第11回大使を囲む懇談会開催
- 松永駐ナイジェリア大使を囲む懇談会
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2022年度第11回・松永駐ナイジェリア連邦共和国大使を囲む懇談会
9月13日午後、国際文化会館会議室において松永一義・駐ナイジェリア連邦共和国大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者21名、オンラインによる出席者25名)。
(今回は出席予定者から、事前に同国に関する質問を提出していただき、それへの回答を兼ねる形で話を進めていただきました。)
松永大使より、「来年2月末の大統領選挙の見通し、政権交代の可能性はあるか」という質問を紹介しつつ、現政権は治安対策、汚職対策、経済発展の3本柱を推進してきたが、最近の世論調査では、PDP及びADPの候補の一騎打ちとなることが予想される。政策だけでなく候補者の地域、部族、宗教などを踏まえた南北均等のローテーションの原則の観点も重要。また、若者に人気のLPがどの程度支持を得るのかも注目。
治安面では、「アフリカで南アに次ぐ軍事力を有すると言われる同国でありながら、類似の生徒等多数の誘拐事件が頻発するのに対し、政府は治安対策にどのような努力を行っているのか?ボコハラムやISWAPの投降で勢力は衰えているのか?」という質問を紹介しつつ、政府は治安関係予算の増額など努力をしてはいるが、治安要員が不足していること、一方でイスラム過激派組織の生粋のテロリストの投降は10%程度に過ぎないこと、これに加え、今後大統領選挙もあり政治・経済面での不確実性が高まることから、当面治安情勢については予断を許さない状況。「危険レベルを見直すことができれば、援助の拡大も見込めるのではないか」という質問を紹介し、危険レベルの見直しには、州単位でなく細かな地域単位での危険レベルの見直しについて考慮の余地はあるとしつつ、危険レベルの如何を問わず、ナイジェリアにおける活動を拡大するにはリスク回避志向の日本人一般のリスクに対する意識改革が必要。欧米政府や国際機関はレベル4地域でも、リスクを分析し、必要な安全対策を講じた上で組織幹部の訪問を実現している。一方で日本政府は北東部に10年以上に渡り数十億円規模の支援を行っているが、ここ数年は大使自身の訪問が実現できず日本のプレゼンスの低下を実感している。治安以外にも汚職、為替問題など様々なリスクが存在するナイジェリアでリスクを避けていては政府、企業の双方共に効果的な活動は出来ない。今後、日本のグローバル化が求められている中で、日本政府、企業のリスクへの向き合い方が問われている。
ロシアのウクライナ侵略とナイジェリアの立場については、ナイジェリアはロシアの軍事侵攻を非難しつつも、あくまで中立的な立場を維持している。また国際油価の上昇は、石油製品輸入国である同国にも悪影響を及ぼしている。新型コロナ感染症の蔓延状況については、マラリアと比較し新型コロナに対する国民の危機意識が低く、検査実施率も低い。そのため今までに5回の流行があったが累積陽性患者数は26万人と低く、ワクチン接種率も30%に満たない。
経済・社会面ではナイジェリアはGDP(4,323億米ドル)、人口(2.17億人)ともアフリカ最大であり(2020年)、市場の潜在力は高い。「産業多角化のためにいかなる事業がなされているか」との質問に対しては、政府・ドナー国・国際機関等が産業多角化に向けた長期開発計画を策定し実施中であるが、実現に向けて種々の社会課題を解決する必要があり、そこにビジネスチャンスがある。「ガソリン補助金撤廃の見通し」に関する質問に対しては、来年の完成が予定されている石油精製施設が稼働しない限り困難。ナイジェリア政府及び日本企業と大使館が貿易障壁の解決に向けて協議する「日本・ナイジェリアビジネス促進協議会」を8月に開催し今後取り組むべき課題と解決方針を合意した旨説明。最後に8月にチュニスで開かれたTICAD8の主要点についても述べました。(今回は会合に先立って、同国に関する質問を提出していただき、それへの回答を含む形で大使が説明されましたが、時間的な制約もあり、お話のあとの質問を受け付けることはできませんでした。出席者から前もって出された質問で、説明する時間が無かったもののうち、主なものは、以下のとおりです。)
「ナイジェリアはモロッコとの間(オフショア)及びアルジェリアとの間(サハラ砂漠縦断)でそれぞれガスパイプライン建設に関する協定を更新したという報道があるが、今後順調に進む可能性があるのか?」
