フォーラム

第8回フォーラム
「アフリカにおける中国の動向と日本」
日時: 2018年2月20日(月)14:00〜16:00
場所:国際文化会館 別館2階講堂
参加者:当協会会員、政・官関係者、研究者・学生など 46名

司会:淺野昌宏 アフリカ協会副理事長
皆様本日はご多忙の中アフリカ協会主催第8回フォーラムにご参集頂きまして誠にありがとうございます。私は当協会副理事長の淺野でございます。どうぞよろしくお願い致します。
このフォーラムは、「アフリカ開発における中国の動向と日本」というテーマで議論を進めて参ります。
当協会では、一時帰国される在アフリカ日本大使をお招きして「大使を囲む懇談会」を年16回から17回続けてきております。その懇談会の中で、いつも必ず出てくるのは「中国はどうしていますか?」という質問です。最近は、以前の様に中国は何でもかんでも本土から持ち込んでやるのではなく、「現地調達もやっているよ」とか、「品質はともかく早くやってくれるので現地では喜ばれている」という話も伺うようになって参りました。
このように皆様の関心が非常に高いだろうと思いまして、本日の企画とした次第でございます。皆様の活発なご議論をお願いしたいと存じます。本日のパネラーはアフリカ開発銀行アジア代表事務所長、横山正様、それからヤマハ発動機株式会社海外市場開拓事業部アフリカ開発部長 福田武彦様 でございます。本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。それでは開会にあたりまして、理事長の大島賢三よりご挨拶を申し上げます。

挨拶:大島賢三 アフリカ協会理事長
本日は皆様ご参集を頂きましてありがとうございます。パネリストとしてご参加頂きます横山アフリカ開発銀行アジア代表事務所長様、それからヤマハ発動機の福田部長様、お忙しいところ大変ありがとうございます。また、モデレーターの青木先生にもお礼を申し上げます。
ただ今、司会の淺野の方から話があった通り、中国についてはもちろんグローバルに日夜、色々なところで色々な議論がなされております。経済的な進出、軍事面での進出、政治、安全保障面、それから最近は教育とかメディアとかを通じてのソフト面での協力をなすべく色々な手を打ってきていることが論じられております。そういった中国の長期的な戦略はちょっと話題として大きすぎますので、今回はアフリカにフォーカスをあてて、中国が何をどのように、特に開発分野で、現地でどのように見られているのか、評価されているのか、といったようなことを出来ればファクチュアルに理解をしたいと思います。その上で日本としてそれではどうすればいいのか? 中国と対抗するとか競争するとかということではなく、日本には日本の独自の実績もあり技術もありノウハウもあるわけなので、中国がすさまじい進出をみせているアフリカにおいて日本としてどうするの?といった議論を進めていければと考えます。
来年は早くもTICAD7が迫ってきていますし、日本としてもアフリカに対する開発協力、その他の支援など、色々なことを考えるにあたって中国のことを念頭におきながら考えていくということは当然求められるわけです。おそらく中国にフォーカスして議論するこの様な集まりは初めての機会であると思いますが、パネラーの方々の意見を聞いて皆様方からも色々な質問、コメントやお考え等を頂ければ幸いです。
中国をテーマにアフリカに焦点をあててやろうということで何人かの個人の方あるいは企業のメンバーの方にもお声がけをさせて頂きましたが、非常に関心のあるテーマではあるけれども、ここにパネリストとして出させて話させて頂く事は控えさせて頂きたいと、なんとなくわからないでもないようなリアクションもございました。そういう状況ではあるわけですがお二人にはこうしてご参加をパネリストとして頂きまして、忌憚のないところをプレゼンして頂き意見交換をして、この第8回のフォーラムから何か学べることがあれば有難いと存じます。どうかよろしくお願いを致します。どうも皆さんありがとうございました。

