フォーラム
2026年

学術研究会 第15回研究発表会

  • 学術研究会 第15回研究発表会
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    本報告は、西アフリカにおける初等教育段階の留年・退学問題に対し、教育行政および学校自身が有効と認識する対策を起点として、日本のNGOであるル・スリール・ジャポンがそれを実装してきた実践を比較・分析するものである。
    2015年から2019年まで活動を行ったブルキナファソと、2021年から活動を開始したベナン共和国を対象とし、いずれも家庭学習が問題解決のために重要であると指摘された点は共通していたが、その実現のためのアプローチは異なる。両国での実践から、留年・退学問題は児童や家庭の意識の問題に還元できず、学習を可能にする地域包括的な条件整備の重要性がある。

    ■報告者:石田純哉 氏  特定非営利活動法人ル・スリール・ジャポン 理事長、事業責任者
    ■報告タイトル:『「正解」を持たずに始めた学びの場の支援~留年・退学問題に取り組んできた西アフリカの小学校から~』
    ■日時: 2026年2月3日(火)14:00~15:30
    ■司会: 青木一能 アフリカ協会学術研究委員会委員長(日本大学名誉教授)
    ■概要:『なぜアフリカ諸国は、ロシアや中国に傾くようになったのか。なぜ現地では、国際ロマンス詐欺や西側諸国を批判する陰謀論が台頭してきたのか。2003年より西アフリカを行き来するなか、SNSの普及を背景に人びとは「先進国」や「経済大国」との関係に疑念を膨らませるようになった。世界のパワーバランスが揺らぐ今、人びとの声に耳を澄ませることで、国際協力と日本の対アフリカ外交のありかたを問い直す。』

    講演概要は、機関誌「アフリカ」2026年春号にて報告を掲載致しましたのでご参照願います。
    また、講演内容は当協会HPに掲載しておりますので、ご視聴願います。
    講演内容をご覧いただけますので、ご参照願います。


第7回大使を囲む懇談会開催

  • 前駐マラウイ大矢大使を囲む懇談会
  • 2月12日、国際文化会館において、大矢洋一・前駐マラウイ大使を囲む懇談会が開催されました。概要は次のとおりです(会場参加15名、オンライン参加8名)。

    【講演要旨】
    1.現在マラウイは、世界でボトム5か国に入る最貧国である。最近の急激な物価上昇(年率30%)や燃料不足に加え、汚職の蔓延など、深刻な問題を抱えている。 他方で現在2200万人の人口が、2030年には3000万人にまで増加すると推計されている。現時点では人口増加に伴い、ひとり当たりGDPは下降を続けているが、将来は人口ボーナスの恩恵を大いに受けることが期待される。
    2. 2025年9月に実施された総選挙(大統領、国会、地方議会)を中心に、最近の内政動向を取りまとめると次のとおり。
    (1)前回(2019年)の大統領選挙では、選挙結果に対する野党の異議申し立てを憲法裁判所が認め、再選挙が実施された。マラウイでは、かねてより「法の支配」や「民主主義」が重視されてきたが、今回も司法判断により再選挙が行われたことから、「法の支配」が実践されているとして評価されている。
    (2)今回の大統領選挙の前哨戦は、2024年に始まった。選挙運動がヒートアップするにつれて、政党間の駆け引きも激しさを増し、一時的に暴力的な応酬も見られた。最終的には、選挙管理委員会が認めた17名の候補者による争いとなった。選挙当日、自身も投票所を視察したが、平穏かつ整然と投票が行われていた。投票率は約60%であった。
    (3)選挙戦についての現地外交団の事前予想は、与党MCP(マラウイ議会党)のチャクウェラ大統領と 野党DPP(民主進歩党)のムタリカ前大統領の一騎打ちになるというものだったが、選挙結果はムタリカ候補(85歳)が57%の得票率で当選し、大統領に返り咲いた。チャクウェラ候補の得票率は33%であった。 ムタリカ候補については、ほとんど選挙運動らしいことをしていなかったので、この57%という数字は、外交団の間では驚きをもって受け止められた。
    (4)新政権の公約は712件にも及び、中等教育の無償化、農業補助金の拡充など巨額の財源を必要とするものが含まれており、実現可能性を疑問視する向きもある。また、主要閣僚の中には、かつて汚職で訴追された人物も含まれており、この新内閣が国民の信頼を得られるのかも重要なポイントである。なお、新政権の発足以降、旧政権幹部への、いわば「復讐」が始まっている。彼らの過去の行状についての調査が警察権力を使って行われているようである。

