しています。民主主義、グッドガバナンス、持続可能な開発などです。又、同じ目的を共有しています。アフリカの安定です。アフリカはもはや1つの重荷ではありません。希望としてのアフリカです。そして30年後には15億の人口を持ち、若い人口・都市化・中産階級の発展です。
     今、経済成長率の平均は6.5%であり、世界平均より上回っています。エチオピアのメレス首相の考え方でしたが、恐らくアフリカが世界の経済成長の原動力になるのではないかという事です。我々のようなヨーロッパ人、そして日本にとってアフリカは未来の市場です。かなりのビジネス、インフラなどの成果を得ることができるマージンがそこにあるのだという事です。只、世界のガバナンスにおいて、例えばIMF・世銀・国連安全保障理事会・G20、その中でアフリカはアフリカにふさわしい位置を知るべきだという考え方があります。この点において、日本がG8の中で原動力となりアフリカアジャンダを促進して下さいました。アフリカアジャンダは今も擁護されています。
     又、アフリカに対しては幾つかの懸念もあります。今日、懸念されている事は治安であり、例えば海賊、テロの問題です。現在、サヘル地域でテロが増えております。このテロリズム、安全の欠如は我々がアフリカの経済開発で持っている希望を危うくするものです。
    この様に安全の問題はとても重要です。フランスはTICADの仕事に対し、称賛を送りたいと思います。アフリカに対して興味を持ち続け、かつ支援を提供しておられるという事です。そして、コンセプトの面で転換をされた事があります。つまり日本の方からジブチに対して自衛隊の軍艦を送りました。また同時に日本はブルーヘルメットを既にもう展開しています。この事は我々にとってはとても良いニュースです。
     2010年は、アフリカに関して重い年でした。1月11日、フランスは非常に強力なやり方でマリに対して軍事介入を行いました。フランスがそれを行ったのは、マリの大統領が我々に助けを求めてきたからです。テロリストたちがマリ全国に対して支配力を伸ばそうとし、かつその地域全体に支配力を伸ばそうとしていたからです。
     このマリの事件について重要なことは、軍事介入を行う前にフランスはかなり大掛かりなかたちでアフリカの当該地域について諮問を行いました。ECOWASの国々とも話をしました。ナイジェリア・コートジボワールなどの大統領、そしてアルジェリアの大統領にも諮問を行いました。アルジェリアはサヘルに隣接をしているからです。AU委員会のズマ委員長にも話をしました。南アフリカのズマ大統領です。 そして重要なことは数カ月後アジス・アベバでアフリカ連合の総会が開かれたとき、アフリカの首脳たちは多くの事を言いました。まず、最初は「フランス、それをしてくれて有難う、するべきであった」と言ったのです。これが第1点です。第2点は「まず、私たちに相談をしてくれて有難う。軍事介入をする前に私たちに話してくれて有難う」と言ってくれました。これは過去の軍事介入ではなかった事でした。第3点、これが一番重要な事ですが、アフリカは「フランスがそれをしたのは我々アフリカができないからだった。未来はアフリカ自身が、それができるようにならなければならない」と言ったのです。すなわち、アフリカ自体のこうした軍事面における能力の問題について考察が始まったのです。アフリカはこうした新しい考え方をしました。危機に対する緊急対応部隊という考え方です。
     12月にアフリカにおける平和と安全の為のエリゼ首脳会議を開きました。平和と安全の問題です。そのテーマはアフリカが未来にその平和と安全を作る為に何ができるのか、アフリカ自身がそうした軍事力を持つことができる様に助けることができるのかという事です。即ち、教育・訓練・輸送・展開に至る迄です。力を持つのは、部隊を持つのはフランスではなくアフリカでなければならないという事でした。これこそが首脳会議の重要なテーマでした。
     第2のテーマは、我々の企業についての機会としてのアフリカです。フランスの大統領がアフリカに行くとき、またフランスの大臣がアフリカに行く時にはフランスの投資だけが問題なのではないのです。フランスの大統領は南アフリカからフランスへの投資を呼び掛けました。フランスにも経済的な問題があるからです。投資の機会としてのアフリカであります。
    3つ目の重要な点は気候変動の問題です。COP21の会議がフランスで行われます。フランスとアフリカの場合はこの気候変動の問題においてかなりの共通問題を持っています。それをはっきりと紙の上に書き出すことが重要だと考えたのです。
    ここには1つの逆説があります。フランスが「アフリカ人自身がそれをしなければならない」と言い、マリにおいて我々は最初に軍事介入をしましたが、すぐにMISMAというアフリカ自体の部隊に対してそれを引き継ぎ、そのうちには国連に対して引き継ぎました。しかし、我々は何千人かの人々を、そうした国連の部隊に対する支援部隊としてそこに留まらせました。フランス人はアフリカ人自体がしなければならない、アフリカ人が自分でできるように助けてあげようと言っているときに新たな危機がまた起こりました。アフリカ連合の安全保障理事会は、中央アフリカに介入をしてくれないかと言ってきました。私たちはそれを望みませんでした。私たちは中央アフリカには介入ができないと言ったのです。つまりフランスは、マリと同じような行動は中央アフリカにはできないと考えました。私たちの仕事は、その地域から動員をするという事です。即ち、中部アフリカ経済同盟から人々を動員し、アフリカ委員会と共に、ズマ委員長と共に仕事をするという事です。そしてブリュッセルでヨーロッパの我々のパートナーに対して、平和の為の資金を調達する事を呼び掛けました。これはアフリカ自身が中央アフリカで作戦を行う為の資金調達をする事でした。これはフランスがソマリアでのAMISOMと呼ばれる活動に対し資金提供をしていると同じような形で資金をヨーロッパから集める事でした。そして最後に、フランスはニューヨークで活動をしました。つまりアフリカの部隊が国連からの任務を得、使命を与えられる事でした。そして国連の事務総長に対して報告書を作ってもらうように求めました。今から1カ月後に新たな決議がなされる事でしょう。マリと同じ様なシナリオを書くのですが最初はフランスが介入、次がアフリカ連合、第3が国連という事になります。ところが、中央アフリカの方はまず国連が最初に任命をし、アフリカの部隊を支援し、第2段階において国連の平和維持活動へ移っていくという事が可能になっています。やり方が変わってきています。
