第1回大使を囲む懇談会開催
- 江原駐モーリタニア大使を囲む懇談会
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3月中旬から新型コロナウィルス禍拡大のため7ヵ月以上休止を余儀なくされていた本件懇談会を再開することとなり、10月16日(金)午後、国際文化会館会議室において江原功雄駐モーリタニア大使をお迎えし、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等から出席者計19名)。再開にご協力くださった各方面の皆様に感謝いたします。
当日は先ず江原大使より、同国の最近の概況(昨年6月の大統領選挙が平和裡に行われた結果ガズワニ新大統領が選出されたこと、今年は新型コロナの感染という状況があったが同国の感染者数は7月のピーク後は沈静化するなど)と、同国はサヘル5ヵ国のうち、唯一海に面する国であり地政学上の重要な位置を占めていることや旧宗主国の仏との関係等に触れつつ、新大統領の政策課題(経済インフラの整備、貧困層への対策、治安維持)と、そのためにどのような努力がなされているか(水・医療・食料等の基礎的サービスの強化とサービスへのアクセスの改善、競争力のある民間セクターの創出、多元的で民主的な国づくりなど)、また政治面では、民主化の過程の中でアブデル・アジズ前大統領の汚職疑惑問題が出て来ていることへの対応、新型コロナウィルス感染症の感染状況は6月及び7月のピークの後8月以降は沈静化しておるも今後の対策と、また経済面では、ポスト・コロナに向けた経済復興計画(大統領が今年9月発表)の内容(拡大経済計画の実施、新たな雇用機会の創出、投資促進などが含まれ、今後30ヵ月間に720億円相当を優先的な開発投資プロジェクトに投入する計画)、同国とセネガルとの国境沖の海底ガス田開発計画で生産が2023年から動き出す予定であることなどの諸点について説明がありました。
次いで会員企業等の出席者から、約720億円相当の計画はどのような部分の格差是正と強化を予定するものか、仏とは距離を置く面があるということだが開発の資本は仏からも入っているのか、またアラブ諸国からの資本は入っているのか、製造業を起こすことが肝要とのお話があったが水産業や水産加工産業の発展の見通しはどうか、仏は最近マクロン大統領が同国を訪問しているが、これはサヘル5の会議がモーリタニアで行われたためではあるがやはり同国を重視しているのではないか、などの諸点について質問が出されました。
(担当委員:鈴木優梨子)
第13回大使を囲む懇談会開催
- 池田前駐モザンビーク大使を囲む懇談会
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3月3日(火)午後、国際文化会館会議室において池田敏雄・前駐モザンビーク大使を迎え、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等から出席者計12名)。先ず池田大使より、同国の概観、近年の歴史、政体、フレリモとレナモの和平合意に向けた最近の動き、昨年10月に実施された大統領選挙の結果概要、第二期政権に入ったニュシ大統領が目指すもの(ビジネス環境の改善、農業への投資を通じた貧困根絶、工業振興、電力開発、天然ガス収益を活用したソブリン・ファンドの創設他)、同国経済の概要(農業人口は全体の70%近いが、GDPにおける農業が占める割合は21%、GDP成長率は2018年度33%であり、これはサブサハラ平均の2.5%より上、現在の公的債務額は約133億ドルであり、これは対GDP比102.2%である、輸出面では石炭、アルミニウム、電力、天然ガスなどが主要なものであり、輸入は機械類、軽油、自動車など)、と、2年前の懇談会でも説明があった、同国のいわゆる「非開示債務問題」のその後の状況と本件に関するモザンビーク政府の対応ぶりとIMF、EUなどの態度について、および日本との経済関係と日系企業の活動状況、天然ガス開発の状況(北部ロブマでは2024年生産開始を予定、その他中部地域の開発状況等)、石炭開発の現状、同国におけるJICAプロジェクトの概要、ナカラ回廊開発プログラム等について説明がありました。また、北部カーボ・デルガード州における最近の治安情勢(2017年10月に正体不明の武装集団が警察署を襲撃する事件があった後、襲撃事件が増加傾向にあることなどの諸点についても説明がありました。
次いで会員企業等の出席者から、同国の工業開発に資する日本からの技術移転・投資促進等の支援をするため、同国に1名駐在員を置いているが、難しい面がある、排水・ごみ処理・再生可能エネルギー関係のニーズがどの位あるか知りたい、同じく元ポルトガル領の国だった、カーボベルデでのエネルギー開発関係の仕事をした経験があるが、今後天然ガス開発が軌道に乗るにつれて、資源をめぐる利権争いなどが起きるのではないか、天然ガス開発の今後については不明な点が多く、特に「エリア1」には詳細がよくわからない点があり、刻々新しくなった情報を知りたい、天然ガス生産が本格的に開始された後、その収益を元に国としてソブリン・ファンドを開設するという話があったが、その後どうなっているのか?ビジネス環境改善のための1つの手段として、政府の諸手続きの簡素化を進めるという話が以前あったが、余り改善されていない印象がある、北部ナカラ回廊周辺の開発に関し、日本、ブラジル・モザンビークの3国による「三角協力」を進めるという案があり、ブラジルにおけるセラード開発(半乾燥地の農業開発)などの先行事例もあったが、モザンビークにおいては現在巧く進んでいない印象があるところ、理由は何故か?などの諸点について質問が出されました。
(担当委員:鈴木優梨子)
第8回在京大使との懇談会開催
- ベンシャリフ駐日アルジェリア大使との懇談会
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Country-study Meeting with H.E. Mohamed El Amine Bencherif,
Ambassador of the Republic of Algeria to JapanThe Society held its 8th Country-Study meeting on 26th February at the International House in Tokyo, with the presence of H.E.Mr.Mohamed El Amine Bencherif, Ambassador of the Republic of Algeria to Japan. (Number of attendants; 24 persons.)
The ambassador made his presentation as follows:
-Algeria is the largest country in Africa and the Arab world and the 10th in the world.
-It is located in the center of North Africa, bordered to the north by the Mediterranean Sea, and had deep relations with great civilizations of the area. Algeria also had influenced those civilizations.
-It has developed having relations with the Mediterranean Sea, the Arab world and the African continent.
-Algeria has beaches, plains, high agricultural plateaus and the Sahara. It also has many touristic assets.
-It has rich natural resources such as hydrocarbons (oil reserves and natural gas), deposits of phosphate, Zinc, Gold, Uranium, Tungsten, etc.
-Its economy ranks the fourth in Africa, and is classified as an upper middle-income country. The government has made efforts to diversify the economy and to develop renewable energy including solar energy.
-In order to attain economic reform, it is necessary to develop work force in the field of mining and manufacturing industries. Moreover, the priority sectors to be developed are industry, tourism and agriculture including fishery for better food security.-Algeria has modern infrastructures such as international airports, trains, highways and so on. Its labor forces, which is 12.32 million (2019), can also be utilized to attract investment from foreign countries. The government is trying to attract investment by the withdrawal of 51/49 rule, governing foreign investment in Algeria and will adopt policies more propitious to investments.
-On Algeria’s diplomacy, it has played an effective role in the settlement of crisis of the hostages of U. S. citizens in Teheran in 1981, and it played an important role when the peace treaty between Ethiopia and Eritrea was signed in Algiers in 2000. It also has good relationship with the EU.
With regard to the Sahel region, Algeria reiterates its solidarity with the countries in the region in the fight against terrorism. In Africa, it continues to be active in the African Union. In the field of fight against terrorism, it continues to defeat terrorism with the policy of national reconciliation, by pursuing a comprehensive de-radicalization policy. Algeria has also made efforts for peace among the neighboring countries.
-On Algeria’s bilateral relationship with Japan, it has a long history. Algeria opened its office in Japan before independence. Japan was one of the first countries to recognize the independence of Algeria on July 4, 1962, a day before the official declaration of independence, on July 5,1962. In addition, in 1964, both Algeria and Japan opened their embassies.
Since then, both countries have had good relations with each other, and made official visits of political leaders.
-At economic level, Algeria is the 4th economic partner of Japan in Africa.
Algerian exports to Japan consist mainly of liquefied natural gas (LNG) and petroleum products. Algerian importations from Japan cover cars, industrial equipment and electronics produces.The questions and comments raised by the attendants after the presentation include (1) can there be any way to simplify the procedure to get visas for entry into Algeria ? (2) Tuaregs in your country are famous for the skills to produce beautiful accessories and jewelries for women, which attract Japanese customers. In this regard, we would like to know the possibility to get the help of your embassy in order to make contacts with them, (3) we would like to know more about Algeria’s economic relationship with the neighboring countries, especially with Morocco and Tunisia, (4) would like to know more about the finance of you country, (5) it was explained that a comprehensive “de-radicalization policy” has been taken in its fight against terrorism. We can understand it and there must have been difficulties to put this policy in practice especially in view of the various attitudes of the countries in the region. In this regard I would like to know some more about this policy.
