
「アフリカの感染症を知る」シリーズ第11回講演会

- 「アフリカの感染症を知る」シリーズ第11回講演会
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今回お話を頂く国連人口基金エリトリア事務所長の大橋慶太氏は、モントリオール大学
大学院にて人口統計学を学ばれた後、国連人口基金(UNFPA)に勤務され、セネガル、ニューヨーク本部アフリカ局、チャド、コンゴ民、ガボンでの活動に従事され、現在はエリトリアにて、政府機関への国別援助プログラムの計画、実施、評価のほか、家族計画プログラムの推進、性差に基づく暴力の削減、人口保健調査への技術援助など広く携わっていらっしゃいます。
エリトリアは、アフリカ大陸北東部に位置する国ですが、暑い半乾燥気候・砂漠気候・亜熱帯性高原海洋性気候など混在する、寒暖差が激しくまた降雨量の少ない風土です。
エリトリアでの感染症としては、マラリアを筆頭に肝炎、狂犬病、ポリオや腸チフスなどが
見受けられますが、他方近年世界的に流行したCOVID19に関してはあまり発生していないとの情報もあります。独裁国家としても知られている同国の感染症対策について、興味深いお話が聞けるものと期待しております。概要
日時: 2024年7月4日(木) 14時から15時30分
場所: オンライン(ZOOM)
テーマ: 「エリトリアの感染症対策」
講演者: 大橋 慶太 国連人口基金 エリトリア事務所長司会 : 池上清子 アフリカ協会副会長、 野口英世アフリカ賞選考委員、
公益財団法人アジア人口・開発協会副理事長講演会の概要は、機関紙「アフリカ」夏号に掲載致します。また協会HPにて講演内容を視聴できますので併せてご参照願います。
第3回大使を囲む懇談会開催

- 原ジプチ大使を囲む懇談会
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2024年度第3回原ジプチ大使を囲む懇談会
6月14日、原駐ジブチ大使との懇談会が国際文化会館において開催されました。原大使による講演の要点は次のとおりです(会場参加17名、オンライン参加11名)。
1. ジブチは、①紅海とアデン湾の間の「チョークポイント」を形成する、地政学的に重要な位置にあり、②周辺に政情不安の国が多い中、際立って安定している。対岸のイエメンとの距離は30km未満だが、最近のホーシー派による攻撃で、この海域は危険に晒されている。欧州と日本を結ぶ航路も、今やこの海域を避け、喜望峰沖を迂回している。
2. ジブチは人口100万人の小国ではあるが、その港はアフリカ大陸の巨大マーケットへの玄関口である。気候は厳しいが、政情は安定、治安も良い。ジブチ・フランは米ドルと固定相場なので、ビジネス展開上の為替リスクも低い。国内で特に投資需要の高い分野は、インフラ(港湾、鉄道、道路など)やエネルギーが挙げられる。
3. ゲレ大統領(ソマリ族)は、1999年以来大統領職にあり、次の選挙は2026年の予定。現行憲法上、立候補には75歳の年齢制限があり、現在77歳のゲレ氏は立候補できない。しかし現時点で有力な対抗馬も見当たらず、憲法を改正してゲレ大統領が立候補する可能性も含め今後の政局は不透明である。
4. 現在国会議長を務めるディレイタ氏(アファール族)は、2011年に自衛隊がジブチに拠点を設けた際に首相を務めていた。ゲレ大統領と同様、非常に親日的である。
5. 主要民族のソマリ族(ソマリア系)とアファール族(エチオピア系)は、かつて民族対立から紛争に至ったこともあるが、現在は主要ポストを両民族で分け合うことで政権は安定している。国会議員の構成も適切なバランスが保たれている。
6. ジブチはAUだけでなくアラブ連盟の加盟国である。アラブへの帰属意識が強く、経済面、宗教面で湾岸諸国との繋がりが強い。またパレスチナとの連帯意識が強く、最近のイスラエルによるガザ攻撃については憤りを隠していない。なお、IGAD本部はジブチに所在し、現在ジブチが議長国を務めている。
7. ジブチには、仏、米、伊、中の4ヵ国が基地を構えている。我が国も海賊対処行動の任務遂行のため、2011年に空港に隣接する自衛隊拠点を整備した。中国だけは、他国とは異なり、海に面した場所に軍事基地を有し、自らの埠頭を建設している。
8. 経済については、主たる歳入源が港湾、フリーゾーン、各国基地の賃借料等であり、ひとり当たりGDPは3,000ドルを越える。しかし対外債務はGDP比65%(うち54%が対中債務)である。政府要人は「債務の罠」の問題を理解してはいるが、必要な事業に対し中国以外は資金を提供してくれないからだ、と主張している。若者(15-24歳)の失業率が76.9%と非常に高いことも大きな問題である。
9. 政府の開発計画(Vision 2035)によれば、今後もコンテナ港パーフォーマンス指標でサブサハラ第1位を維持、海底ケーブルを8本から13本に増設、再生可能エネルギー100%達成、観光業・漁業促進などが目標とされている。講演を受けて質疑応答が行われ、①ひとり当たり3,000ドルの歳入は国民に還元されているのか、②エチオピア・ジブチ関係の今後の見通し、③アフリカの角情勢をフォローする際に注目すべき第3国はどこか、などの質問が寄せられ、原大使からは、ひとつひとつに丁寧な回答がありました。
尚、今後原ジブチ大使とのコンタクトをご希望の方は、下記をご利用願います。
大使公式FaceBook:ambjapondjibouti
大使公式X:@amb_japon_dj
第2回大使を囲む懇談会開催