     しかし、その際一番重要なのはアフリカ連合であり、マリの場合もそうでしたがECOWASが活躍しました。そして中央アフリカ連合が重要になりました。この様に地域連合の力を求める事が重要です。日本からも支援を戴きました。マリの問題の時はドナー国のアジス・アベバ会合に参加をし、とても寛大なやり方でアフリカのMISMA、アフリカ部隊に対して資金提供をして下さいました。後に、ブリュッセルで大きな会議がサヘルとマリについて開かれた時、また同時にかなりの資金を提供して下さいました。
     今日、岡村さんとお話をさせて戴きましたが、私たちは幾つか共通の関心を持つ案件について話す事ができました。第1点はアフリカのそうした武力における能力に対する支援です。中央アフリカにおけるアフリカ連合の努力について支援をするという事です。アフリカにおける軍事力を養成するための養成センターを作っていますが、日本はコフィ・アナンセンターを既にガーナに持っておられます。我々は努力を強化し、共通の努力を行いたいと考えております。近くドナー国の会議をアフリカ連合が開く事になると思いますが、中央アフリカ共和国で起きている問題は重要です。ストラクチャーがなくなり脊椎をなくした国です。即ち、アフリカの中央にあって真ん中が軟らかくなっています。それが南スーダン、スーダンにも係ってきます。又、同時に大湖地方にも係ってくるのです。この地方はアフリカの中でも最も脆弱な地方の2つです。その頂点が、中央アフリカ共和国に集まっており、ウガンダから来た危険なジャンジャウィード、ダルフールから来たグループ、ナイジェリアからボコ・ハラムのメンバーが加わり、マリから来たグループもリビアの南・ダルフールを通って中央アフリカ共和国の武装集団に加担する可能性があります。今、我々がアフリカを安全にし、アフリカとビジネスをしようとしている時に、この中央アフリカ共和国の問題は非常に危険な案件であります。この案件について、また他の案件についてもフランスと日本の協力の余地があるでしょう。
     日本がアフリカの問題についてコミットして下さっているやり方はアフリカにとってとても良いやり方だと思います。従ってそれはフランスやヨーロッパにとっても良い事になります。我々は共通の国境を持っています。もしアフリカが安全になったら得をするのはヨーロッパです。日本の努力、ヨーロッパの努力は完全に相互補完的です。その点において日本の活動について称賛を送りたいと思います。
  • モデレーター・片岡教授
  • 日本とフランスがアフリカに対して協力することはたくさんあります。目的や価値観を共有すると共に、懸念も共有しています。その懸念に関しては、昨今、世界を震撼させているアルカイダ系テロリストが西から東まで接近しています。そういった事に対しても日仏で協力することもできますし、本日の日仏のアフリカ協議ではそういった事も話してきています。
     実際、フランスは今年の1月にマリで軍事介入を行い北部のイスラム勢力を駆逐しました。実施にあたっては事前に、アフリカ諸国とさまざまな意見交換をし、そうした事がAfrican Union(AU)からも評価されています。こうした危機に対しても日仏で協力することができるであろうというお話でした。
    さて、それではアフリカが期待している今後の日本のビジネスの展開の方向性などに関して現場、第一線でご活躍の皆様からご意見を頂戴したいと思います。まずはJETROの石井様、よろしくお願い致します。
  • 石井 淳子
    JETRO途上国貿易開発部長
  •  私どもの方では、いろいろな国々との貿易と投資の促進を行っており、本日はアフリカという事で、TICADという視点からお話をさせて戴きたいと思います。ODAの予算を使った活動をしている部署なので、ただ日本企業のビジネスの手伝いをするだけでなく、現地にも裨益する事を視点に仕事をしております。
    世間的にはBOPと言われる、インクルーシブ・ビジネスを始める事を視野に入れている方々が増えてきており、その様な方を対象にビジネスミッションを派遣しています。先日、事務局としてケニアとエチオピアに行って参りました。機械、機械部品、医薬品、医薬系の食品の会社、商社、卸売、調査、コンサルタント、大学の先生、行政サイドからも参加戴きました。結果的には12名の方々全員が非常に強いインパクトを受けて帰ってこられました。初めは様子見で行かれた方も多かったと思いますが、今は参加者のそれぞれが、今後アフリカと関わって行こうというかなりはっきりとした意志をお持ちの様です。改めて日本企業に何ができるのか、どう貢献しながら自らも持続的なビジネスを起こしてサスティナブルな関係に持って行く事ができるのかを考える具体的なきっかけを作る事ができて、私自身も非常に有意義だったと考えております。
