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- 「UNCTAD/アフリカにおける経済発展2019報告書:アフリカ域内貿易と原産地規則」
- 【月刊アフリカニュースNo.81掲載】
- 資料名“Economic Development in Africa Report 2019: Made in Africa: Rules of originfor enhanced intra-African trade”UNCTAD、6月26日
https://unctad.org/en/PublicationsLibrary/aldcafrica2019_en.pdf?user=46
【報告書の背景】
・2018年3月キガリにて、AUの44ヶ国がアフリカ大陸自由貿易圏「African ContinentalFree Trade Area(ACFTA)」の形成のための合意文書に署名した。実現すれば、13億人の市場である。また、AUのAGENDA 2063の実現に一歩近づくことにもなる。
【報告書の構成】
・第1章:アフリカ域内の貿易振興の障害と自由貿易圏における利益。
・第2章:原産地規則とアフリカ自由貿易圏、アフリカ内の特恵貿易協定と自由貿易協定の意味。
・第3章:原産地規則に関するお茶、カカオ、木綿、織物、衣類と飲料、セメント、自動車の6分野における影響。
・第4章:原産地規則が、アフリカ自由貿易圏内において果たす役割
・第5章:アフリカ域内の貿易増加と構造改革を最大にするための政策とリコメンデーション
【報告書の目的】
・アフリカ自由貿易圏の成立は、アフリカにおける貿易、工業化、地域の発展が連携することである。将来アフリカ諸国の農業や製造業は、バリュウチェーンにより結ばれ、拡大し、貿易の振興と地域の発展に結びつくことが期待されいる。
・自由貿易圏成立には、貿易政策、工業化政策が深く関わってくる。その過程で経済構造の改革が実現されよう。
・自由貿易圏成立のためには、貿易が成長と構造改革の起爆剤となることが期待され、その実現の第一歩として、現在交渉が進められている原産地規則や関税協定など法的な枠組みの重要性、問題点等が詳細に検討され、政策提言と関係者による問題点の理解を求めている。
(コメント:現在アフリカ域内の地域グループによる自由貿易圏の協定は出来ているが、その完全実施には至っていない。多くの基本的な問題が横たわっている。アフリカ自由貿易圏が容易に実現するとは考えられないが、本書における原産地規則(産品の原産地を決めるルール)を始めとする法的な枠組みの問題点の検討は、一読に値する。)
- 「世界経済見通し:高まる緊張と萎縮する投資」
- 【月刊アフリカニュースNo.81掲載】
- 資料名“Global Economic Prospects:Heightened Tensions, Subdued Investment” World Bank 2019、6月4日
http://www.worldbank.org/en/publication/global-economic-prospects 本文
https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2019/06/04/global-growth-to-weaken-to-26-in-2019-substantial-risks-seen プレスレリース
【世界的展望】
・2019年の世界経済の成長は、2.6%に低下する予想される。年初頭における貿易と投資が期待より低かったことに起因する。
・2021年には、2.8%に上昇すると予想される。世界的資本市場が緩やかであり、新興国と途上国経済もモダレートな成長を遂げるとの予想に基づく。
・貿易摩擦の拡大は成長リスクではある。
【サブサハラ・アフリカ地域の展望】
・2019年の成長率は2.9%と予想される。これは年初頭の予測より低い。地域外からの需要が伸びず、供給サイドにおいても混乱があった。
地域の3大経済国の成長が予測より低かった。
・2020年には3.3%の成長が予想される。地域内の経済大国における良好な投資環境と石油生産と輸出の回復、非資源国における農業と投資の成長が前提である。
・一人当たりのGDPは上昇すると予想されるが、貧困レベルを大きく減少させることはない。
・2020年の3大経済国 :南アフリカの成長率は1.5%、アンゴラは2.9%、ナイジェリアは2.2%の予想である。