- 野口ガボン大使を囲む懇談会
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2024年度第2回野口ガボン大使を囲む懇談会
5月14日、国際文化会館にて野口駐ガボン大使との懇談会が開催されました。野口大使による講演要旨は次のとおりです(会場参加22名、オンライン参加20名)。
1. 昨年8月30日のガボンにおける政変はアフリカの歴史に残る出来事だった。大統領選挙(8月26日)の結果の公式発表が30日未明に行われた直後、軍・治安部隊の一部が国営放送を占拠し、「選挙は不正」であったとして大統領選挙の無効と国家機能の停止を発表したことによるもの。直ちに国家機関移行再建委員会(CTRI)が発足し、大統領親衛隊長のオリギ・ンゲマ氏がCTRI議長に任命された。9月4日にはオリギ・ンゲマ暫定大統領が就任、CTRIは各界との対話を積極的に進め、9日には暫定政府が発足。市中は一貫して平穏を維持し、全土で平時の社会生活が再開している。オマール、アリと父子約60年に続いたボンゴ家支配が終焉したが、前政権時との行政経済の一貫性は保たれている。
2. 今回の政変では、一つの暴力行為も流血沙汰もなく、アリ・ボンゴ(前大統領)を追放した軍・治安部隊の行動については大多数の国民が支持している。近年ガボンでは、石油価格の下落もあり国民の不満も高まっており、腐敗の酷い7名のアリ・ボンゴ側近が逮捕されたことは多くの国民に歓迎された。なお、今回の政変は、近年サヘル地域で相次いだ「クーデター」とは性格が全く異なる。ワグネルや反仏の要素はない。60年に及ぶボンゴ支配からの「解放のための蜂起」であったと言ってよい。
3. 政変の直後は、多くの国から軍事的政権奪取を非難する声明が発出されたが、時間の経過とともに変化が生じている。日本政府は、今回の政変について「政府承認の問題は生じない」との結論を得ており、自分(野口大使)もこの方針に基づき、暫定政権の大統領や閣僚との公式な接触を行って経済協力継続の方針を説明し、ガボン官民から大きな評価を得た。欧米諸国も、日本を後追いするように暫定政権との接触を開始している。ガボンの属する中部アフリカ諸国経済共同体も「資格停止」処分を解除した。
4. 暫定政権は既に民政移管に向けてのロードマップを公表しており、2025年8月までの2年間で、新憲法の制定と再選挙を実施し民政移管を完了するとしている。更にCTRIの推進している各種政策は、民主主義や言論・表現の自由など欧米的な価値観に基づくもので、勇気づけられるものである。新生ガボンは日本のアフリカ外交にとり、大きなチャンスとなろう。講演を受けて質疑応答が行われ、①ガボンでは貧富の差が大きく貧困層の不満が今後暴動に繋がる可能性はないのか、②2年間で本当に民政移管が完了するのか、③今回の政変が国内経済活動、貿易や外国からの投資に与える影響如何、④2025年8月の大統領選挙での有力候補は誰か、⑤赤道ギニア情勢の今後の見通し、などについて質問があり、野口大使からはひとつひとつ丁寧に回答がありました。
学術研究会 第8回研究発表会

