フォーラム
2021年

オンライン・アフリカ講座第1回開催

  • オンライン・アフリカ講座第1回
  • オンライン・アフリカ講座第1回 

    アフリカ協会は、アフリカ諸国の情報を幅広く提供することを目的に、1960年創設以来活動しておりますが、その主要な活動の一つに機関誌「アフリカ」の発行があります。
    機関誌「アフリカ」では在アフリカ公館の紹介、アフリカでの調査研究に関する報告など
    様々な情報を提供しておりますが、その中にアフリカの政治社会面での注目するトピックスを解説する“アフリカ・ニュース解説”というコーナーがあり、毎回早稲田大学国際学術院教授の片岡貞治先生に連載頂いております。
    今般、機関紙にて取り上げた毎号のトピックスに関し、さらなる詳細な解説及びその後の推移の報告を「オンライン・アフリカ講座」として新しく開催することといたしました。
    解説は同じく片岡教授にお願い致します。

    第1回講座概要:
    日時: 2021年11月26日 14時より15時30分
    場所: オンライン方式(ZOOM)(視聴者56名)
    テーマ:「モザンビーク北部の危機とジハーディスト」
        “カーボ・デルガド(Cabo Delgado)の危機”

    -2021年11月時点で、北アフリカ、サヘル、「アフリカの角」地域、大湖地域、モザンビーク、チャド湖周辺、ナイジェリア等総計15,000人以上のジハーディストがアフリカで跋扈している。
    -モザンビークでは全人口の30~40%がイスラム教徒であり、その多くが北部のニャサ州や
     カーボ・デルガド州に住んでいる。
    -カーボ・デルガド州東部沿岸地域では、2017年10月以降武装勢力による襲撃が断続的に発生し、沈静化の道が見えない。
     現在まで3,000人以上の死者と80万人以上の難民・国内避難民が出ている。
    -この地域は天然ガス・ルビーなど天然資源が豊富であるにも拘わらず、貧困層が堆積し、現政権に強い不満が鬱積している。
    -武装勢力アル・シャバーブに対しニュシ大統領は「主権にかかわる問題」として外国軍の派遣を受け入れず、政府軍および外国の民間軍事会社により反撃しようとするも、その効果は限定的であった。
    -長引く戦乱と被害に対してフランスのマクロン大統領やトタル石油会社などが介入し、6月に
     はいりSADC首脳会議にてSADC待機軍(ルワンダ及び南アが主導するSADC MISSION IN MOZANBIQUE-SAMIM)の派遣を決定。
    -現在も掃討作戦は続いているが、収束には長期化が予想されている。
     つまり安全保障上の懸念がなくなったとしても、貧困問題や不平等が解消されなければ、根本的な解決には至らない。カーボ・デルガドの彷徨えるイスラム教徒の若者がモザンビーク社会の枠組みの中に統合されて行かない限り、問題は続く。

    その後、質疑に入り、ガス田開発計画は既に6年遅れているがジハーディストの妨害でさらに
    遅れるのではないか、ルワンダとフランスの接近はフランスのサヘル政策転換の一つか、なぜ
    SADCの介入を嫌がるのか、コンゴ東部との関係はどうなるか、タンザニア南部への影響はある
    か、エジプトではイスラムとは関係なく強盗団による被害といわれているが現地ではどうか、
    テロを醸成させる原因としてのモザンビーク開発方針について、など多数の質問がなされました。