「eNairaの開始から約1年経過したが、都市部以外の利用者は増加しているのでしょうか?」
「同国は現在深刻な外貨不足に陥っており、同国中央銀行は外国航空会社が本国に送金するのを阻止するなどの対策に出ており、外国航空会社が同国への運航を中止するなどの対策も発表されていますが、今後の経済の見通しをお聞かせください。」
「現地製造業が原材料輸入に関する外貨へのアクセスに苦慮しているとの報道がありますが、現地の日系企業などの対応はいかがでしょうか?」
「Lekki港湾開発計画に、中国とシンガポールが資本を投入して45年間の自由貿易特区を含む開発と管理運営権を得ているそうですが、ナイジェリア政府のオーナーシップ確保はどのようになるのでしょうか?」などでした。
第10回大使を囲む懇談会開催
- 大塚駐ジブチ大使を囲む懇談会
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2022年度第10回大塚駐ジブチ大使を囲む懇談会
8月9日午後、国際文化会館会議室において、大塚海夫駐ジブチ大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者10名、オンラインによる出席者15名)。
先ず大塚大使より、地政学上の肝要な地点に位置する同国は、国土が狭く(四国の約1.3倍の面積)、多民族国家(ソマリ系のイッサ人、アファール人他で総人口は約98.8万人)であり、土漠が広がる国土は農業には適しておらず、主な資源も無いが、エチオピア、スーダン、ソマリア、イエメン、エリトリアなどの周辺諸国が不安定であるのに比し、国内「紛争」の最終和平が2001年に達成された後は、安定を保ってきた。同国はエチオピアからの海の出口であり、エチオピアからの輸出の港としての役割は大きい。
1999年から元首の地位にあるゲレ大統領は現在5期目であり、1977年に仏より独立し、今年独立45周年を迎える同国を導いて来た。
外交面では国連の場でも2020年、国連安保理非常任理事国選挙に立候補(落選したが)するなど積極的。
地域外交面では、1986年IGAD(東アフリカの政府間開発機構)本部をジブチに誘致した他、2000年にソマリア和平会議を主催するなどしてきた。現在は仏、米、日、伊、中国などの基地を受け入れている。治安面では犯罪率が低く、夜間外出も可能である。
経済情勢は、1人あたりGDPはアフリカ16位の3,425米ドル。国家歳入の主なものは港湾関係収入、フリーゾーン、駐留軍基地賃借料等となっている。同国の開発計画「ヴィジョン35」は、経済の多角化と競争力向上を目指すものであり、輸送物流、電気通信、観光などの面での開発・向上を目指している。
日本から同国への開発協力としては、沿岸警備隊支援、フクザワ中学校、国道一号線改修、フェリー供与他がある、等について説明がありました。次いで出席者から、ジブチは本格的な火力発電所を建設する予定は存在しないのか?また、地熱及び太陽光発電を行うつもりはあるのか?ジブチが安定しているのに比し、対岸のイエメンは不安定な状況が続いているが、ジブチはイエメンに対し何らかのサポートを行う意思があるのか?ウクライナの食糧が届かないことがジブチにも起きていて、そのために社会不安が増大するということはあるのだろうか?(日本の自衛隊ジブチ派遣は、そもそも近海に出没する海賊の取り締まりのためだったが、)現在も(ソマリア人などによる)海賊行為は続いているのか?10年前からジブチ港に近接するドラレ港でのコンテナ施設拡張計画が進行中だったが、ジブチ政府は、同計画と港湾管理業務の認可状をドバイのDPワールド社に与えていたのを2018年一方的に破棄し、両者の間で係争となったが、現在の本件裁判の状況はどのようなものか?周囲に国情が不安定な国が多い中で、独立以来一貫してジブチが安定しているのは何故か?ジブチの近くのソマリランドは、国として機能しているにもかかわらず、国家として認められていないが、今後独立国家として認められる余地はあるのか?国土のほとんどが土漠であり農業開発の余地は少ないということだが、エチオピアからの食糧輸入に頼り続けるのではなく、なんとか国内の土壌改良、水資源開発などをして農業生産を始める試みはないのか?2008年にジブチ・エリトリア国境で軍の衝突事件があり、その後もエリトリアがアル・シャバーブを支援した他、ジブチ国内に兵を駐留させたとして国連安保理から警告を受けたが、2010年両国間で和平合意が成立したと承知するが、現在では両国の関係はどのようになっているか?農業生産品の輸入先がエチオピアであるそうだが、同国の一般消費財の輸入先はどこか?また自国内で工業生産を開発する意図はあまりないのか?等の質問がありました。