    【質疑応答】
    講演に引き続き質疑応答が行われました。参加者からは、多岐に亘る質問が途切れることなく続き、①空港近代化の可能性、②日本からの投資が期待されている分野は何か、③中国、ロシアとの関係、④USAID撤退後の欧米との関係、⑤電力供給の現状、⑥Z世代と呼ばれる若者たちの動向、⑦タバコの生産・日本への輸出の見通しなど、合計13問に及びました。これに対して大矢大使からは、ひとつひとつ非常に丁寧な回答がありました。


第6回大使を囲む懇談会開催

  • 山中前駐ジンバブエ大使を囲む懇談会
  • 1月20日、国際文化会館において、山中晋一・前駐ジンバブエ大使を囲む懇談会が開催されました。概要は次のとおりです(会場参加 15名、オンライン参加11名)。

    【講演要旨】
    1.ムナングワ大統領は現在2期目(任期は2028年まで)であるが、内政は安定している。憲法上は3選禁止となっているが、任期を2030年まで延長しようとする動きがあり、今後の動向は注視すべし。昨年、同大統領は万博ナショナルデーとTICAD9出席のため2度訪日したが、ジンバブエ側の日本に対する期待は高い。因みに、コベントリーIOC会長はジンバブエ出身で、元競泳女子のオリンピック金メダリストである。
    2.インターネットで当国を検索すると、とかくネガティブな情報ばかりが目に入るが、経済は2009年以降プラス成長が続いており、昨年の経済成長率は6.6%であった。インフレは年17%程度であるが、最近の金融引締め政策の効果で、次第に収まりつつある。経済面の問題としては、①230億ドルの公的債務(うち対外債務は170億ドル)と②インフォーマルセクターの割合が高い(50%とも言われる)ことが挙げられる。債務問題については、2022年末に主要ドナー等との対外延滞債務の解消に向けた対話が開始された。 また首都ハラレでは、現地経済が経済指標以上に好調に見えるが、これはインフォーマルセクターのなせる技であり、一部富裕層がマネーロンダリングにより豊富な資金を得ている等々言われている。
    3.日系企業は、現在2社(日本人駐在員ゼロ)のみであるが、特筆すべきは、三重県にある「万古焼土鍋」の製造会社が、土鍋の原料としてジンバブエ産のペタライトを60年以上使い続けていることである。最近、中国がペタライト鉱山を買収したため一時輸入が滞ったが、日本大使館による支援もあり、輸入が再開された。  また、日本向けに胡麻の輸出が開始され、コーヒーも20年ぶりに輸出が再開された。この他、AI開発等に取り組む企業(ペガラジャパン合同会社)が、ジンバブエのIT人材に目をつけ、日本での研修事業を始めたことも併せ紹介しておきたい。
    4.中国は最重要の相手国である。大統領始め政府要人は、毎年中国詣を続けているが、中国の当地でのプレゼンスも大きい。中国は、かつては大規模インフラ支援を行っていたが、債務問題が深刻になるにつれ、最近では小規模の支援や人材育成が中心となっている。また中国人による民間ビジネスも拡大しており、金やリチウムなど鉱物資源関連ビジネスが活発化している。
    5.ロシアも、中国と同様重要な相手国で、大統領始め政府要人は毎年ロシア詣を続けている。ロシアとは軍事面での協力が中心であるが、宇宙分野でも2機目の人工衛星の打ち上げがロシアの協力で行われた。なお、初の人工衛星は2022年にJAXAの協力を得て打ち上げられた。なお、ロシアは毎年150名のジンバブエ人留学生を受け入れている。
    6.欧米との関係については、2000年以降、白人農家からの土地収用等を理由とする経済制裁措置が実施され、一部は緩和されたものの現在も継続している。当国政府は欧米との関係改善を目指しており、最近、土地を収用された94人の白人農場主に対して、一部補償金が支払われた。また、欧米が問題視していた死刑制度も廃止された。なお、欧米諸国はNGOなどを通じた支援は行っている。

    【質疑応答】
    講演を受けて、会場からは多くの質問が寄せられました。その内容は、(1)対外延滞債務解消の見通し、(2)収用された土地は有効活用されているのか、(3)複数通貨制度の2030年以降の見通し、(4)日本政府の対ジンバブエ援助方針、(5)過去の水案件へのリハビリ無償の可能性、など多岐に亘りましたが、山中大使からは、ひとつひとつに対して丁寧な回答がありました。


第5回大使を囲む懇談会開催

  • 岩井駐エジプトを囲む懇談会
  • 12月18日、国際文化会館において岩井文男駐エジプト大使を囲む懇談会が行われました。概要は次のとおりです(会場参加 20名、オンライン参加 13名)。