ベンシャリフ駐日アルジェリア大使との懇談会
2月26日午後、国際文化会館において、モハメド・エル・アミーン・ベンシェリフ駐日アルジェリア大使に同国事情を伺う会を開催しました(会員企業等から出席者24名)。先ずベンシェリフ大使より、同国の概況について、アフリカ最大の面積を有し(アラ世界でも1位であり、世界では10位)、歴史的には地中海沿岸の中央部に位置することから、古くから地中海地域の諸文明の影響を受けるとともに、他の文明にも影響を与えて来たこと、地中海、アラブ、アフリカの全てと関係を有して発展してきたこと、平野、農業地域、山岳地帯、サハラ砂漠などの多様性のある地域を有し、観光業も発達していること、資源としては原油、天然ガスの2大資源の他、リン鉱石、亜鉛、金、ウラニウム、タングステンなども埋蔵している、経済面ではアフリカ第4位の経済力を有し、高位中所得国である、また同国はエネルギー資源以外の経済の多角化を目指し、太陽光をはじめとする再生可能エネルギー開発にも力を入れている、経済改革面では鉱工業戦略的開発のための人材育成、食糧安全保障のための農業・漁業の近代化促進、観光開発などを目指している、その他道路、鉄道他の交通機関等のインフラ面の長所及び労働力などを生かし、投資を促進しているが、51/49%ルールに基づく外国からの投資受け入れをより促進したい、外交政策としては、同国はこれまでも1981年テヘランでの米国人人質問題の解決への貢献、エチオピアとエリトリアの平和条約をアルジェで結ぶことへの貢献(2000年)などの努力を積み重ねているが、地中海地域の平和のための貢献の他、EUとも良好な関係を有している。
アフリカにおいては、サヘル地域のテロ撲滅に協力し、AUにおいても積極的役割を果たしている、テロ対策面では引き続き急進的思想の穏健化などにより国民融和の推進と近隣国における紛争の平和的解決を支持している、また日本との2国関係では、両国の関係は古く、独立前にアルジェリアは日本に事務所を開いていたが、1961年7月5日の独立前日の4日に日本はアルジェリアの独立を承認し、1964年、相互に大使館を開設した、その後両国は要人が相互に訪問するなどの関係を続けており、現在アルジェリアは日本との経済関係ではアフリカ第4位の国である、アルジェリアから日本への輸出はLNG(液化ガス)と石油製品が主なものであり、日本からの輸入は車、工業設備品および電気製品などが主なものである、などの諸点について説明しました。
その後会員企業等から、(1)日本においてアルジェリアへの入国査証を取得する場合の手続きがもう少し簡単にならないか、(2)貴国南部のトゥアレグ族が作るネックレスなどの婦人用装飾品は日本の婦人の間で高い人気を得ているが、
買い付けの交渉のためトゥアレグ族と接触することについて。貴大使館の助力を得ることが可能か、(3)貴国の近隣国、特にモロッコ、チュニジアなどとの経済関係はどのようなものか、(4)財政と経済についてもう少し知りたい、(5)資料23ページに「テロリズムと戦うアルジェリア」として、急進思想の穏健化(de-radicalization)を試みてきたと説明されているが、近隣国にはいろいろな国があり、ご苦労も多いと思うところ、この努力についてもう少し詳しく知りたい、などの質問が出されました。
(担当委員:鈴木優梨子)
第12回大使を囲む懇談会開催
- 池﨑駐ブルキナファソ大使を囲む懇談会
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1月15日(水)午後、国際文化会館会議室において池﨑保・駐ブルキナファソ大使を迎え、同国の近況について伺う会を開催しました(会員企業等から出席者計29名)。先ず池﨑大使より、同国の基本情報(政体と内政、経済、貿易、主要輸出品目、日本との関係、穏健な国民性、日本に親しみを感じる国民が多いこと、王族の存在が同国の安定に寄与していること、最近ではTICAD7及び即位の礼などの機会の要人の訪日、特にTICAD7の際のカボレ大統領の訪日時には同国の官民約130名が来日したことなど)について説明するとともに、最近の同国の概況(治安状況、内外避難民の増加、政治面では今年秋に大統領選挙と国政選挙を控えていること、テロ対策、民族和解等の今後の課題、日本の同国への開発協力の方針と草の根支援を含む実際の協力例、民間投資と企業支援などの諸点について説明がありました。
次いで会員企業等の出席者から、ECOWAS,UEMOA等の各種の域内統合の動きがあるが、右の進展が同国に与えるプラスとマイナスはどのようのものか、金の輸出が非常に伸びているが実際はどのように行われているのか、ゴマの対日輸出が増大しているが直接輸出するのか、太陽光パネルの普及の今後の在り方(援助で行うのか)、王族の役割について紹介があったが、彼らは何らかのビジネスをやっているのか、コンパオレ前大統領がコートジボワールに亡命したが、同国との関係は現在どのようなものか、在留邦人の規模、外交団の規模(例えばアジアでは何か国が同国に大使館(実館)を有しているのか)、同国北部地域の治安状況は改善されているのか、首都周辺でのインターネットの使用は円滑に可能か否か、電力の状況(他国から買電しているのか)、水道の供給状況、火力発電の有無、などの諸点について質問が出されました。(担当委員:鈴木優梨子)
アフリカ協会主催第11回フォーラム
「TICAD 7 の成果とこれからの官民連携について」
日時: 2019年10月30日(水)14:00〜16:00
場所:国際文化会館 別館2階講堂
参加者:当協会会員、政府関係機関・学術関係者など69名
司会:淺野昌宏 アフリカ協会副理事長
本日は、ご多忙の中、アフリカ協会主催、第11回フォーラムに、ご参集戴きまして有難う御座います。私は、当協会副理事長の淺野と申します。宜しくお願い致します。
本日のフォーラムは、8月28日から30日まで3日間にわたって開催されたTICAD 7のフォローアップとして、これからの取組み方を確認出来ればということで「TICAD 7の成果とこれからの官民連携について」と題して議論を進めて参ります。
これは前回6月の24日に「TICAD7 官民連携のあり方と進化」というテーマで、フォーラムをここで開催いたしました。そのフォローアップの意味合いもありまして、きょうご参加いただきました、このゲストの方々にも前回と同じ顔触れでお話を伺ったほうが何かと面白いのではないかということで企画した経緯もございます。
ただ、前回ご参加いただきました紀谷大使はシドニー総領事としてご赴任されましたので、今回は森アフリカ部長にお願いすることとなりました。その他の方々は、ご無理を言いましたが、前回と同じ方々にご参加いただいております。
本日の4名のパネラーの方、外務省アフリカ部部長、森美樹夫さまでございます。それから経済産業省通商政策局審議官、柴田裕憲さまでございます。経済同友会アフリカ委員会副委員長で、日本たばこ産業株式会社代表取締役副社長の岩井睦雄さまでございます。JICAアフリカ部部長、加藤隆一さまでございます。
パネラーの皆さま、ご多忙のところ、本日のフォーラムにご協力いただけますこと、深く感謝申し上げます。よろしくお願いいたします。
また、モデレーターも前回に引き続きまして、横山正さまにお願いいたしております。前回はアフリカ開発銀行アジア代表事務所長というタイトルでご参加いただきましたが、10月1日付でJICAの理事にご就任なさっております。ということで、横山さま、本日もよろしくお願いいたします。
それでは、開会に当たりまして、理事長の大島賢三よりごあいさつを申し上げます。
主催者挨拶:大島賢三 アフリカ協会理事長
アフリカ協会理事長の大島でございます。今日は、こうして多数、会員の皆さま方、ご参集をいただきまして、誠にありがとうございます。それから、常日ごろ個人会員、それから企業会員の皆さま方には、このアフリカ協会に温かいご支援、協力のご指導もいただきましておりまして、改めましてこの席でお礼を申し上げたいと思います。
あいさつに入る前に、皆さまも大々的に報道されておりますので、ご存じのとおり、緒方貞子さまが10月22日にご逝去なりました。ちょうど天皇陛下の即位の礼の日にお亡くなりになり、昨日29日に田園調布の教会でミサ、告別式が執り行われました。
皆さま方、よくご存じのとおり、緒方さまは元国連の高等難民弁務官としてアフリカを含め世界中で大変なご活躍をなされました。それからJICAの理事長を2期お務めになりました。私自身はそのうちの1期4年間副理事長として下でお仕えしたわけでございます。
いろいろのご業績がありますが、一つはアフリカです。わが国として、その実施機関であるJICAは、アフリカにもっと注目しければいけない。もっと人間の配置とか、それから予算の配分も含めて、事業を強化しなければいけないということで、アフリカに目を向けるに当たって、大変な指導力を発揮されました。私は直接お仕えしたものですから、よくよく当時のことを覚えております。
もちろん、高等難民弁務官としては、難民あるいは国内避難民の支援で、大変に大きな業績を残され、また私どもとしても大変に御恩を感じるところでございます。
きょうはアフリカのテーマで、お集まりいただいておりますので、開始する前にちょっと緒方さまのご逝去を悼んで、黙とうをささげたいと思います。ご起立をお願いいたします。
!黙とう!
はい、ありがとうございました。どうぞ、ご着席をお願いします。
それではきょうの第11回フォーラムに入りますけれども。きょうは先ほど淺野副理事長からご紹介いただいたとおり、前回と同じ顔触れでございまして。お引き受けいただきまして改めましてお礼を申し上げます。
今回は11回目ということですが、前回は6月24日でございますかね。ちょうどTICAD7の2カ月ぐらい前のことでございました。
今回は10月の末と、ちょうどTICAD7が終わり2カ月後でございますので、いかにアフリカ協会という組織が規則正しく事業をやってるかということをお分かりいただけるのではないかと思います。
それはさておきまして、今回もTICADを主とし、それからテーマであります民間あるいは官民連携ということに焦点を当てて、前回の議論の継続というような形で、パネリストの皆さま方に討論をお願いしたいと思います。
いまも、これからいろいろご説明いただくわけですけども、TICAD7の評価とそれから今後の展開。3年後にまたTICAD8がやってきますけども、今後に向けてどういうような展望、あるいは事業の計画等をお持ちかということについて主たる関係方面の皆さま方からお話・ご説明をいただければ幸いでございます。大変に興味深いテーマでございますので、どうかよろしくお願いします。
それから、横山さまには、ポジションがちょっとお変わりになりましたけども、引き続いてお引き受けいただきまして、どうかよろしくお願いします。
それから、あといろいろ質疑の時間もございますので、どうか皆さま方から活発なご議論もお願いしたいと思います。以上、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
司会:淺野昌宏
理事長、ありがとうございました。それでは、フォーラムに入ります。モデレーターをやっていただきます横山さま、よろしくお願いいたします。
モデレーター:横山正 アフリカ開発銀行アジア代表事務所所長
JICAの横山でございます。前回の6月24日の第10回フォーラムに引き続きまして、今回またモデレーターを務めさせていただきます。誠に光栄に存じます。よろしくお願いいたします。
冒頭、緒方貞子元理事長の逝去に際しまして、私からも哀悼の意を表させていただきたいと思います。開発に携わる一員といたしまして、偉大なご功績をよく学ぶとともに、それを礎にして私どもも人間の安全保障等につきまして貢献させていただきたいと思います。
私は前回のフォーラムの際は、先ほどご紹介があったように、アフリカ開発銀行の立場で参加させていただいたのですが、7月中旬に財務省に戻りましてTICAD7には財務省の立場で参加させていただきました。JICAとアフリカ開発銀行の協力であるEPSA4を含めたTICAD7への対応をさせていただきました。
TICAD7の後、JICAの財務と、各種プロジェクト審査などを担当する理事を拝命いたしまして、本日を迎えております。
本日は前回に続き、アフリカに向けた官民連携ということでTICAD7の成果を踏まえた、これからの官民連携について討論を進めさせていただきます。
TICAD V以降、TICADプロセスにおいては、民間ビジネス投資が重要なテーマとなってきています。