司会:淺野
それでは、フォーラムに入りますが、本日のモデレーターは、日本大学名誉教授で、アフリカ協会特別研究員の青木先生にお願いしております。青木先生は、長らくアフリカにおける中国の動向を観察されておられ、それらを「中国のアフリカ進出とウィン・ウィン戦略」 という本にまとめる準備をされています。それでは、青木先生よろしくお願い致します。
モデレーター:青木一能 日本大学名誉教授、アフリカ協会特別研究員
ご紹介頂きました青木です。司会の方から紹介頂きました、「中国のアフリカ進出とウィン・ウィン戦略」という本を、本来ですと出版しているはずですが、アメリカにトランプ大統領が登場し、中国とアメリカの関係やアフリカでのあり方が、随分これまでと異なるだろうと考えられます。アメリカの動向はアフリカと中国の関係にも影響を与えるはずで、これを言及しないという手はないということで原稿の書き足しなどで遅延をきたしていますが、今年の早い時期には出版したいと思っています。この様な作業を行っているという事情もあって、今日のモデレーターの役割を仰せつかったわけですが、今日の進行としては、私が導入部分として中国のこれまでのアフリカに対する姿勢を簡単にお話させて頂いて、その後お二方のパネリストにお話を頂くことに致します。このフォーラムは出来るだけ皆様からご意見やご質問を頂き、皆さんとの議論を中心に進めて行きたいと思います。皆様のご協力をお願いしたいと思っています。
ご承知のように中国が対外的な活動をスタートさせる大きなきっかけとなったのは、1978年の改革開放政策で、この70年代の後半というのはある意味では中国が世界に飛び出していくきっかけとなった時期です。同時に世界は次第に市場主義がうずまくグローバル化の潮流が動きだしていきます。ここに加わるなかで、中国自身が市場主義にどういう風に向き合っていくかが求められます。その点について中国流の論理でかたをつけたのが92年10月の第14期三中全会です。この会議で、社会主義と市場主義をドッキングさせるという非常に中国流のやり方で決着をつけました。社会主義市場経済、つまり市場主義を取り入れることによって社会主義を完遂させていくのだということです。簡単に言えば社会主義というのは究極的には平等を求める価値原理ですが、市場主義というのは自由ですが裏返せば不平等の容認です。まさに平等と不平等を求める論理を一緒にくっつけてやっていくということです。その対応として鄧小平がまだ存命中に、先富論という、先に一部の人を富まし、トリックルダウン効果でその後12億の人々にその冨を分配分していくということです。最初は格差を是認しながら解消していくということですが、やはりこの社会主義市場主義体制にかなり無理があると思いますが、中国政府は先富論に対して共富論という論理を打出します。結果的に中国の体制のアキレス腱として格差という問題を内在させます。
この90年代は極めて中国的な論理でグローバル化の中に身を入れていったわけですが、90年代の半ば以降にはやむにやまれない中国の事情を反映させていました。それは、中国には北方に石油地帯がありますけれども、この時期には中国の石油消費が膨らんで96年には原油を輸入せざるを得ない状況になりました。中国経済の規模が拡大すると共に、中国の資源の輸入が必然的に大きな課題になります。中国の対外的な活動は、かつてリンケージポリティックスという分野がありましたが、基本的に内政と外政が非常に密着連繋している。つまり対外的な活動は国内事情によって左右される。欧米諸国は新植民地主義との表現で中国の対外活動を批判しますけれども、元々は国内の状況に起因したものといえます。つまり、大躍進の時代に中国経済が窮状に陥り、それを打ち破るための改革開放が開始されました。経済を安定、発展させていくためには経済活動の活発化、そして海外からの資源と海外市場を求める必要があり、その関連で中国にとってアフリカは重要な対象地になるわけです。
中国においてグローバル化とは「全地球化」と言いますが、中国の捉え方は「金融と生産の一体化を基礎とした経済政治文化の同質化過程」であり、更にグローバル化を中国流によみとって「経済的なグローバリゼーションによるメリットをできるだけ引き出すが、文化とか政治の面では出来るだけ欧米化することを防ぐ」ということです。だからグローバリゼーションは経済の市場主義化といわれますが、政治的、文化的にある種の欧米への同質化がつきまとうと考えます。中国の場合は経済面だけのメリットを活かして、政治や文化というものを極力切り離そうとします。アフリカに求めるものは市場と資源ですが、その接近における中国側の論理は自らの経験に基づく改革と発展であり、対中関係の強化はアフリカ自身の「国家としての能力」(State Capability)向上に繋がるとのものでした。すなわち「国家とは経済を安定させ発展させる能力が非常に重要」であり、アフリカも中国が行ってきた経済改革と発展に倣うべきとの主張といえます。
我々が編んでいる本の中には中国の研究者も4、5人加わっていますが、その中に中国の対アフリカ政策ブレーンである劉洪武教授がいます。彼は浙江師範大学にあるアフリカ研究センターのセンター長でもありますが、彼は我々の本の中でも盛んに国家能力の重要性を強調しています。欧米諸国は中国をアフリカの市場と資源を食いつぶす新植民地主義者として非難していますが、同教授はその批判を全く意に解さず、国家能力の強化は民主主義なくして達成できないわけではないと反論します。
この主張の是非については参加者の皆さんにご判断を委ねますが、中国は外向展開戦略たる「走出去」政策を経て、00年代に入ると中国の経済的にまさに大躍進期を迎えます。対アフリカ貿易では、2000年の106億ドルから09年には910億ドルとなり、アメリカを抜いて貿易相手国第一位に踊り出ました。2014年には2011億ドルと勢いは留まりませんでしたが、2015年になると経済成長率の落ち込み、アフリカからの資源の輸入がほぼ半分ほどに落ち込むなど対アフリカ貿易も急落します。これによって、欧米諸国はアフリカ諸国に大いなる危機的状況が発生すると危機感を煽り立てました。この点については、アフリカ協会の機関誌『アフリカ』に中国経済の鈍化の背景とその影響について一文を寄せましたが、確かにアフリカ経済は対中資源輸出によって7%台の成長率を維持してきたわけですから、これが急落することになると欧米のジャーナルがこぞって危険な兆候であるとしたのも理解できます。しかし概してアフリカ側のジャーナルなどではさほど騒ぎたてるまでもなく、冷静に受け止めていたというのが印象でした。
その翌年の2016年に世界が注目するなかFOCAC6が開かれ、中国は向う三年間で600億ドルを投入すると宣言し、破格の資金を投入することを確約して世界を驚かせました。2006年のFOCACから中国の対アフリカ融資額は、50億ドルから始まって毎回倍々ゲームで推移し、いよいよ600億ドルに達しました。ここで習近平主席が盛んに強調したのは、「インフラ融資を肩代わりした資源輸入」という従来の路線から、これからは「アフリカの工業化」支援を中心にアフリカに向き合っていくとのことでした。単純に資源を導入し製品をアフリカに輸出するという形から、アフリカの工業化、そしてアキレス腱でもある農業の発展を重点的に支援する路線に変更したことになります。ある意味では欧米や日本が長年アフリカにおいて工業化や経済発展といった課題に苦心し、なかなか成果を得られない現実と同じ状況に中国も苦悩することになるかも知れません。一時的に対中国の資源輸出は減ってきてはいますが、中国とアフリカの関係が遠のくというよりも、中国側は戦略変更の下でアフリカ経済の発展を通じて市場能力を高め、将来の中国の貴重な市場として育てていく方向に向かったともいえます。これは欧米や日本が長年取り組んできた課題であり、中国もまたそこに向かいつつあるということだと思います。これが今後どうなるのか、軽々に予測はできませんが、中国の場合は日本や欧米と違って、ある政策を決定し実行する速度が異なる成果を生み出す可能性もあります。無論、スピードが違うからと言ってアフリカが抱える大きな課題や難問が即解決できるわけでもありません。日本にとっては、FOCAC6と同じ年に開かれたTICAD VIで日本政府が打ち出した「3つのアフリカ」のように、今後も地道にアフリカ問題に取り組んでいくということが重要と思います。それはまたアフリカにとっても大きなプラス効果があるのではないかと思います。
以上、中国のアフリカ進出に関して簡単な歩みをお話ししましたが、この後はまさに前線でお仕事をされているパネラーお二人のお話を伺いたいと思います。それに引き続き皆様のご意見、ご質問を受付けたいと思います。ではまず、横山さんの方からよろしくお願いします。