     TICADがあり、かなりの方々がビジネス面だけではなくて文化面での、関心が高まった年ではなかったかと思います。今後は、日本もより強い関係を構築して、継続した友好関係とビジネス関係を持つべき地域として、JETROも多くのアフリカ関係情報を発信して行きます。実際に見て、触れて、体験して何ができるのかということを起業家の皆様に考えて戴ける様な事業をどんどん増やしていければと考えております。
     現在、アフリカには5カ所の事務所を持っておりますが、今後の流れを見るとたぶん倍増というような話も出てきて、具体的になっていくのではないかと思います。コートジボワールのアビジャンでは、何年かぶりにまた事務所の活動を再開しました。そういった現地の事務所を使い、ビジネスの関係を駐在員が構築している中で、日本の企業がどの様にビジネスができるかというところでいろいろなプログラムを構築している訳です。
     幾つかご紹介致しますと、まずはインフラを整えなくてはいけません。ビジネスインフラという意味では産業育成があります。例えばアフリカの有望な商品を発掘して、日本市場に入れるための品評会、モニタリングなどもやっております。現地で選定したものを日本の市場に持ってきて、その産業分野の専門の方に品評して戴いて、その結果この品物は可能性があるぞという物については、3~4年かけてその産業を育成し、専門家を派遣したりしながら日本への参入の手伝いをしています。
     2008年から始まった事業ですが、開発輸入企画実証事業があります。アフリカの産品をそのまま持ってくるのではなくて日本の市場に合った様な形にして持ってくれば、より売れる様になるだろうという事で、アイディアを持った方々を公募致します。それで日本の企業・団体がそのアフリカ産品を開発して、その後日本に輸入して、日本で売るというプロジェクトにJETROは共に取り組んでいます。今年で6年目になります。今まではどちらかというと農業製品とか一次産品が多かったのですが、今年の対象分野にはITもありました。これからはそういった分野でもアフリカと日本が手を携えて、グローバルなビジネスの展開という事がどんどんできるようになって来るのではないかと期待をしております。TICADの時も「アフリカン・フェア」を行い、広くアフリカ産品を日本に紹介する為の展示会や特設のマーケットを運営しました。成田空港と関西空港で空港店というのをやっており「一村一品マーケット」というようなかたちで、「村」というよりは1カ国1品ではないのですけれども何品もの商品を、お客様に買って戴いて、触れて戴いて、その良さを知って戴くといったアンテナショップ的な取り組みも行っております。
     反対に、日本の製品がアフリカの市場で売れるのだろうか、この産品は実際受け入れられるのだろうかという事を発見して戴く為のテスト販売などもやって行こうとしております。今年度の計画では、来年2月末にガーナとケニアのスーパーに日本コーナーを出そうとしております。
     また、低所得者層、中間所得者層を対象にしたビジネスの開拓の相談に応じる窓口を設けております。情報提供というのが一番大きな仕事になりますが、個別の調査や現地に出張した際のアポイントメントを取ったり、商談のアレンジをするというお手伝いを行っております。現地に事務所がない所も出掛けて行ってお手伝いをしています。現地の商材を紹介するカタログやダイレクトリーも作成し、印刷物の他、ホームページ、電子媒体で見て戴き、どんどん紹介していきたいと思っております。1年、2年で結果が出るものではありませんが、これまでアジアで実施してきた事業の応用というような事も考えており、時間をかけてやっていくものであろうという認識です。
     例えば東アフリカ地域のコーヒー豆を日本に持ってくるという事業があります。2008年に、専門家派遣を行い、アフリカファインコーヒー協会と協力をして東京での展示会への出展支援・試飲会・日本企業への新しい産地紹介などを行ってきました。その間、ケニア・タンザニア・ルワンダに焙煎業の方々とコーヒーの農園訪問をし、カッピングを現地で行ってきています。また、国内で現地生産者、輸出業者を講師に最新情報を提供するセミナーを開催し、併せて商談会を行ったりもしています。その結果、アフリカ産のコーヒーの輸入量は倍の14%に増加致しました。今年、JETROが間に入ってビジネスを取り持っていた日本とアフリカのスペシャルティー協会が覚書を締結し、今後は自らの力でコラボレーションしていく事になりました。 
    今世の中はものすごく速いスピードで動いており、じっくりまじめに取り組んでいる横を、全く違うコンセプトで、すごく速いスピードで通り過ぎて行く国々があります。これからはもう少し日本勢も速度を考えてビジネスに向き合っていく必要があるのではないでしょうか。先週アフリカを訪問して日本の製品が少ない事、歩いていると「ニーハオ」と声を掛けられてしまう事など、日本のプレゼンスをもう少し高めていく必要があるかなと感じております。
  • モデレーター・片岡教授
  • JETROが今行っているのは、日本とアフリカ、日本のビジネスマンとアフリカのローカルの製品などを結び付けるようなビジネスを支援しているという事でした。これはTICAD Vのスローガンでもあり、成長する、躍動するアフリカと手を携えてという事と大きく関係のある話かと思います。アフリカに対して日本のビジネスマンが手を携えていくという事で、本日は、その代表であるお2人をご紹介したいと思います。まずは、経済同友会を代表して、関山様宜しくお願い致します。
  • 関山 護
    経済同友会TICADV PT委員長(丸紅副会長)
  • 私は2010~2012年までの3年間、経済同友会のアフリカ委員会の委員長を務めていまして、本年2月TICADVに向けた提言を外務省に提出致しました。TICAD V支援フォローアッププロジェクトの委員長として、4月から活動を継続している次第です。