第9回大使を囲む懇談会開催
- 南駐コンゴ民主共和国大使を囲む懇談会
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2022年度第9回南駐コンゴ民主共和国大使を囲む懇談会
8月5日午後、国際文化会館会議室において南博之駐コンゴ民主共和国大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者12名、オンラインによる出席者23名)。
先ず南大使より、内政面でのこれまでの経緯として、2018年12月に大統領をそれまで2期務めたJ.カビラが大統領職を降りて名誉上院議員になり、新たにチセケディ政権が誕生したが、組閣は遅々として進まず、半年以上経って、カビラ派とチセケディ派が合掌連合する内閣が組閣された。その後2020年12月にチセケディ大統領が突如として、カビラ派を政権から追い出し、自らが主導権を取るいわば革命を起こし、その結果チセケディがカビラの支援を得ずして単独執政する内閣が2021年4月に成立した。
次期選挙の目途は来年12月であるが、これを日程どおり行うには準備が不足していること、法改正の必要があることなどの問題が存在する。また同国はかなり長い間国勢調査を実施しておらず、各地方別の人口、総人口などの正確な数字が把握できていないことも、公正な選挙を実施するための困難な点となっている。遅滞なく選挙を実施するための基盤が崩れかけている。その基盤とは主に経済面の基盤と外交安全保障面の基盤で説明できる。
基盤1.は経済、特に財政の安定であり、2011年にパリクラブの負債を棒引きにしたが、その後、昨年IMFと拡大ファシリティの合意を見て、現在は3ヵ年計画の折り返し地点にあ
る。現在までのところIMFとの約束が維持されているので、どうにかファシリティを得られ続けている。しかしながら、昨年の夏に比べればかなり経済の数字が悪くなってきており、今後も3年間のファシリティ計画の最後まで合意が実施され続けるかどうかについては怪しい部分も現れてきている。その懸念は内的要因と外的要因から説明できる。
内的要因としては、内政の不安定と治安の問題などがあるが、これまで多くの政治家の腐敗等を摘発してきた財務省所属の監察組織であるIGFの機能不全(摘発のスピードが急に減速して、腐敗対策が逆行し始めた。腐敗対策が逆行する危険性は、有罪とされていた政治家たちが次々と復権していることに見て取れる。代表例は、多額の公金を横領した前初等教育大臣のバコンガとチセケディ大統領の官房長を務めていた大物政治家のカメレ)、東部情勢などが問題。
外部要因としては、コロナ禍とウクライナ情勢がある。
基盤2.は外交であり、まず近隣外交、特にウガンダ、ルワンダとの関係が崩壊状態である他、グローバル的には西側に回帰しようとしていると見られるも中国との関係が必ずしも切れておらず、アンビバレントな状態。他方で、DRCでは伝統的にロシアはモブツ時代から影響力が弱く、本年3月の国連総会におけるウクライナ問題での決議に、同国はいずれも賛成票を投じた、この他、同国は昨年、AU議長国を務めた。この他、MONUSCO(国連PKO活動であるが、正しくは「国際連合コンゴ民主共和国安定化ミッション」)について触れると、右はMONUC(1999年~)を継承して2010年に設立され、文民保護を支援する非軍事組織であるが、昨今は東部3州における「いわゆるテロリスト」対策が主要任務となっている。2021年以降のMONUSCOの縮小は「transition」と呼ばれているが、米・仏は成果の上がらないMONUSCOを財政上の「お荷物」視している。確かにMONUSCOはその前身時代から考えれば四半世紀に近い活動により多くのPKO予算を使ってきた割に成果が充分でないとの見方もあり、また近時東部情勢の悪化の中でDRCの要人のなかにも、学生や市民団体に混じって国連PKO部隊の悪口を言うものが増えてきている。しかしながら、MONUSCO無しにDRCの警察や軍隊が現在の状況を維持できるかといえば、全くその可能性はないと考えられる。アメリカ特に現大統領の性格を考えれば、アフガニスタンのように一刻も早く治安部隊を現地化することを想定するのではないかと考えられるが、国連の引き上げは第三次コンゴ戦争を惹起し、DRCを崩壊させる危険性があると懸念している。日本は、まもなく安保理の非常任理事国になるが、軽々しい決断でこれまでの経済協力などを無駄にすることが無いようにする必要があるのではないかと考えている。transitionとは「縮小」ないし「撤退」の準備に他ならないように見える、などについて説明しました。
