フォーラム
2021年

第9回大使を囲む懇談会開催

  • 岩切敏駐マラウィ大使を囲む懇談会
  • 8月17日午後国際文化会館において、岩切敏駐マラウィ大使に同国の最近の事情を伺う会を開催しました(対面出席の他、オンライン参加も含める形で開催しました。参加者は、会員の法人企業等からの出席者16名、オンラインによる参加者16名)。

    先ず岩切大使より、同国の情勢について、新型コロナウィルス状況を最初に取り上げて、以下のように説明しました。
    昨年4月に同国で最初の感染者が確認され、4月1日からは商用便が欠航となり、空港は閉鎖された。(リロングエのカムズ国際空港が再開されたのは同年9月。)感染集中地域は首都リロングウェと商業都市ブランタイヤであり、第1波(昨年5月~8月ごろ)、第2波(昨年末~今年4月中旬)、および第3波(今年6月中旬から現在)と3つの波がこれまであったが、大使館は本省と協議しつつ、昨年4月の空港閉鎖直後に、特別措置で希望する邦人をチャーター機でリロングウェからルサカ経由で出国・退避させるオペレーションを行った。邦人が感染した際のリスクを軽減する意味でも、このオペレーションが最後のチャンスであった。当初はPCR検査結果を国内で出すことができず、検体を南アまで輸送して結果を確認しないといけないような状況であったが、現在では国内で独自に検査を行っており、結果も速やかに出ている。マラウイ政府のコロナ対応は、比較的よく行われていると思うが、これまで、現職閣僚2名はじめ複数の政府高官がコロナに罹患して死亡するケースも見られている。推測の域を出ないが、マラウイの人口構成は比較的若年層が多く、また密の状況があまり生じにくい環境にあるため、感染しても重症に至らないケースが多いのではないかと思われる。7月末までにワクチン第1回接種を終えたのは約42.6万人、第2回接種を了したのが約10.9万人である(7月末の累計感染者は5.1万人、累計死亡者は1,588人)。現在の対策は、在宅勤務の推奨、屋内の会議の抑制、居住地域の外への旅行はしないことを推奨、レストランの営業時間を22時までとし、22時から6時までの外出禁止などである。この措置は、大使館やODA関係者への業務の影響に多少の影響を与えている。
    最近の政治動向としては、同国は現在SADCの議長国であり、今月9日から18日までSADC首脳国会議をハイブリッド形式で開催した(テーマは、コロナ禍におけるデジタル・テクノロジーを活用した産業化の促進、SADC内におけるワクチン生産の増進等)。前政権と比べて、外交活動は活発に行われているとの印象。また同国は反汚職の取り組みを進めており、最近では、現職のエネルギー大臣が逮捕されたとの報に接している。
    経済面では、「Vision2063」のもとに、2063年までに豊かで自立した、産業化した高中所得国になることを目指している。いずれにしても厳しい財政状況は続いており、今後の推移を注意深く見守っていく必要がある。
    治安情勢については、同国内の犯罪は、窃盗・ひったくりなどの軽犯罪が大半であるが、近年は国内の収入格差の広がりなどによる貧困層の増加、近隣諸国からの不法滞在者の流入などもあり、悪化していく兆しが見える点が懸念される。また、隣国モザンビークのカーボ・デルガド州の治安情勢(アル・シャバブと繋がるイスラム過激派武装勢力による反政府運動が2017年から活発化している)は、マラウイの治安情勢にも大きな影響を与えかねないので、注意が必要である。

    マラウイへの民間企業の進出は、次のTICAD8に向けて喫緊の課題であるが、コロナ禍が続く中で低調である。現在、ODA案件の仕事で現場に民間企業の方々が活動を再開しているが、現地でのワクチン接種に関する情報を大使館からまだ入手していないので、教えてほしいという要請があった他、昨年のマラウイの空港閉鎖の時点では、まだ新型コロナに対する対応策や病状等がはっきりしていなかったため、リスクを軽減する意味でも多くの邦人の皆様に帰国を慫慂せざるを得なかった。その中でも、大使館館員の多くはマラウイに残り仕事を継続した。
    今後また去年のように空港封鎖のような事態が起きることが考えられるだろうか?現地では今でも去年のように、数名が食事等のことで会うのも禁止されているのか?今後、マラウイにおいて食品加工分野でのビジネスの発展の可能性がどの程度存在するか知りたい、マラウイで生産する食品をそのまま先進国の市場に出すのは難しいのではないか?昨年コロナがマラウイで蔓延した当時日本は在留邦人をチャーター機で帰国させる決断をしたが、外国の空港閉鎖時におけるその国に住む外国人の行動には多大なリスクが生じるところ今後色々考えて対策を練る必要があると思う、邦人がコロナに罹患した場合、現地の病院で治療を行うことができる可能性はあるか?今後のマラウイの発展を考えるときどの分野を中心にいかなる努力を傾注することが最も肝要と考えられるか?などの意見や質問が出されました。


