フォーラム
2023年

第7回大使を囲む懇談会開催

  • 髙岡駐カメルーン共和国大使を囲む懇談会
  •  2023年度第7回・髙岡駐カメルーン共和国大使を囲む懇談会

    8月4日午後、学士会館会議室において髙岡望・駐カメルーン共和国大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者
    11名、オンラインによる出席者13名)。

    冒頭髙岡大使より、現在は世界経済に占めるアフリカの経済力は小さいものだが、今後アフリカの経済的、政治的重要性は増大していくとの見通しが述べられました。具体的には、今後アフリカの総人口は今後成長を続け、2,100年以後はアフリカがアジアを抜いて世界で最も人口の多い大陸になることが見込まれること、また世銀のある統計によれば、1990年から2020年までに最も経済成長を遂げた10ヵ国の中に、エチオピア、ガーナ、エジプト、ナイジェリア、ケニア及び南アフリカのアフリカ6ヵ国が入っていること、そして昨年以来、国連におけるウクライナ関連諸決議において、G7の働きかけにも拘わらず、欠席、棄権、反対票を投じロシアに配慮した国の中で、アフリカ諸国は大きな割合を占めており、高岡大使の任国ではカメルーンが欠席または棄権、中央アフリカは棄権または反対、一方チャドはすべて賛成と、対応が割れたこと等の概観の説明がありました。
    これに関連し、近年の日本外交は、「自由と繁栄の弧」、「FOIP」と、グローバルな次元で発展を遂げてきましたが、これからさらにアフリカとの関係を深めていくべきだとの見解が述べられました。

    次いでカメルーン情勢について、以下の通り説明がありました。
    カメルーンはドイツ保護領、仏、英の委任統治の時代を経て、別々に独立した仏領カメルーンと英領カメルーンの南部が1961年に合併した(人口の80%強が仏語圏、20%弱が英語圏)。1982年以来ビヤ大統領が政権の座にあり、再選を重ねて、就任41年目を迎えた。
    経済面では、1人当たりGDPは1,588米ドル(2022年世銀)、輸出は鉱物性燃料、カカオ、木材、果物など、輸入は穀物、機械類他。主要貿易相手国は輸出が中国、オランダ、インドなど、輸入が中国、フランス、ナイジェリア他となっている。CEMAC(中部アフリカ経済通貨共同体)内では同国が経済の牽引役であり、国内経済の構造転換、人的資源の開発他による経済社会構造の変革を目指している。2021年7月、IMFによる「拡大クレジット・ファシリティ」が承認され、IMFは同国への3年間で6.9億ドルの融資を決定し、同プログラムの下で財政健全化を進めるとしている。
    日本との関係は良好であり、2021年までに日本は同国に総額有償資金協力292億円、無償資金協力313億円、技術協力131億円を供与している。
    国内治安状況では、2013年以降北部でボコ・ハラムによる誘拐や暴力事件が発生しており、また2016年以後、英語圏地域では、独立分離派と治安部隊の衝突が継続しており、これらの背景から、カメルーンへの難民流入が見られる他、多数の国内避難民が発生している。
    これらの問題にも関わらず、カメルーンの政治治安情勢が比較的落ち着いている背景には、周辺国に比べ食糧事情が恵まれていることに加え、伝統的共同体が良く機能していることがあるという印象をうける。

    次いで法人会員など参加者より、「電力開発の現状はどのようか、都市部での停電などはあるのか?」、「仏は旧仏領アフリカ諸国への政策を見直していると聞くが、またアフリカにおける仏の軍事プレゼンスを弱めていると承知するが、カメルーンではどうか?」、「同国は多数の国内避難民を抱えていると承知するが、これらの難民への支援の状況はどのようなものか?」、「40年も続く安定政権に対する若者の感触はどのようなものか?」、「SNSなどを通じる世界の情報は、同国国民に入ってきているか?」、「同国で(日本人が)フランス語の研修を受けることが可能か?」などの質問が出されました。


オンライン・アフリカ講座第6回開催

  • オンライン・アフリカ講座第6回
  • オンライン・アフリカ講座第6回 

    機関誌「アフリカ」掲載の“アフリカ・ニュース解説”にさらなる詳細な解説及びその後の推移を報告するオンライン・アフリカ講座の第6回です。
    今回は、2023年機関紙「アフリカ」夏号で解説頂いた「ロシアの対アフリカ関与(後編)」に関連してロシアとアフリカとの関係に関して、早稲田大学国際学術院教授の片岡貞治先生に伺いました。
    前回3月29日に開催致しましたオンライン・アフリカ講座第5回では、ロシアのアフリカに関与する施策としての軍事戦略と、その実行部隊であるワグネルの存在、特に中央アフリカにおける活動状況について説明を頂きました。今回は、アフリカにおけるワグネルの具体的な活動について、南アフリカとマリを取り上げてお話を頂きました。
    現在、世界的に大きな話題となっているロシアのウクライナ侵攻問題ですが、その中心戦力であり且つアフリカに対する尖兵として活動しているワグネルに関する興味深いお話となっています。

