フォーラム

第3回大使を囲む懇談会開催

  • 阿部駐マダガスカル大使を囲む懇談会
  • 2023年度第3回・阿部駐マダガスカル大使を囲む懇談会

    5月19日午後、国際文化会館会議室において阿部康次・駐マダガスカル大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者11名、オンラインによる出席者14名)。

    阿部大使より以下の説明を行いました。
    1960年仏より独立した同国の人口は現在約2,800万人であり、人口増加率は年2.45%。
    国土は日本の1.6倍で先史時代にアフリカ大陸から分離したため、野生生物種の70~80%が固有種である。18の民族が住むが、中央高地のメリナ族のルーツはアジア系。主要産業は農業、漁業、鉱業、観光業、繊維産業他。農業は稲作、バニラ、ライチ、グローブ他。労働人口の83%が農業に従事している。一人当たりGDPは500ドルであり、これは197ヵ国中192位(2021年世銀)。電化率は16%。宗教や民族に起因する対立は無く、内戦、テロなども無い。日本語学習者の数は2,500名であり、これはサブサハラ・アフリカ1位。日本との二国関係は良好であり、昨年日・マダガスカル友好60周年を迎えた。ODA実績は累計で円借款559億円、無償722億円、技術協力237億円であり、主要援助分野は農業(稲作)、インフラ整備、保健、教育など。主要プロジェクトは農業灌漑施設、トアマシナ港拡張、医療器材供与、小学校建設他。JOCV(青年海外協力隊)派遣実績は累計240名。同国の開発の課題はガバナンス、汚職問題、リーダーシップ、意思決定と実行のスピードに時間がかかることなど。日本から同国への投資案件は、ニッケル・コバルト採掘・精錬の「アンバトビー・プロジェクト(住友商事が筆頭株主で他は韓国)が世界最大級のニッケル生産事業であり、総事業規模89億ドル、1万人以上の雇用を創出し、外貨獲得の約30%に相当する。電力供給は自前であり、南ア産石炭の火力発電。同国政府は現在、鉱山法の改定案を国会に提出しているが、その内容はロイヤルティー率のアップと社会開発基金への拠出を定めることなど。
    政治面では、今年が5年に一度の大統領選挙の年であり、11月と12月に第一回及び第二回の投票が行われる予定。過去の大統領選挙時には、結果をめぐり混乱が度々発生している。なおイデオロギー、宗教、民族などは対立軸ではない。
    以上をまとめると、同国は豊かな国土、豊富な資源と若い人口を有し、また国民性は穏やかであり、宗教的又は民族的な対立や内戦が無いにもかかわらず、世界で最下位に近い最貧国である。インフラ(道路、電力等)が欠如し、外資誘致に関する政府の明確な方針が見えない中、ビジネス環境には課題があるが、今後の発展への潜在性はあると思われる。

    また、兼轄国であるコモロ(今年2月からアフリカ連合の議長国であり、今回の広島におけるG 7サミットにアフリカ代表として出席予定)についても、ドナーはEU諸国、仏、
    UAE、中国等であることなどの紹介がありました。
    次いで法人会員など参加者より、「1人当たりGDPが500米ドルであり、197ヵ国中192位ということだったが、きちんと開発の道を歩んでいるようであり、どうしてそんなに低いのかわからない感じを受けた、何か理由があるのか?」、「希少鉱物資源の活用と観光開発の今後の見通しはどのようなものか?」、「日本語の学習者が多いそうだが、その後日本企業への就職を希望するなどのことがあるのか?」、「港の開発、橋建設、水分野などにおける、過去の日本の同国への無償及び円借案件の対象地域はどこか、首都の近くなのか?」、「電化率が16%というと、地方のほとんどの地域はオフ・グリッドなのか?」、「首都及び地方の治安状況を知りたい」、「日本のODA案件を実施する場合、免税となるべきものを「マ」側はきちんと免税にしているか?」、「同国は度々ハリケーンに見舞われると聞いているが、今年は今までにハリケーンに襲われたのか?」などの質問が出されました。

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