今回のTICAD7については、テーマ「アフリカに躍進を!技術、イノベーションで」でございます。
また安倍総理のTICAD7でのご発言、お言葉をお借りすると、今回のTICAD7はダブルE、ダブルI。すなわち、アントレプレナーシップ、エンタープライズとインベストメントとイノベーションを高みに押し上げるNew TICAD、新しいTICADとして生まれ変わったとされています。
また、日本政府は民間企業のアフリカにおける、さらなる活動を後押しするため、支援を惜しまないと言っています。
TICAD7に向けて、またTICAD7を通じて、これから4人のパネリストの方々からご紹介があると思いますけれども、日本の貢献策として、民間ビジネス投資を進めていくための官民連携と、具体的な成果が打ち出されております。この中にはアフリカに向けた官民連携を、TICADプロセスのサイクルである3年ごとの一過性のものに終わらせないで、継続的・恒常的なプロセスとしてのビジネス協議会の設置とか二国間ビジネス環境改善委員会の立ち上げといったものも含まれています。日本の官民が本腰を入れてアフリカと共にウィンウィン関係を強化していくことへの期待が高まっています。
TICADは皆さまご承知のように1993年に日本の主導で始められまして、アフリカのオーナーシップを尊重しつつ、アフリカとの対等なパートナーシップを通じた協力の在り方のモデルとして、私が思うには、世界の公共財としての役割を果たしてきたと思います。そして今後とも引き続き、その重要な役割を果たすことが期待されます。
このような観点からも、TICAD7を踏まえた官民連携の在り方というのは、世界にとって、また日本にとってもアフリカにとっても、重要であると考えています。
本日は前回に引き続き、本件をお話しいただくのに非常にふさわしい方々に来ていただいております。
まず外務省の森アフリカ部長です。昭和60年に外務省に入省され、中東アフリカ局アフリカ二課長、国連日本政府代表部公使、在ケニア日本大使館次席公使、国際協力局審議官、そして今回のTICAD7の事務局長代理を歴任されまして、本年9月より現職です。まさに現在、TICADのプロセスを担当されている方です。
次に柴田経済産業省通商政策局審議官は、87年に外務省に入省され、韓国・フランス・フィリピン・ドイツを含めて、国内外のポストを務められ、また外務省・財務省、両方に勤務されて、外務省、JICAの無償資金、技術協力とか円借款の政策立案をご担当されてきております。現在は経済産業省で通商政策局審議官として、日本の貿易投資・推進を含めまして、日本の通商政策の全般に携わられています。
次に岩井経済同友会アフリカ委員会副委員長ですが、日本たばこ産業株式会社代表取締役の副社長でもあられます。1983年、日本専売公社に入社され、人事経営企画部門で要職を務められ、2011年から2年間、海外たばこ事業子会社JTインターナショナル副社長も歴任されています。2016年より現職で、日本たばこの事業戦略、国際化戦略の策定および実施に携わられた方です。
最後に、加藤JICAアフリカ部長は、アフリカ地域における日本のODAの供与の実施に携わられています。アフリカ勤務ではコートジボワール事務所次長、セネガル事務所次長、所長を歴任されております。まさにアフリカのプロでして、2017年から現職です。
なお、JICAのアフリカ担当の加藤理事は先月の末に退任されて、現在は萱島理事がアフリカ部を担当していますので、今後、会員の皆さまとお会いする機会も多かろうと思います。
ということで、前回に引き続き討論を始めさせていただきたいと思います。
それでは、パネリスト、まず森部長から今回のTICAD、官民連携に向けていろいろご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
パネラー:森美樹夫 外務省 アフリカ部長
冒頭、大島理事長から緒方貞子先生のお話がございましたけども、私も司会の横山理事からご紹介いただきましたとおり、外務省のアフリカ第二課長を務めておった時分に、当時の緒方JICA理事長からアフリカにもっと積極的に取り組むということで、直接のご指導をいただく機会が多々ございました。この機会を借りまして、改めて緒方先生のご冥福をお祈りさせていただきます。
今回はアフリカ協会主催第11回フォーラムにご招待いただきました。前回は、紀谷参事官の参加でしたが、これを引き継ぐ形で精いっぱい務めさせていただきます。
TICAD7の際には、これも横山理事からのご紹介のとおり、TICAD7事務局事務局長代理を務めており、2カ月間にわたって運営の準備を担っていました。
9月9日から現職のアフリカ部長を務めております。
本年8月のTICAD7には総勢1万名以上の方が参加し、過去最大数のサイドイベントが開催され、大盛況を収めました。これは安倍総理ご自身が、TICAD7が終わった後に、「大成功だったね、良かったね」というふうに言っておられたんですが、政府といたしましても皆さまのご協力を得て成功裏にTICAD7を終えることができたと感謝しております。
今回、特徴的だったことの一つとして、全体会合3「官民ビジネス対話」において、TICADの歴史上初めて、民間セクター、それも日・アフリカ双方の民間セクターの方々を正式なTICADのパートナー、いわば本会合出席者として迎えて官民の対話を行うという、非常に画期的なセッションも行われました。
また、大島理事長にも、サイドイベントの一つであるSTSフォーラムにおいて、パネル討論の議長を務めていただきました。本日この席にご参加の皆さま方、特に法人会員の方々の中には、官民ビジネス対話に直接ご参会いただいたり、あるいはビジネスEXPOで実際に展示等をされたりといった形でご参加いただいているものと思います。
本日は「TICAD7の成果とこれからの官民連携について」というテーマでのお題をいただいておりますので、「成果」の部分が多くなるかと思いますけが、ざっと説明させていただいて、今後の議論に供したいと考えます。
お配りしました10ページものの資料は、他の皆さまが配布されている資料に比べると、写真も絵もなくて、あまり見易くない資料かもしれませんが、これを使って、順を追って説明させていただきます。
まず1ページ目では、8月のTICAD7には42名の首脳級を含むアフリカ53カ国、それから開発パートナーから52カ国、国際機関・地域機関108、さらには民間セクター、NGO、市民社会の代表の方々を含めまして1万名以上となりました。登録していただいたのは1万4,000を超えるぐらいの数でしたが、実際には会場に来られなかった方もいらっしゃるので、1万名強の方にご参加いただいたものと見積もっています。
TICAD7においは、「アフリカに躍進を!ひと,技術,イノベーションで」というテーマを掲げました。躍進するアフリカをパートナーと共に支え、日本の民間セクターおよびアフリカ側の要望も踏まえて、ビジネスを議論の中心に据えました。
安倍総理からは、過去3年間で200億ドル規模だった日本のアフリカ向け民間投資がさらに大きくなるよう、政府として全力を尽くすという形で、力強い決意を表明いたしました。企業の代表の方からも、こうした呼び掛けに応えて、アフリカ事業の積極的推進に向けた力強いコミットメントを表明いただきました。
会議の傍ら、安倍総理大臣は42カ国の首脳級参加者、それからAU委員長、国際機関の代表等と合計47件の二国間会談を実施いたしました。私は、この首脳会談の担当をしており、安倍総理のこの四十数件の首脳会談にずっと付き添っていました。これらの会談では、各国との二国間の課題、それから国際場裡における協力に関する意見交換が行われ、加えて、安倍総理自身が各国首脳と個人的な信頼関係を強化するといった意味で、大変有意義な機会となったと考えています。
資料の2ページ目でございます。SDGsやAUのアジェンダ2063に示された課題の解決につながるような技術・製品を有する日本企業、特に地方の中小企業の方々がいらっしゃるので、そういった企業にはぜひアフリカへの進出に目を向けていただきたい。
今後のアフリカの経済開発には、従来のようなODA、援助のみではなくて、援助を呼び水として活用しつつも、民間の投資、それから貿易の拡大を通じた経済開発がアフリカ側からも求められてるところで、これが日本企業のビジネスチャンスの拡大にも直結してくるのではないかと考えています。
また、世界で最も勢いのある若い大陸であるアフリカがその人口ボーナスを最大限に活用するために、これまでも継続してTICADで取り上げられてきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進や、若者・女性のエンパワーメントは極めて重要です。
この観点もあって、TICADにおいては300万人の基礎医療アクセス改善、それから2万6,000人の人材育成等のコミットメントを行うなど、日本政府としてもこうした動きを支えて支援していきます。また、保健分野に関し、「アフリカ健康構想」を立ち上げ、まずは5か国とMOCを結びました。同構想の下、アフリカへの日本企業進出の後押しをし、すそ野の広い富士山型ヘルスケアの構築を目指していきます。
経済成長、それからアフリカの人々の生活向上の前提となる平和と安定の実現ももちろん重要であります。安倍総理からはアフリカ主導の紛争解決努力、それから制度構築を支援する「アフリカの平和と安定に向けた新たなアプローチ(NAPSA)」というものを発表いたしました。
わが国としては、例えば選挙システム、行政システム等の制度設計の支援、司法・警察・治安維持といった分野での人材育成、それからPKO訓練センター支援等の分野を通じまして、アフリカ側の能力構築を支援する取り組みを広げていく予定です。
資料の3ページから7ページは、この他、全体としてTICADで行った日本の取り組みに関するコミットメントを列挙しております。JICAの資料を拝見しましたら、これについてだいぶ詳しくご説明いただいております。私の方の資料は、日本らしい取り組みとして、JICAや外務省は勿論ですが、経済産業省、国土交通省、警察庁、法務省等、いろんな省庁の方からもコミットメントを得て作成したものです。
資料の8ページです。「これからの官民連携」に関して、冒頭申し上げたとおり、全体会合の一つのセッションでは「官民ビジネス対話」を実施しました。約300社の日本企業、それから約100社のアフリカと第三国の企業を含む、2,500人の参加を得ました。この数は、TICAD VIの際に、実際にTICAD VIに参加した企業の数を大きく上回るものです。
冒頭、横山理事からもご紹介ありましたが、安倍総理はTICAD7の中で、TICADは生まれ変わり、New TICADは「アントレプレナーシップ、エンタープライズ、インベストメント、イノベーション」の「ダブルEダブルI」を促進することを目指すという、明確なメッセージを発出いたしました。
TICAD7の約1カ月後、9月末に国連総会で行った一般討論演説においても、総理は、日本はNew TICADをやっていくと言及しており、総理自身の熱意が本物であることを物語っていると思います。
官民ビジネス対話においては、日本企業、具体的には経済同友会の横井アフリカ委員長から、アフリカビジネス協議会の立ち上げについて説明いただきました。アフリカビジネス協議会の4つのワーキング・グループ、すなわちインフラ、ヘルスケア、農業、中堅・中小スタートアップ企業からは、具体的な取り組みの紹介、それからアフリカ側への提案を行っていただきました。その際には、出席したアフリカの首脳が自らの席から身を乗り出して発表を聞いている様子も見受けられました。
これに対して、アフリカの首脳側からはアフリカ共通市場の創造を目的とした、アフリカ大陸自由貿易圏、いわゆるAfCFTAですが、この設立協定の発効、これによる投資機会の拡大について熱く語られ、アフリカの現状に対する日本とアフリカの間の認識の差を埋める重要性、それから日本の民間企業とアフリカ側が連携していくことへの期待感が述べられました。
このようなアフリカ側の期待、それから日本企業からの提案を3年後のTICAD8の成果につなげるためにも、アフリカビジネス協議会を日・アフリカ間の官民連携のプラットフォームとして活用していく必要があります。横山理事からもこのTICAD7と8の間の継続的・恒常的なプロセスという言い方でご紹介がありましたけれども、まさにこのセッション間のプロセスを動かしていく大きな推進役としてアフリカビジネス協議会が役割を果たしていくものというふうに考えます。今後、このビジネス協議会の中に設けられたワーキング・グループにおいて、具体的なプロジェクトを動かしていくために、官民は手を取り合って目標、それからロードマップを策定していく必要があると考えています。
