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- 「一次産品市場の見通し、2018年4月版」
- 【月刊アフリカニュースNo.67掲載】
本報告書は毎年4月と10月に出版され、エネルギー、農産品、肥料、金属等の主要な一次産品グループの市場動向について説明している。46品目について2030年までの価格予想と過去のデータも発表している。
また、主要産品についての生産、消費、貿易のデータも含まれている。2018年の第1四半期の一次産品価格は強気ではあるが、5分の4の産品の価格は2011年の最高額よりは低い。価格の上昇は2017年のGDPの3.1%の成長を受けて上昇し続けるであろう。しかし、幾つかの産品の生産は控えめとなろう。理由の一つとしては、米国によるアルミと鉄鋼への輸入関税、米国のロシアの一次産品生産者への制裁などの影響を指摘できる。
エネルギー価格は2018年には20%の上昇が予想されるが、2019年には安定するであろう。非エネルギー価格は2018年には2%程度の上昇で、2019年には安定すると予想される。しかし、更なる関税や制裁措置が発動されるならば、短期的には価格に変化があろうが、中期的には生産者も消費者も別の輸出市場や新たな流通チャネルを開発し、価格は安定するであろう。石油価格は需要の増加とOPEC,非OPEC国の生産制限により、2018年と2019には平均$65/barrelとなろう。石油価格の上昇は、ガス価格の上昇となろうが、石炭価格は引き続き下落が続こう。金属価格は2018年には9%の上昇となろう。農産物の価格は2018年には2.2%、2019年には1.3%の上昇が見込まれる。穀物、食用油の価格は、2018年には8%と4%の上昇が予想される。しかし、中国の大豆に対する相殺関税が課せられれば、価格予想は大きく変化することになる。
本報告書では、“石油輸出国; 政策とチャレンジ”として、特集が用意されている。2014~2016年の石油価格の急落に輸出国はどの様に対処したか。金融政策、財政政策はどの様に対応したか。価格の下落はエネルギー政策改革のカタリストとなったか。輸出国にとって、今後どのような対応が残されているか。上記の設問に答える形で特集が組まれている。
結論は弾力的な金融政策、大きな財政の余裕、多様化した経済の国が、危機に対応できた、としている。しかし、多くの産油国が、経済成長、財政収入予測について、中期的には悪化の傾向から抜け出していない。経済構造の多様化、金融、財政政策の改革が強く求められている。
(本報告書には、例年の通り多くの有用な統計資料と予測が提供されている。)
- 資料名:“Commodity Markets Outlook”
World Bank、4月
http://pubdocs.worldbank.org/en/271041524326092667/CMO-April-2018-Full-Report.pdf 本文
http://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2018/04/24/commodity-prices-to-rise-more-than-expected-in-2018-world-bank?cid=EXTIK_Tokyo_eNews_P_EXT
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