次いで出席者から、同国はAUの昨年度の議長国であったが、今年もAUにおいて、現議長国のセネガルなどと共に、ある種の役割を果たすことが考えられるか?今後同国への有償資金協力案件が形成されるとしたら、分野はどのようなものが想定されるか?ジュンヌ・アフリク誌が、チセケディ現大統領は来年の選挙に出馬しないのではないかという憶測を報道していたが、右は何らかの根拠があるものと考えられるか?ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー不足の中で、コンゴ(民)の食糧事情はどのようになっているか?ロシアからの同国への援助は、あまりないのか?ルワンダ、ウガンダ、タンザニアなどの隣国の政治状況と比べて同国は不安定な状況が続くが、構造的な原因が考えられるのか?今後重要性が増すと考えられる、同国のコバルト等の鉱物資源の国有化が将来考えられるか?同国に現在駐在し活動しているMONUSCOの兵士の出身国はどのようになっているか?資源を豊かに有する国に対して周辺国が資源の取り合いを画策することがこれまで見られたが、自国に産する鉱物が密輸で非公式に周辺国に流れるのを、コンゴ(民)政府はどれだけ阻止できているのか?等の質問が出されました。
第8回大使を囲む懇談会開催
- 堤駐南スーダン大使を囲む懇談会
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2022年度第8回・堤駐南スーダン大使を囲む懇談会
7月26日午後、国際文化会館会議室において堤尚広・駐南スーダン大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者7名、オンラインによる出席者7名)。
先ず堤大使より、南スーダンの歴史、政治情勢、経済情勢、日本の対南スーダン外交について、説明があった。
1.2011年7月スーダンから南部が独立して南スーダン共和国が成立。北部スーダンが
イスラム教、アラビア語であるのに対し、南部はキリスト教または土着宗教、英語と
いった形で大きく異なっていた。
1956年にスーダンとして南北を含む形で英国から独立する以前から、南部が自立を求める動きあり。第一次スーダン内戦(1955年〜1972年)の結果、南スーダンに一部自治が与えられた。第二次スーダン内戦(1983年〜2005年)を経て、2011年南スーダンが独立。
面積は約64万平方キロ(日本の約1.7倍)。
主要産業は原油(輸出の9割以上)、林業、農業、畜産業。
2.独立後の歩みは困難の連続。2013年と2016年に「キール大統領派の軍事勢力」と
「最大反政府派のマーシャル派の軍事勢力」が衝突し、2018年に「衝突解決合意」
(R‐ARCSS)に双方が署名し、2020年2月、ようやく国家統一暫定政府が設立。
マシャ―ル氏が第一副大統領に就任。その後、中央・地方政府は成立し、国民議会も
再編され、憲法制定過程も活動を開始。2023年2月の暫定期間終了後に選挙を実施するべく、現在ロードマップを作成中。
残された課題は膨大。統一軍の創設、憲法策定、「和解と癒し」等。特に統一軍の創設(警察を含む)は他の事項完了の大前提。
治安情勢は悪い。軍閥間の停戦合意は概ね守られているが、地方では共同体間の襲撃があり、犯罪取り締まりの国家の警察が未整備である状況。
3.経済面では、ポテンシャルはあるがそれを発現するインフラが未整備。石油の他、農水産業も潜在力大、鉱物資源も豊富。経済活動の大前提は、治安改善。石油収入の透明性の向上、インフラの整備、公共サービスの実施なども大きな課題。
4.日本の南スーダン支援の基本方針は①積極的平和主義の実践、②人間の安全保障の実現、③東アフリカ地域の安定化、④国際社会における協力・支持確保及び⑤二国間関係の強化の5本柱に基き、南スーダンの和平プロセスと国造りを支援する、というもの。
2011年の同国独立以来、日本は7億ドル以上の資金を投入し、4千人以上の日本人の参加あり。
和平プロセス支援として、UNMISS(国連PKO)への自衛隊・施設部隊の派遣、司令部要員の派遣、統一軍編成支援、井戸採掘。
国造りの支援としては、JICA、国際機関、NGO等を通じた支援。インフラ建設の例として、フリーダム・ブリッジの建設、ジュバ市内給水計画。
国際機関を通じた協力として、地雷・不発弾除去、職業訓練等。この結果、「日本は真の友」という評価が確立し、南スーダンは国際選挙等日本の立場をいつも支持している。2018年以降は南スーダンは東アフリカの安定要因となっている。