     経済同友会というのは企業経営者の個人の集まりで、非常にユニークな経済団体です。歴史は70年です。経営者はお互いに議論をしてさまざまな政策・経済・社会問題について理解を深め、民間の視点から政府に対して提言を行うという事です。今日は丸紅の関山という事ではなくて、経済同友会の代表という事で参加した事をまずご理解下さい。
     TICAD Ⅴの開催期間中、私はケニア・ブルキナファソ・エチオピア等、過去に訪問した国々の首脳と面談を致しました。又、公式なレセプションやAU、UNIDO共催のサイドイベントにも参加させて戴きまして、積極的に交流をさせて戴きました。首脳との面談の中でいろいろな話をさせて戴きましたけれども、いずれの首脳もおのおのの国の発展に向けて自信を持って精力的に取り組んでいます。また、今後の日本政府からの支援のみならず民間からの支援、投資の期待の高さを非常に認識した次第です。
     本年2月に同友会として提出した提言は、中長期的な視野に立った日本のアフリカ戦略の策定を求める「アフリカにおける人づくり・国づくりへの貢献」「地域共同体(REC)への支援」「戦略的・柔軟なODAの活用」、最後に「より多様な資金スキームの活用」です。この4つの具体的な施策と、その施策の実効性を高める2つの環境整備、つまり日本とアフリカの人と人との交流促進、アフリカ戦略実行に向けた省庁横断的な体制構築ということを提言いたしました。
     TICAD Vの日本政府が発表した「横浜行動計画」では、ODAを活用した人材育成、インフラ整備は同友会の提言でも強調した部分で、今回の「横浜行動計画」は高く評価できるものだと考えております。もちろん、これまでも日本政府は人材育成、インフラ整備という部分ではアフリカ発展に貢献してきていましたが、今回の行動宣言では新たな挑戦とも言うべき具体的なイニシアチブ、すなわち「官民の連携」という事が新しいキーワードで、これをイニシアチブとして日本政府が発表したという事だと了解しています。
     まず、人材育成の面の具体的なイニシアチブではいわゆる日本への留学、日本企業でのインターンを組み合わせた安倍イニシアチブを立ち上げて、5年間で1,000人を招聘するという魅力的な発表をされています。これはいわゆる、これまでの留学に民間企業でのインターンを取り入れた新しい取り組みだと了解しております。民間企業に勤める人や推薦した人材を留学生として招いて、修士号取得に加えて民間企業でのインターンを通じて日本企業をよく知る有用な産業人材を育成するという試みだと了解しています。経済同友会としましても、同友会メンバーに積極的にこの制度を使って戦略的な人材育成に挑戦するように経営者に呼び掛けたいというふうに思っています。
     アフリカは一つ一つの国の単位を捉えますと、その市場はそれほど大きいとは言えないと思っています。地域経済共同体(REC)という単位で市場を捉えれば非常に大きな有望な市場だというふうに了解しています。例えばコートジボワール1国では人口2,400万人ですが、ECOWASで捉えますと総人口は3億人に及びます。こうした国々をまたぐ道路・鉄道・港湾・送電・工業団地、こういった広域インフラを総合的に整備してアフリカを世界のサプライチェーンにつないでいきます。
     そのためにも日本政府は今回、戦略的なマスタープランの作成をコミットしています。この戦略的なマスタープラン、これはプランの初期段階から企業と連携しながら作成するというもので、現地のニーズに沿ったプランを民間企業が初期の段階から関与して、いわゆる日本の得意とする地熱発電のような環境再生エネルギー分野等を盛り込んだ、日本の顔が見えるプランを作るものだと了解しています。これも新たな挑戦だと了解していまして、民間企業としても積極的に協力して行きたいと思っています。こういった戦略的マスタープランの実施段階で、経験豊富なフランス企業との連携も、例えば交通、都市基盤の計画作り、こういったもので連携してやるのも一つの可能性だと考えております。
     今後、日本企業がアフリカに進出をするという事を念頭に置いた場合、やはり治安という事が大きな問題になってきます。アルジェリア、マリ等でテロリスクが高まっているという現状の状況においては日本政府とフランス政府、また他のドナー諸国との情報共有や対策、これも非常に重要になると思いますので、ぜひ両国政府で真剣に検討戴きたいと思っています。
     TICAD Vが終わり、アフリカに関する情報発信が若干減っているように感じています。アフリカの発展を更に確かにするためにアフリカ、日本においては戦略的に情報発信を強化していくことも大切だと思っています。やはり我々日本国民も広大なアフリカで、今何が起きているかということを逐次分かっている必要があると思っています。
     最後になりますけれども、年明けに安倍総理がアフリカを訪問されるというお話もありますので、更にアフリカ支援の機運が高まり日本・アフリカ・フランスの協力関係が更に深まることを祈念しております。
  • モデレーター・片岡教授
  • 副会長よりは経済同友会としての政策提言です。「REC」と言われる地域の経済協力機構、経済共同体は幾つもありますが、そのRECとの協力の重要性、必要性などが指摘され、更に安全保障面では更なる日仏並びに政府の関与の必要性も指摘されました。
     さて、フランスの古くからあるアフリカにおける最大の専門商社であるCFAOを豊田通商が、2012年12月に買収致しました。この買収劇はフランス並びにアフリカでも注目されています。買収を行った豊田通商の横井副社長よりお願い致したいと思います。

  • 横井靖彦
    豊田通商副社長