・多くの国の政府債務残高には関心を持たざるを得ない。特に、債務の増加に従って、高い利子率の非譲許的債務が増加していることである。
(経済成長関連の統計が豊富に示されている。地域別、国別予測も統計セクションに含まれている)
- 「報告書:世界経済状況と2019年の見通し」
- 【月刊アフリカニュースNo.80掲載】
- 資料名“World Economic Situation and Prospects 2019”
UNCTAD and other UN organizations、2019
https://unctad.org/en/PublicationsLibrary/wesp2019_en.pdf
1.世界的なマクロ経済成長の見通し
・世界的マクロ経済状態は健全に見えるが、停滞の傾向とリスクが隠れている。
・経済成長には凹凸があり、成長を一番必要としている地域において停滞が見られる。
・資源国は成長の可能性を引き出すのに苦心している。
2.2030年の“成長の維持のアジェンダ(SDGs)”の実施の不確実性とリスク
・短期的な成長の維持については、リスクとひ弱さが増加している。
・貿易政策についての争いが短期的な成長の脅威となっている。また、長期的な成長への影響もありえる。
・世界的な突然の金融引き締めが、地域的な金融問題を引き起こし、成長へ悪影響を及ぼす、さらに世界的な悪影響の拡散の可能性もある。
・経済大国の金融政策の調整、あるいはマクロ経済政策の失敗が、世界的な金融、財政圧迫となる可能性も無視できない、
・気候リスクはマクロ経済成長のリスクとなりうる、特に小さな島国において。
・長期的な自然条件の脆弱性が、世界的な経済成長、金融、社会、環境の維持を脅かす可能性がある。
・2030年までの貧困の撲滅には、アフリカにおける2桁の成長と不公平な所得格差の縮小が必要である。
・経済大国の経済成長への根本的な変革が必須である。
3.政策へのチャレンジと前進の方向
・多国間協議による世界的な政策作成は重大な挑戦に面している。
・包括的、弾力的、敏感に反応する多国間協議システムの必要性がある。
・国際税への協力は各国の課税政策を補完する。
・環境問題をとり入れた維持可能な成長は、政策と消費の基本的な変更を必要とする。
・自然資源のマネジメントは長期的な政策戦略を必要とする。
・教育、雇用政策と農村のインフラ建設は不平等の引き下げに必須である。
- 「国境なき記者団:2019年世界報道自由度ランキング」
- 【月刊アフリカニュースNo.79掲載】
- 資料名“2019 World Press Freedom Index – A cycle of fear”Reporters Without Borders、4月18日
https://rsf.org/en/2019-world-press-freedom-index-cycle-fear
(2019年順位及び2018年との比較が参照可能:https://rsf.org/en/ranking_table)
パリに本部を構える国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF:Reporters Without Borders)は18日、2019年の世界各国(180か国)の報道自由度ランキングを発表した。
1位は3年連続でノルウェー。フィンランドとスウェーデンが続き、3位までを北欧諸国が占めた。ロシアは149位に下がり、中国も177位に下落した。北朝鮮は最下位を脱して179位と、最下位180位はトルクメニスタンとなっている。
アフリカに関しては、ナミビア23位(2018年26位)が最上位で、モーリタニア94位(同116位)、ケニア100位(同96位)、エチオピア110位(2018年150位)タンザニア118位(同93位)、ソマリア164位(同168位)、そして、エリトリア178位(同179位)などとなっている。尚、日本は前年同様67位(2010年は11位、次第に順位を下げ、2017年は72位)。
(注釈)国境なき記者団:言論・報道の自由の擁護を目的として、1985年にジャーナリストらにより設立された団体。
- 「アフリカの鼓動、No.19:アフリカの経済的将来の形成要素の分析」
- 【月刊アフリカニュースNo.79掲載】
- 資料名“Africa’s Pulse, No. 19, : An Analysis of Issues Shaping Africa’s Economic Future”World Bank, 2019年4月