パネラー:横山正 アフリカ開発銀行アジア代表事務所長
本日は、アフリカ開発銀行(AfDB)の職員としての観点からお話し致します。中国との関係で皆さんの議論の材料のひとつとして使って頂ければと思います。AfDB自体は、80の加盟国が出資している公的な銀行、国際機関です。アジアからは中国、韓国、インド、日本の4カ国が加盟しています。当行といたしまして、日本も中国も重要なパートナー、株主であり、中国と日本の投資を比較してどうこう言う立場ではないことをご理解頂いた上で、ご説明させて頂こうと思います。
2000年代はじめのころは従来から貿易関係では、輸出先ではアメリカが一番大きかったが、2010年位に逆転して中国がトップになりました。その後、先程の青木先生のご説明にもございましたように、トップの地位には変わりはありませんが、中国の輸出額自体は落ちています。かたやヨーロッパと日本については横ばいもしくは落ちているという状況。アフリカへの輸出も中国は2000年代のはじめごろは日本やアメリカと同じだったのがどんどん伸びていってトップになり、最近は順位に変わりはありませんが、額自体は落ちているというものです。アフリカから中国に輸出しているものは基本的に資源等、また中国がアフリカに輸出しているものは、消費材が中心です。
一番下に書いてありますが、最近の世界の景気や中国の景気の減速とかで、コモディティ価格ショック等があり、アフリカに移住した多くの中国人が最近帰国していると報道されております。FTによると2016年だけで15-16万人の中国人が石油国アンゴラを離れたと推定されると書いています。例えば、中国からアンゴラに入って、中国に帰る人と、アンゴラから他の国に移る人もあるかもしれないので、アフリカ全体として具体的にどれくらい減っているのかはわかりませんが、全体としてそういう動きもみられると思われます。しかし乍ら、中国がアフリカからどんどん撤退しているかというと、全くそうではないと思います。むしろ戦略を変えて、その重要性を鑑みてエンゲージメントを深めていると思います。
投資については、青線がアメリカ、赤線が中国で、2000年代のはじめころはアメリカの方が多かったが、アメリカは上がったり下がったりで、中国は比較的安定して投資をしている。ただし残高ということでは右の上をみると、一番多いのがアメリカ、イギリス、フランス、その次が中国ですが、中国は2010年の橙色に比べると、2015年のグリーンに示されますとおりが残高も増えています。中国の対外援助については分析が難しいですが、中国の専門家であるJICAの北野所長の研究による円グラフを見て頂くと、2010年から2012年の中国による対外援助コミットでは、アジアが52%であり、その次に30%のアフリカということで、かなりアフリカを重視していることがわかると思います。OECDのDAC国と比較すると、2013年の時点で中国は第6位であり、米、英、露、日、仏、に続く位置にあります。あと、中国は伝統的にバイの援助が中心的なのですが、そのあとAIIB等を立ち上げて、マルチも通じてインフラの輸出等々に力をいれているのはご承知の通りです。ここには書いてありませんが、米州開発銀行とか、AfDBに対して共調融資のファンドを作ったり、世界銀行グループのIFC等、国際機関とも協力を深めています。
AIIBについては、日本が入るとか入らないとか数年前に色々議論がありましたが、アフリカからは二カ国、エジプトとエチオピアが既に加盟国になっています。また、マダガスカル、南ア、スーダンがプロスペクティブメンバーとして入っています。シルクロード基金は後でご説明しますが資金規模は400億ドル程度で、これは、一帯一路を推進するツールといわれる基金です。AIIBとシルクロード基金は、ともに中国の政府による資金を受けているものですが、バイ向けの中国単独の基金であるシルクロード基金とは異なり、AIIBはAfDBと同様に国際機関です。私も去年の6月にAIIBの総会にアフリカ開銀の代表として出席しました。総裁は金立群さんで元ADBの副総裁ですが、彼のスピーチを聞いていても一帯一路という言葉はでてこず、ADBの総裁とあまり変わらないようなスピーチをされていました。ADBの総務もAIIBの総務も加盟国の財務大臣や開発大臣等という意味では似通ったメンバー構成なので、総務会の議論としては、ADBもAIIBも、あまり変わらなかったという印象です。ただし、AIIBでは、一部の大臣から一帯一路への言及がありました。しかしながら、AIIBのマネージメント自体は、彼ら自身が一帯一路のアームだとは言っていません。
一方、シルクロード基金は、一帯一路のアームとして位置づけられるものです。中国政府の機構としては、政府としては上位に国務院があり、国務院の下に財政部等の日本でいう各省庁があり、人民銀行もあります。中国の場合だと、日本の日銀と違って中央銀行が独立しておりません。
AIIBは、財政部の管轄している機関です。国際金融機関については、以前は人民銀行が全て管轄していたのが、一時期から財政部に移管されたと聞いています。今の整理は、世銀とかADBのように、まだ中国がレシピアントとしてお金を借りている国際機関については、債務管理の観点から財政部が管轄しているということです。中国が純粋ドナーとなっているAfDB、IDB(米州開発銀行)は、人民銀行の管轄となります。財政部が国際機関にお金を出す時は日本の財務省と同じで、国の財政から出しています。かたや人民銀行からの原資は外貨準備だといわれており、従って、AfDB、IDB、シルクロード基金は、外貨準備の運用先という性格も有していると考えられます。ですから、AfDBでもIDBでも、中国からすると、基本的にリターンを稼ぎ、全体として安全に運用しなくてはいけないというお金を入れているということになります。
国務院の下に直結したシンクタンクで、中国アフリカセンターというのがありまして、私も2年くらい前に一回訪れました。日本の旧海軍の本部が北京にあって、その建物をそのまま使っているとのことでした。そこでお話を聞きいて、以前によく私が聞いていたお話し、つまり「バブルがはじける前は、日本もアフリカにかなり影響力を行使して、経済的にもすごく進出していた。ところがバブルがはじけて低迷期の中で、日本が引いている間に中国が入っていき、存在感を増した」との理解は、ここ30年くらいの動きであり、戦後全体の経緯を見ると違った見え方ができるのではないかと思いました。同センターがつくられたのは1961年で、毛沢東の肝入りで「アフリカのことを勉強しろ」といってそのセンターがつくられ、且つ定期的にアフリカの大臣などを呼んで交流をやっていたということです。ある日本人の中国専門家に聞いたら、「もともと中国は途上国のリーダーとなろうとしていたので、アフリカについてもリーダーになろうとして、日本よりも前に1960年以前から力をいれていたんですよ」と聞かされました。日本が一時存在感を増し、その存在感が薄れていく一方、中国の存在感が増しているのは事実にせよ、戦後の当初は、中国に経済力がなかったので、経済的にはあまりアフリカに出て行けてなかったけれど、その後実際に力がついてきたので、どんどん出て行くようになったのかなと思っている次第です。