人間の安全保障の実現、二国間交流の面では、成果を得ておらず今後の課題。
積極的平和主義の実践については、それらの総体として評価されることとなる。次いで出席者から、外交面において、隣接する国々との関係は良好なのか?政府の各部局はきちんと動いているのか?電力の開発・整備状況はどのようになっているのか、首都でも日常的に停電はあるのか?首都及び地方での実際の治安状況はどのようになっているのか?空路でのジュバ空港への乗り入れを行っているのは、どの空港からの路線か?同国が産出する原油の輸出ルートは、ケニア経由か?中国はどの程度同国で開発協力を実施し、また民間レベルでも中国人が同国で活動しているのか?日本の会社が南スーダンから蜂蜜を買い付けて、ビジネスを行っていると伺ったが、品質の高い製品を日本で販売しているのか?長い間スーダンの一部となっていた南部が独立したわけだが、生活が苦しい面もある現在、やはり独立はしてよかった、と感じる国民が多いのか?(スーダン西部の)かつて不安定であったダルフール地方は今安定しているのか?首都ジュバでは生活に必要な物資がほぼ自由に入手可能でスーパーなども多くあるのか?また日常の買い物などの際の支払いは内貨で可能か?大使館員は自由に地方を訪問したり視察したりすることが可能か?などの質問が出されました。
第7回大使を囲む懇談会開催
- 田中駐ジンバブエ大使を囲む懇談会
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第7回・田中駐ジンバブエ大使を囲む懇談会
7月21日午後、国際文化会館会議室において、田中聡志駐ジンバブエ大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者11名、オンラインによる出席者17名)。
先ず田中大使より、最近の同国の状況について、ムナンガグワ大統領は国際社会との関係構築、再構築を最重要視しており、汚職撲滅を含めて各種改革の姿勢を強く示している。政府は2020年3月以降、コロナ対策として強力なロックダウン措置をとるなどしてきたが、かかる措置の下、政権に批判的な野党・NGO等への締め付けが厳しくなっており、右が国連や欧米諸国から批判されている。国民には閉塞感があり、白人農家の土地収用問題などを発端とする欧米諸国による「制裁」が続き、前政権時代にも起きたハイパーインフレも含めて経済の回復は実現していない。特に、コロナやウクライナ問題の影響も含めて、外貨や通貨、インフレの問題が悪化しており、来年の選挙に向けて懸念が深まっている。
外交面では与党ZANU-PFは独立前に中国から支援を受けた経緯から、欧米諸国とは対立する局面が多い中で、中国は豊かな鉱物資源を有する同国を支援してきており、開発面でも水力・火力発電所の建設、ハラレ国際空港、国会議事堂等のインフラ開発を中心に支援を継続。ムナンガグワ大統領は英国訪問など欧米諸国との関係の再構築に意欲を示しているが、欧米諸国による「制裁」解除の見通しは立っていない状況。
日本は同国の1980年の独立当初から対ジンバブエ経済・技術協力を開始し、多様なスキームで開発援助を実施してきた。同国への開発協力の大目標は「持続的な経済成長及び社会経済の変革に向けた支援」である。中目標(重点分野)は、南部アフリカ地域経済への円滑な統合、同国が有する豊富な各種資源の有効活用、および脆弱な人々の人間の安全保障の確保及び社会開発支援である、こと等について説明がありました。次いで出席者から、80%から時には200%にも及ぶハイパーインフレを最近でも経験したそうだが、これは大変なことと思われる、国民はどのようにこの中で生活してきたのか?会社の仕事の関連でジンバブエの綿花生産に注目しているが、産品の差別化はSDG推進上も重要であり、そのためにはディジタルな手法を取り入れることが有用だが、政府はディジタル化推進への対策を講じているのか?政府による(白人の)土地強制収用により同国経済は大きな打撃を受けたが、その後、地主への補償問題を含め、何らかの措置が進行しているのか?また本件土地改革問題は、次の選挙でも重要な争点の一つとなる見込みなのか?同国はワシントン条約(CITES)締約国会議の議論を時にリードする環境問題で独特の立場を過去において取っていたが、現在もそのような立場か?資料によれば、日系進出企業2社のうちの1社である関西ペイント社が先月同国からの撤退を発表したとあるが、ジンバブエにおける外国との競争に敗れたという図式による撤退なのか?ジンバブエは優れた国際的な観光地である、ヴィクトリア滝とグレート・ジンバブエ遺跡を有しているが、コロナ感染のコントロールがきちんとなされれば、再び大きな外貨収入源となりうるのではないか?国内の治安状況はどうか、またマラウィに隣接する地域の治安に問題があるという話を聴いたことがあるが、今は解決しているのか?JICAでの研修に来ているジンバブエの地方公務員から同国の水利用状況について話を聴いたことがあるが、上水道及び下水道の整備状況は順調に進んでいるのか?金融事情の安定化は重要だが、同国のモバイル・マネーの状況はどうなっているか、等の質問が出されました。