資料の9ページですが、今回のTICAD7を機に、アフリカの7カ国、具体的にはエジプト、ガーナ、ケニア、コートジボワール、セネガル、ナイジェリア、南アフリカ、この7カ国でまず二国間ビジネス環境改善委員会を立ち上げることに合意いたしました。
既に幾つかの委員会は実際に立ち上がって活動を開始しています。JICAの加藤部長が昨日、一昨日でしたか、ケニアから戻られ、ケニアではもう活動開始していたと先ほどお聞きしました。こういったビジネス環境改善委員会の場において、各国それぞれで進出企業が直面する課題を解決するため、具体的な解決に向けたアクションプランを立案して、二国間のビジネス促進につながっていくことを期待しています。もちろん官の側、具体的には各国に駐在する大使館がその中心になり、しかるべき役割を果たしていきたいと考えています。
最後に10ページですが、アフリカ・ビジネスの架け橋となる、アフリカ人の優秀な人材をうまく活用していくことも必要であると考えています。アフリカ出身の留学生、特に大学院生にはABEイニシアティブだけではなくて、国費留学生の方も数多くいます。
日本企業の中には、高度な専門性を持って、親日的で、場合によっては日本語も流ちょうに操ることのできるアフリカ出身学生を人材として求めているケースも多いと思います。しかしながら、どこにそういった学生がいるのか、あるいはどんな分野を専攻しているのかといったことに関しては、まだまだ情報が少ないという状況です。
こうした状況を受けて、外務省のアフリカ部において、日本企業への就職、インターンシップを希望する学生の情報を取りまとめて収集し、企業の皆さまから個別の照会等があった場合に、情報提供できるようなメカニズムをこの度立ち上げました。ご関心のある方にはぜひ外務省のアフリカ部までお問い合わせをいただければと思います。
それから今後、地方都市において、アフリカ出身留学生と地方企業との座談会を開催して、アフリカ人留学生の魅力を企業の方々に伝えるとともに、日本企業がアフリカ・ビジネスに目を向ける機会を提供したいと考えています。その第1回を12月に名古屋で開催いたします。
最後になりますが、3年後の2022年にはアフリカにおいてTICAD8を開催することとなっています。アフリカは成長のポテンシャルが高い21世紀最大のフロンティアと見られており、こうした中で、これまでには見られなかったようなイノベーティブな技術やこうした技術を用いたスタートアップ企業が次々と生まれております。欧米、アジア各国も将来性のあるアフリカ市場に熱い視線を注いでいます。
先週はロシアが初めて、ロシア・アフリカ首脳会議というのを開催したことは皆さまのお目にも留まってるかと思います。
このようなアフリカにおける新たな潮流に、いわば乗り遅れることなく、今回TICAD7で表明したコミットメントを実現していく必要があります。日本政府としては、アフリカビジネス協議会、二国間ビジネス環境改善委員会、それから人材育成等に関するABEイニシアティブ、国費留学生等々のさまざまな政策ツールを駆使して、日本企業それぞれの活動を後押ししていく所存です。
官民がしっかりと手を携えて、オールジャパンで日・アフリカ間のビジネス関係強化を図っていきたいと考えていますので、今後とも皆さまのご理解・ご協力をよろしくお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
(拍手)
モデレーター:横山正
森部長、TICAD7の成果等についての包括的なご説明、どうもありがとうございました。次に、柴田審議官のほうからご説明よろしくお願いいたします。
パネラー:柴田裕憲 経済産業省 通商政策局 審議官
経済産業省通商政策局で審議官をしております柴田でございます。よろしくお願いいたします。本日も、前回に引き続きまして、こうした場にお声掛けいただき大変ありがとうございます。私のほうからは資料として「アフリカでのビジネス拡大へ向けて」というタイトルで作らせていただきました。説明の内容としては、いま森部長からあった説明の中で、特にビジネス部分に焦点を当て説明させていただくことにしたいと思います。
まずこの資料の前半では、TICAD7のビジネス関連の成果、それから経産大臣等がどういった動きをしていたかということを中心に説明させていただきます。
もう一つの論点としては、今後アフリカでのビジネスを拡大するためにどうすべきかということですが、その解はアフリカビジネス協議会になります。前回、6月に説明させていただいたときは、官側から外務大臣と経産大臣が共同議長になってアフリカビジネス協議会を立ち上げた直後でした。いまこのTICADを終えて、当面どういったことを考えているかについて話をさせていただきたいと思います。
資料の1ページ目は、(TICAD全体会合の)官民ビジネス対話についてです。安倍総理はもちろんのこと、経産大臣も出席しました。また、民間の代表者も、日本及びアフリカの双方から出席いたしました。
資料に記載している内容は繰り返しませんが、アフリカ首脳の大半が出席している場で、日本側の官民の代表者から、アフリカとビジネスを進めていく意志を表明していただきました。
それから同じように、アフリカの首脳の目前で、ビジネス環境の改善も必要だということを、多くの日本側の官民代表者から述べてもらいました。日本側からのコミットメントとともに、アフリカ側からのコミットメントも必要だということを明確に伝えられたことは、大きな成果だったと思います。
次のページは、ビジネス関連でのサイドイベントですが、TICAD本体の会合と並行して日本・アフリカビジネスフォーラムや、ビジネス関係のEXPOを開催しました。JETROが全体を取りまとめて動かしていましたが、多くの企業の方々にご協力いただきました。
特徴的な点をあげると、ビジネスフォーラムにおいては、第三国の企業の関係者(イギリス、フランス、インド、トルコ、アメリカなど)にもご出席いただいて、第三国との連携を進めていこうという意志を共有できたこと、また前回のTICADのときと比べてMOU締結数も増えていることが挙げられると思います。
それからEXPOですが、安倍総理とエジプトのエルシーシ大統領が巡覧する時間帯も設けられており、非常に盛況だったと承知します。私自身も現場に伺いましたが、外国で開かれている外国主催の大規模展示会と比較しても、かなりうまくいったのではないかと思います。2回前のTICADは、同じ横浜で2013年に開かれておりますが、そのときと比べると、参加企業数は70数社から、今回157社に増えています。
また、6年前のTICADは、アフリカのものを日本に輸出する機会促進につなげようということで、アフリカの産品の展示を中心にしていました。今回のコンセプトは、むしろ日本企業の紹介、日本企業がアフリカに関心がある、投資意欲がある、輸出したいというほうに全体的なコンセプトを変更したことで、企業の出展物の配置を始め、がらっと入れ替えましたが、これが成功につながったのではないかと思います。次回以降も、今回の事例を踏まえて考えていきたいと思います。
その次の3ページ、4ページ、5ページは、経産大臣、副大臣が、TICAD7の際にどのような動きをしていたかということの紹介になります。大臣、副大臣に手分け頂き、TICAD本体の会合やサイドイベントに出席するとともに、幾つかの国との間で二国間会談を行いました。
一つ一つは省略させていただきますが、5ページを開いていただきますと、大臣、副大臣がどこの国と二国間会談を行ったかが地図に落とされています。相手国は、既にかなりの日本企業が進出している国、これから出る余地があると思われる国、資源関係でしっかりとした関係を構築・発展させていきたい国等が対象となっています。もちろん相手と時間の調整ができないというケースもあり、これが関心対象国のすべてではありませんが、日本企業の資源を含めた経済活動の関心という点では、ある程度これに反映されていると思います。
それから6ページは、経済産業省としての取り組みを、参考として記載させていただきましたので、後ほどご覧いただけたらと思います。
それから7ページ以降が、アフリカビジネス協議会の活動になりますが、これからどうしていくかという話、特に当面の活動について短くまとめています。
先ほどから既に言及されていますが、協議会は恒常的・継続的であること、常設の協議会だということが特に重要なポイントであると考えます。前回詳しく説明させていただきましたが、アフリカビジネスに関しては、TICADの前には機運が盛り上がるが、その後は関心が薄れていく傾向が過去に見られました。しかし、今や、アフリカにはビジネスチャンスがあると言う認識が広がりつつある中で、アフリカビジネ協議会のもと官民関係なく日本全体で一つのチームとして継続的に活動してゆく必要があると考えています。
6月6日にアフリカビジネス協議会の本会議を開催しましたが、その後TICADの前に既に幾つかのワーキンググループを立ち上げ、会議を開催しております。
今後の当面の活動として、必ずしも網羅的ではありませんが幾つか計画しているものがあります。一つは今日この後、ビジネス支援ツールを紹介するセミナーが開かれます。JETROが実施する農業関係の資機材の商談会。12月には、幾つかのワーキンググループを束ね、来年の活動予定を説明する合同ワーキンググループを開催します。JETROのアフリカの所長たちが日本に帰ってくる機会を捉え、アフリカ各国のビジネスの状況を説明・紹介するアフリカビジネスセミナーの実施を考えています。
例えば最初の、本日開催のビジネス支援ツールのセミナーでは、JICA、JETRO、JBIC、貿易保険のNEXIとか、それぞれの機関から、どの様な活動をバックアップするツールがあるかを説明させていただきます。国際機関の方にも出席いただいて、国際機関のツールで使えるものを説明していただく予定です。
大企業は、いろいろ経験もあり、どの様なツールをJICA、JBIC、JETROが持っているか、どういう役割分担になっているかをよく知ってるが、中小企業やスタートアップの方はあまりよくご存じない状況であるということを、民間企業の方々から伺っております。大企業だけを念頭に置くのではなくて、中小・スタートアップの方々にも支援ツールを知ってもらうために、こうした場を設けることが重要と考えています。それから、ここに記載しておりませんが、既に開催した分野別ワーキンググループ、例えば、農業、ヘルスケア、インフラなどのワーキンググループで次回の日程を調整しているものもあります。
それから、投資環境改善ワーキンググループを一度開きましたが、国別に事情が違いますので、国を個別に取り上げたり幾つかの国に絞った形で、ビジネス環境を紹介したり、情報を共有して議論を行うということも必要だと思っています。
これに関連し、外務省や、現地の大使館、JETROが中心となって開く二国間ビジネス環境改善委員会は、いま7カ国と設置が合意されておりますが、現地での議論内容や結果についてアフリカビジネス協議会で共有していきたいと考えています。これからアフリカに進出しようとしている方々に、現地でどういう話がされているのかということを紹介・共有していかないといけないと思っていますので、その国ごとに絞ったビジネス環境改善委員会もできるだけ早いタイミングで開催したいと考えております。
それから、セミナーとかミッション、調査団などもいろいろ予定されています。TICADの前によく指摘されていたのは、みんなバラバラに動いており、もっと協力してはどうかということでした。例えば、「何だ、そういうミッションが行っているなら、うちも行きたかったな」とか、あるいは似たようなミッションが、近い時期に同じ国や近い国に行っているというようなこともあります。できるだけ早いタイミングでそうしたことも全部、共有できるアレンジをしてまいりたいと考えています。
なお、情報共有は情報共有で必要なのですが、いつまでも議論していてもしょうがないので、半年以内とか1年以内とか、つまり2020年のどこかのタイミングでは、具体的なジャパンプロジェクトと言えるようなプロジェクトにつなげていくことを目標に活動を進めてまいりたいと考えております。
私のほうからは、以上です。どうもありがとうございました。
(拍手)
モデレーター:横山正
柴田審議官、民間ビジネス、投資、貿易に焦点を当てたご説明、どうもありがとうございました。次に岩井副会長、ご説明よろしくお願いいたします。
