第13回大使を囲む懇談会開催
- 一方井駐コートジボワール共和国大使を囲む懇談会
-
2022年度第13回・一方井駐コートジボワール共和国大使を囲む懇談会
3月9日午後、国際文化会館会議室において一方井克哉駐コートジボワール共和国大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者22名、オンラインによる出席者20名)。
一方井大使より以下の説明を行いました。
コートジボワールの人口は約2,900万人(2020年。西アフリカではナイジェリア、ガーナに次ぐ3番目)、1人当たりGDPは2,326米ドルでこれは隣国ガーナとほぼ同水準であり、仏語圏サブサハラ・アフリカ経済の中心国で最大規模の経済。UEMOA(西アフリカ経済通貨同盟)の8ヵ国のGDP合計額の3分の1以上を同国が占めており、コロナ禍の影響にもかかわらず、安定した経済成長を続けている。主な産業は食品関連産業(カカオ、カシューナッツなど)、エネルギー関連などとなっている。(カカオとカシューナッツの生産量は世界一)。日本の同国への開発協力(ODA)は、農業や漁業の生産性向上や流通・市場拡大などへの支援、コロナ対策等保健分野への政策支援、港湾・電力・物流円滑化などインフラ整備への支援等幅広くに及び、昨年1年の間には、計3件、総額520.28億円の円借款の署名が行われた。
国家開発計画(PND、2021―2025)の目標は教育、飲料水、電気、医療、社会保障、雇用などへの国民のアクセス向上であり、投資計画総額は推計59兆FCFA(約950億米ドル)であり、その重点分野は国産原材料の加工による高付加価値化、インフラ強化、若者の雇用創出などであり、主な柱は経済の構造改革の加速、人的資本の開発と雇用の促進、民間セクターと投資開発など。また本件開発計画の最大の狙いは、同国の新興国入りに向けた経済の構造転換の加速化であり、同国を2030年までに上位中所得国グループに引き上げることである。政治面では、ウワタラ現大統領に対して、ベディエ元大統領、バグボ前大統領などを中心とする野党勢力がいるが、与党は議会・地方政治においても現在優位な勢力を持っている。次期大統領選挙は2025年10月であるが、これらいわゆる3巨頭はいずれも選挙時点で80歳以上になるところ、若い後継者が現れるのかなどが焦点とみられる。
次いで法人会員など参加者より、「日本の同国への水資源開発と給水能力強化関連の支援では、どのような事業がなされてきたか?」、「貴大使館が兼轄しているトーゴにおいて事業を請け負っている関係で、同国の概況、できれば港湾や物流の状況を知りたい」、「西アフリカの旧仏領諸国では、仏の存在が今もあるところでは、マリでは仏軍が軍事介入をした他、ニジェールとコートジボワールにおいても仏軍が駐留しているところだが、貴任国での主な動きはあるのか?」、「ブルキナファソ情勢は流動的であり、約2百万の難民が南下していると聞く。コートジボワールへの影響はあるのか?」「同国のエネルギー資源の主力は水力発電であると思うが、他の資源(再生可能資源も含む)を今後どのように開発していくと考えられるか?」、「通貨セーファフランについて同国での特別な動きはあるか?」、「以前JICAとJETROの事務所がアビジャンに置かれていたが、一旦撤退したと承知。その後戻ったのか?」、「ウワタラ大統領は国際的に活躍した有能なテクノクラートであるが、コロナ禍を克服し、同国は成長を続けているところ、近いうちに中所得国に発展することも可能と思われるか?」等の質問が出された他、アフリカ開発銀行アジア代表事務所所長より、同開銀は今年11月、アビジャンにおいてアフリカ投資フォーラムを開催する予定である旨述べました。
第12回大使を囲む懇談会開催
- 大菅駐チュニジア共和国大使を囲む懇談会
-
2022年度第12回・大菅駐チュニジア共和国大使を囲む懇談会
3月2日午後、国際文化会館会議室において大菅岳史駐チュニジア共和国使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者14名、オンラインによる出席者12名)。
大菅大使より以下の説明を行いました。
