皆様に参考となる資料を紹介するコーナーです。
お忙しい方でも、手軽にデータやトピックスにアクセス出来るように
工夫しています。
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- 「世界銀行による世界経済見通し:2022年1月」
- 【月刊アフリカニュースNo.112掲載】
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“Global Economic Prospects: January 2022”
World Bank Group、 1月
Global Economic Prospects (worldbank.org)
2022年の世界経済の成長率は、COVID-19の再拡大、財政支援の減少、サプライ側の目詰ま
りにより、2021年の5.5%から大幅に減少して4.1%になると予測されている。2023年の成長率は更に悪化して3.3%となる模様。
生産や投資は、先進国では来年にはパンデミック以前の水準に回復すると見込まれるが、新興国や開発途上国では、ワクチン接種率の低さ、緊縮的な財政・金融政策、長引くパンデミックの悪影響により、回復が遅れる。
状況を更に悪化させる要因は、オミクロン株による経済の停滞、サプライ側のさらなる目詰まり、インフレの亢進、資金不足、気候変動などである。こうしたリスクを低減するため、ワクチンの平等な分配、適切な保健政策や経済政策の実施、最貧国での債務持続性、気候変動による莫大なコストへの対応、などにおいて国際的な協力が重要である。
新興国や開発途上国の政策担当者も、インフレ圧力、先進国の緊縮金融政策の波及、財政スペースの制約などに直面する。長期的には、一次産品価格の変動に対する脆弱性の軽減、所得やジェンダー不平等の削減、保健や気候危機への備えの強化等を含む政策改革を実施することで、成長を推し進めていく必要がある。
サブサハラ・アフリカの成長率は2022年に3.6%、2023年に3.8%と予測されるが、この率は2000年から2019年の平均成長率よりも1%低い。そして1/3の国で1人あたり所得が10年前を下回る。主要貿易相手(中国、ユーロ圏、米国)の経済回復による1次産品価格の押し上げや、観光の回復がプラス要因であるが、6.2%(2021年12月時点)と極めて低いワクチン接種率、サヘル地域やエチオピアでの治安悪化などがリスク要因である。
- 「2021年アフリカ経済開発報告」
- 【月刊アフリカニュースNo.111掲載】
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“Economic Development in Africa Report 2021”、
国連貿易開発会議(UNCTAD)、12月8日公開
Economic Development in Africa Report 2021: Reaping the Potential Benefits of the African Continental Free Trade Area for Inclusive Growth (unctad.org)
「アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が包摂的成長にもたらす便益を確保するために」
の副題の下に発表された本報告では、AUアジェンダ2063が目指す、繁栄し統合された
アフリカを実現するためには、2021年1月に発効したAfCFTAが貿易自由化政策だけで
なく、多角化や包摂性を確保する政策によって補完されるべきだと主張している。
その主要メッセージは以下のとおり。
* 1日1.9ドル以下で生活する人々は40.2%(2010年)から34.4%(2019年)に
減少したが、所得格差を表すジニ係数は27.6%(アルジェリア)から63.3%
(南アフリカ)まで幅がある。パンデミックは経済成長や所得配分に悪影響
を与えている。
* 貧困削減と包摂的成長を達成した国は17か国、包摂性なき貧困削減を達成
した国は18か国、そのどちらも達成できなかった国が14か国ある。
* 地域貿易統合は包摂性を促進する。域内貿易における障壁の撤廃は新たな
貿易機会をもたらす。
* 域内貿易による輸出増は216憶ドルと見積もられるが、その障壁の1/3は貿易
摩擦。
* AfCFTAに基づく域内関税自由化は2025年までに92憶ドルの輸出増をもたらす
可能性がある。
* AfCFTAによる域内バリューチェインの強化は、パンデミック後のアフリカ諸国
の強靭性を増し、特に医薬品や食料供給に効果があると期待される。
* 域内貿易における包摂性を増すためには、国内企業や女性企業家の参加を促す
必要がある。
* 市場の寡占や規制などによる国内外市場への参入障壁を撤廃し、中小企業の
参入を促すためには、投資・競争政策における長期の協力が必要である。
* AfCFTAの潜在性を引き出すためには、一貫性のある政策や戦略の実施、貿易
ルールの調和化、そして政策の連続性が重要である。
* 中小企業を強化しその権利を守るためには、財政的・政治的コストや能力不足
などを含むAfCFTAの紛争調停機能に関する課題を解決する必要がある。
- 「アフロバロメーターの調査」
- 【月刊アフリカニュースNo.111掲載】
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1)“Do Africans want democracy – and do they think they’re getting it”、
Afrobarometer、Joseph Asunka and E. Gyimah-Boadi、11月2日
Do Africans want democracy — and do they think they’re getting it?