この画面は、アフリカ開発銀行の説明ですが、先程言った80カ国です。数字は各国の出資シェアで、各国について、どのぐらい出資しているかです。これは投票権比率と基本的に相応しています。日本の出資シェアは第4位で約5.5%です。AfDBに対する中国の影響力については、その出資シェアは1.1%であり、投票権だけでいうと、日本ほど大きな影響力は有していません。AfDBには20人の常駐理事がいますが、中国、韓国は、カナダの理事のいるグループ(コンスティテュエンシー)に属しています。通常の案件だとカナダ理事が中国と韓国の票を束ねて投ずるということになります。韓国と中国の意見がカナダの理事と異なる場合は、カナダ理事が自分(自国)の意見で、中国、韓国の投票権も束ねて投票するということになります。
例えば石炭火力発電所支援プロジェクト関係では、アフリカ全加盟国と日本、韓国、中国等の投票権を積み上げれば、ぎりぎり可決されるような場合でも、例えばとカナダが反対の場合は、中国、韓国の投票権も束ねて反対に投票するので、可決されないということも起こります。投票権でいうと、中国の影響力は限定的ですが、AfDBと中国との関係というのは、出資関係、ガバナンス関係だけではありません。中国は、2014年にアフリカ・グローウィング・トゥゲザー・ファンド(AGTF)という共調融資ファンドをAfDBに設けています。ちなみに、日本は、EPSAという、より大きな資金協力枠組みを設けています。この中国の資金協力枠組みの分野については幅広くなっています。基本的に彼らがやっているのは、インフラとか空港とか道路とかで、既に十何件もやっているようです。あとは水、衛生もあります。10年間で20億ドルなので平均すると1年間2億ドルということです。
あとはMOUで、TAをやるなどいろいろやっています。AGTFの具体的活用例ですが、チュニジアでの道路インフラ近代化プロジェクトでは、AfDBが約1.5億ユーロ出して、AGTFが約0.5億ユーロ出しています。AfDBがこんなプロジェクトやりませんか?と人民銀行に持ち掛け、やるとなればAfDBの1/3までを出して貰っています。他に、ザンビアの小さな町の水衛生プロジェクトでは、AfDBが1.2億ドル、AGTFは10%ぐらいを融資する、こういう形で行われています。
AfDBの10年戦略として重視しているのは、5つの優先課題、ハイ5といって、「電力供給」、「食料増産」、「工業化」、「地域統合」、「生活の質の向上」です。最後の5つ目に教育など色々入っています。
先程先生からもご説明ありましたが2015年のFOCACのヨハネスブルグ宣言をみますと、従来のインフラ重視とかそういういうイメージとはかなりちがっていて、それだけみているとJICAとやっていることがあまり変わらないのではなかと思うぐらい、人材育成に力をいれていたり、工業化とか、農業増産に力をいれています。それは色々な戦略もあると思います。例えば農業については、中国は人口が多いので食糧が必要だとして、アフリカで農地を買い占めているといった問題があるとも言われていますけれども、アフリカで増産して中国の方に輸出しようと考えていると思いますし、工業化については、中国からアフリカの方へ製造業をある程度移してくることも考えていると思います。
その時に中国も困っているのは、先程大島理事長からご説明ありましたけれども、一般的なイメージだと中国は中国人を連れてきてほとんどアフリカ人を雇用しないで何も落とさないように思われています。しかし、ある分析によるとむしろ中国は、進出した最初のころは現地で雇おうにもあまりにも現地にキャパシティがないので、中国から連れてきて、場合によっては中国に連れ帰る。ところが、彼らも本当は現地で、リーゾナブルな賃金で質のいい労働力があれば雇いたいと考えているといわれております。例えば、カンボジアなどでは現地で人を雇っており、アフリカでは現地の労働力のキャパシティビルディングには非常に興味があるのではないかともいわれております。結果として、JICAがやっているようなことをやろうとしており、AfDBでハイ・ファイブと言っているのと同じようなことを、いろいろやって行こうとしています。
この図は、AfDBが自分たちでファイナンスを支援するプロジェクトで、調達でどの国がどの位の案件をとっているかを見たものです。2000年から2015年を見るとだいたい1/3強か半分位がアフリカの地元企業がとっていて、残りの4割から5割の半分が非アジア系のノンリジョナル、即ちヨーロッパとかアメリカとかラテンアメリカですね。更に残りの半分位がアジアということになります。
具体的に中国は何が強いのか。多分他のMDBsでも同じなのだと思いますが、中国は案件数が247、額で言うとUSD 4,361 milです。アジアでみると額では4361 milの中国と928 milのインド、この二つがだいたい毎年強いということです。日本はたまたまUSD 596 milで、例外的な案件がありかなり強いように見えますが、一般的に強い訳ではありません。
各国が何が強いのかを細かく見ると、青色が公共事業、赤色が物品の調達を示しており、中国は公共事業が非常に強く、それと物品ですね、韓国の場合は物品が半分であとは、サービス、公共事業がやや似たり寄ったり。インドも似たようなものです。インドと中国はビジネスモデルが相当違うということですね。何が違うのかと言うと、インドは公共事業よりは物品であり、自分たちの強いところ、例えば送電高圧線は取るが、送電線工事の様な公共工事には力を入れていないといわれています。日本は公共工事では強くないので、ボイラーとか発電機等々、基本的に物品となります。フランス、イギリス、ヨーロッパ勢は結構、物品とサービスがバランスしており、公共工事は少ない。カナダは特徴的でサービスが非常に強い。日本は逆にサービスが非常に弱く、ほとんど取れていません。日本がサービスに強くなるには如何にしたらよいのかとAfDBの調達の人に聞くと、「ともかく調達で最初に落札できるようにせよ」、しっかりとした業績を残すと、あそこはきちんとやってくれるということで、次にどんどん次に繋がっていくということでした。
以上がAfDBの中国とアフリカの関係です。