  •  昨年CFAO社を買収いたしましたが、アフリカの成長のために我々がどう貢献していくのか、あるいはアフリカ市場をどう攻略していくのかという意味で、この日本とアフリカの組み合わせは相互補完的なものになるだろうと思っております。
     まず最初に、CFAOという会社はどういう会社なのかを簡単にご紹介をしておきます。CFAOとは「西アフリカのフランスの会社」という意味で、1887年に設立した125年の歴史を持つアフリカ専門のフランス最大の会社です。従業員が約1万1,000名おり、その大半がアフリカ人で、本部はパリにあります。事業の内容としては、大体半分強が自動車の輸入・販売で、それ以外に医薬品の輸入卸、飲料の生産販売、更にはプラスチックの製造等々を行っており、日本の総合商社に近い内容です。昨年12月にこのCFAOのTOBを完了致しました。2,300億円強という、我が社に取って見れば純利益の3~4年分に相当する大変大きな金額を投じたわけです。
     では、なぜこんな金額を、一般的にはまだ十分に伸びていく事が確信できていないこの時期に投入することができたのか、そして、今後このCFAOと我々がいかにしてアフリカの成長に貢献し、ビジネスを築いて行くのかについてお話をしたいと思います。
     まず豊田通商は、アフリカとの関わりが大変深く、90年前にエジプトで綿花の取引を始めたのが最初でした。そして現在の当社の事業の主流となっている自動車販売事業は、約50年前にケニアにランドクルーザーを輸出した事から始まります。それ以降、トレードを中心としてきましたが、大きな転換点となったのは1990年代の終わりから2000年の初め
    にかけて、幾つかの国で自動車販売代理店事業を始めた事にあります。幾つかの会社を買収し、従来の輸出あるいはシッパーというビジネスから、事業投資へ転じ、更には車の販売というBtoCのビジネスを通じアフリカ市場の内側に入って行きました。このことは大変大きな意味があります。シッパーとか輸出というのは外からしか市場を見ていません。その為起こった事しか判りません。しかしながら、BtoCをスタートしたてアフリカ市場を内側から見る事により、日々の事業活動を通してアフリカの将来性、成長性あるいはアフリカの人々のニーズ、困り事を、肌で感じる事ができます。
     この10年間その事により、単に車を売るだけでなく、お客様がより求めやすいようなスキームの提案、例えばファイナンスを提供したり、新車は買えないけれども中古車だったら買えるというお客様には中古車を提供したりして、ビジネスを広げてきました。そこで出来上がった知見や人脈を活用しながら、今ではエネルギー、インフラ関連にもビジネスを拡大しています。
     さて、アフリカというマーケットでは、日々のビジネスを通してその成長性を実感しており、例えば車のマーケットは、2000年にアフリカ全体で75万台であったものが、2010年には150万台、ちょうど倍になっています。この勢いは今でも続いています。当社は、東、南の英語圏を中心にビジネスを展開し、現在8カ国で代理店を経営し、約30カ国で車両輸出及びマーケティングの支援をしています。私どもの8カ国の代理店のトップはアフリカの人たちで、非常に優秀な人たちがいます。東アフリカについては、彼らの人脈を使いながら、資源・エネルギー、インフラといった自動車以外の分野にもビジネスを展開しつつあります。
     しかし、西アフリカ、北アフリカでは、私どもはストレンジャーという状態でした。一部トレードはやっていましたが、我々の知識、知見は限られておりました。そういう中で、パートナーが必要だと考える様になり、CFAOという会社と、何かアライアンスが組めないかと、業務提携等々いろいろ検討していました。残念ながら、その当時は買収にはつながりませんでしたが、常に西アフリカに対してどういう形で入って行く事ができるのかと考えていた為に、CFAOの株式売却の話をいち早くキャッチする事ができ、また社内的にも議論を積み重ねていましたから、これだけの金額を投入してでも買収しようと決める事ができました。まさに普段よりアフリカでのビジネスについて関心を持っていた事がこのCFAOの買収につながったと思います。
     さて、CFAOと提携したから、西アフリカの展開がこれで万全かというと、そうではありません。このCFAOという会社は歴史が長くフランスでも非常に尊敬されており、アフリカでは最も知られている会社です。その為、私どもが最も注意をしたポイントは、日本の会社にはしないということです。我々は98%のシェアを獲得しましたが、同社は未だにユーロネクストのフランス市場に上場を維持しております。また、経営陣も従来どおり引き継ぎ、できるだけ日本からの派遣を少なくしております。そして常にCFAOと豊田通商の双方が成長できるようなwin-winの成長路線を描く事を意図し、お互いのコミュニケーションを深め、戦略の議論を続けております。
     CFAOとの今後のアフリカ攻略を3つの切り口で考えています。1つはそれぞれがフランスあるいは日本のリーディングカンパニーをアフリカに誘致し、それを広めていくという事です。例えば、株主になって最初に決めた事は、世界ナンバー2のスーパーマーケットであるカルフールとジョイントベンチャーを組み、西アフリカを中心に8カ国で、これから10年ぐらいのスパンで約100店のショッピングセンターあるいはショッピングモールを作る事です。その第1号店は、アビジャンで2015年にスタートし、その後順次展開して行きます。フランスではこれ以外にも、ペルノ、リカールあるいはダノン等々世界有数の企業があり、これをアフリカに誘致できないかと考えています。同時に日本のリーディング企業にぜひ、我々を窓口にしてアフリカに進出して出て戴きたいと思います。2つ目は相互に持っているビジネスの強みへの相乗りです。豊田通商は商社としてインフラ・エネルギー・資源等々、CFAOの持っていない事業を西アフリカで展開できます。あるいは、逆にCFAOの持っている大変強い医薬品ビジネス等々については、東アフリカへ、更にはアフリカ以外の地域へも展開ができないかと考えています。まさにこの事がwin-winの関係だと思っています。そして最後は、相互のビジネスのクオリティーを上げて行く事です。既に一部スタートしていますが、物流あるいは業務オペレーション等で、私どもからも人材を派遣し、現場の改善を進めています。 