パネラー:岩井睦雄 経済同友会 アフリカ委員会副委員長
(日本たばこ産業株式会社 代表取締役副社長)
JT日本たばこの岩井と申します。前回と同じメンバーでということで、経済同友会アフリカ委員会・横井委員長の代理で、お話をさせていただきたいと思います。
まず、経済同友会アフリカ委員会で、TICADに合わせていろいろな議論をした中で、アフリカが健全な成長をすることが世界全体にとっても、また日本の将来にとっても極めて重要であるという認識を持って、企業の力を生かしてアフリカとの関係を強化する為には、何が必要なのだろうかと考えて活動を行っています。その観点で、TICAD7の意義をどう受け止めて、今後何をしていかなければいけないかについて、考えを述べさせていただきたいと思います。
まず7回目のTICADに向けて、経済同友会のほうからもTICADのモデルチェンジが必要ではないかという、提言をさせていただきました。この背景は、この資料にあるとおり、いままでの開発援助から貿易とか投資ということが、アフリカの側からも声が高まってきているということ、そして彼らにとって、自国の産業を育て雇用を生み出すというニーズに応えていくためには、援助だけでは不十分ではないかという認識がありました。
さらにTICADの発足当時とは異なり、欧米だけではなく、中国それからASEAN諸国、インド、インドネシアなども含めて世界中がアフリカに注目をし、アフリカとの対話をはかりフォーラムを立ち上げています。
こうした中で、我々にはTICADという歴史があるわけですが、日本ならではの存在感を出していく必要があるとも考えました。そのためにTICADのプロセスに民間セクター、中でもわれわれビジネスをしっかり巻き込んでいただいてTICADという会議の場に限らず、日ごろから官民が継続的に一緒になって連携をして、日本全体としてアフリカの要請に応えていく、そのような方策を考えていく必要があるということも提言をさせていただきました。
この提言に対し、外務省、経済産業省はじめとして、政府関係の皆さまにも非常に理解と共感を寄せていただき、結果として従来の延長線上ではない新しいTICADの第一歩が踏み出されたのではないかなと思っております。
次のページは、先ほど森部長、それから柴田審議官からご紹介あったように、安倍総理御自身が自ら企業活動、イノベーション、投資を押し上げるNew TICADであるという、力強い宣言をしていただきました。またそれを受けて、官民ビジネス対話が、公式のセッションとして設けられ、そして日本の官民が一体となって日本企業の力を生かして、アフリカに貢献するという、そういう姿勢が明確に示すことができたのではないかと思います。
このセッションで、アフリカビジネス協議会という、官民連携の新しいプラットフォームを提案することを約束いたしました。日本のビジネスセクターの総意をアフリカ各国首脳に直接お伝えできる、非常に貴重な機会を設けていただいたことは、私ども企業関係者にとって本当に大いに励みになったと思っております。
そしてこれを受けて、セッションに列席されたアフリカの各国の首脳も、自国のビジネス環境改善に取り組むということを何人かの首脳が明言をしていただきましたし、そういう意味で、日本とアフリカ、双方の思いが非常にかみ合った素晴らしい対話が実現したと思っています。
こうした前例のない取り組みが実現したのも、ビジネスをアフリカ開発支援の中心にという、関係者の方々の思いとか、変わりゆく国際環境の中でTICADの存在意義をどう保つかという、ある種の危機感というものが共鳴して、皆さんの力が結集した成果ではないかなと思っております。このようにTICAD7、日本とアフリカ双方が変化する意志を共有して、成功裏に終了したと思っていますが、その真価が問われるのはまさにこれからではないかなと思っています。
TICAD7において約束されたことが、どのように現実になっていくのか、中でも日本の企業のアフリカ進出が実際に進んで、その効果がどう表れてくるか、3年後のTICAD8までに、そのような意味で、目に見える成果が上げられるかどうかがこのTICADの将来にも懸かっていると思っています。
TICAD VIの際にも、多数の日本企業関係者が会議に参加し、また多くのMOUが取り交わされたと聞いておりますが、報道によると、このMOUが実際に履行され、目に見えた形になっているものの割合は、まだ2割程度にとどまると聞いています。
やはりアフリカの進出の中には、個々のいろいろな企業、それから個々のプレーヤーの力だけではどうにもならない、いろんな規制とか、突然の向こうの約束不履行とか、いろいろな現実の壁があるということの証しだろうと思っています。
ただ、今回もたくさんのMOUがありましたが、同じようにこのような轍を踏むことがあっては、日本に対するアフリカの諸国からの信頼や期待が損なわれてしまう恐れがあります。
またTICAD7の盛り上がりを一過性のものとしないためにも、継続的に実現・実践をしていく枠組みの形をつくってくことが私どもにとっても最重要課題だと思っています。
では次の3年間の心得として、どのような考え方でいくかということですが、まさに目に見える成果を生み出すためには、官民一体となって、覚悟と方向性を共有する必要があるのではないかと思っています。
今回TICADでは官民双方、アフリカ開発に向けて、さまざまな約束をいたしました。中でもアフリカが最も期待しているのは、安倍総理が宣言された、今後3年間に200億ドルの規模の投資をしていくということと、具体的な企業の進出実績、ビジネスプランの提案だと思います。
私どものいろいろな日本の企業の技術や製品、サービス、ビジネスモデルが、アフリカの問題解決に生かされるよう、その実績を着実に積み上げて、TICAD8のときには胸を張って紹介ができるということが、次のゴールになるのではないかと思います。そのためのアプローチを共有することが大切だと思います。
3ページの上のほうの部分に3つほどそのための方向性を挙げさせていただいております。まず、第一はチームジャパンとして結集すること。これは何度も言っていることですけれども、それが必要かと思います。実際に、企業、政府機関、関係団体、いろんなところでそれぞれ事業の優先順位があって、アフリカに本当に割けるリソースが決してふんだんにどの会社もあるわけではないと思っています。ただ、その中でも本当に将来の市場としてアフリカの重要性を、頭では理解していても、今日、明日ということになると、どうしても、アジアであったり、ヨーロッパであったり、アメリカであったりということになってしまうと耳にしています。
また同様に、アフリカに興味があって意欲はあるが、自分のところには人材がいない、またはその情報がない、そういったこともありますので、なかなか踏み切れないということもあります。こうした中で、TICAD7に関わったすべての企業・組織が、日本としての約束を達成するというゴールを共有して、限られたリソースを持ち寄り、最も効果的・効率的に活用する姿勢を持つことが必要だと思います。
今回、TICADのモデルチェンジの第一歩が実現したのも、やはり外務省、経済産業省、それぞれの省庁が、それぞれの強みを持って、タッグを組んで、また他の官庁も巻き込んで、民間も起用していただいた、そういった決断があったからにほかならないと思っております。また、両省を核として、他の省庁なりいろいろな機関も巻き込みながら、今後も取り組んでいくということが大切だと思っています。もちろん、このような状況は民間のほうも当てはまると思っています。民間企業の場合、どうしても競争があり、同業他社、競合という意識から、なかなかそれぞれで持っている情報を開示しない、そういったところに心理的なハードルはあろうかと思います。
特にアフリカというのは広大であり、それから社会がまだ未成熟である、そしてニーズも多様にある、これからの人口ボーナスもある、そういった意味では、いまから独り占めしようということではなくて、それぞれで一緒になっていって、一緒に成長することができる、そういった市場です。だからこそ助け合って、相互補完をしていく姿勢を取ることが大切なのではないかなと思います。
最近の事例では、豊田通商さんがZiplineと、丸紅がWASSHAというスタートアップと、大企業とスタートアップが一緒に組んで、それぞれの持てる力を出して一緒にコラボレーションしていく、そんなことも可能性として十分あるのかなと思っています。
それから2点目は、思い切った重点化です。アフリカといっても、それぞれの国の事情も違いますし、それぞれに規制などもあり、優先順位も変わってくるということです。また先ほどのいろいろなビジネス環境を改善していくという速度なり姿勢なりも各国違うと思いますので、日本の側もきっちりと選別して、正しく付き合える相手と付き合っていく、特に企業の観点からすると、こちらも選別するという姿勢を示すことが重要だと思います。
その点に関して、3つぐらい視点があるかと思います。まず1つは、やはり近い将来的にビジネスが成り立つかどうか。アフリカの各国の受け入れ環境の問題というのがあろうかと思います。人口や発展段階が、市場によって違いますので、広い意味でビジネス環境が整っているかどうかという点が、企業が投資する際の大前提かなと思います。
2点目は、日本企業が提供したいと思う価値と、相手国のニーズが合致しているか。向こうにとっても、「日本ならでは」、「この会社が来てくれたら」、「この技術があれば」というところを合致させていくというところです。日本の企業が重視している、例えば品質とか安全性とか、そういったところをよく理解していただくことも必要かなと思います。
3点目は、アフリカの、いわゆる問題解決、それから健全な成長という、そういった理念に合致するかどうか、特に、SDGsでいわれているようなところと日本の強みみたいなことを掛け合わせたところ、それがまさにビジネス協議会の中のワーキンググループにもなってると思いますが、ユニバーサルなヘルス・カバレッジであるとか、農業それから農村の支援、それから人材育成ということで、このSDGsという流れの中で、日本の強みがその国にどのように貢献できるかという、この3つの視点を掛け合わせたところに日本としてもやっていける、また、それぞれの企業が進出していける部分だと思っています。
それから最後の3点目ですけれども、アフリカからのコミットメントを引き出すということで、やはりアフリカ側からも自助努力であったりコミットメントを引き出すことは、欠かせない条件だと思っています。
今回、TICADでアフリカの首脳からも、そういった発言もしていただけたのも一つの成果だと思っておりますし、また、日本とアフリカがお互いに歯車をうまく組み合わせて、双方向的にギブ・アンド・テークをしていく関係を育むという意味においても、意味のある変化だったのかなと思っています。
そうした意味で、「日本はアフリカでこういうビジネスを行いたい」、「そのためにはこういうふうに環境改善してほしい」、また、日本政府のほうからも支援ができるという、ウィンウィンな関係になれるといいのではないかなと思っています。
最後のページですが、これから官民連携で、アフリカビジネス協議会という形で実際に手を動かしていくということが非常に重要だと思っていまして、フォローアップの会議とか、日アフリカ官民経済フォーラムみたいなものも、今後出てくれば、それが一つのいいマイルストーンになろうかと思っています。
いろいろな節目節目で、一歩一歩、目に見える形のものをつくっていくという意味で、先ほど申し上げました、企業のほうも「自分だけが」ということではなくて、どうやってアフリカという大きな未来のあるところ、そして自分たちが貢献、世界に貢献すべきところに一緒になってやっていけるか、それを官のほうからもリーダーシップを取っていただきながら、自分たち自身もコミットをしていくという、一緒になって頑張っていきたいなと思っています。
私のほうからは以上でございます。
(拍手)
モデレーター:横山正
岩井副委員長、民間の立場からのご発言、どうもありがとうございました。それでは最後に、加藤部長、よろしくお願いいたします。
パネラー:加藤隆一 JICAアフリカ部 部長
JICAアフリカ部の加藤でございます。今日、このような機会をいただきましてありがとうございます。