第6回大使を囲む懇談会開催
- 新井前駐セネガル大使を囲む懇談会
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第6回・新井前駐セネガル大使を囲む懇談会
7月8日午後、国際文化会館会議室において新井辰夫・前駐セネガル大使をお迎えして、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等からの出席者10名、オンラインによる出席者18名)。
先ず新井大使より、セネガルに3年半大使として勤務した経験から、アフリカの西の玄関口と言える同国は、独立以来一度のクーデタも無く、抜群の政治的安定を見せているが、その主な理由は、国民性が穏やかであリ、ホスピタリティに富むこと、国内の民族間に抗争が無く、対立が少ないことなどがあげられよう。
宗教はイスラムが主であり、4つの教団が存在するが、何れも穏健であり、社会の安定に寄与している。旧宗主国フランスも、旧仏領西アフリカの中心的存在のセネガルの不安定化を阻止するための努力を行って来た。コロナ禍で経済成長率は落ちたが、政府はパスツール研究所を活用しながら多くの対策を迅速に実施し、さらなる感染拡大は阻止しているが、これには、近隣諸国のエボラ熱流行時の対策などの経験も資する点があったとみられる。
経済面では、オフショアの石油とガスを開発中であり、コロナ禍で経済成長率が減じたが、その後経済の回復に努めている。周辺には政治的に不安定な国もあるが、ECOWASを通じる協力などにより、同国は地域の安定化に努力して来た。
外交面では同国は現在AU 議長国であり、ウクライナ危機に際して、アフリカ代表としてプーチン大統領に面会し、意見を述べるなどの活動も行ってきた。
文化面では、芸術作品のギャラリーが多く、また料理も定評がある。
日本との関係では、要人往来がこれまで数多くなされ、良好な関係を保ってきた。2020年には両国の外交関係60周年を迎え、コロナ禍により多くの文化事業は中止となったが両国の関係強化の機運を盛り上げた。
日本より同国への開発協力としては、インフラ、医療、教育を含め多岐にわたり種々の協力を行ってきたが、特色は人材育成と技術移転に重きを置くことであり、特に職業訓練センターは、これまで同国の産業人材を数多く育成してきている。また単に同国への支援のみならず、日本セネガルが連携して近隣国を支援するなどの三角協力が行われてきた。
民間では、現在同国に展開している日本の企業は約25社であり、「日本・セネガル合同委員会」が立ち上がり投資と経済関係の促進を図っている、等について説明がありました。また、セネガル赴任の前に駐ジブチ大使を勤めた経験から、ジブチについて、アフリカの東の玄関口であり、また地政学上の重要地点に位置するため、軍事基地を置く国が多く、また同国の港はエチオピアの海への出入口として重要な機能を果たしており、地域のハブを目指していること、気候は気温が高く暑い土漠であり、農業開発には制約があること、などについて説明がありました。
次いで出席者から、ガーナではグーグル、ツイッターなどの国際的大企業が店を出し、またスタートアップも盛んにおこなわれていると聞くが、セネガルではどうか?ECOWAS内の諸国間での輸出には、相互に関税はかけないなどの取組みが本当に行われているのか?アフリカでは一般に、時間がきちんと守られないことがある場合が多いが、セネガルはどうか?日本の援助による職訓センターが十分機能しているという話があったが、それは自分も外務省時代関係した案件であり、同センターが現在セネガル社会に役立っていると聞き、嬉しい。立ち上げ時は、教える立場のセネガル人をまず日本に招き、技術の他、日本語も十分教育した。セネガル人は世界に進出して小売り業などで頑張っているケースがあるが、セネガルにおいて、商業面での中国人の進出状況はどのようなものか?コロナ禍の下で石油・ガス開発の継続を行いつつ、国の開発を進めるのは資金調達面で不安があると思われるが、どのような策を用いて開発を進めているのか?今後の議会選挙への展望、などの質問が出されました。