モデレーター:青木
有難うございました。後ほど質疑応答の時間がありますが、今確認したいとか、今の段階でご質問があれば受け付けますが如何でしょうか?
それでは、引き続きまして福田さんにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

パネラー:福田武彦 ヤマハ発動機株式会社 海外市場開拓部アフリカ開拓部長 
ヤマハ発動機の福田です。
こちらはわが社の企業目的で、「感動・創造企業」を標榜して全世界で活動しています。我社は、ここにある様にいろんな商材を取り扱っており、主にモーターサイクル、船外機、最近では浄水器のクリーンウォーター、ジェネレータなど、我々が取り扱っている商材です。その中でアフリカは、モーターサイクルと船外機、ジェネレータ、ODAでは一番右下にあるクリーンウォーターを、これらの国々で設置しています。
その中の一番大きい二輪車の方から説明します。二輪車はアフリカでは、まだ保有台数が100人当たり1台以下、ASEANでは、100人あたり21人の人がもっていますので、かなりポテンシャルはあると思いますが、アフリカがこれからどういう発展をするかによってASEAN型になるのか、中国型、インド型になるのかによって保有台数は変わっていくと考えています。順調にいけば現状の10倍の3000万台位の市場は見込まれるので、力を入れていこうと考えています。
今まで我々はポリスバイクやNGO向けの、かなり値段の張るバイクを中心に売っていました。ただ今後は、実際に市場の膨らむ3000万台いくかどうかは別にして、拡大していくには今顕在化しているタクシー、かなりアフリカは渋滞が多く、移動時間が読めない車に代わり、バイクタクシーの利用が多くなっています。その需要に加え、今後は個人需要が、成長領域としてあるのではないかと考えています。
アフリカは登録台数のデータはありませんが、基本的には生産国から出荷する数でとらえています。2014年、2015年と書いてありますが、一番下が中国製、中国からアフリカにむかって出荷されたもの、真ん中がインドからだされたもの、上の方が日本その他ヨーロッパ、アメリカです。
アフリカの需要は原油価格の下落もあり、需要のところは2014年で450万台あったものが16年では300万台、17年も300万台ぐらいと推定しています。1/3の150万台が減った訳ですが、その一番大きなところがナイジェリアです。ナイジェリアだけで100万台位減っています。これは時間の問題で再び戻ってくるかとは思っていますが、現在は約300万台、その内、中国製が70%程度、インド製が20%ちょいと、その他が我々日本製などとなっています。この様に二輪では中国製が非常に大きな割合を示しています。ここでは、ここ3年を示しているだけですが、2000年以前は中国製が100%、そこにインド製が入ってきて現在の20%まできました。これは何を意味するかというと、所得レベルもそんな高くないところで、最初は価格優先だったものが、タクシーのライダーが2-3年仕事をして、ある程度余裕が出来るとその上の少し品質の高い燃費のよい商品としてインド製の方に徐々にシフトしてきているととらえています。
アフリカをひとつにして語るということは難しいのですが、中国製が主な国と、インド製が主な国に色分けがされています。ナイジェリアでは中国製が5割程度、ウガンダでは8割がインド製という現状で、品質を求めるお客さんとコストを求められるお客さんに2極化していくように考えられて、我々も市場が2極化すれば、インド勢と同じレベルのところで戦えるチャンスがあると捉えています。我々の業界では、日系企業は基本的にメーカーの特約店が子会社となっています。特約店では昔から欧米系の商社、あるいは印僑、地場企業など色々ミックスですが、それなりに自動車関係の大手が我々の特約店になっています。印僑の場合は、印僑との取引、中国は一部では合弁会社を作っているのも見ますが稀なようです。どちらかというと小さなブローカー的なものが発展して大きくなっていって、それは中国の形態とアフリカの形態と似通っている部分があると思います。今の時代はインターネットでものを発注できる時代ですから、ものを入手するということでは、その形態でも問題はなかろうと思いますが、アフリカといえど先々成熟してきて趣向が分かれると、それなりのサービスが求められるようになり、我々としても、アフリカで仕事の出来るチャンスが増えると考えています。
これは予測ですが、中国のガソリン車の需要動向です。基本的にはガソリン使用の二輪車は完全にピークアウトしています。最盛期から見ると半減していて、ガソリンに変わって電動バイクが主流になってきています。今後アフリカでガソリン車から電気に変わるかというとすぐにはいかないとは思いますが、将来的にはなきにしもあらずと考えています。
一方、もう1つの柱であるマリンの分野は、全体の需要3万台程度でまだ規模が非常に小さい状況です。マリン分野は漁民の利用ですが、漁民の数の動向を見ても、これから増える見通しは出ておらず、資源の漁獲量も若干減り気味であり、それほど伸びがないと見られます。こちらの市場は今のところほとんど日本製で、8割が日本で、2割が中国製で二輪車とまったく逆の展開になっています。
なぜそのような差がでるのかを考えて見ると、船外機は海で使うもので信頼性とか耐久性が非常に重要視されることと、あとは規模も小さいためであると思います。二輪車は単価自体が非常に安く、現地の販売価格で700ドルとか1000ドルぐらいですから、非常にコモディティ化しているものと、船外機のように特殊化しているものでは若干競合関係は違うのかなと考えています。いずれにしても中国勢とまともに価格勝負で勝てるとは思っておりません。そこには何か付加価値、それも現地の知見を利用した中で、価格が高いのであればマイクロファイナンスを考えるなどのプラスアルファが必要であり、マリンのところではサービスとか保守に力をいれていますが、そういうものをアピールすることによって我々のプレゼンスを今後も二輪車ならびに船外機あるいは他の商材でも確保していきたいと考えています。簡単ですが、以上が我々の現状の取り組みです。

モデレーター:青木
ありがとうございました。なかなか普通では知る機会はないお話ですが、早速お二方のお話を中心にこれからフロアの皆さんと議論をしていきたいと思います。
参加者リストをみますと、アフリカで既に色々なビジネスをやってらっしゃる総合商社の方もお見えになっていますが、お二方に質問だけでなくても、それぞれの立場でこういう仕事をやっているなど紹介も頂きながら意見交換をしたいと思いますので積極的にご意見をいただければと思います。いかがでしょうか?御所属とお名前を冒頭にお願いいたします。

発言者:坂田泉 一般社団法人OSAジャパン会長、アフリカ協会特別研究員
私は、建築家でケニアと日本でLIXILと水を使わないトイレの開発をしたり、農業関係のプロジェクトやったりしています。横山さんに伺いまが、私は住宅建築に関心があり、例えばケニアでよく泊るホテルのとなりに中国がすばらしい建築を進めていて、非常に感心したことがあります。例えば、日本のゼネコンはミキサーさえも入らないところで仕事は出来ないと言って逃げますが、中国がやっているこの現場はまさにミキサー車が入らないところです。どうしたかというと道を挟んだ反対側にコンクリートプラントを建てて、ポンプで山形にしたゲートをつくり、そこに生コンを圧送してガンガンやっています。私も30年間建築の現場にいますから、これを見て昔のゼネコンはつべこべいわずにやっていたあのチャレンジ精神を思い出しました。いま中国の人はあまりつべこべ言わず、すぐに取り掛かるというようなテンションを非常に感じました。実際にケニアでもあちこちで建物を建てています。
AfDBのハイ・ファイブに建築がないのがわかっていてお伺いするのですが、建築分野における中国の活躍に関して、横山さんが把握しているファクトやコメントでもあればお伺いしたいと思います。建築、できれば住宅建築の中国の活躍ぶりという点です。

発言者:横山
坂田さん、ご質問ありがとうございます。AfDBのハイ・ファイブについては、先ほど話した通りインフラや建築もやっていますが、基本的に民生の住宅はやっていません。私たちはマクロのデットサスティエナビリティなどを考慮して借入国の貸入余力を考えなくてはならない中、経済の基礎インフラに重点を置いていています。住宅までは手が回っていません。

モデレーター:青木
そうですね、会場の方で関わりがある方がいらっしゃればご紹介を兼ねてお話をしていただければとおもいますけども、如何でしょうか?
それでは、他にどなたかどうぞ。

発言者:六辻彰二 横浜市立大学、日本大学 講師
個人的な話で申し訳ないのですが、青木先生に博士課程からご指導いただいておりましてアフリカ研究を20年ほどやっております。後ろの方からアフリカを見ている立場から、今日は前線にいらっしゃる方からお話を伺えて大変興味深く、そこで福田さんにお伺いします。お話し頂いたアフリカの二輪車、船外機の現地生産について伺いたいと思います。南アフリカには自動車メーカーが日本から出ていますが、他のアフリカの国への進出や、技術基準などいろいろあるかと思いますが、現在の進出状況は如何であるか、進出のネックになっているものがあるとすれば、どう言う所にあるのかを伺えればと思います。

