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- 「2021年民主主義指標:中国の挑戦」
- 【月刊アフリカニュースNo.116掲載】
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“Democracy Index 2021: The China Challenge”
The Economist Intelligence Unit、4月
Democracy Index 2021 – Economist Intelligence Unit (eiu.com)
* The Economist Intelligence Unit (EIU)は2006年から世界167カ国の民主主義
指標を発表している。1)選挙プロセスと多元性、2)機能する政府、3)政治
参加、4)政治文化、5)国民の自由の5つのカテゴリーの点数付けを行い、
各国の政治体制をア)完全民主主義、イ)不完全民主主義、ウ)ハイブリッド
体制、4)権威主義体制に分類している。たとえば2021年版では日本やイギリス
は完全民主主義であるが、フランスやアメリカは「不完全民主主義」である。
(この4か国の中では日本の点数が最も良い。)
* 世界全体の傾向として2020年以降、民主主義は衰退の傾向にある。2021年に民主
的な体制の下にある人口は45.7%に過ぎず、前年の49.4%から減少した。その一
因はCOVID19による国家権力の伸長と個人の自由の制限である。2021年にはワク
チン接種や治療などの対応がとられるようになったにも関わらず、ロックダウン
の強化やワクチン接種・接種証明提出の義務づけなど、国家による強制が更に強
化された。
* 西側の民主主義に対する中国の挑戦は、その経済力に由来する。中国の経済は紛
れもなく資本主義だが、国家と共産党が主導しているのが特徴である。経済発展
に伴い民主化が進むという西側の期待に反し、中国の民主主義指標は148位であ
る。中国の政治の特徴は、機能的な政府がある一方、アカウンタビリティ、牽制
と均衡、透明性などの民主的ガバナンスが欠如していることだ。専門家もしくは
強い指導者による統治という非民主主義的体制への指向が世界的に強まる中、西
側がすべきことは自身の民主主義を再生させることだ。
* アフリカでは、チュニジアで民主主義の後退が見られる一方、ザンビアは進展し
た。
1999年のナイジェリアの民政移管後、「クーデター文化」は消滅しつつあった
が、同国が治安上の様々な問題に直面し、地域の不安定要因となる中で、西アフ
リカでクーデター頻発している。尚、アフリカ54カ国中、49か国に関する民主主
義指標は下表のとおり。完全民主主義はモーリシャスのみ。
(分類)完全民主主義/(国数) 1 /(世界全体) 21
(分類)不完全民主主義 /(国数) 6 /(世界全体) 53
(分類)ハイブリッド体制/(国数) 16 /(世界全体) 34
(分類)権威主義体制/(国数) 23 /(世界全体) 59