フォーラム

第1回大使を囲む懇談会開催

  • 村田駐マリ大使を囲む懇談会
  • 6月3日、国際文化会館において村田駐マリ大使を囲む懇談会が開催されました。村田大使の講演要旨は次のとおりです。(会場参加16名、オンライン参加12名)

    (【講演の要点】
    1.内政
    マリでは1990年代以降、民主化を推進する大統領が続き、同国は「民主主義の優等生」として高く評価された。しかし、2020年の国民議会選挙の結果を巡る暴動を契機とする軍事的政権奪取により軍人主導の政権が発足(20年8月)。この政権は、民政移管を目指したが、内閣改造で一部閣僚を排除しようとしたことから、軍部中枢との対立により二度目の政変(21年5月)が発生。結果、ゴイダ将軍が暫定大統領となり、現在に至っている。

    2.ゴイダ政権の外交
    (1)欧米、特に仏・EUとの関係が悪化する一方、露、中国、トルコとは関係強化。露とはアフリカ部隊(旧ワグネル)派遣、戦闘機供与などの軍事協力を強化、中国とは鉱山開発、太陽光発電、農産物加工などの分野で協力強化。ゴイダ暫定大統領自身、マリにとって重要な国は、露、中国、トルコであると明言。
    (2)ECOWASとは、軍事的政権奪取に際して制裁が課せられるなど関係が悪化。25年1月に正式脱退。国連(MINUSMA)にも撤退要求(23年12月撤退完了)。アルジェ和平合意(北部武装勢力との和平合意)も破棄(24年1月)。

    3.「新しいマリ」の建設 
    軍事的政権奪取に対する国民の支持は強かった。30年間の見せかけの民主主義に対する国民の失望を反映。4月末に国家開発計画Mali Vision 2063を策定し、「主権主義」に基づく真の独立 国として63年までの新興国入りを目指す。23年7月、新憲法が公布。但し、大統領選挙(24年2月に予定)、国会選挙、地方選挙は、「透明で平穏な選挙」が実施できる環境が整備されるまで延期されることとなった。

    4.治安情勢
    北部では(国軍+露アフリカ部隊)vs武装勢力等の戦闘、中部ではテロリストによる断続的攻撃、南部でもテロ攻撃が散発している。国内避難民は33万人を超え、人道状況は悪化している。

    5.サヘル諸国同盟(AES)(マリ+ブルキナファソ+ニジェール)
    23年9月AES設立。24年1月にAES諸国はECOWASからの即時脱退を宣言。その後24年7月、AESは連盟(Confederation)となり、今後更に連邦(Federation)を目指すこととされた。25年1月にはAES連盟投資銀行が設立。同月AES共同軍(5000人規模)が創設。また3月にはAES軍が対テロ共同作戦を実施するなど、AES諸国間の連携が強まっている。本年4月には露・AES外相会議を開催。軍事・経済分野での露との協力が強化された。

    6.経済
    マリの主要産品は金、綿花などであるが、本年中国がリチウムの採掘(50万トン)を開始する予定。穀物も年間1000万トン程度生産しているが、日本のKR食糧援助が2年に1回程度供与されている。 主要輸出品目は金鉱石。マリの主要輸出先国は、南ア(45.9%)、スイス(29.1%)、豪州(9.6%)。一方主要輸入先国は、セネガル(22.2%)、コートジボワール(16.5%)、中国(13.4%)。

    7.大阪・関西万博への参加
    8月2日に万博会場でマリ・デーを実施予定。マイガ暫定首相の他、閣僚が多数来日予定。ドゴン仮面ダンスや音楽など、マリの文化を披露。また、8月1日には「日マリ・ビジネスフォーラム」が大阪ホテル・ニューオータニで開催される。

    【質疑応答】
    講演を受けて質疑応答が行われました。広範にわたる多数の質問が途切れることなく続き、白熱した時間となりました。村田大使からは、ひとつひとつに丁寧に回答がありました。

                                            (以上)

                       

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