発言者:福田
二輪車と船外機を中心にお話させて頂いていますが、船外機は規模が小さいので、現地生産はやっていません。二輪車の方は、わが社の方でも現地生産に取り組んでいます。ナイジェリアでは、2016年から合弁会社をスタートして、フランスのCFAOと一緒に進出しました。14年ぶりにナイジェリアに参入して現地生産を始めたことになります。
それ以外にも、私どもの特約店に豊田通商がケニアで現地生産をされています。二輪車に関しては、現地生産は先程300万台と申し上げましたが、ナイジェリアが今50万台で、ケニアで20万台弱あります。そのくらいの規模になると現地生産というのが1つ目安になりますが、CKD(現地組立て)の一番のメリットは輸入税がCBU(完成車)より安いと言うことで、認可がとれればCKDというかたちで現地サイドは進めております。
競合他社も同じことで政府から認可が得られるかどうか、ただ一番のネックはCKDの規準がはっきりしていないことです。アフリカで一番はっきりしているのは、ブルキナファッソです。ブルキナファッソでは、溶接と塗装をやることで関税を10%にするとなっています。他の国はあやふやで、ある意味でネゴ次第であり、対応できている国と、対応できていない国があるという現状です。
他の問題点はアフリカ54カ国で総需要が300万台なので、1国あたりの需要が小さいことです。先程中国の需要をお見せしましたけれども、減ったとはいえ800万台あります。例えばインドは世界最大ですけれども2000万台弱、アセアンはインドネシアでも600万台、ベトナム300万台、1つの目安としては100万台位ないと、規模的に成立しません。現地調達化には投資がかかりますので、規模がないと出来ませんが、加えてベンダーの裾野が非常に弱いと中国あるいはインドから物をもってきたほうがコスト的にはメリット高いことになります。一方現地政府としては産業化というお題目があり、それをどの程度バランスをとるかが非常に悩ましい問題です。アジアもそうだったのですが、政府が決めてやればメーカーサイドはフォローするというのが通例ですが、その時の前提条件として規模が伸びる見込みがないとなかなかGOがかけられません。規模自体が圧縮しているとか、アップダウンしているのが今の現状です。ちなみにナイジェリアは現地調達規制はありません。
ケニアが新しい動向として今年の夏以降、現地調達化を推進する動きになっていますが、確定したわけではありません。

発言者:大方英明 豊田通商株式会社 海外渉外室
私自身は入社以来ずっと中国畑で、今日アフリカの関係者の方の前でお話するのが恥ずかしいような、アフリカの知識があまりないんですけれども、中国政府が大々的に一帯一路をやることにともなって昨年の5月にフォーラムが北京で行われ、二階幹事長が参加されて日本政府もやると発言され、また昨年末APECで安倍首相が一帯一路についてやると発言しています。そうした中、中国の一帯一路について日本と中国が一緒になって第三国でやろうということになりますが、今日のお題が「アフリカ開発における中国の動向と日本」で私も中国をずっとやってきたものですから、どのような状況になっているのか情報を得てくれということで来ました。お話を聞いていると中国のゼネコンの活発な動きがありますが、我々はアフリカでCFAOと色々やっているのですが、中国企業と日本企業が対抗というか競争する中で事業が進んでいるかと思います。一帯一路の政策に基づいては中国と日本の企業がアフリカで一緒に何かできないものかという方向で、現地で日本企業と中国企業が同じプラットフォームで、同じ事業をやるような取り組みを進めているとか、政府系も民間もふくめて日中が一緒に新しい事業を共通点をもってやろうかという動きはまだないのか、横山先生にお話伺えればとおもいます。

発言者:横山
JICAの小森(アフリカ部次長)さんにもお伺いするかもしれませんが、アフリカ開発における日中協力について、私は承知しておりません。ただし、安倍総理が一帯一路との関係でおっしゃっている主旨に関連しますが、協力関係にしても、色々なやり方があろうかと思います。AfDBとJICAが共調融資するという場合でも、同じ条件で融資するということも昔はあったと承知しておりますが、最近は契約書も別で、関連したもの(対象プロジェクト)を部分に分けて、ここの部分はAfDBがAfDBの条件でお金貸しますと、ここの部分はJICAが直接契約を結んでJICAの金利条件で直接お金を貸しますと。つまり、それを一体として一つのプロジェクトとしてとらえて、協調融資ととらえる。これが多いと承知しています。なお、協力関係には、共同出資をする、その他いろいろな協力形態があるのかなと思います。
アフリカに限らずアジアでも同じですが、援助が重複してしまうと非効率的なので、ドナー同士で情報交換、調整をすべく、ドナー間でcoordination meeting等が行われていると承知しています。そう言う場も通じながら、中国が他の伝統的なドナーと協力するということが出てくるかもしれません。
先程ご説明した中でシルクロード基金とかAIIBとか言いましたが、ヨハネスブルクの2015年のFOCACで、60億のコミットメントを中国がしたわけですが、その内の30億ドルがチャイナ・アフリカ・ディブロップメントファンド、その資金の出元は、外貨準備だといわれております。アフリカの元首なりアフリカの政府からすると、道路等具体的なプロジェクトをやって欲しいが、いろいろな理由で、JICA、他のバイのドナーはのってくれないし、AfDB、世銀もやってくれないから、中国にやってもらえないかということがあろうかと思います。中国自体がアフリカのプロジェクトに精通していてここをやりたいというのもあろうかと思いますが、アフリカにおける多くのインフラのプロジェクトというのは、おそらく相手の国から要請があるということだと思います。
AIIBは一帯一路のアームではないとは言ってはいないのですが、結果的にそれに資する側面はあろうかと思います。今は中国との連結性が優先的でしょうし、株主の比率も東南アジアの国が多いので、期待としてはアジアを中心にプロジェクトをやっていくのであろうと思われます。ところが一応アフリカもメンバーになっており、彼らの期待は、当然お金がくるから加入するのであって、プロジェクトを待っている状態と思われます。AIIBとしても、優先順位はさておき、アフリカの加盟国のプロジェクトについてもやりうるというか、時期はさておきやろうとしているのだと思います。
かたやシルクロード基金とかチャイナ・アフリカ・ディブロップメントファンドについてはAIIBと違って、中国が独自で支援するかどうか決められるファンドなので、シルクロード基金の方たちにも聞きましたが、例えば海や陸のシルクロードから外れている所は出来るのかと聞いたところ、良いプロジェクトであればできると言ってました。彼らからすると、一帯一路といっているが、意義があり、外準の運用先として成立するプロジェクトだったら支援できるということだと思います。
いずれにしましても、日中協力については、ある部分は中国がやるけれども、ある部分は日本がやるとか、いろんなバラエティがあると思います。アフリカはお金が足りないので、残念なことに質に必ずこだわらなくて安ければと買うところもありますが、いろいろなイノベイティブな方法で、日本もアフリカにどんどん来て頂きたいと思っております。日本はいろいろな形態で、外国とパートナーシップを組めると思っています。

モデレーター:青木
今、お話の中に登場してきましたけれども、JICA小森さん、何か一言・・・

発言者:小森正勝 JICAアフリカ部 次長
JICAのアフリカ関係の仕事は多種多様なものをやっていて、インフラのみならず保険、教育とかの社会セクターの仕事、昔から長年アフリカの協力を積み重ねてきて、アフリカからは一定の評価を得ていると考えています。
ご質問のあったに日中の関係では、我々がアフリカに対するODAで特に重視しているのが、中国はスピードもあるしお金も出るのに対し、日本はどちらかというと時間がかかるし、金額の規模も少ないというところが我々の弱いところのはであり、結構いろんなところから連携話はきています。我々今着目しているのは日本とフランスの日仏連携ですね、フランスと協力してアフリカへの協力ができないかということを、ずっと継続してフランスと対話も続けています。最近はイタリアとかスペインの引き合いがきていますので、欧米先進諸国との連携というのはアフリカとの協力の中で常々考えているところです。
また直近の動きですと、国土交通省がトルコ企業と建築業での連携を進めています。トルコ企業もアフリカで結構シェアがあるので日本企業とトルコの建築会社が組んでアフリカに進出するのを国土交通省が支援する動きも最近出てきています。我々も中国との関係で糸口をつかめていないところがあり、いろんな可能性はあるかとは思いますが具体的なことになると暗中模索しているような現状です。