    講演内容は、協会HPにてご覧いただけますので、ご参照願います。


第13回大使を囲む懇談会開催

  • 野口駐ガボン大使を囲む懇談会
  • 野口駐ガボン大使を囲む懇談会 

    11月9日午後国際文化会館において、野口修二駐ガボン大使に同国の最近の事情を伺う会を開催しました(対面の出席者10名、オンラインによる参加者8名)。

    先ず野口大使より、同国の情勢について、以下のように説明しました。
    ガボン人の国民性は温和で控えめ、受け身的であり、土着民族間の融和も進み、人口の約3分の1が西アフリカ諸国等からの移民と言われている。そのため社会の特徴は平和で安定しており、過激な民族主義や社会的緊張は見られない。また、奨学金等により、ほとんどの知識層が欧州などに留学しており、そのため欧米的な価値観に対して開かれた態度を有している。自然面では、コンゴ盆地に属する森林は政府の環境政策により保護され、環境保護は政府の内外の重要政策になっている。内政面では、ボンゴ家を中心とする与党PDGが長期安定政権となっている。父オマール・ボンゴの後継者であるアリ・ボンゴ現大統領は、健康不安を抱えてはいるが、精力的な活動を展開している。
    当面の課題はコロナ対策と経済再建、ガバナンスの向上、政治制度改革、職業訓練、社会インフラの整備などであり、次期大統領選挙は2023年。
    外政面では、バランスの取れた穏健な外交と仏依存からの脱却を図る多角化の傾向がみられ、また国連精神の尊重と国際社会への貢献を意図して本年の安保理非常任理事国選挙に当選した。またAUとアフリカ地域統合の精神に基づき、中部アフリカ地域統合の推進もしてきた(中部アフリカ諸国経済共同体(CEEAC/ECCAS)の統合を牽引)。
    経済・社会面では、経済活動の40~50%、輸出額の70~80%、財政収入の30~40%が石油であるが、この石油依存構造から脱して多角化を漸進的に推進している。石油資源以外の資源(森林、マンガン、天然ガス他の有望資源)の価値化及びンコク経済特区開発を進めてきたが、特にンコク経済特区は大きな成功を収めている。(同経済特区は、同国で初めての経済特区であり、アリ・ボンゴ大統領のイニシアティブの下、経済多角化構想に基づいて設立され、17ヵ国の計82社が進出し、木材を中心に800名の直接雇用を創出した。)経済・社会開発面での問題点としては、所得が高い割に社会の実態は脆弱で(一人当たりGDPは約7千ドルで188ヵ国中55位であるが、人間開発指数は109位)、また、石油に過度に依存した経済体質の影響として、公的部門の肥大化と技術者の不足、石油価格下落後の困難な経済財政運営と国民生活の漸進的悪化、人口の都市集中などの現象が生じており、これらの解決が急務である。コロナ禍に対しては、空港でのコントロール、外出禁止等を含むきちんとした対策を実施したが、2020年度の成長率は△2%であった。今年は1.5%の成長が見込まれる。
    対日感情は良好であり、大統領も何回も日本を訪れている。経済的には中進国であるため無償援助の対象にならないが、我が国は費用対効果の良い経済協力を実施してガボン官民から高く評価されている。民間投資の可能性も存在するので、今後に期待したい。日本と関係があるスポーツ面では、空手と柔道が普及している。

    次いで法人企業等より、国民生活に根差す支援を国際機関と組んで実施することは有意義と考えるところ、そのような実例があるか、世界的に金利上昇の可能性があるところ、借金を多く抱える国は金繰りが悪くなると思われるが、西アフリカではどのようになっているのか?石油採掘の利権を握っているのは、仏または米国なのか?ガボンは一時OPECから脱退し、その後また復帰しているが、どのような理由や背景があったのか?また、石油採掘に際してガボンはどの程度オーナーシップを有しているのか?国策として森林を保護していると伺ったが、一般の国民もそういう意識を有しているのか、同国の医療設備・施設ははどの程度なのか、またシュヴァイツァー博士が設立した病院はまだ機能しているのか?日本の大学がガボンで医療面での協力を行った実績があるか、ガボンでは独立以来内戦を経験しておらず、深刻な部族対立も存在しないと伺ったが、これはアフリカでは珍しいと思われるところ、どのような理由でそのようなことが可能となったのか?大統領一族はその名前から判断してイスラム教徒と思われるが、多数のイスラム教徒が住んでいるのか?貴大使館の兼轄国である、サントメ・プリンシペの近況についても、概略を承知したい、などの質問が出されました。