チャレンジ企画第三弾!
「オンライン対談シリーズ
  分断を乗り越えて〜My Blood Divides and Unites〜」

  • ■日 時: 2021年8月26日(木)20:00〜21:00
    ■配信方法: Facebookライブ
    ※アフリカ協会のFacebookページを?いただけると、当日配信開始時に通知が
    入ります。
    ■参加費: 無料
    ■<第3回テーマ> 分断を乗り越えて〜My Blood Divides and Unites〜
    ■ゲスト:Jesmane Boggenpoel
        (著書『My Blood Divides and Unites』/南アフリカ公認会計士、
         元 世界経済フォーラム アフリカビジネスエンゲージメント代表/
         ハーバード大学Mason Fellow )
    ■内容:
    南アフリカの上場企業各社のボードメンバーを務め、公認会計士としても世界経済フォーラムのヤンググローバルリーダーとしても幅広く活躍してきたJesmane Boggenpoel。アパルトヘイト時代に、白人や黒人に加えて設けられた「カラード(混血)」の家族として生まれ育った彼女は、幼い頃から自身のルーツに真剣に向き合ってきました。著書『My Blood Divides and Unites』は、2019年発行。彼女自身や家族の様々な経験のみならず、世界中の友人達から聞いてきた分断などと向き合う中で、どのように互いを理解し認め合うことができるのかを模索しています。そんな彼女が”Black Lives Matter(BLM)”や現在の南アフリカの情勢に、どんな想いを持っているのか、お話を伺います。
    ■ナビゲーター兼通訳:株式会社SKYAH代表 原ゆかり

第8回大使を囲む懇談会開催

  • 大塚海夫駐ジブチ大使を囲む懇談会
  • 7月7日午後国際文化会館において、大塚海夫駐ジブチ大使に同国の最近の事情などを伺う会を開催しました(対面参加の他、オンライン参加も含めて開催しました。参加者は、会員の法人企業等からの出席者12名、オンラインによる参加者23名)。

    大塚大使より、同国の概況について、以下の説明がありました。
    同国の面積は四国の約1.3倍で100万人弱の総人口の約6割がソマリ人、3割5分ほどがアファール人(エチオピア系)、5分程度がアラブ人であるが、国民の間での民族抗争は無い、言語はフランス語とアラビア語が公用語である、地政学上の要衝に位置する同国はAUとアラブ連盟に加盟し、地域の安定勢力として全方位外交を展開している。またバブ・エル・マンデル海峡を扼し、エチオピアの外港・内陸アフリカの玄関口として機能することから、同地域の物流・金融・通信・交通のハブとしての役割を目指している。欧米諸国に加え、中国の軍事基地も受け入れている。我が国も海賊対処活動のため、同国に初の海外拠点を置き、その運用を2011年に開始した。
    5期目に入ったゲレ大統領の資質は高く、部族間の均衡をとりながら特に問題なく統治している。また同国民はほとんどイスラム教徒であるが、過激性はない。人口は相対的に若く、35歳以下が7割を占めるとみられる。

    同国の投資環境は、前述のように地政学上の要衝に位置し、エチオピアの外港として機能し、高いGDP成長率を示している(2022年度の同国のGDP予想成長率は7.1%(世銀推定)。世銀Doing Businessランキングにおいても、同国は2018年から翌年の2019年までに55位上昇していることにも表れているが、ビジネス環境の改善に努めてきている。他方、我が国から見た同国の投資環境の課題としては、国内人口百万という小さい国内市場であることから市場としては後背のエチオピアを一体で考えることが必要、中国が大きな影響力を有すること、日ジブチ投資協定が現在無いことなどが考えられる。我が国との関係は良好であり、日本が建設した学校が同国では「フクザワ学校」と命名されて活動中である。また近年では両国間の要人訪問も密接に行われている。

