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- ロシアのウクライナ侵攻3周年での国連総会決議とアフリカの投票行動の変化
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- 【月刊アフリカニュースNo.149掲載】
- 【月刊アフリカニュースNo.149掲載】
- ウクライナの和平促進に向けた国連総会決議
2025年2月24日
https://news.un.org/en/story/2025/02/1160456
ロシアのウクライナ侵攻から3周年の2月24日、ウクライナが国連総会で発議し、欧州諸国が共同提案者となった決議案「ウクライナの包括的、公正、永続的な和平の促進」が賛成93票で可決された。侵攻開始直後の2022年3月2日には、「ロシアの侵攻を非難し、即時撤退を要求する決議案」が賛成143票で可決されたが、この時と比べ、アフリカの投票行動がどう変化したか、下表に示す。
アフリカの投票で特徴的なことの第一は、反対票が大幅に増加したことで、その約半数は軍事政権となりロシアの支援を受けているとされる国だ。第二は、賛成票が大幅に減少し、棄権票が増えたことである。この決議案は従来と異なり、米国がロシアとともに反対票を投じた(中国は棄権)が、その影響を無視することはできないだろう。
尚、米国は同時にロシア・ウクライナ両国の人名喪失を悼む「平和への道」決議案を提出し、93の賛成票で可決された。
- 2024年版民主主義指標:代表制民主主義のどこが問題なのか
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- 【月刊アフリカニュースNo.149掲載】
- 【月刊アフリカニュースNo.149掲載】
- “Democracy Index 2024: What’s wrong with representative democracy”
Economist Intelligence Unit (EIU)、 2025年2月
https://www.eiu.com/n/campaigns/democracy-index-2024/
英国のシンクタンクEIUが、165の国と2地域の民主主義の度合いを、1)選挙の過程と多党制、2)政府の機能、3)政治参加、4)政治文化、5)市民の自由、の観点から0点から10点まで点数づけを行うもの。点数に応じ、各国の政治体制を「完全民主主義」、「不完全民主主義」、「ハイブリッド政体」、「権威主義政体」に分類している。2024年版は代表制民主主義をテーマにしており、主な論点は以下のとおり。
⚫2007年に始まった民主主義の後退が続いている。2006年と比較すると、全体平均点数が5.52から2024年には5.17に落ち、民主的な国(完全民主主義と不完全民主主義の国)の数が79から71に減少した。逆に権威主義国家が55か国から60か国に増えた。
⚫調査によれば、民主主義の価値ついては世界的に認識されている。一方、現実の民主主義については高・中所得国を中心に国民の不満が高まっており、日本を含む12の高所得国における不満の度合いは、49%(2017年)から64%(2024年)に高まった。
⚫その理由の第一は政府に対する信頼の低下で、経済・社会的な格差が広がる中、富裕層の利益が優先されていると感じる国民が多い。2024年には70か国以上で選挙が行われたが、経済的な不満が与党への厳しい票に現れた。汚職が不平等を招くと考える人々も多い。
⚫第二の理由は、政治家の問題だ。政党が伝統的な支持基盤を失うとともに政治家がプロフェッショナル化して国民から離れたこと、政党間の政策の差異が縮小し選択の幅が狭まったこと、テクノクラート中心の政府が短期的問題の解決に注力し、長期的ビジョンを提示できないことだ。また市民が政治に参加する機会も限られている。
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⚫サブサハラ・アフリカの民主化指数は2024年も低下した。クーデターは1件も起こらなかったが、軍事政権の支配が続いている。2024年の選挙では、与党があらゆる手段で政権維持を図る例が多くみられたが、南アフリカの連立政権設立や、ボツワナ、ガーナ、モーリシャス、セネガルの平和的な政権交代は良い兆候だ。
- 2024年版汚職認識度指標
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- 【月刊アフリカニュースNo.149掲載】
- 【月刊アフリカニュースNo.149掲載】
- “Corruption Perceptions Index 2024”
Transparency International、2025年2月
https://www.transparency.org/en/cpi/2024#:~:text=The%20Corruption%
20Perceptions%20Index%202024%20ranks%20180%20countries,
Find%20out%20the%20scores%20and%20read%20our%20analysis.
