
皆様に参考となる資料を紹介するコーナーです。
お忙しい方でも、手軽にデータやトピックスにアクセス出来るように
工夫しています。
ご興味のある資料は検索してみて下さい。
- 「2023 年 10 月世界経済見通し:グローバルな相違の舵取り」
-
- 【月刊アフリカニュースNo.133掲載】
- 【月刊アフリカニュースNo.133掲載】
- “World Economic Outlook, October 2023: Navigating Global Divergences”
IMF、2023 年 10 月
World Economic Outlook, October 2023: Navigating Global Divergences (imf.org)
国際通貨基金(IMF)が四半期ごとに発表している経済見通しの最新版。今期の主な
点は以下のとおり。
⚫ 世界経済は昨年末に底を打ち回復基調にあるが、そのスピードは遅い。経済成長率は 2022 年の 3.5%から 2023 年には 3%に、さらに 2024 年には 2.9%に下がると予測される。一方インフレは 2022 年の 9.2%から 2023 年には 5.9%に、そして 2024年には 4.8%に下がる見込みだ。
⚫ 経済鈍化は高所得国でより深刻で、米国経済は予想外に回復したものの、ユーロ圏で回復が遅れている。新興国は回復しているが、不動産危機に直面する中国は例外だ。
⚫ 銀行セクターの不安定化は避けられたものの、ダウンサイドリスクは依然存在す
る。主に 1)中国の不動産危機と信用の失墜、2)地政学的緊張による商品価格の
変動、3)減少したとはいえまだ高いインフレ率。
⚫ インフレに対する金融引き締め策を緩める時期の見極めは重要だ。また財政政策
は金融政策と連動しなければならない。
⚫ 中期的展望に目を転じるならば、特に新興国や開発途上地域での成長の見通しが
弱く、生活水準の向上が遅れる。構造改革を進めなければならない。また、国家間
の政策の調和が必要だ。
- 「2023 年アフリカ選挙:年末までの予定」
-
- 【月刊アフリカニュースNo.132掲載】
- 【月刊アフリカニュースNo.132掲載】
- “Africa Elections 2023: All upcoming votes”
African Arguments、10 月 4 日
Africa Elections 2023: All the upcoming votes | African Arguments
10 月 10 日 リベリア(大統領、国会)
10 月 11 日 モザンビーク(地方議会)
10 月 29 日 マリ(国会上下院)
11 月 9 日 マダガスカル(大統領)
12 月 20 日 コンゴ(民)(大統領、国会、地方議会)
12 月 20 日 マダガスカル(大統領決戦投票:必要に応じ)
12 月 トーゴ(国会)
年内に予定されているが、期日未定のもの
コモロ(島知事)
エジプト(地方議会)
ガーナ(県、地方議会)
ギニア(地方議会)
リビア(大統領、国会)
- 「2023 年版中国世界投資指標:一帯一路の次の10 年」
-
- 【月刊アフリカニュースNo.132掲載】
- 【月刊アフリカニュースNo.132掲載】
- “China Going Global Investment Index 2023: The Belt and Road Initiative’s second decade” Economist Intelligence Unit、2023 年9月
China Going Global Investment Index 2023 – Economist Intelligence Unit (eiu.com)
習近平主席が一帯一路イニシアティブを発表した 2013 年から 10 年後の中国の海外投資の傾向を、80 の投資先に関して量的に示すもの。主な論点は以下のとおり。
●中国の海外投資は現在の国際環境の中では中国にとって必要なものであり、一時の停滞はあっても今後も拡大が続き、2024 年には世界第二の投資国になるだろう。しかしその量は中国の経済規模に比べれば小さい。
●シンガポールが最大の投資先で、東南アジアがその成長可能性から重要性を増した。新興国への投資も増えてきた一方、最近の国際環境を反映して主要先進国への投資は減少した。ロシアやイランへの投資はリスクの点から減少した。
●投資目的を細分化すると、第一の市場の拡大では、中国に競争力がある家電、IT、通信、再生可能エネルギー、自動車などが中心。魅力的な投資先は東南アジア、南アジアだが、アフリカ(タンザニア、エチオピア、アンゴラ、ナイジェリア、ケニア)も含まれる。
● 第二のサプライチェーンの形成という観点でも東南アジアに優位性がある。北アフリカ(エジプト、モロッコ)やトルコも低付加価値製品や倉庫などで魅力を増している。
● 第三の天然資源の確保では、中国のアプローチはより計画性を増している。農産品やリチウム、コバルト、ニッケルなどの戦略鉱物が石炭を凌いでいる。湾岸諸国に加え、地理的に近い中央アジアが投資先となる一方、アフリカは政情不安や規制などのリスクにより、上位にある国は少ない(ナイジェリア、コンゴ(民)のみ)。
●第四の技術の取得は、過去には大きなウェートを占めていたが、西側との競争が激化する中でその比重を減らしている。しかし非戦略産業、たとえばゲームなどでは日本、韓国、EU への投資が続いている。
2023 年の投資先トップ 10
( )内は2013年順位
1位 シンガポール( 2)
2位 インドネシア (44)
3位 マレーシア (18)
4位 香港 (3)
5位 タイ (35)
6位 ベトナム (41)
7位 スイス (7)
8位 UAE (1)
9位 サウジアラビア(15)
10位 チリ (22)
主要先進国への投資の変化
2013年順位 -> 2023年順位