https://openknowledge.worldbank.org/bitstream/handle/10986/31499/9781464814211.pdf
・サブサハラ・アフリカの成長率は、2017年の2.5%から2018年には2.3%に下がり、これは同地域の人口成長率より低い。これは主要石油輸出国、ナイジェリアとアンゴラの石油輸出額の減少によるところが大きい。同時にスーダンの様に 資源国でない国々の広範な経済活動の低下も反映している。
・2019年には成長率は2.8%、2020年には3.3%が予想されている。成長率は、需要面では輸出、民間消費の伸びが貢献する予測である。供給面では農業生産の伸び、鉱業生産の増加と幾つかの国でのサービス部門の成長が期待される。
・資源価格の上昇,金属製品の輸出の増加は資源産出国の間で成長の格差も見られる。コンゴ(民)、ギニア、ニジェール等における公共投資の増加は、当然成長率の上昇に寄与しているが、他の資源輸出国では、インフレ、高い債務レベル が投資の伸びを抑えているので、成長率が伸び悩んでいる。
・本報告書の特別トピックは、デジタル経済が新たな包括的な成長、技術革新、雇用の創造、サービスの提供、貧困削減に貢献することを議論している。
(本報告書、p.81~139、アフリカのデジタル経済の現状について分析、資料も豊富)
・アフリカ諸国は、モバイル利用を拡充しているが、ブロードバンドへのアクセスでは、未だ世界レベルとの差がある。アフリカ人口の27%のみがインターネットへのアクセス、デジタルIDを持っているに過ぎない。ビジネスはデジタル技 術を取り入れ始めたばかりであり、少数の政府がデジタル・インフラ、サービス、スキル、企業家の養成に投資を始めたばかりである。
・デジタル革新が経済成長、貧困削減に寄与することは確かであり、雇用の増加、若い人々に起業の機会を与え、農業生産性を高めること事も出来る。また、女性を労働力に加えることになり、市場の拡大に繋がる。
世銀主導のDigital Economy Moonshot Initiativeでは、一人当たりの成長率を年1.5% 増加し、貧困を年0.7%引き下げる目標を設定している。デジタル革新の経済成長と貧困削減の潜在性は、特にサブサハラ・アフリカ、特に脆弱 な国々において大きいであろう。適切な人材への投資が同時に行われれば、その効果は倍増するであろう。
・ブロードバンドへのアクセスは必須であるが、それだけで上記の効果が得られるものではない。デジタル経済は強固なアナログの基礎を必要とする。それは活気に満ちたビジネスを支援する各種の規定、制度である。企業間の競争と技術 革新を保障するものであり、また、労働者、経営者、政府がデジタル世界の成長機会を獲得できる環境、市民の能力を向上させるインターネットの使用とそれを保護する制度等である。
- 「国連/世界幸福度ランキング2019年版」
- 【月刊アフリカニュースNo.78掲載】
- 資料名“World happiness Report” SDSN、3月20日
https://s3.amazonaws.com/happiness-report/2019/WHR19.pdf
国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)は3月20日、2019年版
「世界幸福度報告書」を発行し、世界幸福度ランキングを発表した。
首位は2年連続でフィンランド、日本は2018年の54位から58位に下がった。
同報告書は、2012年に第1回が発表され、今年が6回目。今年は156カ国・地域が
対象で、対象国で実施した世論調査をもとに、自分の幸福度が0から10の10段階で
自己評価した主観の平均。その結果を、「一人当たりGDP」「健康的な平均寿命」
「困ったときに助けてくれる友達・親族はいるかとの二元回答」「人生で何をするか
選択の自由があるかとの二元回答」「GDPにおける寄付実施者の度合い」「政府機関に
腐敗は萬栄しているかの二元回答」「昨日楽しかったかどうかの自己認知の度合い」
「機能楽しくなかったかの自己認知の度合い」の6つの説明変数で回帰分析し、
寄与度も分析している。
首位は2年連続のフィンランドで、上位はほぼ北欧諸国が独占した。G7諸国では、
カナダ9位、英国15位、ドイツ17位、米国19位、フランス24位、イタリア36位。
アフリカ諸国についは、リビア72位、ナイジェリア85位、アルジェリア88位、
そして南スーダンが最下位の156位となっている。