| Afrobarometer 2)“Africans welcome China’s influence but maintain democratic
aspirations”、
Afrobarometer、Josephine Appiah-Nyameke Sanny and Edme
Salomey、 11月15日
ad489-pap3-africans_welcome_chinas_influence_maintain_democratic
_aspirations-afrobarometer_dispatch-15nov21.pdf
アフロバロメーターは1999年に創設された汎アフリカ研究機関で、自国の民主主義、
ガバナンス及び経済社会状況に関する国民の意識調査を定期的に行っている。
各国に対して同じ質問項目で対面調査を行い、国別の集計と、調査対象国全体の集計
を行っている。当初の調査対象国は12か国であったが、2019年から2021年にかけて
実施された最新の第8ラウンドの対象は34か国に拡大した。第8ラウンドは国別の集計
が終了しつつある段階。また調査結果を元に記事やブログを発表している。
今回は2本の記事を紹介する。
1)「アフリカの人々は民主主義を望んでいるか?彼らは民主主義に近づきつつある
と感じているか?」
アフロバロメーターは民主主義とガバナンスを中心テーマとしており、バイデン
大統領が主催する民主主義サミットにも参加する。過去10年間、アフリカの民主
主義が減退する兆候があり、さらにパンデミックはいくつかの政権に自由を制限
する口実を与えた。しかしアフリカの人々の69%は民主主義を最良の政治形態で
あるとしている。主な調査結果は以下のとおり。
質問項目 回答率 10年前の回答
民主主義が最良の政治形態だ 69% 73%
軍事政権を否定 75% 76%
一党制を否定 77% 78%
議会による大統領の監視を支持 67% 66%
大統領の任期制限を支持 77% 75%
選挙が指導者選出の裁量の方法だ 75% 83%
大統領は常に法と司法に従うべきだ 77% 67%
政府の任務は正しい仕事をすること
よりも、国民に対して説明責任を
果たすことだ 62% 52%
自国の政体は完全、もしくは少々問題
がある程度の民主主義だ 52% 54%
自国の民主主義に満足している 43% 50%
自国政府は汚職を抑え込んでいる 32% 36%
大統領は法と司法に従っている 56% 60%
これらの調査結果から読みとれるのは、民主主義や選挙という制度を支持するが、
選挙だけでは民主主義やガバナンスを保証することはできず、政府のアカウンタ
ビリティや市民の参加も必要だと考える人が増えたということだ。しかし政治の
実態は人々の期待に沿っていない。そこには民主主義に対する需要と供給のアン
バランスがあり、各国の政府は国民が民主的で効果的で責任ある社会に暮らした
いという希望に応えていない。
2)「アフリカの人々は中国の影響を歓迎する一方、民主主義への期待も維持している」
過去20年間に中国とアフリカの政治・経済関係は深まり、貿易量も110億ドル
(2000年)から1,920憶ドル(2019年)に増大した。アフリカへの最大のドナー
は依然として米国であるが、中国はインフラ建設への最大の資金提供者である。
しかし中国の投資やアフリカ諸国との関係は議論を呼び起こしてきた。中国は
アフリカを「債務の罠」に陥らせようとしている、あるいは資金提供を通じて
自国の政治理念をアフリカに広めようという疑いもある。ではアフリカの人々
は自国やその経済への中国の関わりをどう見ているのだろうか?2019年から
2021年にかけて行われた48,000人以上のインタビュー結果によれば、
* 33%の人々が自国の開発モデルとして最適なのは米国だと考えており、
中国は2位(22%)。中国が最良のモデルと考えている人が最も多い国は
ベニン、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、ボツワナの5か国。
* 63%の人々が自国に対する中国の政治的、経済的影響を肯定的にとらえて
いる。否定的な見方は14%に過ぎない。この割合は米国もほぼ同様
(60%と13%)。
* 過半数(59%)の人々が、中国の経済活動は自国経済に幾分、もしくは
大いに影響あると考えているが、その率は5年前の71%から激減した。
* 中国が自国に無償資金や借款を供与していることを知っている人々は
47%に過ぎない。その中で57%の人々が、自国政府は中国から借り過ぎ