モデレーター:青木
中国と日本の協力といえば、研究者レベルでは昔からよくでていました。先程話しました劉洪武という非常に古くからの友人と研究会を長年やってきて、「お互いのノウハウとかメリットを出し合ってやればもうちょっとアフリカのためになるんじゃないか」という意見を言うと、その研究者レベルでは合意は成立します。しかし、実際にFOCACの現場を私に見せてくれと頼むと、一度は承知したもののドタキャンになりました。結局、今までの状況では現場レベルで何らかの形で協力したり結果を得ることは出来ませんでした。ちょっと楽観的かもしれませんけど6回目のFOCACのあとの中国のアフリカ戦略を考えていくと、今までJICAで持っていたノウハウが生きてくる可能性はあるんではないかと思います。FOCACは元々JICAから学び、TICADを参考にしながら2000年に立ち上げた協力フォーラムですが、それ以後はどちらかというと日本はレセプション会場には入れるものの、それ以降の本会議の方にはでられないという垣根があり、結果は公表されたもので知るという状況です。そういう話し合いの場に徐々に入っていくような進化があれば、協力していく可能性もあるでしょう。アフリカへのアプローチの中には今までワシントンコンセンサスとか北京コンセンサスがあり、両者が面子のぶつかり合い状態にあった。私としてはその両者でもない、東京コンセンサスといったアプローチがあっても良いというのが私の個人的な想いです。それはともかく、アフリカに対して多国間で協力することのメリットがあるとの環境が生まれてくれば、中国と日本という関係も随分変わっていくのではないか、今までのところはどちらかというと張り合ってお互いに協力ではなくて反発の中でデメリットを生み出してきたわけですから、その開始点として我々の分野で是非協力関係をつくっていければと思っています。
他に何かありますか?

発言者:林千野 双日株式会社 海外業務部中国デスク
入社以来ずっと長いこと中国畑できて、2年前に中東アフリカを兼務することになり初めてアフリカで開催されたTICAD VIにも行きました。この会場の中で、私も中国畑が長いのでアフリカにおける中国のアクティビティを余暇を使って調べて見るために、TICADの会場で突撃インタビューを試みました。色んな国の方が来ていましたが、日本の支援、あるいは日本と中国のかかわり方に関してどの様な感想をもっているのかをいろいろ聞いてみました。
アフリカの政府関係者は、皆さん本当にJICAのことはよくご存知で、「JICAの援助は本当に必要なんだ」、「本当にアフリカの一国一国のことを考えて援助してくれる」というようなコメントがありました。しかしながら中国とくらべた場合に、量的な投入量というものが全く違うと言っていました。人的もそうですし、投与する資金量にしても圧倒的な差がある。望めるならば「JICAの思想で、投入量を増やしていただければ言うことはないんだが」というような感想でした。
TICAD VIに参加して思ったことは、本当にアフリカの方は、ある程度の期待は寄せているとは思うのですが、インタビューを試みた結果、コメントをもらった通り、日本のかかわり方は、企業にしても政府にしてもやはり中国と比べて圧倒的に違うということを、アフリカの方は内心思っているのかなということを感じました。
先程横山さんの方から歴史的な関わりの説明もありましたけれども、ほんとに中国というのは1949年に中華人民共和国が成立して、自分達が苦しいのにも関わらず、タンザン鉄道が壊れて世銀もどこもやってくれないという中で、タンザニアの大統領の要請で毛沢東が支援を決定し建設したという歴史的な関わりを持っていますし、政治的な意味では特に台湾との承認問題に関して、国連の大票田と言うことで、中国は政治的にも非常にアフリカに関わってきたという所があります。
ここ最近28年間、中国の外相は必ず年初にアフリカを訪問国に選んで、王毅外相は今年も行っていますが、こういった政治的な関わり、何か経済協力という面でも国家が前面にきてやっていく、それに加えて国家とは別の枠で社会からはじき出されたような人たちが一獲千金を夢見てアフリカに行って農地を買い、工場を開き、飲食店業をやるなどスモールビジネスの部分でもものすごく、プレゼンスが高いという状況ですね。
TICADから帰ってきてTICADが中国側にどういう風に受け取られたのかを色々調べたのですが、やはり彼らは日本とアフリカのかかわりにおいて安保理の常任理事国入りを阻止してアフリカと接していると思います。日本のODAの援助もこの先ジリ貧になる中アフリカにどういったベネフィットを提供できるのか、また質の高いインフラがどの程度求められているものなのか結構ネガティブな意見があって、企業としてのアフリカとの関わりを考えた場合、点がなかなか面にはならないということを痛感して帰ってきました。
第三国との中で中国との協力が高まっているのは確かだと思います。しかし日本の企業はみな私企業ですのでやはり合理性というのが先に来ます。例えば国家プロジェクトを作る場合、利益が出なくても別のところで補填するなどの、スキームがあれば、一企業が、アフリカもしくは第三国と組むというようなことを考えた場合に、EPCの中でコンストラクションは中国企業にというように経済性合理性のあるタイアップというのはあるとは思います。そうではなくて政府間で、無理矢理何かをやろうとしたときには1件、2件成功するものはでてくるかもしれないけれども、それが本当に永続的な形でいくのかというと非常に大きな疑問を感じざるを得なと思います。一企業として、中国は国家ベースで来ていて、またアフリカとの歴史的変遷がある中で、中国は中国でアフリカからの輸入を増やすために関税を下げるという動きもあるなかで、日本の国として一企業としてどうやってアフリカに関わり、そこで利益を上げながらプレゼンスを維持していくのかというのがすごく大きな課題だなという感想を持ちました。