第12回大使を囲む懇談会開催

  • 清水駐チュニジア共和国大使を囲む懇談会
  • 清水駐チュニジア共和国大使を囲む懇談会 

    11月5日午後国際文化会館において、清水信介駐チュニジア大使に同国の最近の事情を伺う会を開催しました(会員の法人企業等からの出席者15名、オンラインによる参加者27名)。

    先ず清水大使より、同国の情勢について、以下の説明がありました。
    地中海に面する面積約16万平方キロ、人口1,169万人のチュニジアは、古くから文明の交差点としての性格を持ち、カルタゴ帝国として栄えた後、ローマ帝国の一部となり、ビザンチン帝国を経てアラブにより征服され、オスマン帝国の支配を受けた後、19世紀にフランスの保護領となったが、1956年、米国の支援を得て独立した。2人の独裁者(ブルギバ初代大統領とベン・アリ第2代大統領)の統治の後、アラブの春を迎え、2011年ベン・アリ大統領は失脚し、2014年に新憲法が制定された。その後イスラム主義政党のエンナハダが第一党となり、大統領選では無党派のサイード氏が圧勝した。世俗派とイスラム主義派の根深い対立のもと、権力分立から2014年制定の新憲法が機能不全に陥り、今年7月の大統領決定により、首相は罷免され、議会は停止し、立法権を大統領令で行使することとなった。9月、ブデン首相が任命され、新閣僚も任命され、政治改革の方向性が示されたが、経済・財政改革と国際社会の支持回復が急務であり、資金ギャップを埋めるため、IMFとの交渉が注目される。サイード大統領による一連の措置は国民の支持を得ている(支持率は現在70~80%)。
    経済面では、同国の主な輸出品は機械・電子機器、繊維、食糧品、リン鉱石等であり、輸出先はEU(2016年で74%)、次いでマグレブ諸国、アメリカ、サブサハラ諸国等となっている。人的資源の面では、同国はこれまで教育投資を重ねており、エンジニア、医師なども多く出している他、人口の一割が海外で働いており、その仕送り額も大。
    現在同国の大きな問題は、2011年の革命以後の経済の低迷、すなわち財政・貿易収支の悪化であるが、その原因は抗議活動の活発化による主要産業の麻痺、リビア内戦による同国との交易の中断、治安悪化による観光への打撃等によるものであり、アラブの春の唯一の成功例として欧米諸国が支援してきたが、コロナ禍によるさらなる経済悪化などもあり、困難が続いている。7月以降の経済では、コロナの沈静化(ワクチン接種率33.8%)による経済活動、観光の回復などがプラス要素であるが、政治情勢の不透明化による民間投資の停滞、欧米からのシンパシーの減少などはマイナス要因。
    今後の注目点は、大統領(と新首相)がいかに財源を確保し、社会の安定を導くことが可能になるかなどであるが、中長期的には、IMFの新規プログラム、世銀構造調整を梃子とした公的セクターの削減、民間セクター促進などが重要となることが予想される。日本との関係は、20社余りの日系企業が進出しており、日本はこれまで同国に、「アラブの春」以後の民主化・改革支援を行ってきた。また昨年12月には茂木外務大臣が同国を訪問しており、来年のTICAD8の同国開催への協力を確認した。TICAD8開催に向けて、同国ではチュニジア日本商工会議所がチュニジア・日本・アフリカ諸国間の三角連携を推進すべくロードマップを策定するなど、活発な動きを示している。