    中国・ジブチ関係は1979年の国交樹立以来良好な関係を維持しており、中国は「一帯一路」の要衝として2017年8月に海外初となる中国保障基地の同国における運用を開始した。両国間の要人の往来も頻繁に行われており、またジブチに多数の中国人が居住している他、中国に留学するジブチ人留学生も多い(現在までの総計2千名)。港湾関係をはじめとする協力・投資も急激に増加した。中国関係プロジェクトとしては、国会図書館・公文書館、旧ジブチ港再開発建設、ジブチ・アジスアベバ間鉄道開発、新フリーゾーン建設、ドラレ多目的港開発、ダメルジョグ工業団地、などの計画が進行中あるいは検討中である。昨年末には、30億円といわれる国会図書館・公文書館の寄贈式が行われた。他方で、中国からの債務は、GDPの3割以上の額に相当、ジブチは一国からの債務が増大することの問題点をよく認識しており、多国との協力推進により相対化を図る努力をしている。

    同国における新型コロナの蔓延状況については、昨年春ごろ一時多数の感染者を出したが、その後3月に店やモスクを閉め、バスなどを停めるロックダウンを徹底的に実行したことから、感染は収束に向かい初動対応に成功したと見られ、マスクを着けずに外出する人が多くなったが、他方今年春には、大統領選挙キャンペーンが大々的に実施されたこと、在外のディアスポラが戻り、また変異種の流入等で感染が拡大したと見られ、政府はCOVAX、露・中のワクチン接種を急いでいる。

    次いで法人企業等より、同国の市場における日本車の評判はどのようなものか、また近隣諸国から入ってくる車の、同国内における価格はどのようになっているか?米国はジブチを核としてアフリカの角地域における、中国との力のバランスをどのようにしようと考えていると見られるのか?エチオピアのティグライ地方に起きている軍事衝突の図式はいかなるものか?今後ジブチのビジネス関係が成長するとして、考えられるリスクはどのようなものか?先ほど港湾事業の一環としてのダメルジョグ工業団地計画の話を伺ったが、具体的にどのような分野の開発を企図しているのか、既に何らかのアイディアがあるのか?また、電力は十分あるのか?ジブチ国民で、今後エチオピアでスタートアップし、何らかの分野の事業を起こしたいという希望を有する国民は、いるのか?最近は同国周辺海域の海賊行為による被害は、ほとんど起きていないのか?海賊の攻撃を受けた場合、これを捕らえる場合の司法権はどうなっているのか?若い世代の失業率が70%程度と理解するが、外国で勉強した場合、学生は卒業後同国に戻るのか?などの質問が出され、それらについてそれぞれ、大塚大使より懇切な説明がありました。


第7回大使を囲む懇談会開催

  • 南博之駐コンゴ(民)大使を囲む懇談会
  • 7月2日午後国際文化会館において、南博之駐コンゴ(民)大使に同国の最近の事情を伺う会を開催しました(対面出席の他、オンライン参加も含める形で開催しました。参加者は、会員の法人企業等からの出席者17名、オンラインによる参加者が14名でした)。

    先ず南大使より、同国の最近の状況について、以下のような説明がありました。
    2018年12月にチセケディ大統領は、選挙も国民投票も経ずして自らの側近と前大統領カビラの連合与党であった議員たちにチセケディだけを支持する神聖同盟に鞍替えするように求める賭けに出た。不思議にもこの非民主的な賭けは現時点まで成功している。すなわち日和見な議員たちは次々に神聖同盟に加わり、前大統領はあっという間に多数派を失った。しかしながら、鞍替えした議員たちが期待したのは現大統領を支持することの見返り、いわゆる利権である。現時点で暴動は起こっていないが、見返りがない、あるいは十分でないとの不満が鞍替え議員たちから上がり始めており、チセケディ大統領にとっては今後半年から1年が正念場となる可能性もある。例えば新首相が指名されてから組閣に3ヵ月近くを要した。従来、この国の閣僚総数は67名、また大統領補佐官も100名を超えるなど、要職のポスト数が多数である上、西欧のほとんどの国の合計面積に匹敵する、広大な面積(234.5万平方キロ)を有する同国の、26州からそれぞれ必ず大臣が任命されなければならないなど、閣僚等を任命する条件が複雑であるため、なかなか組閣のすべてが早期に終了しなかった。閣僚指名に不満な議員は議長を名宛とする攻撃を始めている。国際面では、現在チセケディ大統領はAUの議長であり、このこともあり、中国の王毅外相をはじめ多くの国の要人が本年同国を訪問している。