だと考えている。
* 開発モデルとして最適なのは米国か中国かという選択と、民主主義や
民主的規範に対する支持との間には相関関係がない。
* 最も重要な国際言語は英語だと考える人が69%であるのに対し、中国語
だと考える人は3%に過ぎない。
- 「アフリカ開発銀行によるサブ地域経済見通し」
- 【月刊アフリカニュースNo.110掲載】
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North Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
East Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
Southern Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
West Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
Central Africa Economic Outlook 2021 | African Development Bank
– Building today, a better Africa tomorrow (afdb.org)
* 共通テーマは、“Debt Dynamics: The Path to Post-COVID Recovery”
- 「国際債務統計」
- 【月刊アフリカニュースNo.110掲載】
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“International Debt Statistics 2022”、
World Bank. doi:10.1596/978-1-4648-1800-4
International Debt Statistics 2022 (worldbank.org)
* 低・中所得国への純資金流入量は前年に引き続き、2020年も減少した。
純債務流入額は前年比9%増加したが、純資本流入額が15%減少した。
海外直接投資は14%減少して過去10年間で最低レベルとなり、
ポートフォリオ資本投資は19%減少した。
* 低・中所得国への純資金流入の半分は中国向けである。2020年の中国への
純資金流入額は33%、純債務流入額は62%、純資本流入額は12%増加した。
中国以外の低・中所得国では純資金流入額は26%、純債務流入額は21%、
また純資本流入額は31%減少した。
* サブサハラ・アフリカの対外債務は2010年から2020年の間に、債務総額の
輸出比は76%から205%に、債務総額のGNI比は24%から44%に、債務返済の
輸出比は5%から22%にそれぞれ増加した。一方短期債務総額は16%から10%
に減少した。国際金融機関からの対外債務は19%から20%へと変化がなかった。
対外債務に対する外貨準備高は51%から21%に減少した。
- 「世界経済の見通し」
- 【月刊アフリカニュースNo.110掲載】
-
“Fostering Effective Energy Transition 2021 edition”
“World Economic Outlook 2021: Recovery during a pandemic – health concerns, supply disruptions, and price pressured”、
IMF、2021年10月
World Economic Outlook, October 2021 (imf.org)
* 新型コロナウィルス感染の再拡大にもかかわらず、世界経済の回復は続いている。
* ワクチンへのアクセスと政策的支援が鍵となる。雇用の頭打ち、インフレの亢進、
食料供給の悪化、人的資源蓄積の減退、及び気候変動など多面的な問題への対策
の余地は限られており、政策の選択は困難度を増している。
* 2021年の世界の経済成長率は5.9%、2022年は4.9%と予測されている。
2021年の成長率は7月の予測値よりも0.1%減少したが、その理由は先進国における
サプライチェーンの混乱と途上国における感染症の拡大である。
* 世界的なワクチンへのアクセスの拡大、経済困難に直面する国への債務削減、
気候変動の緩和と適応への多国間の取り組みが鍵である。
* 国レベルでは、政策の信頼性を保持しつつ最大限の雇用を維持するために、各国の
感染と経済状況に応じた独自の政策ミックスを継続すべきだ。
* ポストコロナ経済への準備が肝要だ。