冒頭、大島理事長、それから外務省の森部長から、緒方さんのJICAにおける貢献でいいますと、人間の安全保障の概念を適用するということと、それから徹底した現場主義というお話がありました。その上で、アフリカに関わる者にとっては、アフリカ重視の視点というのが非常に大きかったと思っています。2003年に緒方さんが理事長になられてから、2008年にはODA総額が増えない中でTICAD IVにおいて対アフリカODA倍増がコミットされました。そのときはまさに緒方理事長、それから大島副理事長ですけれども、この2人がいらっしゃらなければ、このような非常に難しいことはできなかったのではないかなと私は感じております。
さて、JICAの取り組みですが、全体の話については、外務省の森部長から既にお話がございましたので、パーツパーツで幾つか説明したいと思います。
まず産業人材の育成という観点では、ABEイニシアティブ3.0という新しいイニシアティブを打ち上げましたので、それについて説明したいと思います。
それからイノベーションと投資の促進ですが、いま既に投資環境改善のための協力として、二国間の委員会をつくったという話もありましたが、ここはアフリカ開発銀行と協力をして、どのようなことを考えているのかについてお話をしたいと思います。
それから中小企業やSDGsビジネスということで、JICAが支援していく方向性であったり、あるいは海外投融資をこれからアフリカにおいても増やしていくということも述べてみたいと思います。次のページお願いします。
それからインフラ関係では、マスタープランが完成している3重点地域を中心として、いかに質の高いインフラ投資を進めていくのかということ。
それから農業関係で、特にコメ生産量を2030年までに倍増するCARDイニシアティブであったり、市場志向型の農業振興アプローチとして、SHEPを推進していくという話がここに出ています。具体的にどうやっていくのかということについては、後ほどお話をしたいと思います。
8ページをお願いいたします。われわれ今回のTICADの際に、さまざまなMOUを結びましたが、民間企業とも多くの協力の覚書を結ばせていただきました。その幾つかを紹介したいと思います。まず、豊田通商さんとは今回、アフリカの農業分野でMOUを締結しています。農業振興のためには生産面だけではなくてバリューチェーン全体を捉えて取り組むことが重要であるということで、民間セクターの役割が非常に重要ということです。今回は主に米と園芸作物を対象として、CARDやSHEPといったイニシアティブにおいて、、豊田通商およびCFAOのネットワークを活用して、官民パートナーシップを促進していくということです。
それから次のページですが、伊藤忠商事とAfri Venturesというシンガポールにベースがある会社とSDGsの達成に向けた連携協力の覚書を締結しています。こちらも同じように、SHEPやあるいは農業の栽培技術、農産物の需給情報の共有といった、農業分野で連携を推進していこうということで結んだものです。
このような形で、これは一つの特徴かと思いますが、Afri Ventures、その親会社はKewalram Chanrai Groupという、シンガポールの会社ですが、こういったアフリカに知見を持つ第三国の企業との連携ということであります。既に皆さんご存じのように、例えば三井物産のETGとか、それから三菱商事のOlamというような、いわゆる第三国連携の実例がありますが、今回もこういう形で伊藤忠とも結ばせていただいたということです。
次のページお願いします。次はまたちょっと違った個別の事業の協力の覚書ですが、こちらは豊田通商、CFAO、それからヤマハ発動機とセネガルの水産分野で連携協力の覚書を締結しています。これはJICAの民間連携事業で、ヤマハがFRP船というガラス繊維強化プラスチックで造られた船の製造と販売を行うというものですが、JICAが準備調査を支援し、この調査が終わったので、今後の具体的な事業に向けてMOUを結んだものです。
それから次のページお願いいたします。アフリカ開発銀行とのEPSAと呼んでいる協調枠組みです。こちらについても、今回、2020年から22年の3年間、第4フェーズのローンチを行いました。共同で35億米ドルを目標額とする資金協力を行うということで、この中には、EPSAというのは、ACFAといわれる、円借款とそれから先方の借款との協調融資、それからノンソブリンローン等幾つかサブスキームがありますが、35億米ドルのコミットメントをさせていただいたものです。
この中には投資環境整備として、AfDBと協調していくということもうたわれていまして、今後、日本の企業からもヒアリングをしながら、どの国で、どのような目標を設定してやっていくかを決めていきます。われわれとしては、DPL、開発政策借款と呼んでますけれども、コンディションを付けて、そのコンディションを達成したら、われわれがディスバースをするといったような、借款のスキームがありますが、そういったものをぜひ考えていきたいと思っています。
次のページお願いします。次はJETROと、それからUNDPと一緒に行っていますが、日本の中小企業によるアフリカビジネス支援と、スタートアップやイノベーションに焦点を当てたアフリカビジネス支援を内容とするプラットフォームを設置しております。
UNDP、JICA、それからJETROが、民間企業と伴走しながら一緒に支援していくスキームです。それぞれ3機関が持っている強みを生かしながら、お互いに連携していくことで、まさに日本チームとしてやっていきたいと考えて、今回の発表に至ったものです。
それから次のページも同様ですが、今回、JETRO、UNDP、JICAの3者で行ったスタートアップの、ピッチイベントの様子です。これは非常に好評でして、いろいろな方が参加をしていただきました。こういった今回の経験も生かしながら、今後オープンイノベーションとして、貢献をしていきたいと思っています。
次のページは、今後の官民連携ということで、幾つかお話をさせていただきますと、JICAの民間連携事業ですが、民間企業に聞くと、JICAに期待することは、やはりJICAが先方政府の公的機関とつながりがあることが一番大きくて、加えて、ネットワークや信頼関係というところに期待していると伺います。そういったJICAの強みを生かしながら、民間連携事業等を通じて貢献をしていきたいと考えています。
次のページは、JICAの民間連携事業の全体のメニューを示しています。中小企業・SDGsビジネス支援事業として、基礎調査や案件化調査、普及・実証・ビジネス化調査等さまざまなメニューを用意してあります。併せて、協力準備調査としてPPPインフラ事業であったり、あるいは先ほど申しました海投もあります。それから、人材育成という観点では、ABEイニシアティブ等の活用をいただければと考えています。
次のページお願いします。中小企業・SDGsビジネス支援事業については、基本的には民間企業からのご提案をわれわれのほうで審査して、案件を採択するというプロセスですが、前回からアフリカに関しては、JICAのほうでアフリカの課題を提示して、その課題の解決に向けて、どういったことができるのかというプロポーザルをいただくという形に変更しております。
例えば、この提示課題として、保健、農業等々、ここにあるような課題を提示して、その課題に沿った形のご提案をいただくということです。既に第1回の公示は結果が出ているのですが、中小企業支援型では、46件中11件、それからSDGsビジネス支援型では10件中4件と、アフリカ向けの案件が大幅に増えています。ぜひ引き続き皆さま方のご参加を期待してるところです。
第2回として次のページにありますが、明日、明後日が締切りです。第2回の公示もアフリカの案件が多く出てくることを期待しています。
次、お願いします。ABEイニシアティブですが、既に2014年から受け入れを開始しまして、1,200人以上を受け入れています。
次、お願いします。ABEイニシアティブ3.0ですが、今回、全体としては、日・アフリカビジネス推進に資する産業人材6年間で3,000人という目標が掲げられており、内、JICAは1,200人分を担当します。いろいろ民間セクターの皆さまから改善に向けたご提案等いただいており、それを踏まえながらわれわれもプログラムの改善・拡充を図ってきています。ここに書いてあるようなことで、例えば3つ目の囲みの中にありますが、日本語研修、企業研修、企業見学会というような要望も結構ありましたので、これを反映する形で行っています。
また、今回、さまざまなネットワーキングフェアであったり、インターンなどにつきましては、いわゆるABEに限らず、JICA以外のアフリカからの留学生も多数いますので、そういった方々も希望あるいは選抜制で参加いただくようなプログラムにしていきたいと考えています。
それからオープンイノベーションということで、23ページをご覧下さい。。こちらも、われわれ、現地のスタートアップのエコシステムの改善と、それから日本のエコシステムというものを結び付けるような形で、プラットフォームを形成していきたいということです。
次の24ページですが、「アフリカにおける破壊的なデジタル技術にかかるオープンイノベーションの調査」をいま行っているところです。
それからインフラについては、前回もお話ししておりますので飛ばさせていただきまして、日系ベンチャーキャピタルとの起業家支援について一つお話ししたいと思います。
こちらは、サムライインキュベートアフリカと連携をして、起業家支援を行うというもので、いわゆるファンドを組成するためのお手伝いをJICAがしていくというようなことです。こういったものを通じて、アフリカにおけるエコシステムの改善、具体的なファンドの組成にも協力ができたらなと考えてるところです。
最後に、海外投融資の部分ですが、皆さんご存じのように、民間企業に対して、一般の金融機関だけではなかなか対応が困難といったような案件に対して、われわれがリスクを取るような形で投融資を行うというものです。
アフリカについては、タンザニアのキオスクで太陽光パネルを設置して、LEDランタンの充電、レンタル、それから携帯電話の充電サービス等を行うWASSHAに対する出資を2016年に行っております。
今回2件目として、I&Pというフランスにあるインパクト投資ファンドに出資をする契約を調印いたしました。主にサブサハラ、特に仏語圏アフリカで強いファンド、投資ファンドですが、農業、保険、建設業等々、さまざまな中小企業に投資しているということで、その様なファンドと組んで、現地の企業の、中小企業の発展に寄与することを考えているところです。
私からの説明、以上になります。ありがとうございました。
(拍手)
モデレーター:横山正
加藤部長、具体的な日本の取り組みとかJICAの支援、スキーム、また具体事例についてご紹介いただきましてどうもありがとうございました。
それでは4名の方々からご発言をいただきまして、どうもありがとうございました。
私もTICAD7に3日間出席させていただき、やはり民間投資やビジネスといったところに焦点が当たっていたなと感じました。また、先ほどの4人の方のご説明にもありましたが、非常に日本らしさが出ていてよかったなと思います。いろいろなキーワードがあると思うのですが、人とか技術とかイノベーションとかアントレプレナーシップとかでしょうか。
ただ、私も特に民間ビジネス、投資とか貿易の観点から、やっぱりキーワードになると思った点は2つあります。一つはビジネス投資環境の整備・改善、あとは人材育成とか人の交流です。その中でも、後者についてアフリカ側に協力するのは、非常に日本らしさが出てよろしいかと思います。
更に今回、ビジネスセッションも出させていただいて、非常に多くの方々が参加されているということと、双方向の議論が非常にかみ合っていてよかったと思いました。また、非常に熱気を感じられたということで、先ほどもパネリストの方からもお話がありましたけれども、この熱気は、3年間の間に一回下がってから、また直前に上がるということではなくて、継続的・持続的な枠組みもつくられたことで、ずっと続くといいなと思っております。
ただ、TICADはある意味で成功だったんですけれども、残された課題もあるかとは思います。
それでは4人の方々にちょっとごく短いご質問を私からさせていただこうと思います。4人の方々もTICADに参加されましたが、特にビジネスとか民間投資とか、そういう観点から今回のTICADを、どのように評価されるか。そして、全般的な感想ないし評価についてご発言いただければと思います。2つ目は、もう3年後にTICAD8がアフリカで行われるわけですが、それに向けた期待です。成果についての期待も含めて、どのような期待をされているかについて、ご発言をいただければと思います。
よろしければ、森部長から順番にご発言いただいてよろしいでしょうか。
パネラー:森美樹夫