    次いで出席者より、チュニジアの周辺国特にリビアとアルジェリアとの関係はどのようなものであるか、モロッコには不安定要因があるが右へのチュニジア政府の態度はいかなるものであるか、アルジェリアとモロッコの間のガスパイプラインをめぐる緊張関係をチュニジアはどう見るか、同国の水分野への日本からのODA案件は下水処理を含んでいるか?現在同国の国会が停止しているのであれば、次年度の予算案審議は、どのようになるのか?チュニジアもその一員である、マグレブ連合の協力の枠組みは、実際に機能しているのか?来年チュニジアでTICAD8が開催予定であるところ円滑な開催へ向けてのハードルは存在するか、またもし存在するとしたらそれへの同国としての対応策はどのようなものか?現在チュニジアは多大の債務をかかえており外貨準備額も不足していると理解するところ、IMFの緊急支援が必要であるが、支援が可能になるまでに公的部門の削減を実行すると公務員の反発が予想されるなど困難点が存在するが、インフレ率を抑えつつ乗り切れるか?IMFとの交渉を軌道に乗せるには、財政支出の削減、大統領への権力集中の是正などが必要となるのか?リビア情勢特に12月の選挙についてチュニジアの見方はいかなるのものか、などの質問が出されました。


2021年度学術研究会 第1回研究発表会

  • 2021年度学術研究会 第1回研究発表会
  • 2021年度学術研究会 第1回研究発表会 

    アフリカ協会はアフリカに関わる各種の情報収集・分析・発信を主軸にする活動を幅広く且つ長期にわたって展開してきましたが、近年の日本・アフリカ関係の緊密化、さらにはアフリカに対する世界的な注目度の高まりの中で本協会の活動の重要性は高まり、同時にその深化と多角化・多様化が求められています。
    そうした環境の下で学術研究事業を実施し、アフリカに関する基礎研究から学術専門研究に至る分野について一層の推進を図りたいと考え、その趣旨に基づき、学術研究会を発足させ
    ました。
    その第1回目の研究発表会を下記の内容で開催いたしました。                
    日時: 2021年10月26日(火)13時30分から15時 
    方式: オンライン(ZOOM)
    司会: 青木一能 アフリカ協会学術研究会委員長・日本大学文理学部名誉教授
    講演: 小田英郎 慶応義塾大学法学部名誉教授・元日本アフリカ学会会長
    テーマ:「アフリカ現代政治の60年-研究の履歴書から-」

    第1回目は、アフリカ研究の草分け的な存在である慶応大学の小田名誉教授にご講演をいただきました。(視聴参加者63名)

    講演概要は以下の通り:
    -独立期からのアフリカの現代を大西洋奴隷貿易・分割・植民地化の時代を経た後の歴史的復権の時代と位置づけ、アフリカの主体性確立への強い志向こそがアフリカを動かす主要な力であったとする。
    -パンアフリカニズムとはアフリカ復権を大陸レベルで追及した運動であり1945年を境にアフリカの独立と統一を目指す運動へと発展する。
    しかしその後この運動は急進派(アフリカ合衆国構想)と漸進派(国家単位の独立構想)に
    分裂、アフリカ統一機構(OAU)結成からアフリカ連合(AU)へと繋がっていくこととなる。
    -60年代半ばから80年代末に国家建設への効率的政治体制として開発独裁(一党独裁、軍部独裁体制)が浮上した。しかし80年代における経済危機の深刻化によって開発独裁は失敗となり、
    結果的にアフリカの多くの国はIMF・世銀主導による構造調整計画を受け入れざるを得なく
    なる。その反面、負の効果として都市住民・貧困層を痛撃し政治不安の増大を招くこととなる。
    その結果が、90年代のアフリカの混乱、さらには民主化のネガティブな推進要因となる。
    -その後、報告では「紛争と安全保障」および「南部アフリカ開放問題」に論点が広がり前者では紛争大陸と呼ばれるアフリカの構造的因子について、後者ではアパルトヘイト問題を中心にした南部アフリカの解放問題についての詳述となった。

    以上、講演の概略を記しましたが、講演後、視聴者より“欧米諸国のアフリカへの対応”、“「トライブ」という用語の使い方について”、“アフリカルネッサンスについて”など質問がでて、小田
    教授より丁寧にお答えを頂きました。
    次回は2022年2月頃の開催を予定しております。