    【講演の要点】
    1.内政:エルシーシ大統領は、現在3期目を務めている。憲法上2030年まで任期が続く。経済の現状は、食料品、ガソリンなど物価が急上昇しており、一般市民にとって厳しいものがある。他方で国民には「アラブの春」後の混乱期の苦しい記憶があるので、現状維持と安定を望む傾向が強い。現状、国民の多くは現大統領を支持している。本年実施された下院選挙でも、一部で再投票など混乱もあったが、最終的には親政府政党が多数を占めると見られる。
    2.経済:外貨不足の問題が顕在化していたが、湾岸諸国からの大型不動産投資により状況は緩和。中国、トルコ、インドなどの新興国からの投資も活発。マクロ経済は総じて順調に改善しているが、個人的に「エジプトの弱点」は、外的ショックに対する強靭性の不足であると思料するだと思っている。この点に関して政府は、最近の度重なる外的ショックに対して、経済構造改革や貧困層対策などで改善解決を図っている。
    3.外交:地域大国として、スーダン、リビア、ガザなどの地域紛争を仲介に介入。最近ではイラン、サウジディアラビアにまで関与。ガザに関しては、10月にシャルム平和サミットを米国と共催した他、ガザへの人道物資支援にも積極的に関与しているた。なお、ナイル川の水の確保に関し、大エチオピア・のルネッサンス・ダム(GERD)を巡り、エジプト憲法の規定との関係もあり、エチオピアとは緊張関係にある。
    4.エジプトの投資環境: (経済データを日本と比較しつつ)人口が昨年1年で170万人増加し、今後も長期間人口ボーナスは続く見通しである。また政府は、外国からの投資の受け入れに積極的であり、投資フリーゾーン庁専門機関(GAFI)を設立して、問題には真摯に対応している。現地労働者の雇用費用も周辺国と比べて安価。労働者の質も高く、手先も器用。英語の他、国内の日本語話者数は多く、エジプトを除いたアフリカ全土や中東全土と比較しても多い。他方、エジプトの大手企業は国外進出を活発化させているが、彼らには日本企業との協業への期待も高い。従って、エジプトは今が「買い」であり、進出するなら今である。(この関連で、在エジプト日系企業の主な生産拠点や事業内容についても詳細な説明があった。) 
    5.二国間経済協力:これまで日本政府は、「日本病院」、スエズ運河橋、オペラハウスなど、数多くのインフラ施設を建設してきた。本日は特に①大エジプト博物館(GEM)、②EJEP(エジプト・日本教育パートナーシップ)、③カイロ・オペラハウス(国立文化センター)の3件について紹介する。①GEMは、11月1日に全面開館したが、開館式典には彬子女王殿下ほかが出席された。②エジプト日本学校(EJS)は現在69校開校しているが、更なる拡大(500校まで)を目指している。現在、約1000校のEJS・公立学校で日本式教育が実施されているが、約75万人が受講中である。③カイロ・オペラハウスは、過去に火事で焼失した経緯があるが、再建され、日・エジプト協力の象徴的な文化施設となっている。現在、バレエ団には多くの日本人バレエ・ダンサーが、オーケストラにはトランペット奏者1名が所属している。

    【質疑応答】
    講演を受けて質疑応答が行われました。会場からは、(1)エジプト・中国関係、(2)外貨不足の実態、(3)現地医療環境、(4)現地治安情勢、(5)日本式教育が現地でこれほど高く評価される理由、日本人学校との関係、(6)新行政首都(NAC)の現状など、様々な質問が寄せられ、岩井大使からはひとつひとつに丁寧な回答がありました。

                                          

                       


「アフリカの文化と芸術を知る」シリーズ 第6回講演会

  • 「アフリカの文化と芸術を知る」シリーズ 第6回講演会
  • 「アフリカの文化と芸術を知る」シリーズ 第6回講演会

    第6回目の講演会は講師に東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 助教の村津 蘭氏をお招きして、アフリカにおける宗教、特に伝統的な呪術、妖術とキリスト教との関係などについてお話を伺います。
    広大なアフリカ大陸の文化は多種・多様であり、特有の特徴を持っているさまざまな部族の混合物で構成されています。アフリカ文化の表現は豊富であり、またその独特な美術の形態と多くの文化遺産によって世界中から高い評価を得ています。皆様にとり非常に興味深いシリーズであると期待しています。

    概要
    日時:  2026年1月15日(木)14:00~15:30
    場所: オンライン(ZOOM)
    テーマ: 「アフリカの宗教-呪術、妖術、キリスト教」
    講演者: 村津 蘭  東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 助教

    司会:  井谷善惠  東京藝術大学グローバルサポートセンター非常勤講師、帝京大学医学部客員教授、日本コーヒー文化学会会長、アフリカ協会文化・社会委員会委員

    講演概要は、機関紙「アフリカ」春号にて報告いたしますが、内容をご視聴されたい方々は協会HPにて講演内容をご覧いただけますので、ご参照願います。


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