モデレーター:青木
私もかなり同感を覚えまして、日本と中国がアフリカ支援、アフリカ援助においてタイアップできればいいなと一般的には思いますが、具体的に見るとなかなか難しいと言えます。例えば中国の支援が非常に不透明だといわれますよね。何故、不透明かというと、高度な政治的な配慮や戦略的な戦略配慮があって、その国の政権を支持する、ワイロをつかませるというようなかたちで、側近と中国側との話し合いで決められたりする。日本はその様なことできませんから時間がかかる。そういう実態があるなかで非常に大づかみの援助が中国によってばら撒かれている。グラントならこれでも構わないのですが、チャイナ・アフリカ・ディベロップメントファンドの借款などはちゃんと返済が前提でなされるわけです。今いったような案件がでてくればどっかで焦げ付くことは容易に見通せるわけで、アフリカの現実を見れば、順調に返済されるのは予想しがたいことです。そうすると最近にコミットしたものが5年先10年先にどんどん焦げ付いていく、最後には返済が不可能になる事態が次から次にでる恐れがかなり高いのではないかと思います。この状況で、日本のやり方で中国と連携するという建前は好ましく見えますが、果たしてどこまでつっこめるのか、懸念せざるを得ないと個人的には思います。中国も愚かではありませんからもし返済が滞れば、地下資源を取り上げるといったような種類の約束があってもおかしくないと思います。ある程度は中国としても戦略的に政治的にやっているから、そこで生ずる焦げ付きは国家、政府として丸呑みしてやるというような余地も残しながらやっているでしょうが、資源を取り上げるとか利用権とか使用権とか得るなどの補填のための対策はとると思います。
最近そういった話が出始めています。私が直接目にした最近の例はジブチです。日本も今インフラ建設に入っていますが、最近の報道によれば中国戦艦がジブチ港に寄港し、大量の中国兵が基地に入ったとのことです。さすがにこれにはジブチ側も驚き、契約の見直しを中国側に求めていると報道されています。その背後にはフランスやアメリカが中国側との契約見直しに圧力をかけているといわれますが、それに類するような話があちこちで出てくる可能性があるでしょう。中国のなりふりかまわない進出に対して欧米がこのまま黙ってみているとはいえず、欧米諸国もそれぞれの立場から色々な対策を講じると思います。日本はそういうことも考えながら、中国との連携も頭に置きながら考えていく必要があると思います。
それでは他にいかがでしょうか?

発言者:武藤一郎 アフリカ協会特別研究員
今日の話を聞いていてテーマの「中国の動向と日本」と若干外れますが、今の議論の流れの中で1つ聞きたいことがあります。去年、タンザニアでカナダのバリックコールドという鉱山会社が、それまで自分のところで自由に輸出していたものを、タンザニア政府がストップをかけて、「分け前をもっとよこせ。さもないと創業をストップさせる」と言い出しました。6ヶ月間操業がストップして、交渉の結果12月に解決して、タンザニアのいうことを聞いて鉱山の上がりの一部を提供することになりました。この顛末をみて、中国はかなり気前よく鉱山資源開発投資を行っていますが、これがあるとき、今のようなホスト政府に乗っ取られるような要求に対して、対抗できるような枠組みをつくっているのか如何か。中国の研究者の意見は、多分、中国政府はその視点を持っているとの認識でした。
先程ワシントンコンセンサスの話しが出ていましたが、ワシントンコンセンサスとは基本的にアフリカに対しては貧困削減であり、中国のやりかたは、かつてはインフラとか資源を中心にした投資だったのが、変わってきていて、農業とか工業の自立化をはかってキャパシティを上げていくというように理解しています。これは非常に重要な観点で、日本も含めてアフリカの自立化は数十年間模索してきたが、なかなかできなかった。むしろ中国が自ら出張って、そのキャパシティに合わせて中国人がその技術を提供して自分達も加わっていくというやり方を、中国の企業がかなりな形で介入している。
鉱物資源への投資は、形はちがえども中国側のコミットメントにおいてはかなり似ていて、だからホスト政府としてみれば困った時にそれを乗っ取るのは大いにありえるなと思います。それに対して中国は何らかの歯止め、予防策というか政治的配慮ももっているのではないか、もし中国の研究者が考えているのであれば是非お聞かせ願いたく、青木先生も何かありましたらよろしくお願いいたします。

モデレーター:青木
前半のインフラ投資をしてその見返りとして資源を得るというこれは中国が独特なやり方とういうことではなく、古くは欧米の金融機関もそういう類のことはやっていました。投資をするときの契約として、払えなくなった時の補填として、資源で返却すると明記されているところが多いわけです。これは裏側で約束しているわけではありません。それから中国がアフリカに対しての戦略を変えてきたという点に関しては、先ほどちょっと触れましたが、資源とか市場だけでなくてアフリカの工業化とかアフリカの経済発展とかを通して、かえってそれが間接的にはなるけれども中国に利益をもたらすという戦略に変わってきたとの話です。
それにそって国有系の企業はこれからやっていくのでしょうが、先程の中国人のアフリカからの流出の件です。元々、中国人のアフリカ流入は、中国の農村から都会に農民工が出てきて建設現場で働くというパターンと同じケースがあり、アンゴラなどでも開発地区に中国人労働者が随分やって来ている。今、アフリカ大陸における中国人人口は100万人と言われていますが、私の推測では、アフリカにいる中国の人はもっと多いと思います。例えば、ヨハネスブルグに在る中国銀行頭取とのインタビューで、彼はヨハネスブルグだけで68万人を数えるとはっきり言っていました。彼に言わせれば、中国人向けの情報誌はそれぐらいの部数を数えており、全体の人口となると100万人では収まらないと言っていました。かつては中国の人たちは農民工的な役割をもち、多くを輩出していた出身村の名称から「保定村」などが象徴的に取り上げられたこともありました。それはともかく、それ以外でも大量の中国人が農民工的仕事以外に従事しているのが現状ですから、アフリカにおける中国の根の張り方は非常に広がっているといえます。彼らの動向も非常に重要な対中感情に影響する重要な要素になるでしょう。現地調査では、中国人のビジネス活動を規制する法律や規制を設けている国も多くなっていますが、こうした状態も今後の対中警戒論や対中国人警戒論に繋がっていく恐れもあります。いずれにせよ中国がこれから戦略をかえて、そのままアフリカサイドで受け入れられていくかは様子をみないと分からないと思います。その関係の推移の下で、中国がアフリカに対してとる危機管理対策も変化していくと思います。
また、中国の対アフリカ戦略の転換とともに大きな変化としては、中国の習近平国家主席の権力の集中化と長期化があります。元々、同主席はアフリカに対して強い関心をもっていると言われており、主席就任後直ちに6回目にあたるアフリカ訪問を行っているほどです。そうした主席が今後具体的にどのようなアフリカ政策を行っていくか大きな関心事ですし、他方でアフリカ大陸の中で親中派といわれたアンゴラのドスサントス、南アフリカのズマ、ジンバブエのムガベなどが権力の座から降りました。その結果、その後の対中関係というのがどうなっていくかも非常に興味があるところです。
予定としてはこのフォーラムは4時までですが、コーヒーも準備も出来ていますので、この後もざっくばらんな意見交換を4時半位までやりたいと思います。
今日は、会場で意見が交差するところは少なかったと思いますが、このテーマに就いては、引き続き議論を展開して行きたく、その際には是非、パネラーとしても参加戴きたいものです。
最後に、横山さんと福田さんには、この難しいテーマを引き受けて戴き、詳しい資料などもお持ち戴いて非常に感謝している次第です。お二人にお礼を込めて拍手を送りたいと存じます。

司会:淺野
それではひと先ず、ここで区切りと致しますが、青木先生からお話のあった様に、コーヒーを準備しておりますので、お時間の許す限りご歓談戴きたいと存じます。  
本日は、誠に有難う御座いました。

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