    日時: 2023年7月13日(水) 14時より15時30分
    場所: オンライン方式(ZOOM)
    講師: 片岡貞治 早稲田大学国際学術院 教授
    テーマ:「ロシアとアフリカ2」

    講演概要は、機関紙「アフリカ」秋号にて報告いたしますが、内容をご視聴されたい方々は協会HPにて講演内容をご覧いただけますので、ご参照願います。


アフリカの感染症を知る」シリーズ第7回講演会

  • 「アフリカの感染症を知る」シリーズ第7回講演会
  • 「アフリカの感染症を知る」シリーズ 第7回講演会

    前回はAIDS/HIV、マラリアと並んで3大感染症の一つといわれる“結核”に関するご講演を、国際医療研究センター国際医療協力局の宮野真輔先生にお願い致しましたが、
    今回は参議院議員の武見敬三先生に「感染症対策のグローバルな枠組み」について講演をお願いいたしました。
    近年、交通網の発達につれ人間の移動が速く・遠くになるに伴って、感染症は瞬く間に世界中に拡散することが顕著になってまいりました。その良き例が今回の新型コロナによって引き起こされたパンデミックです。過去人類は何回かのパンデミックを経験しています。近くは1968年の香港風邪、1918年のスペイン風邪などですが、その都度世界の政治・経済は崩壊してきました。今回の新型コロナも発生後3年余りが経過して、漸く沈静化の見通しがたってきましたが、その間の世界の経済や人間の生活に与えた影響は計り知れないものがあります。
    今回発生の原因や感染拡大防止に関する問題など調査・研究すべき課題は多数散見されますが、他方沈静化、特に発展途上国の沈静化に至った要因の一つにWHOを中心とした世界的な対策があったと言っても過言ではございません。感染症のグローバル化に対するグローバルな対策に関して、武見先生の講演は非常に興味あるお話となっています。

    概要
    日時: 2023年7月6日(木) 14時から15時30分
    場所: オンライン(ZOOM)
    テーマ:「感染症対策のグローバル枠組み」
    講演者:武見敬三 参議院議員 元厚生労働副大臣  
    司会: 池上清子 公益財団法人アジア人口開発協会専務理事、アフリカ協会理事、野口英世アフリカ賞選考委員

    講演会の概要は、機関紙「アフリカ」秋号に掲載致します。また協会HPにて講演内容を視聴できますので併せてご参照願います。


第5回大使を囲む懇談会開催

  • 岡庭駐ケニア共和国大使を囲む懇談会
  •  2023年度第5回・岡庭駐ケニア共和国大使を囲む懇談会

    6月23日午後、国際文化会館会議室において岡庭健・駐ケニア共和国大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者29名、オンラインによる出席者25名)。

    岡庭大使より以下の説明を行いました。

    ケニアは1963年の独立後5年ごとに選挙を行い、平和裡に指導者を選出して平和と安定の道を歩んできたが、これはケニアの民主主義の成熟を示すものと評価される、その要因は国内の部族が人口的に分散しており、民族間の協力が保たれていること、国の開発の在り方について大きな意見の相違が無いこと、鉱産資源等の偏在が無く、冨の一部集中が起きる基盤が無いこと、などであろう。昨年8月の選挙により成立したルト政権は、経済開発、貧困削減等のケニヤッタ前政権の目標の実現へ向けての努力を引き続き行っている他、国際的な場での活動も活発に行い、エチオピア内戦の仲介努力、コンゴ(民)へのEAC軍に自軍を出すなどを行い、地域の平和と安定への貢献を行ってきた。また近隣諸国の難民がケニア国内に現在50万人位が生活している。
    同国は東アフリカ最大の経済規模を有しており、経済の年成長率は5%。新型コロナ禍により落ち込んだ観光業による外貨収入は、最近回復に向かっている。またロシアのウクライナ侵攻による肥料の価格高騰などもあったが、もとに戻りつつある。政府は製造業(部品を含む)の振興と、経済の柱である農業生産の付加価値を高めることを目標としているが、この他水産業(特に海)と林業の振興も目指している。今年日本・ケニア国交樹立60周年を迎えるが、日本と同国の関係は一貫して良く、また日本企業のケニアへの関心は高い。
    今年5月、岸田総理はケニアを訪問したが、日本の総理の同国訪問は2016年以後7年ぶりであった。ケニアは、日本が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)を提唱した地であり、その更なる具体化を通じ、両国間関係を深化させていくことを相互に確認した。ルト大統領は、岸田総理がG7議長としてアフリカの「声」を聞くため訪問したことを高く評価した。またこの場で、東アフリカの物流の拠点であるモンバサにおける各種インフラ事業計画での協力を確認し、従来の日本の協力へのケニア政府からの謝意が表明された。