- 学術研究会 第8回研究発表会
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学術研究会 第8回研究発表会
当協会では、アフリカに関わる各種の情報収集・分析・発信を主軸とする活動を幅広く長期にわたって展開してきました。近年の日本・アフリカ関係の緊密化やアフリカに対する世界的な注目度の高まりの中で、一層活動の深化と多角化・多様化を求めるために学術研究分野での事業の拡大と充実の一環として、一昨年度より学術研究会を発足させました。
今般、第8回研究発表会として、京都大学および名古屋外国語大学の名誉教授である島田周平先生をお招きして、オンラインによる研究報告をお願いすることになりました。
島田先生は長年アフリカで多発する国内の政治的経済的対立を、地域構造の変化に連動した対立問題として考察されてきました。今回はアフリカの大国であり今後のアフリカ全体の動向にも影響をもたらすであろうナイジェリアの内政問題に関して、ブハリ政権後の2023年5月に第16代大統領に就任したボラ・ティヌブ政権をその政策や政治行動などを分析していただきました。報告者: 島田周平 京都大学・名古屋外国語大学名誉教授 博士(理学)アフリカ協会顧問
タイトル:「ナイジェリア・ティヌブ大統領の 1年を振り返る」
日時: 2024年5月22日(水) 14時から15時30分
司会: 青木一能 アフリカ協会学術研究委員会委員長(日本大学名誉教授)講演概要は、機関紙「アフリカ」夏号にて報告いたしますが、内容をご視聴されたい方々は協会HPにて講演内容をご覧いただけますので、ご参照願います。
オンライン・アフリカ講座第8回開催
- オンライン・アフリカ講座第8回
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オンライン・アフリカ講座第8回
機関誌「アフリカ」掲載の“アフリカ・ニュース解説”にさらなる詳細な解説及びその後の推移を報告するオンライン・アフリカ講座の第8回です。
今回は、機関誌「アフリカ」掲載の記事とは別に、日本のアフリカ各国に対するODA配分の動機と効果をODA供与額データから読み解くとの趣旨で、長辻貴之 早稲田大学現代政治経済研究所特別研究所員にお話を伺いました。
講演者が過去に実施した分析を発展させ、改訂前の開発協力大綱(2015年–2022年)の期間における援助配分を新たに分析対象に加え、ODA配分の動機を考察し、また、日本のアフリカ各国に対するODAが日本の国益に与える効果も考察致しております。日時: 2024年5月1日(水) 14時より15時30分
場所: オンライン方式(ZOOM)
講師: 長辻貴之 早稲田大学現代政治経済研究所 特別研究所員
テーマ:「日本のODAの再考:ODA供与額から読み解く動機と効果」講演概要は、機関紙「アフリカ」夏号にて報告いたしますが、内容をご視聴されたい方々は協会HPにて講演内容をご覧いただけますので、ご参照願います。
「アフリカの文化と芸術を知る」シリーズ 第1回講演会

- 「アフリカの文化と芸術を知る」シリーズ 第1回講演会
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「アフリカの文化と芸術を知る」シリーズ 第1回講演会
アフリカ協会では、文化・社会委員会の主催で、2016年から「アフリカから学ぶ」シリーズとして、音楽や食文化あるいはアフリカの若者の考え方などアフリカの社会・文化に関するさまざまなテーマを講演会や映画上映などにより7回に亘りご紹介してまいりました。その後新型コロナの感染拡大を機に、保健・衛生面に焦点を当てた「アフリカの感染症を知る」シリーズとして2022年より2025年まで全15回に亘ってご紹介するシリーズを現在開催中で、既に9回を実施致しております。
今般、感染症シリーズと並行して、新たに「アフリカの文化と芸術を知る」シリーズを開始することと致しました。広大なアフリカ大陸の文化は多種・多様であり、それぞれがアフリカ大陸に特有の特徴を持っているさまざまな部族を持つ国々の混合物で構成されています。文化の表現はアフリカ内で豊富であり、またその独特な美術の形態と豊富な文化遺産によっても世界中から高い評価を得ています。皆様にとり非常に興味深いシリーズとなると期待しています。概要
日時: 2024年5月16日(木) 14時から15時30分
場所: オンライン(ZOOM)
テーマ: 「アフリカコーヒー買付け現場から」
講演者: 上𠮷原和典
アタカ通商株式会社取締役、
日本コーヒー文化学会常任理事・社会・人文科学委員長
司会: 井谷善惠
東京藝術大学グローバルサポートセンター非常勤講師、
帝京大学医学部客員教授、日本コーヒー文化学会会長、
アフリカ協会文化・社会委員会委員講演概要は、機関紙「アフリカ」夏号にて報告いたしますが、内容をご視聴されたい方々は協会HPにて講演内容をご覧いただけますので、ご参照願います。