昨年TICAD8を首都チュニスで開催した。チュニジアの面積は日本の約5分の2、人口は日本の約10分の1であり、1人当たりGDPは3,807米ドル。海洋民族だったフェニキア人が築いたカルタゴをルーツとするためか、明るく開放的な国民性であり、また、教育水準が高いのが特徴。2010年末に始まった「アラブの春」以後、新憲法の制定などを経て、2019年の第2回大統領選挙で、無党派のサイード大統領が圧勝して現在に至っている(次期大統領選挙は来年9月)。革命後の2014年に制定された憲法は国内の権力分立を重視しているが、その後議会による政治停滞などが生じた結果、国民の不満が増大し、2021年7月、大統領決定により首相が罷免され、議会が停止された。その後新首相が任命され、政治改革のロードマップが示された。新型コロナの鎮静化により経済活動は回復基調に乗りかけたが、その後のウクライナ危機により、燃料・食料価格が高騰し、昨年秋以降、財政収支の悪化が深刻化しており、財政立て直しへ向け,IMFとの間で交渉が継続されているが、この交渉をまとめることにより、財政を立て直すことが政府の急務であると考えられる。(時間の関係で、同国と日本との関係及び昨年8月チュニスで開催されたTICAD8については、説明されませんでしたが、当日配布された本講演会用の資料によれば、「民間のビジネス活動を後押しするため、日・チュニジア・ビジネス促進委員会の設置を調整中であり、二国間投資協定の締結に向け、両国で議論を開始した。現在は26社の日系企業が進出している。日本による開発協力はこれまでインフラ整備、電力、水分野等での借款を積極的に実施してきた。またチュニジアをハブとした三角協力も推進、最近はコロナ対策のため、保健分野も強化している」などの二国間関係の他、TICAD8についてもその成果等が記述されています。)
次いで法人会員など参加者より、「生活必需品の不足などの問題はあるが、1月の世論調査では、国民の49%が現政権を支持しているという結果が出ており、これはどう解釈したらよいのか?」、「同国は欧に近く、アフリカのゲートウェイともいうべき地理的な場所に位置しているが、ウクライナ問題以後、食料油、穀物等の価格高騰もあり、速やかな経済回復が求められていると考えられるところ、いかなる道がありうるか?」、「昨年チュニスで開催されたTICAD8の時、西サハラ代表の出席に関してチュニジア側の対応をモロッコが不服としたなどの経緯があったが、その後チュニジアとモロッコの関係は修復されたのか?」「ウクライナ問題についての累次の国連総会決議でのチュニジアの立場はロシア寄りとは言えない。2月初めのラブロフ外相の訪問が中止されたが、これはIMF支援を条件に欧米が圧力をかけた結果か?」、「TICAD8の成果を今後の日本・チュニジア関係の中でいかに生かしていくことが望ましいと思われるか?」、「同国とリビアとの2国間関係は、現在どのようなものか?」、「過去におけるアジアの金融危機とその克服への経過などから、現在チュニジアが学ぶことはないのだろうか?」などの質問が出されました。
オンライン・アフリカ講座第5回開催
- オンライン・アフリカ講座第5回
-
機関誌「アフリカ」掲載の“アフリカ・ニュース解説”にさらなる詳細な解説及びその後の推移を報告するオンライン・アフリカ講座の第5回です。
今回は、機関紙「アフリカ」春号で解説頂いた「ロシアのウクライナ侵略とアフリカ諸国」
の記事に関連して「ロシアとアフリカ」と題して、早稲田大学国際学術院教授の片岡貞治先生に伺いました。2022年2月のロシアのウクライナ侵攻より1年が経過しましたが、未だに
戦闘状態が続いています。ロシアの対アフリカ関与の歴史と軍事部門の中心となっているワグネルに関する興味深い講演となっています。日時: 2023年3月29日(水) 14時より15時30分
場所: オンライン方式(ZOOM)(視聴申込者78名)
講師: 片岡貞治 早稲田大学国際学術院 教授
テーマ:「ロシアとアフリカ」講演概要は、機関紙「アフリカ」秋号にて報告いたしますが、内容をご視聴されたい方々は協会HPにてご覧いただけますので、ご参照願います。
チャレンジ企画第8弾!