    このチャレンジはスタートして1年にも満たない所で、まだ実現できていない事をお話しするのは若干口幅ったい所がありますが、高い目線に目標を置きながらアフリカの開発あるいは成長に向けてフランス企業と一緒に頑張って行きたいと思っております。
  • モデレーター・片岡教授
  • CFAOの買収、日仏でwin-winのストラテジーを築いてアフリカに進出していきます。カルフールの第1号店がコートジボワールにオープンするということでございました。
     さて、まだ時間がございます。せっかくですので、フロアをオープンしたいと思いますが、どなたか最初にご自由に、ぜひ。まずはモロッコ大使からです。
  • サミール アルール
    駐日モロッコ特命全権大使閣下
  •  少しコメントをさせて戴きたいと思います。今、私たちがこの素晴らしいアフリカと日本との関係の中で生きている事、それはフランスとアフリカとの関係に対して付け加わってきたものだと思うのです。私たちは日本とフランスが共にやって来るのを見ています。手を携えて素晴らしい仕事をして下さっています。政治的な面と同時に、投資、イノベーションもそうです。
     関山様のほうからPPPのお話が出ました。この官民パートナーシップは現在では絶対的な必然になっていると思います。TICADのおかげでPPPは更に発展をする事ができました。ビジビリティーを獲得し、資金を得る事ができたからです。横井さんがお話になった事に、まず称賛を申し上げたいと思います。豊田通商がなさったことは本当に素晴らしいことです。豊田通商はCFAOが持っているネットワークを有効に使う事ができるのです。大切なのは、3者協力、即ち、日本・フランス、日本・アフリカ、日本・アフリカ・フランスというかたちです。そういう関係の中で今、民間の企業がその中に参画をしてきているという事です。
     今日お話を聴いたのは、アフリカで成功した例ではないかと思うのです。日本の企業と、フランスの企業が共にアフリカに行くという例であります。これらのイニシアチブは我々の方では奨励することしかできないと思います。ありがとうございました。
  • M. ンガム ヤヒア
    駐日モーリタニア特命全権大使閣下
  • TICADは確かにフォーラムとしてさまざまな問題を取り扱うことができました。アフリカと日本の協力に関する問題で、安全から投資に至るまでの問題が話し合われました。私が実際に日本の民間企業の方々にお会いすると「我々はとても興味を持っている、アフリカに進出したい」というふうに言って下さいます。しかしアフリカの幾つかの地域、幾つかの国においては少し赤に染まっているところがあります。つまり政府からそこに渡航禁止になっている国々があります。
     確かに安全の懸念はとても重要なものです。けれども、ある程度のものを考えて均衡を取るべきではないかと思うのです。赤い色を少しどこかで溶かして日本の企業がプレゼンスを伸ばす事ができる様にしなければいけないと思います。
     ここにいらしている丸紅と豊田通商の2社は、モーリタニアで既にプロジェクトに関わって下さっています。丸紅は非常に大きな砂糖製造のプロジェクトに関わっており、このプロジェクトが本当に実現することを望んでいます。モーリタニアの発展のためにとても重要なプロジェクトであります。豊田通商については特に付け加えることはありません。
     日本のタコの消費の45%はモーリタニアから輸出しおり、魚のセクターだけで知られています。我々の国は日本の民間部門に対して開かれています。エネルギーやインフラその他の分野においても協力をしたいと思います。モーリタニアの大統領は1カ月前にセネガルを訪問しました。その際の成果の一つはモーリタニアとセネガルの国境となっている、セネガル川の間に橋を架けるという事でした。日本企業はこうした橋の建設に経験をお持ちですから、モーリタニアにきてその橋の建設に参画して下さい。
  • 岡村 善文
    外務省・アフリカ部長
  • モーリタニア大使、私のほうからちょっとお答えします。渡航情報というのがありまして、外務省が出しているアフリカのみならず全世界を対象に「危険があるので行くのは考え直した方がよい」という様な所を、段階で黄色、黄色からオレンジ、オレンジから赤という色に地図の上で表現されている事を大使はおっしゃったと思います。
     これはとても難しい問題でして、我々も色を赤に近づけるによってアフリカに行かれる方々が非常に躊躇する様になる、行けなくなるという事がある事は十分承知しております。しかしながら一方でやはりアフリカのある部分については非常にまだ、我々が日本人の方々に行って戴くには必ずしも適さない、事件が起こっては大変だという所があります。特に今年の初めに起こった、イナメナスの事件を見ると、やはり我々はきちっとした情報を提供しないといけないという事は分かります。ですから、その2つの間のバランスをうまく取りながらやって行きたいのです。我々は適切に日本人の渡航者の方々にどこが危ないのか、どういう注意をしなければいけないのかという情報を提供すると共に、それが健全なビジネスの発展を阻害しないように一生懸命考えながらやっております。