    他方、同国では昨年以降他国と同様に、新型コロナの感染拡大という現象が起きており、現在第3波の真っ只中である。しかし、発熱で死んだ人がコロナに感染していたか否かはっきりしない場合などもあるため、患者数、死者数などの正確な数字は不明。インド人が多く入り、キンシャサにはインド系の病院が存在するなど、ケニア、タンザニア等インド洋に面した東の国のみならず同国もインド人が主流の外国人となっており、そのためインド株の流入など新型コロナの蔓延状況は予断を許さない。その他、先月東部地域の火山の噴火により、多数の地域住民が被災して住宅を失い、住み慣れた土地を離れるなどの災害も起きた。
    同国はこれまでに国勢調査を一回だけ、1984年に実施しており、その時の人口は約8千万人台後半であったが、その後かなり人口は増加しているとみられ、現在は約1億2千万人以上とみている。いずれにせよ、資源、人口面でとてつもない大国。しかし東部を中心に内戦が四半世紀来続いており、同国の安定のため、国連PKOの世話になり続ける等、経済は停滞している。一人当たりGDPは国連計算でもIMF計算でも500ドルを下回る。また、国内に多くの難民を抱えていることも不安定要因。ルワンダ、ウガンダ等近隣国からの難民もいるが、国連難民高等弁務官室によれば外国からの避難民よりも、コンゴ人の国内避難民の方がはるかに多い。最近では昨年末の選挙後の暴動から逃れてきた中央アフリカ共和国難民が増えている。

    経済面では、同国はもともと豊かな資源に恵まれた国であり、銅を筆頭とする鉱物資源の他、キャッサバ、豆、魚など農業と水産業の潜在的発展性は高いとみられるが、生産や運輸などの場面でかかわる人々へのコミッションの発生という、経済構造の問題があり、近隣国に比べても物価が異常に高い。キブ州等ではコーヒーを生産しているが、消費者にわたるときには、エチオピア、ブラジルなど外国産のコーヒーよりもはるかに高い価格で店に並んでいる。

    次いで邦人企業等より、同国の開発がなかなか軌道に乗らない主な理由は何か、中間の人がコミッションを取るため物価が高くなるとしても、どこかで競争原理が働くと安くなりうると思うが、政府の規制が強いのか、日本に入国するコンゴ(民)国民はその後難民申請をするケースが多いと聞いたことがあるが、日本以外の国や周辺国に難民として出る同国民が多いのか?現政権の対中国の政策はいかなるものか?隣国の一つであるルワンダの近年の発展状況などをコンゴ(民)国民はどう見ているのか、同国出身のデニス・ムクウェゲ(医師、2018年度ノーベル平和賞受賞者)氏は今同国で活躍しているのか、などの質問が出されました。


第6回大使を囲む懇談会開催

  • 田中聡志 駐ジンバブエ大使を囲む懇談会
  • 6月30日午後国際文化会館において、田中聡志・駐ジンバブエ大使に同国の最近の事情を伺う会を開催しました(対面出席の他、オンライン参加も含める形で開催しました。参加者は、会員の法人企業等からの出席者13名、オンラインによる参加者11名)。

    田中大使より、同国の近況、内政・経済・経済協力などの状況について次の説明を行いました。
    先ず新型コロナの同国における状態であるが、昨年3月から政府はロックダウンを強行し、その後の蔓延状況は日本より少ない程度で推移していたが、年末年始にかけて南アにいたジンバブエ人が帰国するとともに、再度感染が拡大した。また、この頃には変異株の流入もあって全体的には状況が悪化した。そのため、一度は緩和されたロックダウンが今年1月以後再強化され、夜間外出禁止、レストランやスポーツ施設の閉鎖など、厳しい措置がとられたが、閣僚も4人ほどコロナで死亡するなど、深刻な状態が続いた。しかし、今年に入り4-5月以後、状況が緩和されて仕事もできるようになった。この間、ワクチン接種も励行されており、ワクチンは4種類あるが、ほとんどの人が2種類の中国製ワクチンを接種している。このような状況下で、同国は東京五輪・パラリンピックに陸上・ボート他の選手を数名派遣する方向で準備している。

