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- 「2023年世界人口白書:8億人の命、無限の可能性 - 権利と選択の事案」
- 【月刊アフリカニュースNo.127掲載】
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“State of World Population 2023: 8 Billion Lives, Infinite Possibilities – the case for rights and choices”
国連人口基金、2023年4月
昨年、国連は世界の人口が80億人を突破した一方、全人口の2/3が「再生産レベル」である合計特殊出生率2.1以下の状態にあると発表した。本白書は、一般国民、政策決定者、学者等が世界人口の現状をどのように見ているかについての調査に基づき、作成された。主な論点は以下のとおり。
*人口規模をどう見るかという点に関し、世界は「多過ぎる:このままでは地球が耐えられない」という見方と、「少な過ぎる:このままでは文明が崩壊する」という見方に二分されている。実際、人口増加の傾向がここまで分かれたことは歴史上初めてだ。(例:欧州の年齢中間値が42.5歳であるのに対し、サブサハラ・アフリカは18.7歳)
*いずれの場合も2.1という数字が赤信号であり、人口は政策的に増加させたり減少させたりできると考えられている。しかし現実には「完璧な人口規模」というものは存在せず、特定の人口規模を達成するための、信頼に足りる方法もない。
*性と生殖に関する決定は、個人が行うものだ。しかし2023年に自身の性と生殖を主体的に選択できた女性は56%しかいない。まず必要なことは、子どもを持つかどうか、持つ場合は何人を、いつ産むかといった個人の目標と、それを阻む障壁についての情報を得ることだ。
*少女と女性に対する教育も重要だ。高出生率の国ではその低下に役立つことが知られているが、低出生率の国では、女性を労働力として活用することが可能になる。また男女平等を達成することも重要だ。
*必要なことは「人口動態に対する強靭性」を持つことだ。生殖に関する権利を制限しても実効性はなく、社会を傷つける。しかし権利を支援すれば全ての人々の潜在力を解き放ち、変化する現実に適応することができる。