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- ウクライナ戦争に関する国連総会決議におけるアフリカの投票行動
- 【月刊アフリカニュースNo.122掲載】
2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以降、国連総会ではこれまで以下のとおり数次にわたってロシアに対する決議が採択されてきた。
1)ロシアの侵攻を非難し、即時撤退を求める決議(3月2日)
General Assembly resolution demands end to Russian offensive in Ukraine | UN News
2)人権理事会でのロシアの資格停止に関する決議(4月7日)
UN General Assembly votes to suspend Russia from the Human Rights Council | UN News
3)ロシアによるウクライナ東部2州の併合を承認しない決議(10月12日
Ukraine: UN General Assembly demands Russia reverse course on ‘attempted illegal annexation’ | UN News
4)ロシアにウクライナへの賠償支払いを求める決議(11月14日)
General Assembly adopts resolution on Russian reparations for Ukraine | UN News
この4回の決議に関し、アフリカの投票行動の集計した結果は下表のとおりである。
非難と即時撤退 賛成28(141)、反対1(5)、棄権 17(35)、欠席8(12)
人権理事会資格停止 賛成10(93)、反対9(24)、棄権24(58)、欠席11(18)
2州併合非承認 賛成30(143)、反対0(5) 、棄権18(35)、欠席6(10)
賠償支払い 賛成15(94)、反対5(14)、棄権27(73)、欠席7(12)
(注:( )内は全体数)
この結果及び各国の投票行動から以下の特徴を挙げることができる。
*アフリカは各決議で棄権もしくは欠席が多く、その比率は最小で44%、最大で65%
となっている。また各決議案において棄権もしくは欠席を選択した国の中でアフリ
カが占める割合も40%から53%である。このことはアフリカの多くの国が賛否を表
明せず、中立の立場をとろうとしていることを示しているが、全加盟国193か国の
27%を占めるアフリカの投票行動は決議全体にも影響している。
*とは言え、テーマによりアフリカの態度は一定ではない。ロシアによる軍事侵攻や
領土の一方的併合といった国連憲章やAU憲章に違反する行為に対しては非難(決議
案に賛成)する立場をとる国が多く、反対も2決議を合わせて1票のみである。一
方、ロシアに対する具体的措置に関する決議では賛成する国が少ないことがわかる。
*4回の決議全てに賛成したのは、コートジボワール、コモロ、セーシェル、チャド、
マラウイ、リベリアの6か国である。南アフリカは全ての決議を棄権し、AU議長国
であるセネガルも、領土併合以外の3決議は棄権または欠席した。こうした投票行
動は、各国の民主化度とは必ずしも連動していない。
*最初の決議に反対したエリトリアに加え、エチオピア、ジンバブエ、マリ、中央ア
フリカは反対の立場をとることが多い。ロシアの支援を受けているとされるマリや
中央アフリカの行動は象徴的である。