    同国の概況であるが、もともと良好な気候を特徴とした農業国であり、またヴィクトリア滝などの観光資源や豊富な鉱物資源を有しており、識字率と国民の教育水準も高いことから、優秀な人材にも恵まれていた。2000年に建国の英雄であったムガベ前大統領が白人農場主の土地収用などを行ったことを契機に、経済は低迷している。同前大統領が2017年に退陣すると、公正な選挙、汚職撲滅、法律の整備などを唱えたムナンカグワ大統領による新政権が発足し、国内外で新しい国造りへの期待が高まった。しかし、その後大規模なデモやストライキの抑圧など、新政権の基本姿勢は前政権と変わらないという印象を国民に与えた。経済面では、土地改革を契機とした生産力低下と経済不況の中、深刻な財政と外貨不足にもかかわらず、政府は歳出拡大とジンバブエドルの発行を続けた結果、2008年にはハイパーインフレが発生。一旦収束するも、現在もマクロ経済の不安定な状態が続いている。このような中で2023年には、大統領選挙を迎える予定。他方欧米諸国は2000年以後の同国における政治的暴力、人権状況の悪化、土地改革による白人農家からの強制的な土地収用等を理由に「制裁」を開始した。現政権はこのような人権・ガバナンス問題及び延滞債務等によって影響を受けた国際社会との関係について、「関係構築・再構築」を目指している。

    同国は2030年までに中所得国になることを目指しているが、ビジネス面の課題は山積している。通貨の不安定性の他、銀行の仕組みや送金方法の頻繁な変更および手続き障害等により、かつて同国に拠点をおいていた多くの日本企業は数年前までにほぼ撤退した。なお、昨年までは干ばつが続いたが、今年は降雨状況が順調であり、良好な農業生産が見込まれる。日本は同国への経済制裁を行っておらず、2国間の経済協力を継続しており、「南北回廊北部区間道路改修(無償)プロジェクト」他の協力を行っている。外交面では、中国の存在感が大であり、同国はエネルギー、ワクチン、マスクなど多様な分野での支援を行っている。

    次いで法人企業等より、経済協力のプロジェクトで工事を行ったところ、最初に一応払い込み、後日返還する予定のVATの返還が当初予定より大幅に遅れており、工事が終わった今も、滞っている部分があるので大使館とJICAにご支援をお願いしたい(大使より、外相にも右を伝えているとの回答がありました)、91年に周辺国から訪問し、同国の農業の様子を見たが、その後白人の土地収用があったところ、現在の土地の状況(所有および生産)はどのようなものか、ハラレにはどのくらいの白人が残っているのか、同国に外国大使館は何か国くらい存在しているのか、今後の同国への経済協力の主な分野はどのようなものが考えられるか、新型コロナ蔓延の状況下で、手洗いの必要性から、例えば上水道整備計画などはどのような位置づけになっているのか、井戸やごみ処理も含めBHN案件はニーズが高いと思われる、23年に選挙が行われる予定と承知するが、選挙に向けて、現在の与党と野党の概況はどのようなものか、同国内でのベンチャー企業の育成やスタートアップの支援などはどうなっているか、新規ビジネスを育成する方向の政策があるのか、新型コロナ対策で医療機関は既に手一杯と思われるが、医療の他の分野の状況はどうなっているのか、外貨不足の状況は承知しているが、教育を受けた人材が欧米などに行って働き(ディアスポラ)、同国に送金するなどのことが、ある程度の規模としてなされるならば、外貨状況の改善に資すると思われるが、そのようなことがあるのか、同国の英連邦への復帰は可能性があるのか、などの質問が出されました。


第5回大使を囲む懇談会開催

  • 丸橋次郎駐アンゴラ大使を囲む懇談会
  • 6月2日午後国際文化会館において、丸橋次郎駐アンゴラ大使に同国の最近の事情を伺う会を開催しました(対面出席の他、オンライン参加も含める形で開催しました。参加者は、会員の法人企業等からの出席者17名、オンラインによる参加者16名)。