    次いで法人会員などの参加者より、「開発促進のためには、さらなる税収の増額が望ましいところ、政府としては、インフォーマル・セクターをどのように納税する事業として取り込もうとしているのか」、「コロナ禍、干ばつなどの理由で今年ケニア・シリングの対ドル・レートが下落傾向にあるが、この傾向を修正するような動きはあるのか」、「ケニャッタ前大統領はブルーエコノミー開発に着目し、海洋資源開発、漁業振興などに力を入れたが、海上交通面ではどのような施策を行ったのか」、「ODA関連案件は非課税という了解があるにもかかわらず、非課税になるまで時間がかかることが多いが右への対策は何か」、「(前ケニア大使より)ODA関係は免税という取り決めがあるにもかかわらず、課税されるケースがあり、交渉の結果、官報にODA関係の輸入を免税とする旨記載してもらったことがあった」、「中国はケニアの開発を支援しているが、中国の同国への影響度はどの程度のものか」、「今年はTICADプロセス開始30年になるところ、アフリカで最初のTICAD開催国となったケニアにおけるTICADの印象はどのようなものか?」、「建設中のモンバサ経済特区の完成後の利用条件等について知りたい」、「現政権は、自動車の国内での製造(組み立て)についてどのような方針を持っているか?」などの意見やコメントが出されました。


第4回大使を囲む懇談会開催

  • 福澤駐ウガンダ大使を囲む懇談会
  •  2023年度第4回・福澤駐ウガンダ大使を囲む懇談会

    5月25日午後、国際文化会館会議室において福澤秀元・駐ウガンダ共和国大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました。(会員企業等からの出席者19名、オンラインによる出席者18名)。

    冒頭福澤大使より同国の近況について以下の説明を行いました。

    ウガンダは1962年英国から独立した東アフリカに位置する国であり、面積は約24万平方キロ(本州とほぼ同面積)、現在の人口は約4,500万人である、国土の大部分が海抜1,200メートル前後の高地であることから、気候は温暖で住みやすく、主要産業は農林水産業、製造・建設業、サービス業等、国民性は温和である。GDPは405億米ドル(2021年、世銀)。首都のマケレレ大学は、一流大学の評価を受けて従来多くの人材を出している。1962年以降約20年強は政変・政権交代、クーデターが続き、開発上の空白の時代となったが、その後ムセベニ大統領が政権に就き、国内安定化と経済再建に取り組んで国をまとめ、現在に至っている。現政権は独裁的と言われているが、反政府の主張を行う新聞も存在し活動している。自由な活動を行うラジオ局も多数存在する。
    2021年の選挙でムセベニ氏は再選され、現在に至っている。同国は多民族の国(60以上の民族)であり、また周囲のコンゴ(民)、南スーダン、ルワンダ等からの難民を受け入れてきたが、その総数は増えており、現在約150万人であるが、難民には居住区に土地を与え、同国国民との混住が進んでいる。
    外交面では非同盟の原則の下、アフリカ連合(AU)及びアフリカ諸国との友好を計る一方、直接投資の誘致を図る観点から米国、日本,EU諸国との関係も良好。またインド、中国等のアジア諸国との関係強化にも努めている。
    同国では日本の戦後復興と経済成長がよく知られており、また車も9割は日本車であり、国民は親日的。現在の在留邦人数は230名。日本から同国への主な経済協力案件としては、ナイル架橋建設計画(円借款)、ウガンダ北部グル市内道路改修計画(無償)他がある。2020年までの実績は、有償資金協力が累積662.96億円、無償資金協力が711.37億円、技術協力が360.98億円となっている。

    その後出席者より、「インドとウガンダの関係はどのようなものか?」、「タンザニアのダルエスサラーム港に結ぶ石油パイプライン構想は、完成すれば石油輸出による外貨が国内の公共投資を促進し、望ましい結果が期待できると思うが、どのような現状か」、「周辺国との貿易は、南スーダンの独立後、同国との貿易量が増えたと思われるが、どのような実績か」、「どうしても投資はより安全なところに行く傾向があるが、今後日本からのアフリカへの投資促進の活発化のために、どのような心構えが必要と思われるか?」、「2026年の次期国政選挙が迫る中、見通しはどうか?」、「同国では、財政上の理由から新車の輸入を一時凍結する措置を現在行っているが、この措置の解除の見通しを知りたい」、「資料中の経済指標の中の、失業率が2.9%となっているが、実感とかけ離れているように感じる。この数字が正しいと観てよいのか?」等の質問と、「現場の実感だが、日本の無償の工事でも、中国のODAと誤解されることが多い、カンパラの道路立体交差案件の工事についても同様であるがなにかよい対策があれば、と思う」などの意見が出されました。