国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナルが180か国を対象に、専門家や企業関係者の各国での汚職度に関する認識を、13の指標を元に点数化したもの。(得点が高いほど汚職認識度が低い)。2024年版の指数では、気候変動と汚職との関係に着目しており、主な論点は以下のとおり。
独立した制度や自由で公正な選挙制度を持つ国と、権威主義国家との間には汚職度認識に顕著な差がある。EIUの民主化指標(上記2.参照)で完全民主主義とされた国の平均汚職認識度が73点であるのに対し、不完全民主主義国では47点、非民主主義国家では33点となった。また市民の自由度が高い国ほど汚職は少ない。
汚職は気候変動対策に負の影響をもたらす。長年、化石燃料企業や自動車製造企業が政府にロビーイングを行い、温室効果ガス削減に逆行させてきた。特に富裕国の責任が大きい。
気候変動対策資金は元々限られているが、その悪用や、気候変動対策の効果測定指標の曖昧さが汚職の温床となり、脆弱な人々に悪影響を及ぼしている。汚職による規制の弱体化は環境対策法の執行を妨げている。また土地や環境を守ろうとする人々が暴力や脅迫、殺人の犠牲になることもある。
サブサハラ・アフリカは汚職対策施策が弱く、気候対策を難しくしている。指標が低い国が多い中、反汚職に投資し、進歩を見せている国もある。
アフリカで最も汚職認識度が低いのはセーシェル(72点)で、日本(71点)を上回った。それに続くのはカーボベルデ(62点)、ボツワナ、ルワンダ(ともに57点)、モーリシャス(51点)。最も汚職認識度が高いのは南スーダン(8点)、ソマリア(9点)、リビア、赤道ギニア、エリトリア(ともに13点)。
- 「2025年1月期世界経済見通し:多様で、不確実」
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- 【月刊アフリカニュースNo.148掲載】
- 【月刊アフリカニュースNo.148掲載】
- “World Economic Outlook, January 2025: Divergent and Uncertain”
国際通貨基金(IMF)、 2025年1月
https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2025/01/17/world-economic-outlook-update-january-2025
国際通貨基金(IMF)による2025年初の経済見通し。2024年10月に発表された報告書の見直しを目的としており、主な論点は以下のとおり。
2025年及び2026年の経済成長率予測は前回と変わらず3.3%で、2000年から2019年の間の歴史的な平均成長率3.7%を下回る。先進国では、米国が力強い成長を続けるのに対し、ユーロ圏の成長は回復するもののそのスピードは予測よりも遅い。新興国や途上国の経済成長は前回から変わらず安定的だ。
貿易政策の不透明性により、貿易量の減少が予測されるが、それは暫定的なものだろう。脱インフレの潮流は続くだろう。
中期的なリスクは減少方向にあるが、短期的には国ごとに違いがある。米国の経済が上向きなのに対し、ユーロ圏はエネルギー分野の、また中国は不動産分野の調整が必要だ。強い米国経済によるドル高は、新興国や途上国からの資金流出を招く懸念がある。米国の関税引上げや移民政策は米国及び他国の経済成長の鈍化やインフレ圧力につながるリスクがある。
このような中、金融政策は価格の安定回復と同時に経済活動や雇用を支える必要がある。財政政策には債務の抑制とともに、必要な支出を行うスペースが必要とされる。国による金融政策の相違は為替変動や外貨流出につながるリスクがあり、調整のための政策が必要とされる。世界経済の分裂を防ぎ、経済成長を支えるためには、世界貿易機構(WTO)の法的枠組みの遵守などの国際協力が必要だ。
- 2025年のアフリカの見通し- 政治的圧力の中で投資機会を追求する
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- 【月刊アフリカニュースNo.147掲載】
- 【月刊アフリカニュースNo.147掲載】
- “Africa Outlook 2025: Driving investment opportunities amid political pressures”
Economist Intelligence Unit、2024年12月“https://www.eiu.com/n/campaigns/africa-outlook-2025/”
エコノミストグループの一員であるEIUが地域ごとに発表している2025年の見通しのアフリカ版。アフリカは2025年も「魅力的で、ダイナミックで、不安定で、変化が激しい」としている。主な個別の論点は以下のとおり。
2025年に最も高い経済成長率を記録すると予想される20か国のうち3/4がアフリカにあり、また10か国を除く全ての国が2024年の成長率を超えると予想される。一方で高インフレやサプライチェーン断絶などでマクロ経済不調に陥り、IMFのプログラムを受入れている国は28か国に及ぶ。これらの国は持続的成長のため、包括的で包摂的な政策が必要だ。
海外直接投資の急増は難しいとはいえ、外国企業はアフリカの石油・ガスやエネルギー・ディジタル転換に必要な鉱物や金属を活用し続けるだろう。資源を巡る米中の競争は続き、また湾岸諸国は枢要なロジスティクス・ハブの開発を続けるだろう。
米国成長・機会法(AGOA)はトランプ政権にとって安価で、かつ米国の影響力を保持する手段なので、国別の調整を含みつつも延長されるだろう。
域内およびグローバルな大国による地政学的対立は続くだろう。特にアフリカの角では、エチオピア対エジプト・ソマリア・エリトリアという関係及びスーダンの内戦が続き、地域の安定を脅かすだろう。
パンデミック後の経済不調から脱したとはいえ、多くの国が増税か支出減かの選択を迫られており、2025年も大規模な抗議行動や暴動が発生するだろう。
2024年には約20か国で選挙が行われたが、サヘルの軍事政権は選挙を引き延ばしている。2025年の選挙でも与党は苦境に立たされるだろうが、概ね政権を維持するだろう。
- 2025年アフリカの選挙の予定
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- 【月刊アフリカニュースNo.147掲載】
- 【月刊アフリカニュースNo.147掲載】
- “Africa Elections 2025: All the upcoming votes”
African Arguments、 2025年1月7日“https://africanarguments.org/2025/01/africa-elections-all-upcoming-votes/”
1月12日 コモロ(国会)
2月 2日 トーゴ(上院:新規)
2月 トーゴ(大統領)
6月 5日 ブルンジ(国会)
8月 ガボン(大統領、国会)
9月16日 マラウイ(大統領、国会)
9月27日 セーシェル(大統領、国会)
10月 カメルーン(大統領)
10月 コートジボワール(大統領、国会)
10月 タンザニア(大統領、国会、ザンジバル下院、ザンジバル大統領、地方議
会)
12月 カメルーン(国会、地方議会)
12月 中央アフリカ共和国(大統領、国会)
未定 ブルキナファソ(大統領、国会)
未定 エジプト(上院、下院)
未定 赤道ギニア(上院、下院)
未定 ナミビア(州議会、地方議会)
未定 チュニジア(上院)