米国 1位 -> 28位
日本 4位 -> 36位
ドイツ 10位 -> 26位
イギリス 19位 -> 60位
ドイツ 20位 -> 30位
- 「2022 年版アフリカの気候の状況」
- 【月刊アフリカニュースNo.131掲載】
-
“State of the Climate in Africa 2022” World Meteorological Organization 、2023 年9月
State of the Climate in Africa 2022 (arcgis.com)
世界気象機関が地域ごとに発表している気候に関する年次報告書。アフリカに関する2022 年版報告書は、9 月4 日からナイロビで開催されたアフリカ気候サミット(アフリカニュース参照)の直前に発表された。主な論点は以下のとおり。
● アフリカ大陸の平均気温は上昇を続けており、1991 年から2022 年の間は、世界平均よりも上昇率が高い。
● 2022 年の地域別の異常気象は、11)北部:熱波と火災、22)中西部:洪水、特にサヘル地域、33)東部:干ばつ、特にアフリカの角地域、44)南部及び南西部インド洋:サイクロン。
● 気候に関連するリスクの社会的な影響としては、11)農業生産性の低下(北部及び東部)、22)避難民の増加(東部及び南部)。
● 政策面では、アフリカは炭素排出量の22~33%しか責任がないにもかかわらず、排出21を最小にするウィン・ウィン政策をとっている。気候に対して強靭な経済、特に農業、食料、インフラには巨額の投資が必要。また気象観測への投資や災害リスク軽減に関する能力強化も必要とされる。
● 今後の戦略としては、現在アフリカの人口の6060%が恩恵を受けていない早期警報システムの充実や、災害の被害軽減のための予防策(ハザードマップ作成、災害に強い施設建設等)が必要。そのためには革新的な資金メカニズムが求められる。
- 「アフリカのオペレーション・リスクの見通し:世界的に不安定さが増す中での備え」
- 【月刊アフリカニュースNo.131掲載】
-
“Africa’s operational risk analysis: prepare for challenges amid global instability”
Economist Intelligence Unit、8 月23 日
Africa’s operational risk outlook Economist Intelligence Unit (eiu.com)
各国でのビジネスのオペレーション上のリスクを10 のカテゴリーについてスコア化し、将来の予測を示すもので、20232023‐2024 年のアフリカの状況についての分析は以下のとおり。
● ウクライナ戦争やCOVID19 の影響はあっても、人口増加に支えられた経済成長により、大陸全体のマクロ経済状況は前年に比べて悪くなっていない。政治の安定と政府の効率性が、リスクに対して最も大きな影響を与える。
● 対象51 か国中、2022 年終盤よりもリスク見通しが悪化したのはガーナ、エジプト、スーダンを含む16 か国。好転したのは、タンザニア、中央アフリカ、エチオピアなどの11 か国。
● 2024 年に高い確率で起こり、そのインパクトが大きいと予想されるのは、11)資金ニーズが増大する中での債務負担(多くの国でユーロボンドが来年満期を迎える)、22)エル・ニーニョ現象による干ばつや水不足(中部、南部)と多雨(東部)、33)生活条件の悪化に伴う国民の不満の高まりと富裕な外国人への攻撃、44)インフラの未整備と劣化による地域内連結性の欠如(AfCFTA の進捗が遅れている原因でもある)。
● これらに加え、確率は中程度だが、スーダン内戦に象徴される避難民の増加やそれに伴う治安の悪化もビジネスへのインパクトが大きい。
- 「2023年版世界投資報告 - 万人のための持続的エネルギーへの投資」
- 【月刊アフリカニュースNo.130掲載】
-
“World Investment Report 2023, Investing in Sustainable Energy for All”
UNCTAD、2023年7月
World Investment Report 2023 | UNCTAD
国際連合貿易開発会議(UNCTAD)による年次報告で、10月に開催される世界投資府フォーラムでの議論の材料として提供されるもの。主な論点は以下のとおり。
● 2022年の世界全体の海外直接投資(FDI)は前年比12%減少し、1.3兆ドルにとどまった。エネルギー・食料価格の高騰やウクライナ戦争等の要因に伴うこの傾向は2023年にも続くと予想される。一方で、グリーンフィールド投資は増加した。
● 発展途上国全体のFDIの伸びは4%だったが、アフリカでは2019年のレベルに後退した。しかしグリーンフィールド投資は資金額にして15%増加した。
● SDGsに関する投資は増加したが、2030年までに必要な投資額とのギャップは2.5兆ドルに拡大した。再生エネルギーへの投資の伸びは鈍化した。
● 政策面では、安全保障の観点から投資のスクリーニングを行う国が特に先進国において増え、2022年のFDI投資残額の68%に相当した。また化石燃料への補助金が世界全体で1兆ドルとなり、エネルギー転換を妨げている。
● 資本市場においては、持続性をテーマとする投資が堅調で、債券やファンドなど全形態の合計で総額5.8兆ドルに達した。持続性への投資は環境・社会・ガバナンス(ESG)投資よりも好調だった。
● 温暖化の上限1.5度という目標を達成するためのエネルギー転換への投資ニーズは膨大で、2050年までに現在のGDPの1.5倍の資金を必要とする。資本コストの高さが障壁であり、発展途上国ではより効果的な方策、たとえば固定価格買取制度、電力料金の保証、需要予測に基づくオークションなどが必要だ。