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  • 「アフロバロメーターの調査」
    • 【月刊アフリカニュースNo.111掲載】
    • アフロバロメーターは1999年に創設された汎アフリカ研究機関で、自国の民主主義、
      ガバナンス及び経済社会状況に関する国民の意識調査を定期的に行っている。
      各国に対して同じ質問項目で対面調査を行い、国別の集計と、調査対象国全体の集計
      を行っている。当初の調査対象国は12か国であったが、2019年から2021年にかけて
      実施された最新の第8ラウンドの対象は34か国に拡大した。第8ラウンドは国別の集計
      が終了しつつある段階。また調査結果を元に記事やブログを発表している。
      今回は2本の記事を紹介する。

      1)「アフリカの人々は民主主義を望んでいるか?彼らは民主主義に近づきつつある
         と感じているか?」

        アフロバロメーターは民主主義とガバナンスを中心テーマとしており、バイデン
        大統領が主催する民主主義サミットにも参加する。過去10年間、アフリカの民主
        主義が減退する兆候があり、さらにパンデミックはいくつかの政権に自由を制限
        する口実を与えた。しかしアフリカの人々の69%は民主主義を最良の政治形態で
        あるとしている。主な調査結果は以下のとおり。

      質問項目                  回答率    10年前の回答
      民主主義が最良の政治形態だ      69%      73%
      軍事政権を否定               75%      76%
      一党制を否定                 77%      78%
      議会による大統領の監視を支持      67%      66%
      大統領の任期制限を支持          77%      75%
      選挙が指導者選出の裁量の方法だ    75%      83%
      大統領は常に法と司法に従うべきだ    77%      67%
      政府の任務は正しい仕事をすること
      よりも、国民に対して説明責任を
      果たすことだ                  62%      52%
      自国の政体は完全、もしくは少々問題
      がある程度の民主主義だ           52%      54%
      自国の民主主義に満足している       43%      50%
      自国政府は汚職を抑え込んでいる     32%      36%
      大統領は法と司法に従っている       56%      60%

      これらの調査結果から読みとれるのは、民主主義や選挙という制度を支持するが、
      選挙だけでは民主主義やガバナンスを保証することはできず、政府のアカウンタ
      ビリティや市民の参加も必要だと考える人が増えたということだ。しかし政治の
      実態は人々の期待に沿っていない。そこには民主主義に対する需要と供給のアン
      バランスがあり、各国の政府は国民が民主的で効果的で責任ある社会に暮らした
      いという希望に応えていない。

      2)「アフリカの人々は中国の影響を歓迎する一方、民主主義への期待も維持している」
        過去20年間に中国とアフリカの政治・経済関係は深まり、貿易量も110億ドル
        (2000年)から1,920憶ドル(2019年)に増大した。アフリカへの最大のドナー
        は依然として米国であるが、中国はインフラ建設への最大の資金提供者である。
        しかし中国の投資やアフリカ諸国との関係は議論を呼び起こしてきた。中国は
        アフリカを「債務の罠」に陥らせようとしている、あるいは資金提供を通じて
        自国の政治理念をアフリカに広めようという疑いもある。ではアフリカの人々
        は自国やその経済への中国の関わりをどう見ているのだろうか?2019年から
        2021年にかけて行われた48,000人以上のインタビュー結果によれば、
        * 33%の人々が自国の開発モデルとして最適なのは米国だと考えており、
          中国は2位(22%)。中国が最良のモデルと考えている人が最も多い国は
          ベニン、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、ボツワナの5か国。
        * 63%の人々が自国に対する中国の政治的、経済的影響を肯定的にとらえて
          いる。否定的な見方は14%に過ぎない。この割合は米国もほぼ同様
          (60%と13%)。
        * 過半数(59%)の人々が、中国の経済活動は自国経済に幾分、もしくは
          大いに影響あると考えているが、その率は5年前の71%から激減した。
        * 中国が自国に無償資金や借款を供与していることを知っている人々は
          47%に過ぎない。その中で57%の人々が、自国政府は中国から借り過ぎ
          だと考えている。
        * 開発モデルとして最適なのは米国か中国かという選択と、民主主義や
          民主的規範に対する支持との間には相関関係がない。
        * 最も重要な国際言語は英語だと考える人が69%であるのに対し、中国語
          だと考える人は3%に過ぎない。

       

    • 1)“Do Africans want democracy – and do they think they’re getting it”、
         Afrobarometer、Joseph Asunka and E. Gyimah-Boadi、11月2日
         Do Africans want democracy — and do they think they’re getting it?
          | Afrobarometer                                       2)“Africans welcome China’s influence but maintain democratic
         aspirations”、
         Afrobarometer、Josephine Appiah-Nyameke Sanny and Edme
         Salomey、 11月15日
         ad489-pap3-africans_welcome_chinas_influence_maintain_democratic
         _aspirations-afrobarometer_dispatch-15nov21.pdf
       
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