第3回大使を囲む懇談会開催

  • 阿部駐マダガスカル大使を囲む懇談会
  • 2023年度第3回・阿部駐マダガスカル大使を囲む懇談会

    5月19日午後、国際文化会館会議室において阿部康次・駐マダガスカル大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者11名、オンラインによる出席者14名)。

    阿部大使より以下の説明を行いました。
    1960年仏より独立した同国の人口は現在約2,800万人であり、人口増加率は年2.45%。
    国土は日本の1.6倍で先史時代にアフリカ大陸から分離したため、野生生物種の70~80%が固有種である。18の民族が住むが、中央高地のメリナ族のルーツはアジア系。主要産業は農業、漁業、鉱業、観光業、繊維産業他。農業は稲作、バニラ、ライチ、グローブ他。労働人口の83%が農業に従事している。一人当たりGDPは500ドルであり、これは197ヵ国中192位(2021年世銀)。電化率は16%。宗教や民族に起因する対立は無く、内戦、テロなども無い。日本語学習者の数は2,500名であり、これはサブサハラ・アフリカ1位。日本との二国関係は良好であり、昨年日・マダガスカル友好60周年を迎えた。ODA実績は累計で円借款559億円、無償722億円、技術協力237億円であり、主要援助分野は農業(稲作)、インフラ整備、保健、教育など。主要プロジェクトは農業灌漑施設、トアマシナ港拡張、医療器材供与、小学校建設他。JOCV(青年海外協力隊)派遣実績は累計240名。同国の開発の課題はガバナンス、汚職問題、リーダーシップ、意思決定と実行のスピードに時間がかかることなど。日本から同国への投資案件は、ニッケル・コバルト採掘・精錬の「アンバトビー・プロジェクト(住友商事が筆頭株主で他は韓国)が世界最大級のニッケル生産事業であり、総事業規模89億ドル、1万人以上の雇用を創出し、外貨獲得の約30%に相当する。電力供給は自前であり、南ア産石炭の火力発電。同国政府は現在、鉱山法の改定案を国会に提出しているが、その内容はロイヤルティー率のアップと社会開発基金への拠出を定めることなど。
    政治面では、今年が5年に一度の大統領選挙の年であり、11月と12月に第一回及び第二回の投票が行われる予定。過去の大統領選挙時には、結果をめぐり混乱が度々発生している。なおイデオロギー、宗教、民族などは対立軸ではない。
    以上をまとめると、同国は豊かな国土、豊富な資源と若い人口を有し、また国民性は穏やかであり、宗教的又は民族的な対立や内戦が無いにもかかわらず、世界で最下位に近い最貧国である。インフラ(道路、電力等)が欠如し、外資誘致に関する政府の明確な方針が見えない中、ビジネス環境には課題があるが、今後の発展への潜在性はあると思われる。

    また、兼轄国であるコモロ(今年2月からアフリカ連合の議長国であり、今回の広島におけるG 7サミットにアフリカ代表として出席予定)についても、ドナーはEU諸国、仏、
    UAE、中国等であることなどの紹介がありました。
    次いで法人会員など参加者より、「1人当たりGDPが500米ドルであり、197ヵ国中192位ということだったが、きちんと開発の道を歩んでいるようであり、どうしてそんなに低いのかわからない感じを受けた、何か理由があるのか?」、「希少鉱物資源の活用と観光開発の今後の見通しはどのようなものか?」、「日本語の学習者が多いそうだが、その後日本企業への就職を希望するなどのことがあるのか?」、「港の開発、橋建設、水分野などにおける、過去の日本の同国への無償及び円借案件の対象地域はどこか、首都の近くなのか?」、「電化率が16%というと、地方のほとんどの地域はオフ・グリッドなのか?」、「首都及び地方の治安状況を知りたい」、「日本のODA案件を実施する場合、免税となるべきものを「マ」側はきちんと免税にしているか?」、「同国は度々ハリケーンに見舞われると聞いているが、今年は今までにハリケーンに襲われたのか?」などの質問が出されました。


  • 講演会イベント
  • 各国・地域情報バナー
  • 検索バナー
  • 外務省人事バナー
  • 在外公館一覧バナー