     特にモーリタニアのタコですが、確かタコが住んでいるところは赤くないと思います。むしろ青いのではないかと思いますが、ぜひタコの産業に今影響が出ない様には十分考えていきたいと思います。
     私は、先ほどベリアール局長が「日本とフランスが共通の利益を持つ」と、マセ大使も「日本とフランスが一緒に働ける分野がある」という事を言われました。将にその通りです。そして今日こうしてベリアール局長に来て戴いております。我々が一番一生懸命話したのは、まさにアフリカの安全を日本とフランスと一緒にどうやって危険な所を無くして行くかという事であります。決してアフリカが全部危険だなどと言う事はございません。アフリカの中の一部にどうしても危険のもととなるような地域があり、問題があります。その問題を日本とフランスで一緒に力を合わせて無くして行く、これが一番の問題の解決になると考えております。ベリアール局長が強く言われたように、やはりアフリカがアフリカ自身できちっとその問題に対応して行く、それはTICADの一番重要な概念、コンセプトであると考えております。より危険の少ないアフリカを作って行く、これもTICADの中で我々が一生懸命努力してきている事ですし、フランスはこのアフリカに非常に力強く取り組んでこられました。カンファン大臣にはTICADにも来て戴きまして、我々はとても嬉しく思いました。これからも日本とフランスで一緒にこのアフリカの安全の問題に取り組んで行きたいと考えています。
  • アハメド アライタ アリ
    駐日ジブチ特命全権大使閣下
  •  フランス軍はジブチにフランスのプレゼンスを持っていますし、日本もプレゼンスを持っています。即ち、我々が共有している価値の1つ、それは和平であります。海賊に対して闘わなければいけないのです。
     関山さんの発言に、1つ補足をさせて下さい。安倍総理は既にアフリカ来られました。8月にジブチにお見えになりました。岡村大使も代表団の一員でした。アフリカで最初にジブチを訪問なさったのです。それはまさに日本の民間企業もまた、ジブチから始めてほしいという証拠だったのではないかと思います。入り口であることは確かです。他の所に行ってはいけないという訳ではありません。けれどもジブチから始めるべきです。人口3億4,000万人のCOMESAがありますから。先ほどECOWASの話も出てまいりましたけれども、このような3部間協議に対して称賛を送りたいと思います。この日・仏・アフリカの協力により、アフリカが現状から脱出することができると思うのです。これは我々の努力を1つにすればできるでしょう。現地にいる人、現地を知っている人がそこに参画すべきでしょう。
     また、同時に日本の企業の方々にアフリカの企業と提携をして欲しいと思います。フランスは確かに現地を知っています。けれども、また同時にアフリカの企業もそこに参加をすることが重要なのではないかと思うのです。アフリカと共に、アフリカの企業と共に協力ができることが重要かと存じます。TICADVの柱の1つはオーナーシップでありました。パートナーシップ、そして協力のオーナーシップの問題は重要でした。その実現化が今行われていると思います。
  • 関山 護
    経済同友会TICADV PT委員長(丸紅副会長)
  • 大使、大変失礼しました。安倍首相はもちろん最初の訪問地としてジブチを訪問されています。訂正しておきます。それは、いかにジブチが大切かというエビデンスでございます。私は1年半程前、ゲレ大統領がいらっしゃった時に、経済同友会として一度お相手させて戴いてお隣に座りました。ゲレ大統領が、東アフリカ地溝帯の膨大な地熱発電のポテンシャルを持っており、いろいろな国のコンサルタントにフィージビリティ・スタディをお願いしているが、今ひとつ判然とせず、ぜひ日本の企業に来て欲しいというお言葉を戴きました。プレ・スタディは開始したのですが、まだ本格的にやっておりませんので、今後スタディに協力したいと思っております。
     あとは非常に観光資源があるという事をおっしゃっておりました。ただ、世界一熱い国だという事もおっしゃっておりました。
  • モデレーター・片岡教授
  •  まだ幾つか取りたいと思うのですが、他にどなたかいらっしゃいますか。
  • 漆原 智子
    武田薬品 元青年海外協力隊
  • 一般参加の漆原と申します。2年前まで青年海外協力隊としてモザンビークで医療系隊員として2年間赴任していました。今は一般企業に勤めています。豊田通商の横井さんと、JETROの石井さんに質問があります。
     まず豊田通商さんは、アフリカに今50カ国以上ありますけれども、最初に日本で車を組み立てて輸出を始めたのはケニアだとおっしゃいましたが、なぜケニアだったのかというのが非常に興味のあるところです。
     JETROの石井さんには、アフリカで幾つ事務所を構えているかという事ですが、モザンビークには日本企業も、商社が何社か入って日立なども来ていますが、まだ日本とのかかわりは資源以外のところは非常に薄いかなと思っています。どういう基準で事務所を構えるのかを教えて下さい。
  • モデレーター・片岡教授
  •  時間の都合上、最後の質問者のも取ってからまとめたいと思いますので、どうぞ。
  • 米崎 英朗
    JICAコートジボワール事務所長
  • JICAコートジボワール事務所長をしております米崎と申します。TICADVにおいては官民連携の重要性を強く打ち出しておりました。ODAに携わる者としてはこれを強力に、かつ早期に進めていく必要があると思っています。私がおりますコートジボワールは、内戦があったにもかかわらず、いまだに域内ではトップクラスの富を維持しておりますので、ここをモデルにせずしてTICADのフォローはあり得ないと思っております。