「オンライン対談シリーズ “Proudly from Africa
〜 アフリカのロールモデルの話を聞く” 」
-
■日 時: 2023年4月10日(月)20:00〜21:00
■配信方法: Facebookライブ
※アフリカ協会のFacebookページを👍いただけると、当日配信開始時に通知が入ります。
■参加費: 無料
<第8回テーマ>
アフリカ各国で挑戦し続ける連続起業家
■ゲスト:Njavwa Mutambo, アフリカ連続起業家/ Musanga Logistics(ザンビア)& Caantin(ケニア)創業者
■内容:ザンビアで生まれ育ったNjavwaが最初の起業をしたのは18歳の時、フードデリバリーサービスから発展し、後にザンビア初のラストマイルロジスティックスサービスを提供するスタートアップ「Musanga Logistics」を立ち上げます。
その後も様々な経験を経て、2021年に新たにケニアでレストランの事業最適化のためのサービスを提供する「Caantin」を創業。Njavwaは、アフリカの起業家を多数輩出しているTony Elumelu FoundationやザンビアのインキュベーションハブBongoHiveからのサポートを受け、起業家としての道を歩み始めました。
どんな想いで起業し続けているのか、今後にどんな展望を抱いているのか、お話を伺います。
■ナビゲーター兼通訳:株式会社SKYAH代表 原ゆかり
アフリカのデザイナー、メーカー、起業家、コミュニティ開発当事者などの
現地のロールモデルをオンラインでゲストとして招待し、一時間の対談機会を通じ、日本ではまだまだ知られていないアフリカ地場発の取り組みや彼らの想い・考えを深掘りします。
Facebookライブのコメント欄に皆様からいただく質問にも、リアルタイムでゲストにお答えいただきます。
皆様ふるってご参加下さいますようご案内申し上げます。
学術研究会 第5回研究発表会
- 学術研究会 第5回研究発表会
-
2月24日午後、アフリカ協会主宰第5回学術研究会報告会を開催致しました。
報告者:島田 剛 明治大学情報コミュニケーション学部准教授
テーマ:「気候変動時代にアフリカへの援助は有効か-災害、雇用、カイゼン」
島田准教授はマンチェスター大学で開発経済学を修められた後、国際協力機構(JICA)にて主任研究員や産業貿易課長として勤務され、その後国連日本代表部を経て2015年に静岡県立大学国際関係学部准教授、2018年より明治大学情報コミュニケーション学部准教授として調査・研究に携われております。本講演では、気候変動時代にアフリカへの援助は有効か?との観点から、気候変動によりもたらされた災害は、経済成長・農業・紛争などにどのような影響を与えているか、環境問題とアフリカの経済成長は両立させることは可能か?AIの普及による経済のデジタル化、特にカイゼンの普及はアフリカでは雇用への影響はどうなのか?などの点について講演して頂きました。
概要は、機関紙「アフリカ」春号にて報告致しますのでご参照願います。
また、、講演内容は当協会HPに掲載しておりますのでご覧ください。
アフリカの感染症を知る」シリーズ第5回講演会
- 「アフリカの感染症を知る」シリーズ第5回講演会
-
「アフリカの感染症を知る」シリーズ 第5回講演会
第5回講演会は、HIV/AIDS、肺炎とならぶ世界3大感染症の一つであるマラリアに関する
講演を、国立国際医療研究センター熱帯・マラリア医学研究部長の狩野繁之先生にお願い致しました。WHOの統計によると2020年には全世界で2億4千万人が発症し、62万7千人が死亡していると推計されています。特にサハラ以南のアフリカでは、マラリアの全症例の約95%、全死亡者の約96%を占めており、この地域の死亡者の約80%は5歳以下の子供たちとなっています。地球温暖化の問題とも密接な関係を持つマラリアに関する注目すべき講演と期待されます。講演会の概要は、機関紙「アフリカ」春号に掲載致します。また協会HPにて講演内容を視聴できますので併せてご参照願います。
概要
日時: 2023年1月19日(金) 14時から15時30分
場所: オンライン(ZOOM)
テーマ: 「マラリア-2030年までの排除への課題」
講演者: 狩野繁之 国立国際医療研究センター 熱帯医学・マラリア研究部長司会: 池上清子 長崎大学大学院客員教授、アフリカ協会理事、
野口英世アフリカ賞選考委員