大変難しい質問ではありますが、精いっぱい答えさせていただきます。まずTICAD7に参加しての評価ということですが、実は私、TICAD IIIが終わった直後にアフリカ第二課長になって、TICAD IVの準備をして、TICAD IVが行われたときには既に国連代表部に赴任をしていましたが、応援出張で帰ってTICAD IVをやり、同様にTICAD Vの時にも豪州の大使館にいましたが、戻ってTICAD Vをやり、次はないだろうと思っていたら、私が赴任していたケニアのナイロビでTICAD VIが開催され、今回も実は6月まで出向していましたが、7月にいきなり外務省に戻れと言われてTICAD7をまたやることになって、都合4回TICADを経験しています。なかなか外務省にも4回やった人はいないと思います。
この中で、長いTICADプロセスとして見た場合に、ごく簡単に言えば、拡大し進化してきた、よりオープンになり、かつ深みを増してきたということが言えるのだと思います。まだまだ集大成とは言い切れないと思いますが、冒頭まさに横山理事がおっしゃった、世界の公共財として国際益を達成するツールに、だんだんなってきているのかなという気もします。それと同様に、日本の国益を達成するための非常に有効な外交ツールになりつつあると。これはビジネスの拡大もそうですし、その他の外交課題についてもさまざまな形で達成を手助けしてくれるツールになっていると思います。ざくっとした印象論ですけれども、1番目の質問については、そんな印象を持っています。
それから2番目の「今後、3年後どうするんですか」というのは、これはもっと難しい質問で、正直申し上げて、まだ答えを持ち合わせていません。というのは、一つにはTICAD7で行われたコミットメント、これは民間投資が過去3年間と同じレベルに、今後の3年間なるよう政府は全力を尽くします。というのが安倍総理のコミットメントだったわけですけれども、そのために頑張りますということしか、いまの段階では言えません。これはひとえに参加するすべてのステークホルダー、これは政府だけではなくて、アフリカ側のオーナーシップというのもありますし、それから民間セクター、企業の方々もいらっしゃれば、市民社会等々の多種多様なステークホルダーの理解と協議の下にTICAD8というのはできていくのかなというふうに考えております。
まずはコミットメントを達成できる、もちろんコミットメントの中には先ほどの日本らしい取り組みというところにあった数値目標を付したような目標もありますから。これは当然達成していくものとして、一番大きなコミットメントである民間投資の達成に関しては、皆さんと一緒にどういうTICAD8をつくっていくかを考えることかと、いまの時点では考えています。私から以上です。
パネラー:柴田裕憲
1つ目の点についてですが。いま森部長のほうから、これまでのプロセスについてのご経験、ご紹介がありました。それを踏まえて申し上げますと、経済産業省が、TICADについて今回大きく関与度を深め、コミットを深めたという動きがあったと思います。
過去を振り返りますと、2013年のときも経済産業省の政務の方たちは横浜まで行って幾つか会談を行っておりましたが、今回はTCAD全体会合で民間ビジネスを取り上げることになったことや、先ほどご紹介したジェトロの対応などは大きくレベルアップしてきていると思います。
これは、きょうのフォーラムの初めのほうで紹介されたように、TICADの当初は「開発と援助」のイベントだったのが、アフリカの状況が変わったことからTICADの役割も変わり、恐らく2010年前後あたりから民間のビジネスの役割が期待されるようになってきています。前回ご紹介したように、ヨーロッパの国々とかアメリカは日本のビジネス以上にアフリカで拡大してきています。そういった状況の中で、経産省も今回、いままでよりレベルアップさせてコミットを深めたという状況にあります。
それからこれは2点目とも関係しますけども、アフリカビジネス協議会も設置されて、そこでは日本の企業の皆さまがどういうふうにアフリカでのビジネスを拡大させていくかといった事を恒常的に議論していきますので、次回のTICADへ向けても経済産業省のコミットメントは変わらないことになると思います。「と思います」というのは、3年後ぐらいが実際にどうであるかというのは、なかなか確実なことは言えないですが、トレンドとしてはいま申し上げたような状況です。
それから3年後の次回のTICADに向けては、先ほど申し上げたアフリカビジネス協議会に続けて、日アフリカ官民経済フォーラムという経済閣僚レベルが中心となる会議を開く考えです。これは去年の5月に、外務省の協力も得つつ南アフリカで第1回を開催したもので、日本とアフリカ双方の民間企業にも多数参加していただきました。ビジネス協議会での様々な議論や、これから対処していかなければならない課題について、この日アフリカ官民経済フォーラムで議論をすることは、次回のTICADに向けて良い機会になるのではないかと思います。
来年の後半か末頃から再来年の初め頃、次の冬といったイメージですが、その時期に開こうと考えておりますので、次回のTICADへつながる、一つのステップとして活用していきたいと考えています。
パネラー:岩井睦雄
私はJTという会社でのビジネスは長くやっていますが、ちょうどTICAD VIが終わった後に、同友会のアフリカ委員会に所属し、アフリカ全体のことであるとか、官民でどういうふうにやっていくのかということは、今回初めてTICADに参加させていただいて、アフリカ初心者的に今回の印象だけを述べさせていただきます。
初めの円卓会議で、その当時の河野外務大臣が、民間もしっかり声を上げてくれないといけないということでハッパも掛けられまして、それをしっかりと受け止めていただいて始りました。それが今回の成果になっているのかなと非常に強く感じました。
それ以外にも各国のいろんな投資フォーラムみたいなものを、のぞきに行きましたけれども、各国ともに、自分たちの国がいかに投資環境としてしっかりやってるんだというところを一生懸命プレゼンしているという印象もありました。そういった面で、次のフェーズに移っていく、何かいい機運があったのかと思います。
それから3点目は投資とか企業ということとは観点は違いますが、それ以外にいろいろな人権の話であるとか、先ほどのスタートアップのように、若い世代の方が、日本の若い世代もアフリカの方も、そういう新しい方々が本当に求めているという機運を感じました。
私どもも協力している、渋澤健さんが主催されているアフリカ起業支援コンソーシアムでは、最終日の、それもだいぶ遅い時間で、こんな時間に人が来るんだろうかと思っていたのですが、ちょうどこれぐらいの会場が本当に満員で、立ち見も出るぐらい、いろんな若い方も含めて、アフリカに単身で行って起業されている方の話を聞きたいという、そういう熱気も感じましたので、非常にいいTICADだったのではないかと思っております。
あと今後のことについては、先ほどだいぶ述べさせていただいたので、まさにTICAD8に向けて、正直あまり時間もないと感じていますし、ここで停滞せずにいろいろとやっていかなければいけません。その中で、同友会のアフリカ委員会でいま議論していますのは、先ほど言ったように、理想として頭では何となく将来アフリカに投資しなきゃいけないと分かっているものの、なかなかリソースも割けないという状況の一番根本にあるのは、企業のトップです。企業のトップが、アフリカに実際行ったことがあって、どんなふうに肌で感じて、実際にコミットしようとしてくれるのかというところが、多分キーになってくるのではないかと思います。
アフリカ委員会の人間だけがもんもんとするのではなくて、同友会のトップの方々に、どういうふうにその辺をアピールしていけるのかというところは、これから工夫をして全体で盛り上げていきたいなと話しておりますので、ちょっと紹介させていただきました。以上です。
パネラー:加藤隆一
ありがとうございます。今回はビジネスが議論の中心になりましたが、過去のTICADのようにODAだけでつながるといいますか、ODAがメインであった関係というのは、必ずしも自然じゃありませんし、それから健全でもないと思います。そういう意味で、ビジネスとODAが、バランスの取れた関係で、議論もできたのではないかと、私も非常に高く評価をしております。
他方、われわれはODAの実施機関ですので、一言申し上げると、やはりODAにしかできない部分もまだまだあると思っています。例えば、経済の分野では、債務管理があります。今回のTICADでも、マクロ経済の安定であったり債務管理といったところについては、われわれもこれからしっかりとやっていきたいと思っています。
例えば、投資環境整備では、法律であったりあるいはレギュレーションをどうしていくのかっていうことについても、相手国政府がきちんとそれを整備しないことには始まらないので、そこに対する支援があります。
それからインフラでいうと、港湾や道路と言ったハードの経済インフラ整備のみならず、ソフトの人材の育成といったようなこともJICAの課題として残ってると思っています。
モデレーター:横山正
どうもありがとうございました。残された時間、4時まであと十数分なんですが、フロアの方からコメント、質問等あれば、挙手いただいて、お名前とご所属を併せておっしゃっていただけますでしょうか。
どうぞ、高鳥さん。
質問者:高鳥俊一 住友商事(株) 経済協力・官民連携推進室室長
住友商事の高鳥です。大変貴重なお話、ありがとうございました。私、TICAD VI、7と出て、今回の横浜のTICADも民間から見ましても、大変大成功だった、ビジネスが広がるいいきっかけになったと思っています。
あと今回、コンベンショナルODAから民間投資へと、さまざまな機会でお話があるんですが。われわれ商社にとっては、まだまだODAを期待してのビジネスというのは重要ですので、加藤部長、引き続きご指導いただければと思います。
それから、いま加藤部長のほうからお話もあったんですが、民間がアフリカに投資をすると、さまざまな投資改善ポイントがあると思うんです。グッドガバナンスとかパブリックセキュリティーとかがあると思うんですが、何よりも大切なのは、財政の健全性、これが担保されないと、なかなか民間は途上国に投資ができないというふうに思います。
途上国のデット・サステナビリティの問題は、G20、G7、それから先々週の世銀・IMF総会でも話が出たと思うんですが。極めて重要な問題だと思っております。
私、横浜のときにIMFのアフリカ局の方と話す機会があったんですが、前回のTICADと比べてアフリカの国、デット・サステナビリティ・アナリシスがかなり悪化していて、そういう国が増えています。そういう中で民間が投資しろというのは、なかなか厳しいとIMFのアフリカ局の次長から話がありました。
そういう中で、先ほど「TICADを世界の公共財」と、大変いい言葉だと思うんですが、JICAのそのバイの関与をもって、アフリカのデット・サステナビリティを担保していくことは重要だと思います。ここは日本政府が、マルチの国際機関、IMFや世銀とも協調して、アフリカの投資環境、特にデット・サステナビリティの改善ということを担保していただければと思いますので、ご指導いただきたく、よろしくお願いいたします。以上です。
モデレーター:横山正
他に幾つか、何人かまとめて質問ないしコメントを受けさせていただいて、まとめてパネリストないし私のほうからご回答申し上げようと思いますが。他におありの方いらっしゃいますか。どうぞ。
質問者:落合由貴 アイ・シー・ネット株式会社
本日は貴重なお話、どうもありがとうございました。アイ・シー・ネット株式会社の落合と申します。われわれの会社は主にODAの技術協力プロジェクトを実施している企業なんですが、私自身は、民間企業、主に中堅・中小企業さんを対象として、そういった企業の方々がアフリカに進出する際のコンサルティングサービスを提供しております。
いまもお話あったと思うんですが、これからどんどんアフリカに民間投資を増やしていく中で、中堅・中小企業の方々の投資というところも欠かせないのではないかと思っています。
その中で、より多くの企業が、まだまだアフリカという存在に気付いていない企業が多いと思うので、より多くの企業の方々がアフリカのマーケットの可能性、アフリカに進出する可能性を感じていただくために、どのような施策が考えられるか。どういったことをしていくことが重要かという、何かお考えがありましたらお聞かせいただければと思います。
モデレーター:横山正
ありがとうございます。あと、もう一方か、もうお二方。五十嵐先生、どうぞ。