    先ず丸橋大使より、同国の最近の状況について、以下のような説明がありました。
    国民和解・国家再建が着実に進展し、平和が定着した。2017年に総選挙が公正に実施され、38年間同国を率いたドス・サントス前大統領に代わってロウレンソ大統領が選出された。与党は引き続きMPLAである。経済ポテンシャルは高く、石油(アフリカ第2の産油国)の他、ダイヤモンドをはじめとする鉱物・金属資源も豊富な資源国であるが、経済面では石油に依存する状況が続いており、経済の多角化・安定化が課題である。また人口の3-4割が25歳以下の同国では、人的資源の育成が急務。石油価格下落の影響で経済情勢が悪化し、最近5年間はマイナス成長であり、債務が増大している。中国への債務は不透明な部分もあるが、元本のみ据え置いている状況。若者に仕事が無いことから、失業率は全体で約20%に上るが、若年層に限れば50%に達するとみられる。政府は国際的な信頼の回復(汚職・腐敗の追放、投資環境・ガバナンスの改善、財政規律強化、金融システムの健全化、経済の多角化など)を目指している。IMFはこれらの取り組みを支援すべく、2018年に37億ドル(2020年に45億ドルに増額)の拡大信用供与措置(EFF)を決定した。汚職撲滅への取り組みで注目されるのは、前大統領の長女が公金横領の疑いで訴追されていることである。
    中国との関係では、輸出・輸入とも中国が第一の相手国(輸入についてはポルトガルと拮抗)である。また同国には現在約4万人の中国人が居住、同国内の中国企業は約200社に上るとみられ、その分野はインフラ建設(道路、鉄道)を中心に多岐に及んでいる。またファーウェイの技術センター建設も進んでいる。他方、現政権としては、中国への依存度を減らすべく多角的な経済外交を目指している。
    対日関係では、ロウレンソ大統領は就任演説で日本との関係強化に言及しており、日本との戦略的パートナーシップ強化を重視している。また2019年河野外務大臣がアンゴラを訪問した他、一昨年のTICAD7にはロウレンソ大統領および閣僚10名が参加した。日本は2015年に電力セクターの改革を支援するため、初の円借款(234.6億円)を同国に供与した他、JBICの融資を得て、繊維工場再建案件(丸紅)、南大西洋横断光海底ケーブル敷設プロジェクト(NEC)が実施され、ナミベ港包括開発プロジェクト(豊田通商)も近く開始される。日本のODA案件としては、今後産業多角化への支援(インフラ整備)、人材育成、人間の安全保障(地雷除去)などの分野が中心となろう。政治面では、来年(2022年)、国会選挙(事実上の大統領選挙)が実施される予定である。現在の経済困難を前にMPLAの苦戦は予想されるものの、MPLAが引き続き第一党となる可能性が大と見られる。
    同国は南部アフリカ開発共同体(SADC)や中部アフリカ諸国経済共同体のメンバー国である他、現在、大湖地域国際会議の議長国として、中央アフリカ紛争等の解決に向けて地域的なリーダーシップを発揮している。コロナ禍の状況については、先月末の時点での累積感染者数が約3万5000名、死亡者が約760名であるが、南アフリカ等、他のアフリカ諸国に比べると比較的上手くコントロールしてきたといえる。但し、ワクチン接種も今年3月から始まっているが、重症患者に対応可能な医療資源は極めて不十分である。

    次いで法人企業等より、石油に依存する経済構造からの脱却を達成し、安定的な経済を目指すために、具体的に進めていることがあるのか、同国のAUにおける立場(指導力、発言力を有するかなど)を知りたい、コンゴ(民)、コンゴ(共)などを含めた、周辺国との関係は現在どうなっているのか、ベンゲラ鉄道は今動いているのか、日本から、アンゴラの電力開発に関するマスタープラン作成をはじめ、各種のプロジェクトへの有償資金協力がかなりなされてきたが、既にディスバースは終わったのか、その結果はどのようなものか?再生可能エネルギーの開発を視野に入れた協力もなされているのか?コロナ禍において、同国への入国制限はあるのか、また日本への渡航はどのようになっているのか、来年はTICAD8の年であるが、チュニジアで予定通り開催されるのか?汚職撲滅の動きの中で、前大統領の長女が汚職の疑いで訴追されていると聞くが、前政権から現在の政権への転換はスムースに行われたと考えてよいのか、などの質問が出されました。


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