     日本企業の進出に向けてこれから投資環境の整備と有望産業のマスタープランを核として民間支援の事業を進めていきたいと思っております。これにはもちろん経済インフラの整備という事もありますので、現地のフランス開発庁(AFD)とも協力をして早期のインフラ整備を進めていかないといけないと思っております。これには民間企業の方々のご理解も非常に大切ですので、三つどもえ、四つどもえということを肝に銘じて、かつ早期に進めていかないといけないと思っております。
     また、会場の方々には、どうぞこれからコートジボワールのODAがどう動くかというのを楽しみに見ておいて戴きたいということを申します。決意表明みたいになってしまいましたけれど、どうぞよろしくお願いいたします。
  • モデレーター・片岡教授
  •  それでは先ほどの質問がございましたので、どちらからお答えになられますか。
  • 横井 靖彦
    豊田通商副社長
  •  なぜケニアから車の輸出が始まったのかは、50年前の事ですので、私も詳しくは分かりませんが、恐らくは、まず英語圏でなければならなかったのだろうと思います。2つ目は、ロジスティックス面でちゃんとした港、モンバサ港があったという事です。
     もう1つは、小さいながらも車を組み立てる会社がありました。そういった事からケニアから始まったのではないかと推測します。
  • 石井 淳子
    JETRO途上国貿易開発部長
  •  一応、東西南北にあって、最近コートジボワールが再開し、多分もう少し増えて行くでしょう。増えるというのは、前あった数にまた戻るという感じかなと思っていまして、クローズダウンしてしまった理由としてはやはり安全面がありました。平和と安全が確保されればその拠点も増えて行くのだろうと思います。
     今ある5カ所がなぜあるかというと、企業のニーズに応じて出して行くというのが使命だと思っており、企業が出るちょっと前に出て行ってお迎えする様な格好でやっておりますので、現在あるところにはそれなりに日本企業も出ていますし、これからも増えて行くだろうという場所です。このトータルな動きがもっと活発になれば、一番海外事務所が多い大陸になるかもしれませんので、温かく見守って戴ければと思います。
  • モデレーター・片岡教授
  • ルワンダ大使、ムリガンデさんがいらっしゃいますが、最後の発言にしたいと思います。
  • チャールス ムリガンデ
    駐日ルワンダ特命全権大使
  •  アフリカ外交団の中で、私はTICAD委員会の委員長をしております。私たちは日本政府と共にTICADに協力できた事を大変うれしく思っております。素晴らしい協力関係ができました。外務省と協力してTICADを準備することができました。特に岡村大使との協力関係は素晴らしいものでありました。私たちはTICADVで得られた成果に対して満足をしています。その際になされた決定について非常に喜ばしく思っております。ですから私たちは日本の外務省と協力をして、どのようにさまざまな決定を実証することができるのかを検討し、協力していく所存であります。
     関山さんのお話を聴きまして大変うれしく思いました。TICADの準備の段階で、私たちも経済同友会と手に手を携えて準備を行いました。経済同友会とは経営者団体でありますが、このように協力をしてTICADを準備する事ができたわけです。経済同友会から出された提言は、私たちアフリカ外交団でも反響がありました。なぜなら「官民協力」をプライオリティ・ナンバーワンにしたからです。私たちもアフリカ外交団からの提言を行いましたが、もちろんODAの貢献に対しては歓迎をしますが、ODAだけではアフリカを開発することはできません。決定的にアフリカの開発をするのは民間部門からの投資であると提言の中で述べたのです。
     私だけでなく全員がうれしく思ったことは、TICADVが特に民間部門のコミットメントをアフリカ開発の中において重要であると強調した点であります。私たちは日本の外務省と協力をして、日本の民間企業からアフリカの投資を促進できることを確信しております。
     今回の機会を得まして私の友人であるジャン-クリストフ ベリアールさんと再会できた事を喜ばしく思います。長い間さまざまな問題で、特に治安問題に関して協力をしてきました。フランスが、いかにアフリカが安全な所になれるかという為に努力をした事について素晴らしい発表をして下さったと思います。アフリカが対決している安全の問題、そこで今後取るべきアプローチについてお話をして下さいました。平和・治安・安定の問題です。
  • モデレーター・片岡教授
  •  さて、本日は「TICAD Vは何を残したか?」というテーマで議論を行いました。TICAD Vの重要なメッセージは、アフリカと手を携えてアフリカの開発と発展のためにオールジャパンで取り組んで行くという事です。特に、重要であったのは、今後はODAのみならず、貿易投資を活性化するという事です。
     又、本日は、アフリカにおける安全保障に関する議論もなされました。これは民間では何もする事ができません。政府の力がなければ、安全は保障できません。従いまして、貿易と共に貿易投資と、更に政府による援助も肝要であるというのが、本日の重要なメッセージだったのではないかと思っております。つまり、アフリカにおけるあらゆる問題に官民で対処して行かなければならないという事なのです。
     

    (文責・編集 アフリカ協会理事 淺野昌宏)

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