質問者:五十嵐チカ 西村あさひ法律事務所 弁護士
西村あさひ法律事務所という、日本で規模的には一番大きな事務所に所属しております。
2013年にアフリカプラクティスチームを構築して、それ以来、日本の企業の依頼をいただいて仕事をすることが非常に多ございます。未知の世界と捉えられがちなアフリカの幾つかの国の法制度について、私どもの共同関係にある現地の事務所から資料をいただき、日本語で解説したガイドブックを2度ほど発行いたしました。
その延長線上といいますか、ことしTICAD7ということで、私どもも非常に期待をして注目をして何かお役に立てることはないかということで、8月に企業向けのセミナーを開催したときに横山さまが当時、財務省所属のときだったかと思いますが、ご一緒にセミナーをしていただくなどいたしました。
2013年に1回現地視察をしまして、今回は2回目の視察ということで、こちらにおられる加藤部長にも、現地の訪問など、いろいろご紹介をお願いしたり、アフリカ協会さまのほうにもご協力をいただいたりしておりました。
私どものほうで、いろいろ試行錯誤をしながらなのですが、今回TICAD、New TICADということで、新たに官民連携のレベルを高めて、ビジネスをより主役にといいますか、コミットメントを高めていくということだと思うのですが。われわれのような法律事務所としても、何か関与して、お手伝いをしていきたいというふうに思っておりまして。今回のパネラーの方々から、そういった法律事務所の役割について、何かお考えがあればぜひお伺いしたいと思います。
モデレーター:横山正
それでは、最後に、はい、どうぞ。
質問者:菊池剛 株式会社日本開発サービス 特別顧問
日本開発サービスの菊池と申します。アイ・シー・ネットと同じように、JICAの仕事をやらせていただいてるコンサルタント会社でございます。時間がもうございませんので、一言。次回の開催地はどこになってるんでしょうか。それだけです。お願いします。
モデレーター:横山正
ありがとうございます。森部長のほうから開催地のお話を。あとは五十嵐先生に対する、ローファームに対する、どういうような役割かと、あとは落合さまの中小企業にどういうふうにアピールするか。よろしくお願いします。
高鳥さんのご質問については、私の最後に。
パネラー:森美樹夫
答えられるものについては、答えさせていただきます。いま指摘ありましたけども、債務管理については、横浜宣言2019の中でも、アフリカがマクロ経済を健全に運営していくことが発展の鍵であるということをうたっておりまして、実際、日本の取っていく今後の措置の中でも、債務管理の専門家ですとか財政の専門家をこれから送っていきます。人材育成をやっていくということも言っており、そこはしっかりと政府が取り得る施策としても取り組んでいく所存です。ぜひ横山理事に、もう少し具体的に補足していただければと思います。
それから、どうやってより多くの方々が関心を持っていただけるようにしていくべきかということですが、これはTICADに限らず、特にアフリカをやっている者に共通する課題だと考えております。そもそもアフリカに対する関心が高まらなければ、われわれがTICADを外交政策として推進していくことに対する国民のサポートが得られないということにもなりますし、それから先ほどから申し上げている広範な参加を得た形でTICADのプロセスを動かしていくためにも、皆さんの関心を高めていく努力というのは、随時行っていかなければならないと考えております。
TICAD広報という観点から、特にTICAD7の開催中には、例えばTwitter等さまざまなSNS、それから街頭で広告を打ったり、いろいろなところで座談会、セミナーイベント等を開催してきて、おかげさまで、昔私がTICAD IIIやIVだとかをやっていた15年ぐらい前に比べると、だいぶ世の中の関心は高まってきたのかなと思います。ぜひここで手を緩めることなく、皆さまのお力もお借りをして、アフリカに対する関心、それからアフリカとビジネスをすることに対する利益にも、関心をぜひ高めていきたいと考えております。
それから法律事務所の役割ですけれども、実は私、2013年から2016年までケニアのナイロビに駐在しておりましたもので、西村あさひ法律事務所の弁護士さんが現地に駐在してこられて、まさにそのテーマでご相談をしたことがあります。端的に言うと、たくさんやっていただけることはあるんじゃないかと思います。
もちろん、現地で法律家として、活動をしていただく、資格の問題もあるかと思いますけれども、例えば国際渉外法務のような日本で弁護士として開業されている渉外の知識のある方であれば、書類の作成から相手方との交渉のやり方、それからその国特有の制度といった面について、特に日本語で相談をしたいと思っておられる方々に対する案件などあると思います。実は私もそういう面を多く目にしております。ちなみに、大使館の顧問弁護士もお願いしておりましたし、需要はいろいろとあると思いますので、ぜひ法律事務所の分野でもアフリカに展開していっていただきたいなと思います。
最後のTICAD8の開催地は、まだ何も決まっていません。これは、安倍総理が2014年に、それまで5年に1回日本で開催していたTICADをこれからは3年に1回、日本とアフリカで交互に開催しますということを表明しまして、この時点で、2016年のTICAD VI、それからその次にアフリカで開催する順番になります。次の2022年のTICAD8というのがアフリカで開催するというふうに運命づけられたわけです。
TICADには共催者というのがありまして、日本政府の他に、国連、国連開発計画、世界銀行、それからアフリカ連合委員会、この共催者の間で開催候補地となり得る場所の中から、さまざまな開催条件を満たすものを選定して決定していくことになります。
もちろん、あまり小さいところですとか、日本企業の方が特に安心して行けないようなところで開催するわけにはいきませんので、そこはしっかり日本政府としても意見を言っていきたいと思います。既に幾つもの国、特に首脳の方から、「次はうちでやってくれ」というような要望も受けておりますし。これから2022年に向けて決定を行っていくつもりです。できるだけ早く発表したいと思っています。
モデレーター:横山正
森部長、どうもありがとうございました。
岩井さま、4時にお出になられるということで、質問に対して何かご回答等あれば。
パネラー:岩井睦雄
2点目の中堅・中小もというところは、本当にそうだと思っていますし、アフリカの魅力を伝えるという意味において、いろいろな実例を同友会のほうでもまとめたものがあるので、そういったものをどれだけPRがしていけるかは、私も少し考えていきたいなと思います。
あと、法律というのも大切ですし、そういったところが分からないというところが、まさにもう初めの一歩を踏み出すところだと思います。
先ほど聞いたプラクティスでガイドブックを作られたり、日本の中でもアフリカのこんな国はこんなところですよということが大体分かるものがあれば、先ほど言った中小の方とか、大企業であっても、まだ出てない国のことは分からなかったりしますので、そういうものがだんだんと出来上がっていくと、どんどんとアフリカに関心を持ち、また一歩を踏み出そうという企業が増えてくるのではないかなと思いました。そういう活動をぜひ今後も続けていただければと思います。
モデレーター:横山正
ありがとうございます。柴田審議官から、何かございますか。
パネラー:柴田裕憲
ほとんど森部長にお答えいただきましたので、多くはないのですが、お話にあったように、投資や貿易だけではなくて、まだ援助の役割もあるというのは、まったくそのとおりだと思いますし、それをうまくビジネスにつなげていけるような形にできればと私たちも考えています。
それからマーケットの可能性を広く知ってもらうのも、先ほど森部長からあったようなお話のとおりだと思います。ビジネスの関係では、アフリカビジネス協議会をつくっていろいろ広くお声を掛けさせて頂いているつもりですが、より一層、多くの方々にそうした場で、情報を耳にしてもらえると、ビジネスチャンスが広がるのではないかと思います。私たちもさらに広報につとめ、広く知ってもらえるようにしていきたいと思います。
それから法律事務所の役割ですが、目の前にあるビジネス環境整備についても、法律の問題は結構多く出てくると思います。一般的に、幾つかの国との関係では、EPAがあって、それに基づいてビジネス環境整備委員会という委員会が設置されています。それとは別に、必ずしもEPAのような法的枠組みはないけども、現地でそうした協議の枠組みを持っている国もあります。そこでの議論は、その国の中の法律がまず大前提になるという案件がものすごく多いので、そうしたときに、またご助言・ご助力いただくところは大きいのではないかと考えております。
モデレーター:横山正
すみません。加藤部長の前に、高鳥さまへの回答なんですが、私はいまJICAの立場ですけども、日本政府は当然デット・サステナビリティに非常に関心があり、G20の議長国として日本も、そこの点を非常に重要視して議論をしたわけです。
JICAといたしましても、例えば特に低所得国とか市場への資金面でのアクセスが難しいところについては、特にコンセッショナルな資金へのアクセスというのは非常に重要なのですが、デット・サステナビリティが良くなくなれば、例えばJICAの資金を含めた、円借款も含めたコンセッショナルな資金へのアクセスというのも難しくなります。そのため、デット・サステナビリティの問題というのはすごく重要だと認識しております。
日本政府のほうでは、例えば財務省はIMF、世銀、アフリカ開発銀行に信託基金を持ってますし、そういうのも活用して、デット・サステナビリティ、デットについての透明性の向上について、いろんな技術協力をやろうとしてます。JICAとしても専門家を派遣するなど、いろいろデット・サステナビリティの改善、透明性の向上のために技術協力等を行っていこうと考えております。
あと加藤部長から、よろしくお願いいたします。
パネラー:加藤隆一
はい。一言だけ。法律事務所の関係ですが、当然、民間企業に対する法務のアドバイスが一番ビジネスとして大きいと思いますが、将来的に考えたときに、例えばわれわれも事業やってるときに、よく先方はPPPと言ってきます。われわれもPPPの調査をやっているわけですが、当該国においてその法律はあっても実際それが本当に適用できるのかどうなのかという点があります。例えば、細則が実際あるのかとか、そういうところまで細かく見ていくと、結構まだまだ整備されてない部分が多かったりするということです。
どの国で何がどこまで整備されていて、どうなって、本当にそれが使えるのか使えないのか。SEZなども同じだと思います。そういったことで結構民間の企業にとっては非常に重要な情報になると思います。従って、そういったところを、痒いとこに手の届くようなサービスが、非常に重要だと思います。
また、アフリカの文脈ではJICAは取り組んでいないのですが、アジアでやってるように、場合によっては法整備のところにも、今後やっていく余地はあるのではないかとおもいます。既にもう、それぞれの宗主国を範にした法律ができてますけども、いま言ったような経済法の関係でいえば、未整備な部分が多々ありますので。そういったところで、民間企業のいろいろな意見を聞きながら、例えばこの国は重要なので、特にここの部分については何か取り組めないかとか、そんなようなことも、将来的にはあるのかなと思います。その辺は一つ、私どもとしては課題として考えてますので、実際に物事を動かしていくときには、またいろいろとアドバイスといいますか、協力できればいいかなと思っています。
モデレーター:横山正
どうもありがとうございました。もう時間も差し迫っておりますので。それでは4人のパネリストの方々、貴重なご説明・ご発言どうもありがとうございました。
(拍手)
司会:淺野昌宏
横山さま、パネラーの皆さま、大変、先のTICAD7のフォローアップとして貴重なお話をいただいて、またこれからやっていくべきことについて多くの示唆をいただきましたこと、ありがとうございました。
この後、お時間があります方はぜひコーヒー後ろのほうに準備してございますので、時間があれば意見交換なども続けていただきたいと思います。
またこのようなフォーラムも引き続きやってまいりますので、アフリカ協会をよろしくご支援ください。ありがとうございました。
(拍手)
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