第11回大使を囲む懇談会開催

  • 木村駐モザンビーク大使を囲む懇談会
  • 木村駐モザンビーク大使を囲む懇談会 

    10月6日(水)午後国際文化会館において、木村元・駐モザンビーク大使に同国の最近の事情を伺う会を開催しました(参加者は、出席者15名、オンラインによる参加者31名)。

    先ず木村大使より、同国の情勢について、以下の説明を行いました。
    2019年の選挙の結果は、FRELIMO(モザンビーク解放戦線)が国会議員250名中184名を占め、次いでRENAMO(モザンビーク民族抵抗運動)が
    60名、MDM(モザンビーク民主運動)が6名であった。
    新型コロナウィルスの感染状況は、人口約3千万人弱の同国において、1日40名弱が新規感染している状態。緊急事態宣言も実施した。ワクチンは15歳以上に接種しているが、9月11日現在、対象人口の約10%が接種を終えた状況であり、第3波を克服したところである。新型コロナウィルスによる経済への影響は、2020年の経済成長が28年ぶりのマイナス成長となったこと、石炭事業の落ち込みに伴う輸出減、絶対的貧困者の増加などである。日本は同国のコロナ対策への支援として、UNICEFを通じる援助、同国を含む25か国への債務救済として1億ドルの拠出、パリクラブでのリスケ実施、小型救急車および機材の供与、コールドチェーンへの機材援助他を行った。
    天然ガスを産出する、北部カーボデルガード州では、2017年から正体不明の武装集団による襲撃が行われるようになり、2019年、事件数が大幅に増加するとともに、ISが犯行声明を出した。同国政府は昨年4月、初めて「テロとの戦い」を前面に押し出している。政府はルワンダ軍とSADC軍の協力を得て、同州でテロとの戦いを進めている。(襲撃・戦闘数は累計800件以上、死者数が3,100人以上、国内避難民数は、85万人以上に達している。)同州の天然ガス開発は同国経済の要であり、テロ掃討は重要である(開発された暁には、同国で産する天然ガスの規模はアフリカ最大となる見込み)。なお中部においても治安情勢に問題があり、襲撃が行われる時があるが、これは上記とは無関係であり、内戦の名残の現象と見られる。
    同国経済は1992年の和平合意後、高い成長を示しているが、GDPパーキャピタは現在500ドル以下であり、世界でも最も低い方にとどまっている。主な産業は農業、エネルギー系鉱業、精錬業(アルミ)、電力(水力)が中心であるが、製造業では食料品製造、飲料品製造他が主要である。2020年の同国の公的債務残高は、GDP比122%に達した。
    対日貿易では、日本への輸出品は採油用の種(ゴマ)、石炭(原料炭)、非金属鉱物製品等であり、対日輸入品目は機類、車両等である。最近の日本から同国への経済協力は、茂木外務大臣の同国訪問時発表された、沿岸警備艇と関連機材供与2億円、国内避難民への人道支援9億円、浄水車5億円、WFPを通じた食糧支援(2億円ずつ2回)、巡視船7.5億円、他となっている。(この他、同国で現在進行中の日本によるすべての無償資金協力案件と今年3月以降の無償資金協力案件の表が示された。)

    次いで法人企業等より、現地の港湾では、主としてコンテナ不足により、荷動きが遅れているという報告があるが、解消の目途を知りたい、コロナ対策で適切な支援がいくつもなされたようだが、大使館が主として考案したのか、カーボン・ニュートラルなどが叫ばれる中、同国の環境政策はどのようなものか、マラリアは今なおアフリカにおける主要な感染症であり、死亡者を多く出しているところ、コロナ同様に然るべき対策を次々に進めるための企画はなされているのか、同国の公的債務の最大の相手国は中国と思うが、主要ドナー国の同国への経済協力実績表の上位に中国が出てこないのはなぜか、IMFから同国への一般財政支援は現在凍結されているが、今後再開への道筋はどのように決定される見込みなのか、TICADⅣにおいて日本はナカラ回廊をアフリカの中の最重要の回廊として位置付け、その結果「プロサバンナ計画」が開始されたが、その後日本は同計画から撤退したと理解しているところ、今後ナカラ回廊についてどのような協力を実施するつもりか(本件について、木村大使より、日本は「プロサバンナ計画」から撤退したのではなく、3段階の協力を終えて計画を成功裏に終了したとの説明がありました)、などの意見や質問が出されました。


第10回大使を囲む懇談会開催

  • 津川駐ベナン大使を囲む懇談会
  • 8月27日(金)午後、国際文化会館において、津川貴久・駐ベナン共和国大使に同国に近況について伺う会を開催しました(参加者は、法人会員の企業等からの対面形式での出席者20名、オンラインによる参加者11名)。

    先ず津川大使より、同国の最近の動向について、以下の説明がありました。
    今年4月、大統領選挙が行われ、パトリス・タロン大統領が再選され、任期5年の、第2期目に入った。当面政権は安定していると見られる。同国は、実業家出身のタロン大統領の指導のもと、近年は年率5-6%の経済成長率を維持し、全世界的に経済が低迷した中、2020年はプラス成長(約2%)を維持した。
    新型コロナの感染状況については、昨年から感染者を出しており、日本の開発援助関係者および青年海外協力隊員は、緊急退避して日本に戻った。しかしその後全体にコントロールされており、今年は同国民と在住の外国人に対するワクチン接種も進んでいる他、感染者を入院・治療させる努力も進んでいる。(マラリアなどの既存疾患には引き続き,注意が必要)。日本の援助で建設された「アラダ病院」(無償資金協力により2018年8月完成)は、最新鋭の設備を備えており、現在同国のコロナ対策の拠点病院となっている。
    政府は5カ年政府行動計画に基づき、保健衛生分野、安定した生活用水の供給、電力自給率向上といった基礎生活・民生の向上やインフラ拡充(道路、空港、港湾等)に取り組んできた。
    これに対し、日本は①インフラ整備、②産業振興、③国民生活の環境改善を重点分野としてベナンの経済社会開発に協力してきた。また本年2月、「コトヌ市ベドコ交差点立体交差建設計画」および「クフォ県及びプラトー県における飲料水供給システム強化計画(詳細設計)」に関するE/Nを行った。
    同国政府の財政原則としては、公的債務を管理可能な水準に抑えつつ適時適切に公共投資を行うとの方針を堅持しており、G20・パリクラブが合意した債務履行停止イニシアチブ(ISSD)の適用は求めないとしている。 
    着任して1年経った時点での感想として、同国の電子デジタル化が意外に進んでいること(ビザ発行,ID関係,PCR検査などが電子化されている)、フランスを中心とする欧への親近感などがあること、ベナンに常駐する日本法人は3社のみでよりいっそうの新規投資に対する期待がベナン政府から寄せられていること、日本と西アフリカとの間で情報や人の交流が少ない(例:日本の報道機関が常駐特派員を駐在させていないため、現地での生の情報がほとんど日本に伝わっていない。)、などについて説明がありました。

    次いで法人会員等より、同国における新型コロナの累積感染者数及び空きベッド数などはどの程度か、同国に住んでいる邦人が仮にコロナに感染したら、どうなるのか、国外に移送するのか?日本のODAによるこれまでの同国への開発援助の分野を伺ったが、今後電力開発を行う可能性はあるのだろうか?同国の電化率を高める手段として、ミニ・グリッドの電力開発をスタートアップ事業として手がける可能性はあるか、また再生可能エネルギーの活用もありうるのではないか、自由で開かれたインド・太平洋地域に関して最近の日米豪インド4か国の連携等の動きを西アフリカから見ると、どのようになるか?などの質問が出されました。また、司会の求めにより、出席された「日本ベナン友好会」の事務局長に、同協会の概要について簡単に説明していただきました。


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